聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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手放したその手・・・

ー二課・指令室ー

 

現在二課本部では、FISの情報から月の落下についての調査が行われていた。聖闘士組からはレグルスとエルシドが指令室に、デジェルは予備校の方にいた。ソッとレグルスとエルシドがコッソリ会話する。

 

「デジェルもこんな時位は予備校を休めば良いのに・・・」

 

「そう言うな、ライブ襲撃からずっと休んでいたのだからな、模試の日位は予備校に行かせなければヤツの目標が遠ざかる」

 

医者志望のデジェルは、医療の道を進む為に医大を目指して勉学に励んでいる。今日は志望校への模試が予備校で行われるので、デジェルは予備校に行っている。

 

そして弦十郎は、友里と藤尭からの報告を聴いていた。

 

「出鱈目、だと・・・?」

 

「はい、NASAが発表している月の公転軌道には、僅かながら差異があることが分かりました」

 

「誤差は非常に小さなモノですが、間違いありません。そして、この数値のズレがもたらすものは・・・」

 

言い淀む藤尭に代わって、エルシドがメインモニターに映し出された公転軌道を見ながら口を開く。

 

「“ルナアタック”の破損による月の好転軌道のズレは、今後数百年の間は問題無いと言う、米国政府の公式見解を鵜呑みには出来ないと言うことか・・・」

 

「そう言う事だな・・・」

 

エルシドの言葉を弦十郎が肯定する。

 

「米国政府は何でこんな一大事を秘匿にしていたんだろう?」

 

「米国とフィーネ<櫻井了子>は表面的だか協力関係にあった。米国が我々と協力していればフィーネが事を起こす前に対処は幾らでもできていた筈だ。しかし結果としてフィーネが月の一部を破壊し、月の落下の発端を作ってしまった。間接的とは言え、月の落下の責は米国側にもある。それを隠していたかったのでは・・・?」

 

「その可能性も大いにあるが・・・」

 

レグルス、エルシド、弦十郎の三人は、以前ドクターウェルの言った言葉が脳裏に浮かんだ。

 

『月の落下にて損なわれる“無辜の命”を可能な限り救い出す事だ!』

 

「嫌・・・遠くない未来に落ちてくるからこそ、米国に代わって、FISは動いていた訳だな・・・!」

 

「(アルバフィカ達やマリア・カデンツァヴナ・イヴ達は兎も角、ウェル博士の言った『“無辜の命”を救い出す』と言う言葉、鵜呑みに出来るのか?)」

 

「(なんか引っかかるな、あの人。お芝居でもしてるかのような態度と、まるで暗闇に潜んで獲物を喰らおうと待ち構えている毒蛇みたいなあの“目”・・・!)」

 

難しい顔を浮かべる弦十郎とは別に、エルシドは直感的に、レグルスは野生の勘でドクターウェルを胡散臭げに考えていた。

 

 

ーFISsideー

 

その頃、ナスターシャ教授とマリア・カデンツァヴナ・イヴは、東京スカイタワーに赴き、エレベーターで58階に付き、隣のエレベーターからアルバフィカが降りてきて、三人は通路を歩く(アルバフィカはマリアとナスターシャ教授から3歩離れて歩く)。

 

『貴女にこれ以上、新生フィーネを演じてもらう必要はありません・・・』

 

ナスターシャ教授に言われた言葉を考えているマリアは思いきって、自分が押している車椅子に座るナスターシャ教授に話しかける。

 

「マム、あれはどういう・・・」

 

「言葉通りです。私達のしてきた事は、テロリストの真似事に過ぎません。真になすべき事は、月がもたらす災厄の被害を如何に抑えるか。違いますか・・・?」

 

「つまり、今の私達では世界を救えないと・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

通路を歩く三人の目の前に展望会議室への扉があり、扉が開くとそこには。

 

「「っ!?」」

 

サングラスにスーツを着た、堅気ではない佇まいの男達がいた。

 

「マム、これは・・・?」

 

「米国政府のエージェントか・・・!」

 

アルバフィカは、黒薔薇を片手に構えて、ナスターシャ教授とマリアの前に立つ。

 

