聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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今回で、聖闘士側にオリジナル技を授けます。原理は国民的忍者マンガを参照。


再び戦闘開始!

ー二課指令部ー

 

「《新たに目覚めし再誕した“フィーネ”です!》」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴの登場と通信越しから聞こえたウェル博士の言葉から指令部は分析を試みていた。

 

「つまり、異端技術を使うことから“フィーネ”の名を組織になぞらえた訳ではなく」

 

「蘇った“フィーネ”そのものが、組織を統率していると言うのか?」

 

「またしても先史文明記の亡霊が、今に生きる俺達の前に立ち塞がると言うのか?・・・俺達はまた戦わなければならないのか?・・・了子君・・・!」

 

ルナアタック事件を引き起こした黒幕であり、敵ではあったが、それでも仲間であった“フィーネ”嫌“櫻井了子”に弦十郎はやりきれない、と言わんばかりに悔しそうに苦しそうに苦言を漏らしていた。

 

「《待ってくれ、弦十郎》」

 

「レグルス君?」

 

ウェル博士をデジェルに任せ、レグルスは弦十郎に連絡をよこす。

 

「《俺にはアイツ<マリア>が“フィーネ”だと、“スペラリ”だと思えない・・・》」

 

「なんだって?」

 

「「?」」

 

「《ルナアタック事件の時に感じたスペラリの気配が彼女から感じられないんだ》」

 

「だがそれは・・・」

 

「《ああ、あくまで俺の直感みたいなモンだ。でもなんか“違和感”を感じるんだ》」

 

レグルスの野性的直感力からの言葉に弦十郎達も訝しそうにモニターに映るマリアを見ていた。

 

 

ー海上ー

 

突然現れた“フィーネ”と呼ばれたマリアを奏者達と聖闘士達は警戒しながら見ていたが、響は戸惑い混じりに。

 

「嘘、ですよ・・・だってあの時了子さんは・・・」

 

ルナアタック事変の最後でレグルスと戦い敗北し、消滅した了子の事を思い出していた。

 

『「フン、今度こそ貴様らを越えて見せる。“デキる女”を舐めるなよ♪」』

 

そして消滅したフィーネ、櫻井了子の事が頭によぎった。ウェル博士は笑みを浮かべたまま呟く。

 

「輪廻転生<リインカーネーション>」

 

「遺伝子に“フィーネの刻印”を持つ者を魂の器とし、永遠の刹那に転生し続ける輪廻転生システム・・・」

 

「そのシステムによりフィーネは、櫻井了子の肉体を自身の転生の器とし現代に甦りルナアタックを引き起こした」

 

「そんな、じゃあアーティストだったマリアさんは・・・?」

 

クリスとデジェルの言葉に更に響は戸惑う、櫻井了子の意識を食い潰しフィーネが支配したならば、マリアの意識もと考えたからだ。

 

「さて、それは自分も知りたいところですね」

 

「「・・・?」」

 

探るようにマリアを見つめるウェル博士をレグルスとデジェルは訝しそうに見ていた。そしてマリアは。

 

「(“ネフィリム”を死守できたのは行幸・・・だけどこの状況、次の一手を決めあぐねるわね・・・)」

 

この状況を如何に打破するか考えていたマリアに海面から翼とエルシドが飛び出す。

 

「!?」

 

翼は足のパーツを展開し海面を滑空しながら、エルシドは海面を走りながらマリアに向かう!

 

エルシドが海面を走る原理は、小宇宙<コスモ>を足の裏に集中させ、膜のように張り海面に浮いているのだ。この原理は、かつて天馬星座<ペガサス>の聖闘士が“ある島”で修行中に拳の拳圧でマグマを弾き、掌に小宇宙<コスモ>を集中させることで弾いたマグマを球体の形に留めた技法の応用である。

 

「ハアアアアアアア!!」

 

「ッ!」

 

翼がマリアに斬りかかるが刃が当たる寸前マリアを顔を反らしてかわす。マリアが振り向くと翼が刀を大剣に変えて『蒼ノ一閃』を放つ!

 

「甘く見ないでもらおうか!ハアッ!」

 

マリアは黒いガングニールのマントを大きくし自身の周囲に回転させて『蒼ノ一閃』を防ぐ!

 

「甘くなど見ていない!」

 

「フッ、エルシド!」

 

「疾ッ!」

 

してやったりと嗤う翼の背後からエルシドがマリアに斬撃を放つ!

