聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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今回で無印編の最後にしたいです。


少年達は明日の勇者

デジェルは皆から離れた所に行き響が黄金聖衣ネフシュタンを纏ったフィーネに挑む際、地面に突き刺した“デュランダル”の元へ行くと。

 

「(これは・・・・・・)」

 

そこには“刀身が半分消えかかっているデュランダル”があった。

 

昼と夜の中間の夕闇の世界でフィーネとレグルスは沈み始めた太陽を眺めていた。

 

「なぁスペラリ、お前はアテナが嫌いなのは良く分かった。でもアテナがハーデスとの話し合いをしようとしたのは「そんな事分かっている」・・・・・・」

 

レグルスの言葉を遮りながらフィーネ(聖闘士名スペラリ)は語る。

 

「あの甘い女神の事だ。大方冥王との聖戦でお前達<聖闘士>が傷付き倒れて行くのをこれ以上見たくなかったから、話し合いなどと甘い事を考えたのだ」

 

「やっぱり気付いていたか」

 

「だがあの女神の愚行の結果、地上は第二の冥界にされたのだ。あの女神を信じ守る為に地上の平和の為に命を散らせた仲間達の想いをあの女神は裏切った。私はあの女神を許しはしない。あの女神を認めない」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

本来であればアテナを罵るフィーネに怒りを燃やす所ではあるが、フィーネにはアテナを罵倒する資格があった。フィーネはスペラリの頃に一応アテナ(と言うより地上)を守る為に戦ってきた聖闘士だから、アテナに裏切られたと考えるのも、アテナに怒りを覚えるのも仕方ないと考え聖闘士達はフィーネの言葉を黙って聞いていた。ふとフィーネとレグルスの話し合いを聞いていた響はフィーネの足元を見ると。

 

「レグルス君!了子さんの足元!」

 

「!?」

 

響に言われフィーネの足元を見たレグルスは驚く。何とフィーネの足元が光の粒子になって“消え始めていた”のだ。

 

「スペラリ、これって?」

 

「“聖遺物同士の対消滅”の影響が今になって出てきたか」

 

「“聖遺物同士の対消滅”?」

 

「恐らく、奏者達が“デュランダル”で放った最後の技<Synchrogazer>でネフシュタンとデュランダルの力がぶつかり合い対消滅を引き起こしたのだ」

 

「それで消滅しそうになったネフシュタンのエネルギー源として射手座<サジタリアス>の黄金聖衣を取り込んだが、ネフシュタンと射手座<サジタリアス>の繋がりをレグルスの『ライトニングクラウン』で断ち切ってしまったと言うわけか」

 

アスミタと“消滅しそうになっているデュランダル”を持ってきたデジェルが解説する。

 

「でも、どうして了子さんまで?」

 

「フィーネはネフシュタンと融合しネフシュタンと一つになってしまった。“ネフシュタンの消滅”は“自身の消滅”にも繋がったと言うわけだ」

 

「レグルス君、射手座<サジタリアス>のように了子君とネフシュタンの繋がりを断ち切れないのか?」

 

「無理だよ弦十郎。射手座<サジタリアス>はまだ“完全取り込まれていなかった”からスペラリと分離させることができたけど、スペラリは“完全に融合”してしまっている。『ライトニングクラウン』でももう助けられない」

 

徐々に消滅しそうになっている了子に対して自分達は何も出来ないことに聖闘士達と奏者達、二課の皆が歯痒そうにする。

 

「ハッ敵に対してそんな態度とは。黄金聖闘士達よ。奏者共に嫌、立花響に悪影響を受けたのではないか?」

 

「自身が消滅するというのに随分余裕だなフィーネよ」

 

「フフフ言ったであろう。この櫻井了子の肉体もフィーネの魂の細胞の一部が入った入れ物に過ぎない。この世界の全人類の細胞に“私”はいる。ここで櫻井了子の肉体が消滅してもいずれ“私”は新たな入れ物に転召し蘇るのだ」

 

「成る程、ここで消滅しても心配は必要ないと言うわけか」

 

「ついでに良いことを教えてやろう。獅子座<レオ>、山羊座<カプリコーン>、水瓶座<アクエリアス>、乙女座<ヴァルゴ>よ。“神々”は滅んだ訳ではないぞ」

 