「アルバフィカ、良いのです。この者達は講和を持ちかける為に私が召集しました」

 

「講和を結ぶつもりなの・・・?」

 

ナスターシャ教授は車椅子を操作して会議室の上座に移動する。

 

「ドクターウェルには通達済みです。さあ、これからの大切な話をしましょう」

 

「・・・・・・」

 

「(バカな、米国政府がそんな穏便なやり方を選ぶとは思えない)」

 

アルバフィカは米国に対して不審な目を向けていた。

 

 

 

 

ー響sideー

 

その頃、響も未来と一緒に東京スカイタワーの水族館に来ており、目の前を泳ぐ魚達呆然と見ながら翼に言われた言葉を思い出していた。

 

「・・・・・・」

 

『このままでは死ぬんだぞ! 立花っ!!』

 

水槽を泳ぐマンボウが響に近くが、響は顔を俯かせる。

 

「(死ぬ・・・戦えば死ぬ・・・考えてみれば当たり前の事・・・でも、いつか麻痺してしまって、それはとても遠い事だと錯覚していた・・・けど、戦えない私って、誰からも必要とされない私なのかな・・・?)」

 

戦えず誰かの役に立てない自分は必要ない存在、そんな自分への存在意義の疑問、それが響の心を支配していた。

 

ピトッ

 

ふと自分の頬に未来がヒンヤリとしたジュース缶を押し当てる。

 

「ウエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

突然頬のヒンヤリとした感覚に仰天する響に驚いてマンボウは去り、他の客も何事かと響の方を見ると未来が買ってきたジュース缶を響に渡す。

 

「大きな声を出さないで」

 

「だだだだだだだって! こんな事されたら誰だって声が出ちゃうって・・・!」

 

「響が悪いんだからね!」

 

「私・・・?」

 

「だって、折角二人で遊びに来てるのにずっと詰まらなそうにしているから・・・」

 

「あ~~ゴメン・・・」

 

バツが悪そうな顔をした響は直ぐに顔を引き締め。

 

「心配しないで! 今日は久しぶりのデートだもの♪ 楽しくない筈がないよ♪」

 

「響・・・」

 

未来の脳裏に弦十郎の言葉が浮かんだ。

 

『君の傍で“穏やか時間”を過ごすことだけが、ガングニールの侵食を抑制出来ると考えている』

 

「デートの続きだよ。折角のスカイタワー♪丸ごと楽しまなきゃ♪」

 

響は未来の手を引き他のエリアに向かった。

 

「(響・・・アスミタさん。私は、どうすれば響を助けられますか・・・?)」

 

未来はある意味レグルスより頼りにしている“乙女座の闘士”に心の中で呼び掛けていた。

 

 

 

 

ー東京スカイタワー近くのビル屋上ー

 

「(・・・・・・事態はどうやら、私が想っている以上に動いているようだな・・・)」

 

件の“闘士”は、ビル屋上にてこれからの事態を傍観していた。

 

 

 

ー調sideー

 

月詠調はエプロンを着て味見をしていた。

 

「・・・うん、思った通りの味が出た・・・!」

 

そこには出来上がったインスタントラーメンが四つ置かれていた。マニゴルドが調に呼び掛ける。

 

「おい調、オカズの焼売と餃子(冷凍食品)がもうすぐできッから、切歌とカルディア呼んで来い」

 

「了解・・・」

 

 

ー飛行艇近くー

 

「Z~Z~Z~Z~Z~Z~Z~Z~Z~・・・・・・」

 

飛行艇の近くの森にいる切歌とカルディアは木漏れ日に当たり、カルディアはのんびり昼寝して、切歌は座りながら物思いに耽っていた。

 

「(リィンカーネーション<輪廻転生>、もしもアタシにフィーネの魂が宿っているのなら、私の魂は消えてしまうのデスか・・・・?)」

 

自分に起こった現象が、自分がフィーネの転生者になったのではと切歌は考察すると、ある事に気付く。

 

「(っ! ちょっと待つデス。アタシがフィーネの魂の器だとすると、マリアがフィーネと言うのは・・・)」

 

「切ちゃん、カルディア、ご飯の支度ができたよ」

 

調がやって来て物思いから現実に戻る。

 

