小日向未来・・・・立花響の親友にして風鳴翼、雪音クリスにとっても良き友人。戦闘向きではない優しく穏やかな少女。最強の戦士である黄金聖闘士達もその穏やかさに一目置いていた。
獅子座のレグルス曰くーーーーーーー
「未来と一緒にいるとさ、凄く暖かいんだ、まるで木漏れ日でのんびりするかのような、ね・・・」
山羊座のエルシド曰くーーーーーーー
「戦いとは無縁の穏やかさや優しさに溢れた少女だ・・・」
水瓶座のデジェル曰くーーーーーーー
「象徴的女性像と言うべきかな、彼女がいるからこそ響君は戦える・・・・」
そして、乙女座のアスミタ曰くーーーーーーー
「芯の強い少女だ、友の為に我が身を顧みない高潔な精神を持っている、ガングニールの親友である事が勿体無いくらいだ・・・・」
だがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その少女は戦場に舞い降りた、聖遺物『神獣鏡』をその身に纏ってーーーーーーー
* * *
FIS飛行艇から戦場を見ていたマリアとウェル。マリアの隣の席にナスターシャ教授がブリッジの操縦席に現れた。
「『神獣鏡』をギアとして、人の身に纏わせたのですね・・・・!」
「マム! まだ寝てなきゃ・・・!」
「アレ<神獣鏡>は、封印解除に不可欠なれど、人の心を惑わす力・・・!」
ナスターシャ教授がほくそ笑むウェルを睨む。
「貴方の差し金ですね、ドクター・・・!」
「フン♪ 使い時に使ったまでですよ♪」
ー数日前ー
ウェルは檻に入った未来に張り付けた笑みで話しかける。
「そんなに警戒しないでください、少しお話でもしませんか? きっと貴女の力になってあげられますよ」
「私の・・・力・・・?」
「そう、貴女の求めるモノを手に入れる、力です・・・!」
ウェルは未来に“聖遺物の結晶”を見せた。
ー現在ー
「マリアが連れてきたあの娘は、融合症例第一号<立花響>の級友らしいじゃないですか、それにあの獅子座や黄金聖闘士達とも懇意な間柄だと聞きました」
「リディアンに通う生徒はシンフォギアへの適合が見込まれた奏者候補達、つまり貴方のLiNKERによって、あの子は何も分からぬまま無理矢理に!」
「ん、ん、んん♪ ちょっと違うかなぁ♪ LiNKER使ってホイホイシンフォギアに適合できれば、誰も苦労はしませんよ。奏者量産しほうだいです」
「なら、どうやってあの子を・・・・!」
ナスターシャ教授の問いにウェルは狂笑を浮かべ。
「“愛”ですよ!」
「何故そこで“愛”っ!?」
「LiNKERがこれ以上級友を戦わせたくないと願う想いを、“神獣鏡”に繋げてくれたのですよ! ヤバい位に麗しいじゃありませんか!!!(どうだバケモノ共! これが僕に屈辱と恥辱を与えた貴様らへの罰だ!!!!)」
ウェルは忘れない、自身に屈辱と恥辱を与えたレグルスと響に対する逆怨みを・・・・。
ー未来sideー
未来はギアを展開すると、右手から一本の剣を取り出すと、その剣は大剣のような形へと変形した。未来の後頭部にある装置が起動する。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!」
「小日向が・・・・!」
「何で・・・そんな格好してんだよ!」
雄叫びを上げる未来に戸惑うクリス達、マニゴルドとマニゴルドに支えられた調が口を開く。
「あのガキは、LiNKERで無理矢理に奏者にさせられた消耗品だ・・・!」
「私達以上に、急拵えな分、壊れやすい・・・!」
「ふざけやがって・・・!!」
「ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスか? 小日向をああしたのは・・・・?」
「察しが良いな、エルシドよ。あんなガキにLiNKER使って消耗品にしようだなんて、あのゲス以外いねぇよ!」
「(この口ぶり、どうやらマニゴルドはウェルの事を快く思っていないらしいな・・・・)」
翼は本部に連絡を入れる。
「行方不明となっていた小日向未来の無事を確認。ですが・・・・!」
ー響sideー
《無事だと!? アレを見て無事だというのか!? だったらアタシらは、あのバカになんて説明するんだよ!!》