 

『!?』

 

「神々って?」

 

「恐らくフィーネが聖闘士であった頃に“神々の大戦<グレートウォー>”でアテナ軍と戦った神々だろう」

 

「地上を滅ぼしたハーデスと人類を滅ぼそうとする神々か」

 

「“神々の大戦<グレートウォー>”で冥王と海皇と月の女神は滅んだ訳ではない。致命傷を負い“魂”だけの存在になりながらも眠りについているのだ。だが何処奴等は目覚める、その時“常勝の女神”がいない貴様らは奴等からこの地上を・・・・・」

 

『守るに決まっているだろう』

 

全く一片の“迷い”も“弱さ”も無い“強き志を持った瞳”で断言する黄金聖闘士達の姿にフィーネは一瞬フッと笑いを浮かべすぐに目を鋭くさせ。

 

「ハアアアアアアアア!!!」

 

突然フィーネは鞭を天高くに向け遥か彼方に放つ。

 

『!?』

 

「まさか?!」

 

『?!』

 

聖闘士達と響、そして遅れて他の者達も鞭の向かう方向に目を向けると鞭は音速を越えて“ある場所”に突き刺さる。クリスの“絶唱”で威力が弱まった“カ・ディンギル”によって破壊された“月の破片”だ。フィーネは背負い投げの要領で“月の破片”を引き寄せようとする。周辺の大地は砕け、フィーネの纏うネフシュタンも砕けていく。最後の最後にフィーネは持てる全ての力を使って地球に落下させる積もりなのだ。“月の破片”は地球への落下コースへと入ったことを確認したフィーネは聖闘士達の方へ向く。

 

「さあ、どうする聖闘士達!間もなく“月の破片”が地上に落下するぞ!あの“月の破片”が落ちれば地球は壊滅的な被害を受けるだろう!どうする!?・・・・・ん?」

 

フィーネは思わず間抜けな声をあげた。何故なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レグルスは暢気に準備体操をしていたのだ。

 

「オイッチニ、オイッチニ、オイッチサンシっと!」

 

「なにやってんの?レグルス君」

 

響だけではなく、翼も、クリスも、未来も、弦十郎も、緒川も、藤尭と友里も、弓矢と詩織と創世も皆突然準備体操を始めたレグルスに困惑した顔を浮かべる。レグルスは体操を終わらせ腕をブンブン回しながら呟く。

 

「何、ちょっと飛んでってあの石ッコロぶっ壊そうと思ってさ」

 

「え?嫌ぶっ壊すって、そんなちょっとそこまで散歩に行くような感覚で」

 

「お前ふざけてる場合か!」

 

「相手は巨大の“月の破片”だぞ!」

 

奏者達がそろってツッコムがレグルスは真面目に答える。

 

「でもぶっ壊さなきゃ地上が危ないだろ?響達三人は満身創痍でまともに動けないし、国連なんてアテにならないし、動けるの俺達だけじゃん。それにさ」

 

レグルスは落下する“月の破片”を見据えて言う。

 

「たかだかデッカイ石ッコロ一つ何とかできない奴が地上の平和を守れる筈がない。だろ?スペラリ」

 

フィーネを見るその瞳は“力強さ”と“気高い心”を宿していた。

 

「(ああ彼等はまだまだ成長していく。これが私が彼等に敵わない理由かもな)」

 

フィーネはフッと笑いながら頷く。レグルスはエルシドとデジェルに背を向け。

 

「エルシド、デジェル、そんな訳だからさ。後の事は「ドカっ!」あら!?」

 

突然エルシドとデジェルはレグルスの背中にヤクザキックをする。キックをくらったレグルスは地面に倒れる。

 

「何が“後の事は”だ?」

 

「フィーネとの戦いは聖闘士の掟に従ったが相手が月の破片ならば、我々も参戦させてもらうぞ」

 

レグルスは起き上がりながら二人に向かい合う。

 

「嫌、でもレジェンド聖衣になった俺ならともかくエルシド達は・・・っ!?」

 

突然エルシドとデジェルの“小宇宙<コスモ>”が高まる。

 

「後輩に遅れをとるとでも?」

 

「甘く見るなよレグルス。新たな境地に立ったのはお前だけではない」

 

「「ハァァァァァァァァァァァ!」」

 

エルシドとデジェルが更に“小宇宙<コスモ>を高める!

