聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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学園生活と新たな“破滅”

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 

夕暮れに染まるリディアン音楽院の廊下を1人の少女が走っていた。銀色の髪をツーテールにした少女である。何かから逃げるように走っていた少女が角を曲がると、学祭用の飾り付けが入った紙袋を抱えたか風鳴翼とぶつかる。

 

「うわっ!」

 

「ぐはっ!」

 

ぶつかり紙袋の中身を少し撒きながら尻餅付いた翼は腰をさすりぶつかった少女を見る。

 

「~~っ、脇見しつつ廊下を走るとは、あまり感心できないな・・・」

 

「痛ゥ~」

 

そこには同じように尻餅をついていたリディアン音楽院の制服を着た“雪音クリス”がいた。翼は紙袋を持って立ち上がり。

 

「雪音?何をそんなに慌てて・・・」

 

「“奴等”が、“奴等”に追われてるんだ。もうすぐそこまで・・・ッッ!」

 

立ち上がったクリスが壁にへばり付く、翼も警戒するが、二人の傍を三人の生徒が走って行った。翼は警戒しながら。

 

「・・・特に不審な輩等いないが・・・?」

 

「そうか・・・上手く撒けたみたいだな・・・ハァ」

 

安堵するクリスに翼が訪ねる。

 

「“奴等”とは、一体・・・?」

 

「あぁ、なんやかんやと理由をつけてあたしを学校行事に巻き込もうと一生懸命なクラスの連中だ」

 

「・・・・・・ふっ」

 

クラスメートから逃げていただけのクリスに翼は以前のクリスからは考えられない事なので少し微笑む。

 

そのクラスメート達はクリスを探していた。

 

「雪音さーーーん!」

 

「もう、どこに行っちゃったのかしら?」

 

 

翼は散らばった紙袋の中身を拾っていると不意に呟く。

 

「しかし、雪音がリディアンの生徒になっている事を知った時のエルシドとレグルスの驚いた顔は見物だったな」

 

クリスがリディアンに編入していた事を知ってエルシドは目を見開き、レグルスは両の掌を頬に付けて仰天した事を思い出したのか翼はフフフと含み笑いを浮かべ、逆にクリスはムッとした顔になる。

 

「あたしはあの二人をハッ倒してやろうかと思ったけどな。だいたいfine<フィーネ>を名乗る謎の武装集団も現れたんだぞ、あたし達にそんな暇はってそっちこそなにやってんだ?」

 

「見ての通り、雪音が巻き込まれかけている学校行事の準備だ」

 

クリスは暢気に学園生活をしている現状にボヤくが、翼は後3日に控えたリディアンの学祭『秋桜祭』に向けてクラスの手伝いをしていた。

 

「それでは、雪音にも手伝って貰おうかな」

 

「何でだ!?」

 

「戻った所でどうせ巻き込まれるのだ、ならば少し位付き合ってくれても良いだろう? それに学園生活を疎かにしている事を保護者<デジェル>に知られたら、“極寒のお説教”が待っているぞ」

 

「うぐっ! ッ~~~~~~!」

 

デジェルのお説教(静かに説教をするのだが絶対零度の雰囲気を纏う)が怖いのも手伝ってクリスは渋々と一緒に翼のクラスでお花紙や紙の鎖を作っていた。

 

「まだこの生活<学園生活>に馴染めないのか?」

 

「まるで馴染んで無いヤツに言われたかないね」

 

「ふっ確かにそうだ、しかしだな雪音」

 

「あっ翼さん、いたいた」

 

「「?」」

 

扉を見ると翼のクラスメート達が現れた。

 

「材料取りに行ったまま戻らないから、皆で探してたんだよ」

 

「でも心配して損した。いつの間にか可愛い下級生連れてるし♪」

 

「皆、先に帰ったとばかり・・・」

 

「だって翼さん、学祭の準備が遅れてるの自分のせいだと思ってるし」

 

「だから私達も手伝おうって」

 

「私を手伝って・・・」

 

唖然とする翼をクリスはニヤニヤとした笑みを浮かべる。

 

「案外人気者じゃねぇか♪」

 

「あっ、貴女もしかして・・・」

 

「あ?」

 

クラスメートの一人がクリスを見て。

 

「この間、ショッピングモールにいたよね?スッゴい美形のお兄さんと一緒に!」

 

「(美形?・・・お兄ちゃん<デジェル>の事か?)あ、あぁ確かに行ったけどよ・・・?」

 