勿論、本部のモニターで響達も未来の現状を確認していた。
「響ちゃん・・・・」
「FIS・・・なんて事を・・・・!」
友里と藤尭はFISの非道に怒りを込み上げていた。
「オイ、響・・・・」
「・・・・・・・」
レグルスの声にも反応せず、響は変わり果てた親友の姿を見つめた。
ー未来sideー
「・・・・・・・」
まるで人形のように無表情の未来の顔に目元を隠すようにギアが展開されると、未来は滑空するように翼達に向かっていった。
「「っ!!」」
「こう言うのはアタシの仕事だ!!」
マニゴルドと調をデジェルとエルシドに任せてクリスは両手にクロスボウのアームドギアを展開する。
「待てクリス!」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!」
デジェルの制止を振り切り、クリスは未来に向かう。未来は剣の先端からエネルギー波をクリスに向けて放つがクリスはそれを交わし。
「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」
『QUEEN‘s INFERND』
クリスはクロスボウから大量の光の矢を放つ。
「・・・・・・・」
未来はその矢を三角飛びで交わし、海面に降り立ち、滑空しながら突き進む。
「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」
未来の後を追おうとするクリスに一瞬翼の注意がそれた。
「隙あーーーーーーー」
クリスに背撃しようとする切歌の首筋に翼は一瞬で回り込んで首筋に刀をあてがう。
「りじゃなかったデスね・・・・」
「(スマナイ、雪音・・・・)」
切歌の足止めをしなければならなく動けない翼に代わってクリスが向かった。
「お~お~あのツルペタ奏者<翼>も中々やるじゃん」
「(ツルペタとは?)・・・マニゴルド、お前は動かないのか?」
「動いた瞬間ブッタ切る気満々の癖に良く言うぜ、聖衣も無いのに完全装備のお前ら<デジェルとエルシド>と殺り合おうと考えるほど、俺は命要らずじゃねぇよ。それよりもデジェル、良いのか? 愛しのデカ乳ちゃん<クリス>が行っちゃうぜ?」
「下品な呼び方をするな。アルバフィカとカルディアはどうした? ここに彼等がいることは分かっている」
「っ!!」
デジェルの言葉に調は息を飲む、もしここでデジェルが艦内に入ってしまったら。
「(カルディアから“頼まれた事”が・・・・!)」
何とか身体を動かそうとするが。
「(ボソボソ)落ち着け調、ここで俺らが不用意に動けば、カルディア達が来てしまって乱戦になっちまう。幸いデジェルも、カルディアやアルバフィカを警戒して動けない状況だ。これを上手く生かすぞ・・・!」
カルディアの体調や『FRONTIER』に近い海域で余計な波風を立てる訳にはいかないマニゴルドは調を諌め、状況打開の為に悪知恵を働かせる。
ークリスsideー
「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」
クリスはフォニックゲインを高める歌を歌いながら海面を滑る未来にクロスボウの矢を次々と乱射するが未来はそれら全てを交わし、クリスはマニゴルド達がいる旗艦近くの護衛艦に飛び移るとクロスボウを4門3連ガトリングに変形させ『BILLION MAIDEN』を放つ。
「・・・・・・・」
未来はクリスが放つ弾幕を交わしながらエネルギー弾を放って応戦するが、クリスの弾丸がその身に当たりながらも応戦する。
ーマリアsideー
マリアが窓から未来の戦いを見ていると、ウェルの耳障りな声が割って入ってきた。
「脳へのダイレクトフィードバックによって、己の意思とは関係無くプログラムされたバトルパターンを実行! 流石は神獣鏡のシンフォギア! それを纏わせる僕のLiNKERの凄さも最高だ!!」
最終的に自画自賛をするウェルにナスターシャは冷たい目線を向ける。
「それでも“偽りの意思”では、あの奏者達には届かない! ましてや黄金の闘士達の足元にも及ばないでしょう・・・!」
「フン・・・・」
ナスターシャの言葉に歪んだ顔のウェルは鼻で嗤う。
「くぅっ!」
見ていられないとばかりに、マリアは目を伏せた。
ー響sideー