 

流石に黄金聖闘士の攻撃を防げるとは思っていないのか防ぐ事も回避しようともしない。

 

「そちらの方が甘く見ている。そう思うでしょう?アルバフィカ・・・!」

 

しかし余裕の態度を崩さないマリアの目の前に“黒い薔薇”がマリアの周囲を舞う!

 

「ムッ!」

 

「何ッ!?」

 

エルシドの手刀から放たれた斬撃がマリアの周囲に現れた“黒い薔薇の竜巻”に防がれた!

 

「『ローリング・ローズ』。鉄をも噛み砕く漆黒の薔薇『ピラニアン・ローズ』を周囲に旋回させる事で相手の攻撃を防ぎ、相手が攻めてくれば『ピラニアン・ローズ』に噛み砕かれる攻防一体の技よ・・・」

 

「美しくも、恐ろしい技ね・・・」

 

突然響いた声と共に黒薔薇の茎ソッと掴んだマリアの隣の海面に、マスクを目深に被った魚座<ピスケス>のアルバフィカが降り立つ。

 

「アルバフィカ!?」

 

「馬鹿な!どこから現れたんだ!?」

 

光の速さ、光速で移動する同じ黄金聖闘士なら気配を察知する事はできる。だがアルバフィカの気配は“突然現れたのだ”。驚くレグルスとデジェルを余所にアルバフィカは『ピラニアン・ローズ』をエルシドに放つ!

 

「『乱斬』ッ!」

 

一度に複数の小さな斬撃を放ち黒薔薇を切り裂く。マリアは黒薔薇を捨てると突然現れたアルバフィカに一瞬気が逸れた翼にマントで攻撃した!

 

「はっ!」

 

「グァッ!」

 

そのまま翼を二課本部の潜水艦の甲板まで投げ飛ばす。

 

「翼・・・!」

 

「余所見をするなエルシド!」

 

海面を走りながら黒薔薇と斬撃で攻防を繰り広げる。甲板に投げ飛ばされた翼は体制を整え着地する。

 

「ハア!」

 

「フッ」

 

マリアはフッと笑うと持っていたケージを上空へ投げた、するとケージが空中で“姿を消した”。

マリアは槍の上から飛び甲板に着地すると手を上げて海面に浮かんでいた槍を呼び寄せ掴み構える。

 

「甘くなど見ていない、私は全力で戦っている!」

 

飛び上がり翼に槍を振り下ろす。

 

「ハアァ!」

 

「くっ!」

 

刀を構えて槍を防ぎ反撃するも空中でマリアに防がれる。お互いの武器のぶつかりその反動で後方に下がり距離が空く。剣を構えた翼は槍を振り回すマリアに斬りかかる。

 

「はあああッ!」

 

「♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

歌を歌いながらマントで翼を攻撃するも翼は回避しマントは甲板を傷つける。側面から翼は向かうもマントに攻撃を防がれる。

 

「♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

マリアは槍を頭上に構え、マントを竜巻のように回転させ翼に襲いかかる!

 

「ハアアアアアア!!」

 

襲いかかる黒い竜巻を刀で攻撃するが弾かれるもその反動を利用して竜巻の中心部に刀を突き刺そうとするが、中心部から槍を構えたマリアが現れ、槍を突き出し翼を弾き飛ばす!

 

「くっ!」

 

うまく着地した翼に更にマントで攻撃するも翼はでんぐり返しの要領でかわすが、マントは“甲板”を斬りつけていた!

 

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア」

 

「♪~♪~♪~♪~♪」

 

変幻自在のマントの攻撃に攻めあぐねる翼。マントを元の形に戻し槍を構えるマリア。

 

ー二課本部近くの海上ー

 

エルシドとアルバフィカは黒薔薇と斬撃を飛ばしながら海上を走り攻防を続けていた。エルシドが近づき手刀をアルバフィカに振る!