「やっぱり!緑色の長髪した美形のお兄さんと一緒にいる銀髪美少女の美形カップルの彼女さんだね!」

 

「皆、雪音を知ってるのか?」

 

「知ってるも何も!最近有名になってる“名物カップル”だよ!」

 

「「め、“名物カップル”・・・?」」

 

「うん!男の人は高身長に知性溢れるクールな雰囲気にそこら辺のアイドルやイケメン俳優なんて目じゃない位の美形!一緒にいる女の子は気の強そうな見た目に銀色の髪を靡かせるトランジスタグラマーなこれまた美少女!美男・美少女の理想的美形カップルとしてちょっとした名物になってるんだよ!」

 

「(そんなに知られてんのか?・・・)」

 

「雪音・・・お前も結構有名人だったんだな・・・」

 

「あんたには負けると思うけどな・・・・・・」

 

頭にギャグ汗を浮かべる翼とクリス。

 

「ねえねえ!やっぱり一緒にいたお兄さんって彼氏さん?!」

 

「なっ?!あ~その~////////」

 

「あぁやっぱり彼氏さんなんだ。残念だなぁ、違ってたら紹介してもらおうかなって思ってたのに・・・」

 

「・・・・あぁ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「雪音、落ち着け(汗)」

 

赤面していた顔を一瞬で怒気に染めたクリスを宥める翼。一緒に作業しながらクラスメート達が翼の事を話す。

 

「翼さんってさ、昔はちょっと近寄りがたかったのも事実かなぁ」

 

「そうそう、“孤高の歌姫”って言えば聞こえは良いけどね」

 

「始めは何か、私達の知らない世界の住人みたいだった」

 

「そりゃ、芸能人でトップアーティストだもん」

 

「でもね」

 

「うん♪」

 

「思いきって話してみたら、私達と同じなんだって良く分かった!」

 

「皆・・・」

 

「特に最近は、そう思うよ」

 

そう言われて微笑む翼をクリスは一瞥すると。

 

「ちぇ上手くやってる・・・」

 

「面目無い、気にさわったか?」

 

「さ~てね、だけどあたしももうちょっとだけ頑張ってみようかな・・・人間関係が上手く行ってないと“心配する人”がいるし・・・」

 

「ふっそうか」

 

少し前向きになったクリスに翼は微笑みを浮かべ夕焼けの教室でクラスメート達との作業を続けた。

 

 

ーfine<フィーネ>アジトー

 

その夜、fine<フィーネ>のアジトらしき廃病院に忍び込んだ奏者達と聖闘士達。

 

「《良いか、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!》」

 

「《明日も学校があるのに、夜半の出動を強いてしまいすみません》」

 

「気にしないでください。これが私達防人の務めです」

 

「町のすぐ外れにあの子達が潜んでいたなんて・・・」

 

「《ここはずっと前に閉鎖された病院なのですが、2ヶ月前から少しずつ物資が搬入されているようなんです。ただ現段階ではこれ以上の情報が得られず》」

 

「尻尾が出てないなら、こちらから引きずり出してやるまでだ!」

 

病院に向かう奏者と聖闘士達に弦十郎は指示を飛ばす。

 

「《奏者と聖闘士は二人一組で行動しろ、向こうの聖闘士が現れたらこっちの聖闘士が対処して、奏者達はなるべく巻き込まれ無いようにしろよ!あと罠としてあるかもしれない魚座の“デモンローズ”にも警戒を怠るなよ!》」

 

「魚座の“デモンローズ”ってそんなに危険なの?」

 

「あぁ、魚座<ピスケス>は三種の薔薇を武器として扱う」

 

「え~と“恍惚な香気で相手は眠るように息絶える深紅の薔薇”、“鉄をも噛み砕く漆黒の薔薇”に“生き血を啜る純白の薔薇”だったな」

 

「魚座の守護する“宮”は我々黄金聖闘士が守護する“十二宮”の最後の“宮”ゆえに、そこと教皇がいる“教皇の間”との中間地点にデモンローズが群贅していて“薔薇の葬列”とも呼ばれている」

 

響の質問にレグルス達が解説していた。

 

「薔薇を武器として扱うとは、魚座の聖闘士は随分耽美な人間なのだろうな」

 

「あたしが言うのもあれだけど。あんな蟹座と蠍座とツルんでいる以上、マトモな野郎じゃねぇだろうな」

 

「(エルシド、レグルス。アルバフィカの事は伏せておこう・・・)」

 

「(・・・そうだな)」

 