響達もモニターでクリスと未来の戦いを見ていた。
「イチイバル<クリス>、圧倒しています!」
「これなら!」
「・・・・・・・」
だが、響の目には未来が傷つけられている姿を痛々しく見つめていた。
「(・・・・ゴメン、ゴメンね・・・・!)」
不安そうに目を逸らす響の頭にレグルスが手を置いた。
「目を逸らすな響、必ず未来を助ける・・・!」
「レグルス君・・・・」
レグルス自身も今すぐにでも未来を助けに行きたい気持ちを抑えているのを響も感じた。
ークリスsideー
海面を駆ける未来を護衛艦を飛び移りながら移動するクリスを護衛艦にいた米国軍人達が見ていたが、クリスは構わず未来を追う。
「(くっ、やりづれぇ・・・! 助ける為とは言え、あの子はアタシの“恩人”だ・・・!)」
初めて“友達”になってくれた未来と戦う事に、クリスの心が揺れていた。
未来は翼達のいる旗艦に再び降り立つ。
『っ!!』
未来が着地した衝撃に旗艦が揺れた。クリスも着地すると、腰アーマーを展開させ、小型追尾ミサイル『MEGA DETH PARTY』を放った。
「・・・・・・・」
未来は表情を変える事無くミサイルに向かって跳び、急かさずクリスがガトリングを未来に放つ。
「・・・・っ!!」
弾が当たった未来はそのまま落下し、だめ押しにミサイルを叩き込まれる。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
クリスは未来が落下した場所近くに降り立つ。
ー響sideー
「未来・・・・!」
「(未来がこんな事になっているのに、何してるんだよアスミタ!!)」
倒れた未来を悲痛に見つめる響とレグルスは未来に目を掛けている黄金聖闘士に焦れていた。
ークリスsideー
クリスは陥没した甲板に倒れる未来に近く。
「クリス、油断するな」
「(コクン・・・・)」
デジェルの言葉に頷いたクリスは未来の後頭部にある装置に手をかけようとすると。
《女の子は優しく扱ってくださいね》
「(ウェル!)」
後頭部の装置からウェルの声が響いた。
《乱暴に引き剥がせば、接続された端末が脳を傷つきかねませんよ》
「っ!」
ウェルの言葉に怯んだクリス、すると未来は立ち上がり、持っていた剣が扇のように360度に展開すると、扇に装備された“鏡”が光る。
「避けろ、雪音!」
「くっ!」
『閃光』
“鏡”から放たれたレーザーがクリスを襲うが間一髪にかわすと未来から距離を取った。
「まだそんなちょせいのを!」
未来は扇を畳み収納すると力を開放するように構えると、両膝から鏡が光背(仏像の輪っか)のように展開される。
「こりゃやべぇな(聖衣を纏ってれば大丈夫だが、生身でアレを受け止められねぇぞ)・・・」
未来の立ち位置から攻撃が自分達にも来る事を直感したマニゴルドに一筋の汗が流れる。未来を裏から操るウェルならばマニゴルドと調に構わず(寧ろ嬉々として)攻撃すると容易に想像できる。
「マニゴルド、その娘を連れて我々<二課>の所に来るならば、動いても良いが?」
「ハァ、身の安全は保障しろよ・・・!」
デジェルの提案にため息混じりに了承したマニゴルドは調を連れて離れる。
「兄ィ、良いのかよ?」
「マニゴルドは約束は(なるべく)破らない男だ。それよりも・・・!」
未だにマニゴルド(とカルディア)に不信感を持つクリスと翼は物言いたげだったが・・・・。
「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」
未来がフォニックゲインを高める歌を歌い始めると光背が呼応するかのように光り始める。
「デエエエエエエエエエエエエエエエエスッッ!!!」
自分達もろとも攻撃しようとする未来に切歌が叫ぶが・・・・。
『流星』
その声も虚しく未来の眼前に光の玉が現れ、その玉から光の奔流がクリスを襲う。
「・・・・やべぇ、お兄ちゃんお助け・・・!」
「ハイハイ・・・・!」
直前、デジェルが割って入るが、光の奔流が二人を飲み込み、旗艦の端まで光の奔流が流れたーーーーーーーーーーーーーー
ーマリアsideー
「ギヒヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァ!!! 死んだッ♪ 死んだッ♪ 死んだあぁぁ♪ ウヒヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!! イチイバルだけではなくッ! 水瓶座<アクエリアス>もッ! 死・ん・だッッ!! ヒャァァアアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!」
けたたましく金切り声で高笑いをしながら仰け反るウェルにナスターシャは冷たく囁く。
「どうやら、まだようですね・・・」
「アア~ンンッ・・・?」
ナスターシャの言葉にウェルは首をぐりんと動かしモニターを見ると。
「何だとおおおおおおおおぉぉぉッッ!!!!!」
そこに映っていたのはーーーーーーーーーーーーーー
前面に『氷の防壁』でクリスとマニゴルドと調を守り、未来の攻撃<『流星』>を防いだデジェルの姿だった。
「ハァァアアアアアアアアアアアアッッ!!??」
訳が分からないとモニターに食いつくウェルをマリアは鬱陶しいと謂わんばかりに睨み、ナスターシャが淡々と説明する。
「データによると、アレは黄金聖闘士が数人集まっても破壊することが出来ない水瓶座<アクエリアス>の『氷の棺<エターナル・コフィン>』。成る程、“破壊出来ない氷の棺”を“防御壁”に使うとは、流石は『黄金の英雄』、素晴らしい判断力です・・・」
「ウグギギギギギギギギギギギ、ガアアアアアアッッッッ!!!!」
ナスターシャはデジェルに驚嘆と称賛し、ウェルはぬか喜びさせられた苛立ちから壁を蹴るとズカズカとブリッジを出た。
ーアルバフィカsideー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・。
その頃、旗艦ブリッジで船の制御をしていたアルバフィカは、甲板の戦況をモニターで見ながら、船のシステム設定に勤しんでいた。
「自動航行システム正常に作動、これで船の制御は大丈夫だろう・・・」
漸くシステムの設定が終わり、ブリッジを出て甲板を向かおうとすると、通路にカルディアが蹲ってた。
「カルディア、お前・・・・!」
「何も言うなアルバフィカ、分かっていた事だからよ・・・・!」
カルディアは胸を押さえたまま立ち上がり、甲板に向かう。
「それがお前の決めた“生き方”か・・・・?」
「ハン、人間なんて何時かは死ぬ運命だ、だったら俺は、俺の望む“生きざま”を貫くだけだ、この“爪”が、この“心”が、この“魂”が赴くままにな・・・・!」
そして黄金の蠍は向かう、己の望む“戦場<死に場所>”にーーーーーーーーーーーーーー
ークリスsideー
「(スッ、パチン!)」
デジェルがフィンガースナップをすると前面の氷の壁が粉々に砕けた。
「助かったの・・・・?」
「みたいだな・・・・」
「流石兄ィだ・・・!」
「『エターナル・コフィン』の応用、『フリージング・ウォール』とでも名付けるか・・・・」
クリス達の無事を確認した翼もホッとする。
「雪音達は無事のようだな・・・・」
「気を抜くな翼、次が来るぞ・・・!」
エルシドの言葉にハッとなった翼が未来を見ると、未来は再び『流星』を放とうとエネルギーをチャージし始めた。
「止めるデーーーース!!」
クリス達に気を向けた翼から離れた切歌が未来を制止しようとする。
「・・・・・・・」
未来は無表情に切歌に顔を向けた。
「調とマニゴルドは仲間! アタシ達の大切な・・・!」
《仲間と言い切れますか? 僕達を裏切り、敵に利するアイツらを・・・!》
ウェルが通信で割り込んだ。
ーウェルsideー
ブリッジから出たウェルは歪んだ形相で切歌の耳に毒を入れる。
「蟹座<キャンサー>のマニゴルドと、月読調を仲間と言い切れるのですか!」
ー切歌sideー
「ッッ!!・・・・違う・・・アタシが調にちゃんと打ち上げられなかったんデス・・・! アタシが、調を裏切ってしまったんデス!」
「切ちゃん!!」
「ハッ!」
調の声に反応して、切歌はマニゴルドに抱き抱えられた調を見る。
「ドクターのやり方では、弱い人達を救えない!」
「お前だって分かってンだろう! あのクソ野郎のやり方じゃ、弱い奴等が無駄に犠牲にされる事くらい!」
《そうかもしれません・・・・》
