ー調sideー
月読調は以前響も付けた事のある強固な手枷を付けて二課本部の個室で緒川に監視されていた。
「すみませんが、コレ<シュルシャガナ>は預からせて頂きますね」
緒川の手には調から預かったシュルシャガナのシンフォギアペンダントが握られていた。
「・・・・お願い、皆を止めて・・・」
「っ?」
「カルディアを・・・助けて・・・!」
顔を俯かせた調の懇願に緒川は目をしばたたかせた。
ー二課ブリッジー
その頃ブリッジでは、突如現れた『FRONTIER』の解析で騒然となっていた。
「映像、回します!」
メインモニターに巨大な石造りの遺跡が映し出された。
「これが、FISが求めていた『FRONTIER』・・・?」
更に『FRONTIER』の全体像が映し出された。海面の下は、正に巨大な島のような姿であった。
「海面に出ている部分は、全体から見てほんの“一部”・・・! 『FRONTIER』と呼ばれるだけはありますね・・・!」
ビー!ビー!ビー!
突然警報が鳴り、友里が調べると、メインモニターに米国艦隊が現れた。
「新たな米国所属の艦隊が迫ってます」
「第二陣か・・・!」
『FRONTIER』に向かう艦隊を弦十郎は睨む。すると“斯波田事務次官”が通信を送ってきた、蕎麦を啜りながら。
《まさかアメリカさんは、落下する月を避ける為に『FRONTIER』に移住する腹じゃあるめぇな?(ズルズル)》
「我々も急行します! 丁度、情報源になるであろう人物も確保済みです」
弦十郎はモニターに映る別室でエルシドと無言で睨み合う“マニゴルド”を見ていた。
ー二課医務室ー
「アスミタ、本当に“小宇宙<コスモ>”を気功療法みたいに流すことで未来の体内の毒素が消えるの?」
「まだ彼女の身体には“LiNKER”なるものが残っているからな、私の“小宇宙<コスモ>”を流すことで体内に残る毒素を除去できる筈だ・・・」
アスミタは横たわる未来に自分の“小宇宙<コスモ>”を流していた。アスミタの掌が淡く光り、その光が未来の身体を包み込む。
「フム、これで毒素は除去できた筈だ。もう良いぞ、小日向未来・・・」
アスミタから治療完了を言われ、上体を起こした未来は少し身体に包帯を巻いたアスミタとレグルスを見るといたたまれない気持ちなのか顔を俯かせる。
「・・・レグルスよ、風鳴翼と一緒に治療を受けているガングニールを連れて来てくれ」
「うん・・・!」
レグルスは別室にいる響と翼、二人の治療を行っているデジェルを呼びにいった。
「さて、小日向未来。此処には私しかいない、話しにくい事でも話してみよ・・・」
「アスミタさん・・・・私・・・」
「・・・・・・・・」
神獣鏡を纏って暴れた事で気を落とす未来の頭にアスミタは何も言わず手を置く。
「君は君の“友”の為に自分に出来る事を考え、聖遺物に手を出してしまった、そしてその聖遺物に操られ友を傷付けてしまった。だがその“心優しき想い”は間違ってなどいない・・・」
「でも、私は・・・響を・・・!」
自責の念で押し潰されそうになる未来にアスミタは優しく説く。
「ならば今度こそ、ガングニールと向き合えば良い、人が他者を真に理解するのは容易ではない。だからこそ、互いの気持ちを伝えなければならぬのだ。“自分は友の事を真に理解している”などと考えているのは、友との“絆”を過信し、胡座をかいている愚か者の考えに過ぎん。しかし、君とガングニールはすれ違って過ちを犯した。犯した事は簡単には拭えんだろう、だからこそもう一度向き合うべきだ。アヤツと友でいたいのだろう?」
「・・・・・・・・・はい・・・ッッ」
心に染みるアスミタの言葉に未来は静かに涙を流しながら頷いた。
「(今度ガングニールが愚行を犯したら『天魔降伏』でもお見舞いしてやるか・・・)」
さらりと恐ろしい事を考えるアスミタを余所に、響達が治療室に入ってきた。
「未来ーーーーーーッ!!」
治療室に入った響は未来に抱きつく。
「デジェル、小日向の容態は?」
「LiNKERの清澄も完了、アスミタが小宇宙<コスモ>を流して、身体の怪我も完治に向かっている、ギアの強制装着の後遺症も無い・・・」
タブレットで未来の容態を確認したデジェルの言葉に響は顔を綻ばす。
「良かった、本当に良かった・・・!」
未来の様子を翼もデジェルもレグルスもにこやかに見ていた。
「響、私・・・」
「ゴメンね、未来」
「えっ?」