「あっ・・・ありがとうデス! 何を作ってくれたデスか?」

 

「298円と焼売&餃子・・・!」

 

「ごちそうデェス! ほらカルディア! 起きるデスよ! 298円が伸びちゃうデェス!」

 

「んあ?・・・何だもう飯か?」

 

ふあぁ~と欠伸を漏らすカルディアを尻目に調は辺りを見渡すと。

 

「ドクターは何かの任務? 見当たらないけれど」

 

「知らないデス、気にもならないデス、アイツの顔を見ない内にさっさとご飯にしちゃうデスよ♪」

 

「(あのヤロウ、また碌でもねぇ事しちゃいねぇだろうな・・・)」

 

「ほらほらカルディア! ご飯♪ ご飯デェス♪」

 

「早くしないとマニゴルドに全部食べられちゃうよ」

 

「わーった、わーった・・・」

 

起き上がったカルディアは調や切歌と一緒に飛行艇に戻っていった。

 

 

ーナスターシャ教授sideー

 

ナスターシャ教授からデータチップ渡されたマリアはエージェントに手渡した。

 

「異端技術に関する情報、確かに受け取りました」

 

「取り扱いに関しては、私が享受いたします。つきましては・・・」

 

「っ!」

 

ナスターシャ教授が続きを話す前にエージェント達が銃を構えた。

 

「マム!」

 

「やはりこう来るか!米国!!」

 

「貴女<マリア>の歌よりも、銃弾は早く、躊躇無く命を奪う」

 

ニヤリ笑顔のエージェントにマリアは歯軋りする。

 

「初めから、取り引きに応じる気は無かったのですか・・・?」

 

「必要なモノは手に入った、後は不必要なモノを片付けるだけ・・・」

 

「不必要とは、貴様らのような人間だ・・・!」

 

「っ!?」

 

『ッ!!??』

 

先程までマリア達の傍にいたアルバフィカがエージェントの達の直ぐ隣に現れた。

 

「(ホッ・・・)」

 

「生憎でしたね、此方には銃弾よりも迅速に動ける人間がいるのですよ」

 

ドカッ!バキッ!ガスッ!ドスッ!ベキッ!

 

一瞬でエージェント達を叩きのめしたアルバフィカは手の汚れを払う。

 

「バ、バカな・・・銃弾よりも早く動く人間がいるなんて・・・!?」

 

ヨロヨロと立ち上がろうとするエージェントが窓の方を見ると、エイのような、鳥のようなノイズが空中にいた。

 

「っ!」

 

「(ウェルか・・・!)」

 

「ノイズ!」

 

エージェント達が困惑しているとノイズはガラスをすり抜けてエージェント達に襲いかかる。

 

「あ、うわああああああ・・・・・・」

 

悲鳴を僅かに上げて炭素消滅するエージェント達。

 

 

 

ードクターウェルsideー

 

ドクターウェルはスカイタワー近くのビルで優雅にコーヒーを啜っていた。

 

「誰も彼もまぁ、好き勝手な事ばかり・・・」

 

不貞腐れた態度で更にコーヒーを飲みながら、スカイタワーを眺めていた。

 

 

ーナスターシャ教授sideー

 

「うわあああああああっ!!」

 

悲鳴を上げながら炭素消滅するエージェントを尻目にマリアは歌う、アルバフィカは鎧を呼ぶ。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「魚座<ピスケス>ッ!!」

 

マリアのその身を纏うは『撃槍 ガングニール』、アルバフィカが身に纏うは、『一匹の黄金の魚のオブジェ』がパーツに分割され、アルバフィカの身体を包む。

 

「タッ!」

 

「ッ!!」

 

マリアは歌を歌いながら槍を振るい、アルバフィカは黒薔薇で次々と壁や床や天井をすり抜けながら建物に入るノイズ達を殲滅する。

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!

 

会議室から爆発が起きる。

 

 

 

ー響sideー

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!