「?」
《何せ我々は、かかる災厄に対して余りにも無力ですからね!》
『っ!!』
未来からの攻撃に翼とクリスは身構える。
「っ!」
「漸く来たか・・・・」
だが、エルシドとデジェルは“ある者”の小宇宙<コスモ>を探知した。
ーウェルsideー
「シンフォギアと聖遺物に関する研究データは、こちらだけの専有物ではないですから・・・アドバンテージが有るのだとすれば、せいぜいこの“ソロモンの杖”!」
飛行艇のハッチを開いたウェルは“ソロモンの杖”からノイズを護衛艦に向けて射出する。
ークリスsideー
「ノイズを放ったか!」
「クソ、タレが!(“ソロモンの杖”がある限りは、“バビロニアの宝物庫”は開けっ放しって訳か!)」
クリスはノイズに向かおうとするが。
「待てクリス・・・・」
首根っこをデジェルが掴んだ。
「何するんだよ! お兄ちゃん!」
「もう、大丈夫だ・・・」
「ハァ!?」
デジェルの言葉に困惑するクリス。
「ダアアアアアッ!!」
「クッ!」
翼は襲い来る切歌の攻撃を防いだ。
「こうするしか、何も残せないんデス!」
《そうそう、それそれ、そのまま押さえといてください、後は彼女の仕上げをごろうじ・・・》
《いい加減にしろ・・・・!》
「えっ?」
「何デスか? 今の声・・・?」
「っ! この声は!?」
「マジかよ・・・?」
「この声・・・まさか!?」
「あぁ」
「そう言う事だ・・・!」
ウェルの通信を静かだが、怒気が孕んだ声が遮った。
ーウェルsideー
「な、何だ? 今の声は・・・!?」
《貴様、その玩具<“ソロモンの杖”>でどれだけ弄べば気が済む・・・!》
「僕の頭に声が「グギリッ!」・・・・ハァ・・・?」
ウェルの耳に鈍い音が聞こえ、自分の腕を見るとーーーーーーー
「あ、アア、アアアアアアアアアアアアッッ!!!」
“ソロモンの杖”を持っていた左腕が、“肘から逆の方向に曲がっていた”。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!! 腕がッ! ぼ、僕の腕がッ! 腕がアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアッッッッ!!!」
自覚した瞬間、激痛がウェルの身体に襲い来る。
「アアッ! アアアアッ! アアアアアアッッ!! 腕が、腕がアアアアアアアッッ!! 僕の腕がアアアアアアアアッッ!! アアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」
激痛で顔を汚ならしく歪め、惨めに喧しく喚くウェルは自分の折れた左腕を押さえながら飛行艇の中に逃げ込んだ。
ーマリアsideー
「マム、これはどういう事・・・・?」
「ノイズ達が、消滅していっている・・・!」
マリア達の眼下にある護衛艦に襲い来るノイズ達が独りでに消滅していく。
ー未来sideー
《失せろ雑魚共! 『天魔降伏』!!》
その声が辺りに響いた瞬間、『天馬に乗った女性と小さな天使達』が、無数にいたノイズを一瞬で“消滅”させた。
「・・・・!!??」
その声を聞いた瞬間、これまで無表情に、無感情に佇んでいた未来に僅かな動揺が浮かんだ。
そして、未来と翼達の前に光が溢れ、“その男”が現れた。
「小日向未来、何をしている? 君は何をしている・・・!」
透き通るように静かな、だが確実に憤怒が混じった声を上げながら“その男”は現れた、エルシドとデジェルと形の違う黄金の鎧を纏い、閉じられた瞳は僅かに不快そうに歪ませ、その男は戦場に現れた。
「あの男は!?」
「間違いねぇ!」
「まさか、あの人が・・・!」
「デ~~ス・・・・」
「来るのが遅いぞ・・・」
「フゥ・・・」
「タイミング計ってたんじゃねぇだろうな・・・?」
「アイツも来やがったか・・・・!」
「小日向未来をあんな風にしてしまえば来るだろうと思ってはいたが・・・・!」
翼とクリス、調と切歌、デジェルとエルシドとマニゴルド、そして甲板にやって来たカルディアとアルバフィカが同時に“その男”の名を呼ぶ・・・・・・・。
『乙女座<ヴァルゴ>のアスミタ!!!!!』
『地上で最も神に近い男』が、遂に沈黙の中立を破り、戦場に舞い降りた。