 

「エルシド、まさか」

 

「お兄ちゃんも?!」

 

「研ぎ澄ませっ!」

 

「煌めけっ!」

 

「「我が“小宇宙<コスモ>”よ!!!!」」

 

エルシドとデジェルの黄金聖衣が光輝きその姿をが進化した!

 

エルシドの聖衣は足首や手首に腰のパーツや肩のパーツに胴体に蒼色のサファイアが嵌め込まれたような姿になり肩から金の装飾が施された蒼色のマントを靡かせていた。

 

デジェルの聖衣はエルシドと同じパーツに翡翠色のエメラルドが嵌め込まれており紫のマントを靡かせ左肩に小さな水瓶が装備されていた。

 

「山羊座<カプリコーン>のレジェンド聖衣!」

 

「水瓶座<アクエリアス>のレジェンド聖衣!」

 

威風堂々と佇み新たな姿へと進化した聖闘士がそこに立っていた。

 

「ヒュ~♪」

 

「エルシドさんとデジェルさんもレジェンド聖衣に」

 

「まさか、山羊座<カプリコーン>に水瓶座<アクエリアス>、お前達までもか?」

 

レグルスは口笛を吹き、響とフィーネも驚愕する。

 

「さ、行くか」

 

「アスミタ、もしもの時の為にここら辺一帯に結界を張っておいてくれ」

 

「・・・良かろう」

 

エルシドとレグルスとデジェルは並び月の破片を見据える。

 

「レグルス君」

 

「ちょっと行ってくるよ響」

 

「エルシド頼む」

 

「任せておけ翼」

 

「お兄ちゃん帰ってくるよね」

 

「あぁ直ぐに戻ってくるよクリス」

 

聖闘士達は奏者達と言葉を交わすと聖闘士達のマスクを展開して天高く飛び上がる!

フィーネは飛んで行った三人を見上げる。アスミタはフィーネの近くに付くとソッと手をかざし消滅速度を遅くする。

 

「なんの真似だ?乙女座<ヴァルゴ>」

 

「フィーネよ最後まで見届けておけ、お前の“憧れ”の勇姿をな」

 

 

 

 

 

レグルス達は成層圏を飛び越えて月の破片の近くにまで到達する。

 

「二人共、覚悟は良い?」

 

「一度は失ったこの命が、再び地上の平和の為に使えるならば本望だ」

 

「“死”は元より覚悟の上、だが“死ぬつもり”は毛頭無い!」

 

「フッ、んじゃ行くか!!」

 

レグルスは拳を構え、エルシドが手刀を頭上に構え、デジェルが両手を組んで頭上に掲げ、三人が“小宇宙<コスモ>”を最大に燃やす!

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

今!獅子が!魔羯が!宝瓶が放つ!最大奥義!

 

「万物悉く切り裂け!『聖剣抜刀<エクスカリバー>』!!!」

 

「凍気の極みを受けよ!『絶対零度<オーロラエクスキューション>』!!!」

 

「吠えろ獅子の雄叫び!『電光放電<ライトニングプラズマ>』!!!」

 

黄金の斬撃が!絶対零度の凍気が!光の拳が!月の破片を破壊する!目映い光が地球と宇宙と戦士達を包み込んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響達は目映い光に目を閉じていた。するとアスミタが全員に言う。

 

「もう良いぞ」

 

響達が目を開けると地球に迫っていた“月の破片”が完全に消滅していた。

 

『や・・・・・・やったーーーーーーーーー!!!!』

 

人々が歓声を上げる中、奏者達は夜空を見上げていた。

 

「レグルス君」

 

「エルシド」

 

「お兄ちゃん」

 

それぞれの想い人の事の安否を心配する奏者達、すると“黄金に輝く3つの流星”が降りてきた。

 

「「「(パアッ)」」」

 

『あっ』

 

「(フッ)戻ってきたか」

 

輝く笑顔の奏者達と弦十郎達やアスミタが見上げる先にいたのは、夜にも拘らず太陽のように輝く三人の聖なる闘士達。

 

 

 

 

 

 

 

彼等の名を戦女神<アテナ>の聖闘士!

 

 

 




次でエピローグです。あとちょっとネタばれが出ます。
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