「(こりゃアルバフィカの“素顔”を見たときの反応が楽しみだな!(笑))」

 

苦笑いを浮かべるデジェルと無表情のエルシドと含み笑いを浮かべるレグルスだった。

 

「レグルス君、レグルス君達は蟹座<キャンサー>さん達が敵として現れたらどうするの?」

 

「?・・・立ち塞がるなら倒すだけだけど」

 

「仲間なのに・・・?」

 

「仲間だからこそ知っている。手加減して戦えるほどマニゴルド達は温い相手ではない」

 

「黄金聖闘士だからと言って、皆が皆同じ考えの人間ではない、それぞれがそれぞれの“信念”と“正義”で行動している。その考えがぶつかる事で戦う事にもなる」

 

「(“信念”と“正義”か・・・)」

 

「(アイツらにそんな大層なモンがあるとは思えねぇな・・・)」

 

「(わからない・・・どうして同じ黄金聖闘士なのに・・・“戦う理由”なんて無いはずなのに・・・)」

 

翼とクリスは敵側の聖闘士(蟹座と蠍座)に“信念”があるのか疑念を抱き、響はレグルス達の割り切り方を理解できなかった

 

 

ー研究室ー

 

病院の通路を進みながら会話を続ける奏者達と聖闘士達を監視モニターで見ていたウェル博士は企みの笑みを浮かべる。

 

「おもてなしといきましょう・・・」

 

そう言って、ウェル博士は警備システムを起動させる。

 

 

ー病院通路ー

 

響達が進む通路の壁から赤い煙が噴射された。

 

「やっぱり元病院ってのが雰囲気出してますよね」

 

「なんだ、ビビってるのか?」

 

「そうじゃないけどなんだか空気が重い気がして・・・」

 

「以外に早い出迎えだぞ」

 

通路の奥から小型ノイズが現れた。

 

「歓迎パーティーの始まりだな♪」

 

「クリス、派手なクラッカーを」

 

「あぁ、お見舞いしてやるぜ!」

 

奏者達は歌う、“戦いの唄”を!

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

聖闘士は呼ぶ!己が纏う“鎧”を!

 

「獅子座<レオ>ッ!」

 

「山羊座<カプリコーン>ッ!」

 

「水瓶座<アクエリアス>ッ!」

 

奏者達の服が弾け飛びその身にギアを纏う!聖闘士達に黄金に輝く獅子と山羊と水瓶を持ったシーマンのオブジェが現れそれぞれのパーツに分解し聖闘士達の身体に纏う!

 

「♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

クリスは先陣を切るように飛び出し『BILLIONMAIDEN』をノイズに浴びせる。響と翼も隣に立ち、ノイズを見ると次々と現れるノイズを見て“確信”する。

 

「やっぱり、このノイズは・・・!」

 

「あぁ、間違い無く“制御”されている!」

 

クリスを先頭に響と翼は走る。レグルス達は悠然と歩いて行った。

 

「立花!雪音のカバーだ!懐に潜り込まれないように立ち回れ!」

 

「はい!」

 

狭い閉鎖空間で、前から来る敵に対して射撃殲滅を得意とするクリスのイチイバルの方が優位に立てる。懐に入られないように響と翼がクリスのカバーに入る。それを後方から見ていたレグルス達は。

 

「連携が上手く取れるようになったようだな」

 

「うんうん」

 

「嫌、良く見てみろ」

 

シンフォギアの攻撃で黒染みに消滅するはずのノイズの身体が再生した。

クリスの弾丸や響の拳、翼は『蒼の一閃』を放つもノイズは再生していった。

 

「「「ッ!?」」」

 

「ノイズが再生している?」

 

「これは一体・・・?」

 

十数体のノイズがレグルス達に襲いかかるも。

 

「ふっ!」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

1秒間に1億発の拳を繰り出すレグルスの攻撃を受けて跡形もなく消滅する。

 

「ルナアタックの頃となんの変哲も無いよ。簡単に倒せる」

 

「と言う事は“ノイズ”ではなく」

 

「奏者達に問題があるのか」

 

レグルス達は問題無いが響達はノイズに囲まれる。

 

「何で・・・こんなに手間取るんだ・・・?」

 

「フゥ、フゥ、ギアの出力が落ちている?」

 

 

ー二課指令室ー

 

奏者達の状況は弦十郎達も確認していた。藤尭と友里が原因を報告する。

 

「奏者達、適合係数低下!」

 

「このままでは戦闘を継続する事が出来ません!」

 