 

「ハア!」

 

「フッ!」

 

斬撃をかわしたアルバフィカは小声でエルシドと会話していた。この会話を“ある人物”に聞かれないように、悟られないように。

 

「(アルバフィカ、何故お前は奴等に協力する?)」

 

「(・・・エルシド、一つ言っておく)」

 

再び距離が空いたエルシドは飛び蹴りをぶつけようとする。

 

「『ジャンピング・ストーン』!」

 

アルバフィカはそれをかわし、『ジャンピング・ストーン』が当たった海面に水柱が上がる。その水柱に紛れて再び小声で会話する。

 

「(この星に“危機”が迫っている・・・)」

 

「(・・・!?・・・)」

 

「(この星の“危機”を防ぐ為に我等は彼女達に協力している・・・)」

 

「(我々<二課>と協力し合おうと考えなかったのか?)」

 

「(・・・エルシドよ、お前もこの“世界の仕組み”を理解している筈だ)」

 

「(・・・・・・)」

 

「(お前達<二課>はともかく、世界がこの“危機”を知っても、黙殺されるか混乱が生まれるだけだ!)」

 

再び『ピラニアン・ローズ』を放つアルバフィカと再び攻防を再開した。

 

 

ー二課本部ー

 

しかし二課本部では、二人の戦闘(主にマリアの攻撃)により甲板が傷つけられ警報がけたたましく鳴っていた。

 

「被害状況出ました!」

 

「船体に損傷、このままでは潜航機能に支障が出ます!」

 

「・・・っ・・・翼!マリアを振り払うんだ!」

 

ー甲板ー

 

「ッ!」

 

弦十郎からの通信を聞いてマリアの目的が二課本部の機能停止であると理解した翼は嵌められたとばかりに苦い顔を浮かべる。そして持っていた刀を太腿パーツに仕舞い、足の刃を展開しカポエラのように回転しながらマリアに向かう!

 

「勝機!」

 

「ふざけるな!」

 

翼の攻撃をマントで弾き飛ばす。着地した翼の足に痛みが走る。

 

「ッ・・・くッ!」

 

「もらった!」

 

槍で襲い来るマリアにすかさず翼は刀を取りだし逆手に持ってマリアと交差するが。

 

「がぁ、あ!」

 

押し負けてしまい吹き飛び倒れる。

 

ー道路ー

 

道路上から翼とマリア、エルシドとアルバフィカの戦いも見ていた響達は倒れた翼に注目する。

 

「アイツ、何を・・・?」

 

「最初に貰ったのが効いてるんだ・・・!」

 

先程ケージをキャッチしようとした時に食らったダメージが翼のパフォーマンスに悪影響を与えていると響は見抜いた。

 

「チッ、だったら白騎士のお出ましだ!」

 

クリスはボーガンを構えてマリアに照準を合わせようとするが・・・。

 

「(では、こちらもそろそろ・・・)」

 

「「っ!?」」

 

ニヤリと笑みを浮かべたウェル博士を見てデジェルとレグルスは周囲を見ると、自分たちに向かって飛んでくる“円盤型ノコギリ”を見た。

 

「クリス!」

 

「響危ない!」

 

「「うわっ!」」

 

響達の手を引いて“ノコギリ”を避ける。縦横無尽に襲いかかるノコギリを交わすクリスに“緑の刃の大鎌”を構えた“切歌”が襲いかかる!

 

「イガリマ!」

 

襲いかかる大鎌を回避するクリスを大鎌を振り回しながら追撃する切歌。狙いはクリスが持つ“ソロモンの杖”。

 

「クリス!」

 

「余所見してんなよ、デジェル!」

 

「っ!カルディア!」

 

「『スカーレット・ニードル』!」

 

「くっ!」

 

クリスの元に行こうとするデジェルの背後からカルディアが襲いかかる!真紅の針の攻撃を回避するが。

 

「ヒャッハア!!」

 

「ぬぅっ!」

 

カルディアは手足を大きく振りながらデジェルを攻撃する、それはまるで鞭のようにしなやかに鋭く。デジェルもかわすので精一杯だった。

 

「デジェル!(ガシッ!)何ッ!?」

 

レグルスの身体が“何か”に挟まれた!

 

「人が留守にしてる間に潜入とは、やってくれるなレグルスよ!」

 

「マニゴルド!?」

 

レグルスの身体がマニゴルドの脚に挟まれていた。

 

「(これはマズイ!)」

 

「せ~の、『蟹爪<アクベンス>』!」

 

マニゴルドの技『蟹爪<アクベンス>』、相手の身体を脚で挟み逃れようとする相手の動きを瞬時に見抜き身体を捻り梃子の原理で相手の身体を千切る荒技なのだが。

 

「ッッッ何のぉ!」

 

「何ッ!?」

 

何とレグルスはマニゴルドの動きの流れに乗って動き、更に身体から無駄な力を抜いてマニゴルドの脚から逃れた。

 