 

その爆発音は、響と未来のいる階にも響いた。

 

「何・・・?」

 

首を傾げる未来と顔を険しくした響が窓の外を見るとノイズを確認した。

 

「おいノイズじゃないか!? 逃げろ!!」

 

他の客達が逃げる中、響は爆発音がした方へ向かおうとするのを未来が引き止める。

 

「行っちゃダメ! 行かないで!」

 

「未来、だけど行かなきゃ!」

 

「この手は離さない! 響を戦わせたくない! 遠くに行って欲しくない!!」

 

未来の顔を見て響は躊躇うがーーーーー

 

「お母さん何処・・・!? お母さん・・・!」

 

近くで泣いている男の子が目に入る。

 

「胸のガングニールを使わなければ大丈夫なんだ! このままじゃ・・・!」

 

「響・・・・・・」

 

響は未来と共に迷子の男の子の元へ走った。

 

 

 

ーマリアsideー

 

マリアはノイズかエージェントの残骸を苛立たしげに踏みにじる。

 

「ッ!!」

 

「マリア、ここを離れるぞ」

 

「・・・分かっている!」

 

マリアはナスターシャ教授を担いで会議室を出ると、またもやノイズ達が現れ襲いかかる。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「(ウェルめ、こんな所でノイズをけしかけるとは、ここにいるナスターシャ教授やマリアの事等どうでも良いと言うのか・・・!)」

 

ノイズを蹴散らしながら進むマリア達、ノイズ達が別の場所で暴れているのか、爆発が相継ぐ。

 

 

 

ーウェルsideー

 

「ウフフ、ウヒヒヒ、ヒ、ヒ、ヒヒヒヒヒ・・・!」

 

歪んだ笑みを浮かべたドクターウェルは窓に張り付きながらスカイタワーの爆発を楽しそうに眺めていた。

 

 

 

ーマリアsideー

 

マリア達の行く先に、米国の軍人達がザブマシンガンをマリア達に向けて発砲する。マリアがマントで防御し、アルバフィカが黒薔薇を投げてザブマシンガンを破壊し、軍人達を薙ぎ払う。

 

「マリア、アルバフィカ、待ち伏せを避けるため上の階からの脱出を試みましょう・・・!」

 

ナスターシャ教授の指示に従い、非常階段から上の階へ向かう。

 

 

 

ー響・未来sideー

 

響と未来は泣きじゃくる男の子の手を引いて避難しようとする。

 

「ヒック、ヒック・・・」

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃカッコ悪いよ」

 

「皆と一緒に避難すれば、お母さんにもきっと会えるから大丈夫だよ」

 

非常階段から係員が現れた。

 

「大丈夫ですか? 早くこっちに。貴女達も急いで」

 

係員が男の子を抱き上げて避難したのを確認した響と未来は笑い合って避難しようとする。だがーーーーーーーーーー

 

ドカアアアアアアアアアン!!

 

突然ノイズが上の階に突撃して爆発が起き天井が崩れ、響の上に落ちてきた。

 

「うわあっ!」

 

「危ない!」

 

崩れた天井が非常階段の扉を塞ぐ。

 

 

 

ーマリアsideー

 

マリア達は追っ手の攻撃を防いでいたが、追っ手の流れ弾が避難しようとする人達に当たる。

 

「ッッ!! 」

 

目の前で無関係な人達が自分たちの撃った攻撃で傷付き倒れているのに、そんな事お構い無し、攻撃する軍人達をマリアとアルバフィカは睨む。

 

「(無関係な者達でもお構い無しか・・・!)」

 

アルバフィカが黒薔薇を投げて武器を破壊し、マリアがマントで軍人達を薙ぎ払う。マリアは巻き込まれた人達を悲しく見つめる。

 

「・・・・・・・・・」

 

「マリア・・・・・・」

 

ナスターシャ教授が心配そうに見つめるが、米国軍人四人がマリア達に向かって来た。

 

「マリア、次が来たぞ・・・マリア?」

 

「私のせいだ・・・! 全てはフィーネを背負いきれなかった、私のせいだああああああああああ!!!」

 

慟哭するマリアはマントで軍人の一人を倒し、更にもう一人の顔面に飛び蹴りをし。

 

「うわあああああっっっ!!!」

 

残りの二人を槍で薙ぎ払った。

 

「う、うう、う・・・・・・」

 