「何が起きている!」

 

二人の報告を聞いて弦十郎も苦い顔をする。

 

ー病院通路ー

 

悪戦苦闘しながらも奏者達はノイズを殲滅する。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 

「フゥ、フゥ、フゥ、フゥ、フゥ、フゥ」

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 

中々倒せないノイズに苦戦を強いられ奏者達は呼吸が僅かに乱れていた。後方にいたエルシド達にもノイズは攻撃してきたがこちらは問題無く片付けた。だがレグルスが先の通路から来る“気配”を感知した。

 

「ッ!」

 

「グワアァア!!」

 

通路の先からノイズと違う“異形”が襲いかかってきた!

 

「危ないッ!」

 

レグルスが裏拳で“異形”を殴り飛ばすが“異形”は天井を足場に再び襲いかかる!

 

「ッ!!」

 

今度は翼が一太刀浴びせた!が。“異形”は通路の床に叩きつけられた“だけ”だった。

 

「“アームドギア”や黄金聖闘士の迎撃を喰らったんだぞ!?」

 

「なのに何故炭素と砕けない!?」

 

原子を破壊する一撃と対ノイズの武器の攻撃を受けて平然としている“異形”にクリスと翼は驚く。

 

「まさか・・・ノイズじゃない・・・?」

 

「じゃあの化け物はなんだって言うんだ!?」

 

「ノイズでなくとも友好的な存在では無さそうだな」

 

「その“答え”は向こうにいるヤツに聞いた方が良いな」

 

奏者達とは別にレグルス達は“異形”の向こうにいる“存在”に警戒した。すると・・・・・・。

 

パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ・・・・・・

 

通路の向こうから拍手をしながらやって来た“人物”に奏者達も警戒する。

 

「えッ?!」

 

「ん?」

 

そこから現れたのは、“ソロモンの杖”強奪の際行方不明となった。ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトイクス博士だった!

 

「ウェル博士!?」

 

“異形”はウェル博士が持ってきたケージに入った。

 

「以外に総いじゃないですか」

 

「そんな、博士は岩国基地が襲われた時に・・・」

 

「つまりノイズの襲撃は全部・・・!」

 

理解出来ない響と別にクリスは察し、ウェル博士はにこやかに話す。

 

「明かしてしまえば、単純な仕掛けです。あの時<強奪騒動時>既にアタッシュケースに“ソロモンの杖”は無く、コートの内側に隠し持っていたのですよ」

 

「“ソロモンの杖”を奪うため、自分で制御し、自分を襲わせたのか?」

 

「“バビロニアの宝物庫”よりノイズを呼び出し、制御する事を可能にするなど、この杖をおいて他にありません」

 

そう言いながら“ソロモンの杖”でノイズを呼び出した。

 

「グルルルル・・・」

 

“異形”が唸りをあげる。

 

「そしてこの杖の所有者は、今や自分こそがふさわしい!そう思いませんか?」

 

ウェル博士が目を見開きながら話す。

 

「チッ、思うかよ!」

 

ウェル博士はノイズをけしかける。ノイズに向けて腰アーマを展開し小型ミサイルを発射するクリス。だが。

 

「待て!クリス!」

 

「(ドクン!)ああああッ!!」

 

悲鳴をあげるクリスをデジェルが支えるのと同時にミサイルが着弾し爆発が起こる!

 

ズガガガガガガガドッカアアアアアアアアアアアン!!!

 

病院で爆発が起こった!

 

ー二課指令室ー

 

指令室で奏者の状態をモニターしていた弦十郎達は。

 

「適合係数の低下に伴って、ギアからのバックファイアが奏者を蝕んでます!」

 

 

ー病院外ー

 

吹き飛ばされたノイズの塊は崩れ、その中からウェル博士が現れる。ミサイルが着弾する直前にノイズを盾代わりにして防いだのだ。病院の中から響とレグルス、クリスをお姫様抱っこしたデジェルと翼とエルシドがも外に出た。

 

「クリス、しっかりしろ」

 

「お兄ちゃん・・・クソ、何でこっちがズタボロなんだよ・・・?」

 

「(この状況<適合係数低下状態>で出力の大きい技を使えば、最悪の場合そのバックファイアで身に纏ったシンフォギアに殺されかねない・・・)」

 

「ん?響!あれ見て!」

 

「あれは?!」

 

空を見るとアドバルーンのようなノイズにぶら下がりながら離脱する““異形”の入ったケージ”があった。

 