「『ライトニング・プラズマ』!」

 

「チッ!上手く逃れやがッたか・・・!(俺の動きに一瞬で合わせ脱力で身体から無駄な力を抜いて脱出。流石は“天才”、やっぱ油断できねぇわ・・・!)」

 

「(危なかった。同じ手は通用しないだろうな、以外に抜け目無い性格だからなマニゴルドは・・・!)」

 

光速の拳から逃れながらレグルスの“才能”を称賛するマニゴルドとマニゴルドの“性格”に警戒するレグルス。

 

「レグルス君、うわッ!?」

 

円盤ノコギリの攻撃をかわしていた響に“調”が道路をローラースケートで滑るように迫ってきた。調はツインテールの装備を展開させて次々とノコギリを響に飛ばす!

 

「ハッ!テヤ!フッ!」

 

カンフーの動きでノコギリを破壊する響に調は脚から巨大な刃を伸ばし輪刀を作る!

 

『非常Σ式 禁月輪』

 

巨大輪刀を転がし道路を切りながら響に向かう!

 

「ウオオ・・ッ!?・・」

 

間一髪で回避する響は調に向き直る。クリスの方も切歌に苦戦していた、切歌は大鎌をバトンのように振り回し、大鎌の柄で遠心力を付けた大降りの一撃をクリスの腹部に叩き込む。

 

「グハッ!・・・あっ・・・」

 

腹部を抑えるクリスは顎に柄で突き上げを喰らい仰け反りながら吹き飛ぶ。その際に“ソロモンの杖”を手放してしまった。

 

「クリスッ!」

 

「おい、デジェル!余所見は・・・」

 

「邪魔だッ!!」(ビカッ)

 

「うおっ!?」

 

デジェルは邪魔しようとするカルディアを『ダイヤモンド・ダスト』で吹き飛ばし、突き飛ばされたクリスをキャッチする。

 

「クリス!」

 

「ッ!・・・」

 

「(まだ先程(適合係数低下)のダメージが残っているか・・・!)」

 

「クリスちゃん!」

 

「デジェル!」

 

響とレグルスは二人の元に向かう。

 

「大丈夫、クリスちゃん!」

 

「ッ!デジェル!“ソロモンの杖”は!?」

 

「ハッ、しまった!」

 

デジェルとレグルスの視線の先に“ソロモンの杖”を回収した調と黄金聖衣の所々に張った氷を剥がしているカルディアが、ウェル博士の側に歩いていた。

 

「時間ピッタリの帰還です。おかげで助かりました。むしろ、此方が少し遊び足りない気分です・・・」

 

それはまるで暴れ足りないケダモノのような声色だった。

 

「助けたのは貴方の為じゃない」

 

「テメェは“ソロモンの杖”のオマケなんだよ」

 

「イヤー、お二人とも手厳しい!」

 

冷たい声色の調とカルディアにひょうきんな態度を取る。

クリスは響に支えられながら悔しそうに呟く。

 

「クソッタレ、適合係数の低下で身体がマトモに動けやしねぇ・・・!」

 

「でも、一体どこから・・・?」

 

突然現れた敵奏者と敵聖闘士の登場に不振を抱き、辺りを見回す響、マニゴルドと切歌に警戒するレグルスとデジェル。

 

ー二課本部ー

 

弦十郎達の方も突然現れたマニゴルド達に驚いていた。

 

「伏兵が潜んでいるのか?交戦地点周辺の策摘を徹底するんだ!」

 

「やってます!ですが・・・」

 

「奏者出現の瞬間まで、アウフヴァッヘン波形、その他すべてのシグナルがジャミングされている模様!」

 

「クッ・・・アウフヴァッヘン波形の無い聖闘士はともかく、奏者達の策摘をジャミングするとは、俺達の持ち得ない異端技術・・・!」

 

弦十郎は苦々しく呟いた。

 

ー甲板ー

 

響達が調達の襲撃に合っている間、にらみ合いを続けていた翼とマリア。

 

「・・・・・・」

 

負傷した脚を抑える翼にマリアは攻めあぐねていた。実は翼と交差した時、翼の刃の柄がマリアの腹部を僅かに傷付けていたのだ。

 

「(此方の動きに合わせるなんて・・・この剣、可愛く無い!)」

 

負傷した箇所をマントで隠す。翼は掌を握り、自分の状態を確認する。

 

「(少しずつだが、ギアの出力が戻っている。行けるか・・・!)」

 