「私、未来に甘えていたんだ・・・未来は私の気持ちも想いも全部理解してくれているって勝手に思い込んで、未来の気持ちなんて考えてなかったんだ、本当にゴメン・・・」
「響・・・・・・」
未来は改めて響の顔を良く見てみると。
「響、その怪我・・・」
響の顔に張られた絆創膏を見て、自分が響を傷付けた事を悟る。
「うん・・・」
「私の・・・私のせいだよね・・・!」
「うん! 未来のお陰だよ♪」
「え・・・・?」
「ありがとう、未来!」
「響・・・?」
「私が未来を助けたんじゃない、未来が私を助けてくれたんだよ!」
デジェルは戸惑う未来にタブレットを操作して響の身体のレントゲン写真をモニターに映した。そこには、以前は響の体内に太い根っ子のように張り巡っていたガングニールが消えていた。
「コレ、響・・・?」
「あのギア<神獣鏡>の放つ光には、聖遺物由来の力を分解し、無力化させる効果があったようだ。君達が光に呑まれレグルスがガングニールを破壊しようとした時、響君の身体を蝕んでいたガングニールの“欠片”も除去されたようだ・・・」
「え・・・?」
「小日向の強い想いが、死に向かって疾走する筈だった立花を救ったのだ」
「私が本当に困った時、やっぱり未来は助けてくれた! ありがとう!」
「私が・・・響を・・・!」
「うん!」
「(でも、それって・・・)」
「しかしそれは、その娘は“聖遺物を失ってしまった”と言う事だな・・・」
アスミタの言葉に響は少し顔が沈む。
「あのガングニールは奏さんの・・・」
響の胸のガングニールは、翼の片翼である天羽奏の“形見”とも言えるモノ。それが消滅した事に場の雰囲気が少し沈む。
「でもま、とりあえずは響が死ぬ事が無くなった事を喜ぼうよ」
「フッ、そうだな・・・」
レグルスの言葉に翼も頷いた。デジェルが現状を解説する。
「しかしFISは『FRONTIER』を遂に浮上させ、こちらは“奏者が一人”に“聖闘士が三人”、むこうは“奏者が三人”に“聖闘士が二人”と“無数のノイズ”、戦力は“ノイズ”が現れる分此方が不利だな・・・」
「FISの企みなど、私とエルシド達で払って見せる! 心配等不要だ・・・!」
デジェルの言葉の中に未来は一つの疑問を感じた。
「奏者が一人? そう言えばクリスは・・・?」
『・・・・・・・・』
「(クリス・・・・・・)」
未来の疑問に響とレグルス、翼とアスミタは黙り。デジェルは“FISに寝返った想い人”に想いを馳せていた。
ーFISsideー
『FRONTIER』に着陸した飛行機から、ナスターシャ教授とマリア・カデンツァヴナ・イヴと魚座のアルバフィカ、暁切歌と蠍座のカルディア、ドクターウェルと“雪音クリス”がソコにいた。一同は『FRONTIER』の小高い山にそびえる石造りの遺跡を眺めていた。
「こんなのが海中に眠っていたとはな・・・」
「貴女が望んだ“新天地”ですよ、仲間処か、“愛する人”まで裏切って望んだ、ね!」
「(ギッ!)・・・・・・」
クリスを見下すように見て、下劣な笑みを浮かべたウェルのあからさまに明確な嘲弄<ちょうろう>にクリスだけでなくマリア達も嫌悪感を抱く。言われた当人のクリスの瞳に一瞬の殺気が煌めき睨みそうになるが、直ぐに心を落ち着かせる。そして一同は『FRONTIER』の中枢とも云える遺跡へと向かった。
ー遺跡内部・通路ー
懐中電灯を片手に持って遺跡の通路を歩いていた。
「本当に私と一緒に戦う事は、戦火の拡大を防げると信じているの?」
「フン、信用されてねぇんだな・・・気に入らなければ、鉄火場の最前線で戦うアタシを後ろから撃てば良い・・・」
「勿論、その積もりですよ」
「どうでも言いがウェル博士よ、その“左腕”はどうしたんだ?」
「アスミタの野郎にへし折られたそうだぜ♪」
クリスが包帯に巻かれたウェルの左腕を見るとウェルは顔を苦々しくし、カルディアが笑いを堪えるように説明した。
「アスミタにね・・・前にレグルスにぶん殴られた時は、惨めにヒーヒー喚いていたんだ、腕を折られた時はどんな醜態晒したのか是非とも見てみたかったぜ・・・!」
「ぐぎぎッッ! ウー! ウー! ウー!」
『(確かに見てみたかった(デェス)・・・)』
先程の嘲弄の仕返しにウェルはクリスの後ろ姿を射殺さんばかりに睨みながら獣のように唸り、マリア達は内心クリスに同調した。
* * *
そして、結晶体に覆われた黒く大きな“核”のようなモノがある場所に付いた。
「付きました、ここが“ジェネレータルーム”です・・・」
「何デスか、あれは・・・?」