「ノイズがさっきのケージを持ってる!」

 

 

ー二課指令室ー

 

指令室でもそのケージの映像が入った。

 

「このまま直進すると洋上に出ます!」

 

「くっ!」

 

何も出来ない状況に苦虫を噛んだ顔を浮かべる弦十郎。

 

ー病院外ー

 

逃げるノイズを見送るウェル博士。

 

「(さて身軽になったところで、もう少しデータを取りたい所だけど)・・・」

 

ウェル博士は響達の方に目を向ける。響達は構えると降参と言わんばかりに手を上げる。

 

「立花、レグルス。その男の確保を任せる。デジェルは雪音を頼む。私とエルシドはアレを追う!」

 

翼とエルシドはノイズを、正しくはノイズの持つケージを追う。

 

「行けるか翼?」

 

「天羽々斬の機動性なら、行ける!」

 

「良し・・・!」

 

翼とエルシドをモニターしていた友里が弦十郎に報告する。

 

「翼さん、エルシドさん、逃走するノイズに追い付きつつあります!ですが・・・」

 

「指令!」

 

「そのまま飛べ!翼!エルシド!頼むぞ!」

 

通信越しの弦十郎の檄を受けて翼とエルシドは走る!

 

「♪~♪~♪~♪(飛ぶ!)」

 

「《翼さん!海に向かって飛んでください!》」

 

二人の目線の先に道路が途切れていた。二人はそこから飛ぶが翼は足のパーツを展開して飛ぼうとするが、適合係数な低下の影響かギアが思うように動かず落下する。

 

「翼!」

 

「《仮設基地、急速浮上!》」

 

落ちていく翼の落下先の海上から“現”特異災害機動部二課の基地である“潜水艦”が現れた!(かつての基地はルナアタックで無くなり新たに移動能力のある潜水艦に変わったのだ)

翼は潜水艦の船首を足場にして飛びエルシドと並ぶ。

 

「「(コクン!)」」

 

二人は頷き合うとノイズに向けて斬撃を飛ばす!

するとノイズは粉々に切り裂かれた!

落下するケージを滑空しながら翼がキャッチしようとするが。

 

「ッ!翼手を引け!」

 

ガキンッ!

 

「うわッ!?」

 

基地に着地したエルシドの言葉が届く前に翼の足を“槍”が弾き翼は海に落ちる

途切れた道路でその様子を見ていた響達(ウェル博士はレグルスに確保されていた)。

 

「翼さんッ!」

 

直ぐにエルシドが海に潜る。翼を弾いた“槍”は海面に佇みその柄に“何者”かが降り立ち落下するケージを掴む。

 

「アイツは・・・・」

 

昇る朝日をバックに現れたのは、“黒いガングニール”を纏ったマリア・カデンツァヴナ・イヴであった!

それを見たウェル博士は不適に微笑み。

 

「時間通りですよ“フィーネ”・・・」

 

『!?』

 

ウェル博士の言葉に響とクリス、レグルスとデジェルも目を驚愕に染める。デジェルから降りたクリスはウェル博士に詰め寄り。

 

「“フィーネ”だと・・・?」

 

「終わりを意味する名は我々組織の象徴であり、彼女の二つ名でもある」

 

「まさか・・・じゃぁあの人が」

 

響達はマリアに目を向け、ウェル博士は更に言葉を紡ぐ。

 

「新たに目覚めし再誕した“フィーネ”です!」

 

“終わり”の名を持つ巫女“フィーネ”、その名は奏者達にとっても聖闘士達にとっても因縁深い相手の名前であった。

 

レグルスはマリアを見つめる。

 

「(“スペラリ”・・・お前なのか?・・・“スペラリ”・・・!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り、ウェル博士を初めて見た聖闘士達は。

 

「(あの人がウェル博士?)」

 

「(ああ、響君とクリスが任務で護衛していた研究者なのだが、そして彼はどうやら敵側のようだ)」

 

「(手の込んだ自作自演をしていたと言う訳か・・・)」

 

「(でも・・・)」

 

「(ウム・・・)」

 

「(ああ・・・)」

 

三人はウェル博士を見るとこう思った。

 

「「「(俺は/俺は/私はどうやら、あの男<ウェル博士>が・・・)」」」

 

「(嫌いっぽい・・・!)」

 

「(とても業腹に感じる・・・!)」

 

「(不愉快な存在と感じる・・・!)」

 

今は知らないがマニゴルド・カルディア・アルバフィカも初めて会った時に同じ感想を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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