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア(ギアが重い・・・!)」

 

ギアの出力が“戻りつつある”翼とギアの出力が“落ちている”マリア。再び戦いが始まれば、勝敗は火を見るよりも明らか。

するとマリアの通信機からナスターシャ教授の声が響いた。

 

「《適合係数が低下しています。“ネフィリム”はもう回収済みです!戻りなさい!》」

 

「っ!“時限式”ではここまでなの!?」

 

「!?」

 

マリアの言った“時限式”と言う言葉に翼は今は亡き“片翼”であり“親友”の最後が浮かんだ。

 

「まさか・・・奏と同じ“LiNKER”を・・・?」

 

“天羽 奏”、響の前のガングニール奏者であり、翼の親友。彼女は翼のように始めから適合が高かった訳ではなく、“LiNKER”と呼ばれる制御薬で服用する事で己の適合係数を高めていたのだ。マリア達は奏と同じ“LiNKER”を用いているのではと考える翼に突風が襲う。

 

「ッ!・・・」

 

するとマリアは上空に飛びいつの間にか現れたワイヤーを掴んでいた。

 

「アルバフィカ!退却よ!」

 

海上でエルシドと戦っているアルバフィカに呼び掛ける。

 

「(コクン)『ローリング・ローズ』!」

 

「クッ・・・!」

 

エルシドの周囲に黒薔薇の竜巻を起こし動きを封じ、アルバフィカはマリアが掴んでいたワイヤーの先からに向かって飛び上がる。すると突然ワイヤーの先の風景から“飛行艇”が浮き上がるように現れた!

 

ー道路ー

 

響達は目の前に並ぶマニゴルド達に呼び掛ける。

 

「あなた達は一体何を!」

 

「・・・正義では守れない物を守るために・・・!」

 

「え?」

 

「どういう事だ?」

 

「覚えておきな、レグルスにガングニールのお嬢ちゃん。“正義”や“キレイなやり方”だけで物事が全て上手く行くほど、この“世界”は単純じゃねぇんだよ」

 

マニゴルドの言葉と共に響達にも突風が襲う。切歌達の上空に飛行艇が現れた!

 

「「ッ!?」」

 

「なんだありゃぁ!?」

 

「“飛行艇”だと!?」

 

驚くレグルス達を余所に“飛行艇”からワイヤーが2つ垂れ流され、調とウェル博士を抱えた切歌が飛びワイヤーを掴む。マニゴルドとカルディアはひとッ飛びで“飛行艇”に飛び乗る。全員を乗せた“飛行艇”は何処かに去っていこうとする。

 

「クッ・・・!」

 

響から離れたクリスはボーガンを対戦車ライフルのような形に変形させ、ヘッドギアもスコープのように変形する。

 

『RED HOT BLAZE』

 

「“ソロモンの杖”を返しやがれ・・・!」

 

“飛行艇”に狙いを定め撃とうとするが、“飛行艇”が赤く光るとその姿が風景に溶け込むように消えた!

 

クリスのイチイバルのセンサーからもその姿をロストした。

 

「ッ!何だと・・・!?」

 

「クリスちゃん!」

 

「消えただと・・・レグルス!」

 

「・・・駄目だ、マニゴルド達の気配が感じない・・・!」

 

気配を追おうとしたレグルスだがまるで溶けるようにマニゴルド達の気配も消えた。

 

ー二課本部ー

 

「反応・・・消失・・・」

 

藤尭からの報告とモニターの映像を確認し声を振るわせながら弦十郎は苦々しく呟く。

 

「“頂上のステルス性能”・・・これもまた、異端技術によるものか・・・!」

 

 

 

 

ー“飛行艇”操縦席ー

 

ナスターシャ教授は“飛行艇”を操縦しながら操縦席に置いてある“赤い水晶”とモニターに映っている『神獣鏡』と記された縄文時代クラスの鏡の残骸が映っていた。

 

「(“神獣鏡”の機能解析の過程で手に入れた“ステルステクノロジー”。私達のアドバンテージは大きくとも、同時に儚く脆い)ゴホッ!ゲホッ!ゴホッ!」

 

突然咳き込むナスターシャ教授、口を押さえていた掌には“血”が付着していた。

 

「・・・急がねば・・・儚く脆いモノは他にもあるのだから・・・!」

 

そして“飛行艇”のある一室では。

 

「(ドカッ!)グゥッ!」

 