血で僅かに汚れた槍を持ちながら、マリアは泣きそうに嗚咽を漏らす。

 

「これが、私がマリアに背負わせた代償なのでしょうか・・・?」

 

「・・・・・・」

 

悲しそうに呟くナスターシャ教授とマリアをアルバフィカは静かに見つめた。

 

 

ー響sideー

 

響は咄嗟に未来に押し倒されて瓦礫に潰されずに済んだ。

 

「ありがとう未来・・・」

 

「うん・・・あのね、響・・・うわぁあっ!」

 

何か言おうとする未来だが、突然建物がガクンと揺れ、床がせり上がり建物なスカイタワーの一部が崩れた。

 

「うわあああああああああああああああっっっ!!!」

 

響は崩れた建物から落ちそうになる。

 

「響ーーーーーーーーーー!!」

 

落ちそうになった響の手を未来が掴んだ。そのまま宙ぶらりんとなる響の足元には、スカイタワーの足元が見えていた。

 

 

 

ーマリアsideー

 

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア・・・」

 

更に来た軍人達を蹴散らし、返り血で汚れた通路に三人の避難者達がいた。

 

「いやあぁっ!! 助けて! 助けて!!」

 

「狼狽えるな!!」

 

「うわぁあっ!」

 

一喝するマリアに怯えきった目で見つめる避難者達にアルバフィカが怒鳴る。

 

「脅えている暇があるならば、直ぐに逃げろ! 目障りだ!!」

 

「うわああああああああっ!」

 

逃げる避難者達。マリアは以前、ライブで言った『狼狽えるな!!』と脅えるオーディエンス達を一喝した絶対者の姿勢を思い出す。

 

「(あの言葉は、他の誰でもない、私に向けて叫んだ言葉だ!)」

 

「マリア・・・」

 

マリアはナスターシャ教授を片手に抱える。

 

「もう迷わない! 一機に駆け抜ける!!」

 

槍を掲げると槍が螺旋状に回転し、マリアのナスターシャ教授をマントが包み、まるでドリルのように回転しながら上へと飛び、アルバフィカもその後を追う。

 

 

 

ー響・未来sideー

 

「未来! ここは長く持たない、手を離して!」

 

「ダメ! 私が響を守らなきゃ!」

 

「未来・・・・・・」

 

響は必死の未来に微笑んで。

 

「いつか・・・ホントに私が困った時、未来に助けてもらうから、今日はもう少しだけ、私に頑張らせて・・・」

 

「うう、うっ・・・」

 

未来の瞼に涙が溢れる、響は未来の手を握る力を弱める。

 

「私だって・・・守りたいのに・・・!」

 

 

 

 

 

 

響と未来の手が、静かに離れた・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

「響イイイイイイイイイイイイイイィィィィッッ!!」

 

 

 

 

 

未来の叫びが響いた.ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして響は歌う、『戦いの歌』をーーーーーーーーーー

 

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

 

空中で体制を整える響の身体をオレンジの光が包み、その身に『撃槍ガングニール』を纏う。

響が着地すると、地面が着地の衝撃で陥没すし、足のパーツから落下衝撃の煙が吹き出す。響は未来のいる区画を見上げる。

 

「未来、今行く!!」

 

しかし、未来のいる区画で爆発が起きた。

 

「えっ!?・・・・・・」

 

更なる爆発が未来のいた区画で発生した。

 

 

 

 

 

 

 

「未来ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

「やれやれ、少しはマシに成っているかと思っていたが、相も変わらず情けない・・・!」

 

その男は“黄金の鎧”を纏い、“気絶した未来”を抱き抱えて爆発の煙に紛れながら響を一瞥する。

 

「さて、私と戦うか? アルバフィカよ・・・!」

 

その男の後ろにナスターシャ教授を抱えたマリアと黒薔薇を構えたアルバフィカが立っていた。

 

「っ!!「マリアよせ・・・」アルバフィカ・・・」

 

マリアが槍を構えるがアルバフィカが手を上げて止める。

 

「戦うかどうかは、お前次第だ。アスミタ・・・!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

その男、“地上で最も神に近い黄金聖闘士”、その名を『乙女座<ヴァルゴ>のアスミタ』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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