壁に叩きつけられたウェル博士の胸ぐらを切歌が掴み掛かる。

 

「下手打ちやがって!連中にアジトを抑えられたら、計画実行までドコに身を潜めれば良いんデスか!?」

 

「お止めなさい。こんな事をしたってなにも変わらないのだから」

 

「胸糞悪いデス!」

 

掴んでいた手を離して立ち上がる切歌の頭にマニゴルドが腕を乗っけながら寄りかかる。

 

「まぁまぁ、んなに吠えるなよ切歌。つかお前口悪いぞ、誰の教育の賜物なのやら?」

 

「オメェだろうがマニゴルド」

 

『(イヤ、貴方達二人の悪影響・・・)』

 

ウェル博士とマニゴルドとカルディア以外全員が心の中でツッコム。

そんな空気を更に悪くするようにウェル博士はいけしゃあしゃあと口を開く。

 

「驚きましたよ。謝罪の機会すらくれないのですから・・・」

 

「ッ!!」

 

「止めろっての」

 

再びウェル博士に掴み掛かろうとする切歌の後ろ襟首を掴み、まるで犬猫の首根っこを掴んで持ち上げるように切歌を持ち上げるマニゴルド。すると部屋の通信モニターにナスターシャ教授が映った。

 

「《虎の子を守りきれたのはもッ毛の幸い、とは言えアジトを抑えられた今、“ネフィリム”に与える“餌”が無いのが我々にとって大きな痛手です》」

 

「今は大人しくしててもいつまたお腹を空かせて暴れだすか分からない・・・」

 

調達はアルバフィカに見張られている、“ネフィリム”と呼ばれた“異形”の入ったケージを見る。

 

「持ち出した“餌”こそ失えど、全ての策を失った訳ではありません」

 

立ち上がり乱れた服を整えるウェル博士は切歌達の胸元の“赤い水晶”に不審な視線を送りニヤリと笑みを浮かべる。

 

「(この狐野郎・・・!)」

 

「(俺らが出払ってる間にレグルス達が来たタイミングがあまりにも良すぎる・・・)」

 

「(“何者”かが、手引きしたかもな・・・)」

 

マニゴルド達黄金聖闘士達も不審そうにウェル博士を見ていた。

 

「(フフフ、今はこれで良いでしょう。“これ”を出す日も近い・・・!)」

 

ウェル博士は懐に隠してある“黒い珠”をチラ見し内心ほくそ笑んでいた。

 

 

ー二課本部甲板ー

 

戦闘が終わり甲板に集まった奏者達は打ちひしがれていた。その中、聖闘士組は冷静に状況整理をしていた。

 

「“謎の異端技術と適合係数の低下”、“ソロモンの杖”の奪取に失敗、敵側の協力者ウェル博士、そして“フィーネの再誕”か・・・」

 

「一晩の間に多くの事実が発覚していったな」

 

「さてと、これからどうしたものかな?」

 

「ねぇレグルス君・・・」

 

「どしたの響?」

 

「レグルス君は自分達のやってる事が“綺麗事だ”って言われたらどうするの・・・?」

 

以前調に言われた事をレグルスに聞く響。レグルスは少し考えて。

 

「・・・俺達聖闘士のやってる事だって、他人から見れば“綺麗事”と言われるだろうね」

 

「「「?!」」」

 

「“地上の愛と平和と正義の為に”!なんて、見方によってはさ、綺麗事や胡散臭い戯言にだって聴こえるだろうな。でも・・・でもさ、これが“俺が決めた生き方”であり“信念”だ!例え否定されようが俺はこの“信念”を貫き守り通す!」

 

「己の心から決めた“正義”ならば迷う事なかれ、ただ貫くのみ!」

 

「それでも理解して貰えないなら理解して貰うまでぶつかっていく。それが、それこそが揺らがぬ“心の想い”を持つことが大切だ」

 

その姿を、揺らがぬ“信念”を持った気高い姿勢を奏者達は眩しそうに見つめていた。

 

「(言ってる事、良く分からないけど・・・あぁ、本当に強いな、レグルス君達は・・・)」

 

“綺麗事”と言われただけで己の“信念”を挫けそうになる自分とは“覚悟”が違う。

決して“揺るがない信念”と“折れない想い”。それこそが聖闘士達の強さなのだと奏者達は確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまで、まだまだ聖闘士達にオリジナル設定を付けるかもしれません。
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