不気味な雰囲気が漂うジェネレータルームに切歌は尻込みするが、ウェルはお構い無しに進み、保管庫から“ネフィリムの心臓部”を取り出す。
「へェッ!・・・」
ウェルは口許を歪めると“心臓部”をジェネレータにくっつけた、すると“心臓部”から根っ子のようなモノが伸び“心臓部”が赤く点滅するとジェネレータが起動した。
ジェネレータが光輝くとその光は結晶体に伝達し光らせる。
「“ネフィリムの心臓”が・・・!」
「心臓“だけ”となっても、聖遺物を喰らい取り込む性質はそのままだなんて、卑しいですね~フへへへ・・・」
「・・・・・・」
「(くだらねぇ・・・)」
不気味に笑うウェルをアルバフィカは不審に睨み、カルディアは興味なしの態度であった。
ー『FRONTIER』外部ー
ジェネレータの起動すると同時に、『FRONTIER』の外では、マリア達がいる遺跡を中心に草木が生え、緑が覆い茂っていた。
ーナスターシャsideー
「エネルギーが『FRONTIER』に行き渡った様ですね」
するとウェルがジェネレータに背を向けて、不気味な笑みを浮かべて近づく。
「さて、僕はブリッジに向かうとしましょうか。ナスターシャ先生も“制御室”にて『FRONTIER』の面倒をお願いしますよ」
ジェネレータルームを退室するウェルをマリア達は訝しそうに睨むが、切歌は光輝くジェネレータの“核”を見つめ、調<親友>とマニゴルド<パートナー>に想いを馳せる。
『ドクターのやり方では、弱い人達を救えない!』
『お前も分かってンだろ! あのクソ野郎のやり方じゃ、弱い奴等が無駄に犠牲にされるって事くらい!』
「・・・・・・そうじゃないデス! 『FRONTIER』の力でないと、誰も助けられないデス!・・・調もマニゴルドもカルディアも助けられないデスッ!!」
涙混じりの切歌の叫びがジェネレータルームに響いた。
ー弦十郎sideー
弦十郎は緒川からシュルシャガナのシンフォギアペンダントを受け取る。
「助けて欲しい、そう言ったのか・・・?」
「ハイ、“目的”を失って暴走する仲間達を止めて欲しいと、そしてデジェル君に、蠍座<スコーピオン>の命を救って欲しいとも・・・」
「・・・・・・フム、蠍座<スコーピオン>の命か」
ブリッジの扉が開き、響達(デジェルを除いた)が入ってきた。
「まだ安静にしてなけれきゃいけないじゃないか!」
「ゴメンなさい、でも、いてもたっても要られなくって・・・」
「クリスちゃんが居なくなったと聞いたら、どうしてもって・・・」
「確かに、クリス君と響君が抜けた事は作戦遂行に大きく影を落としているのだが・・・」
「本当にクリスが裏切ったなら、デジェルが我先に飛び出しているよ」
「彼が何もしないと言う事は、雪音クリスの敵への離反に何か心当たりがあるのだろう・・・」
「でも、翼さんに大事が無かったのが本当に良かった。致命傷を全て避けるなんて流石です・・・」
友里の言葉に翼とレグルスとアスミタは怪訝そうに黙る。
「(かわした? あの状況で雪音の射撃をかわせるものか・・・?)」
「(クリスが意図的に致命傷を避けて攻撃したのなら・・・)」
「・・・・・・」
「レグルス君、一つ聴きたい事があるのだが・・・」
「ん、何?」
「蠍座<スコーピオン>には、俺達に教えていない“何か”が有るんじゃないか?」
「・・・・・・・・・」
レグルスは少し考える素振りを見せると、観念したようにため息も漏らし話す。
「この事を知れば、響達がカルディアを助けようとすると思ったし、もしかしたら無くなってるかもしれないから黙っていたけど、カルディアはね、“心臓の病”に侵されている・・・!」
『っ!?』
驚く響達を余所に、レグルスは淡々と話した。
「俺達が自分達の世界にいて、俺が黄金聖闘士に就任して直ぐ、祝いに来たカルディアが酔った勢いで話してくれた。幼い頃から親も無く体の弱かったカルディアは療養所に預けられ、そこで10歳の頃に、『心臓はもう長くない』、『もって一年の命』だと死刑宣告を受けた。奇しくも、響と同じ状態になっていたんだ・・・」
「私と、同じ・・・!」
「ちょっと待ってくれ、レグルス君。蠍座<スコーピオン>が君達の世界で死んだのは彼が何歳の時だ?」
「たしか22歳だったかな・・・」
「可笑しくはないか? それでは死刑宣告と違いすぎる!」
「話は最後まで聞いて、死刑宣告を受けたカルディアは“絶望”するよりも、“笑えた”そうだよ」
「“笑えた”・・・?」
響とて、自分が死ぬと聞かされた時は、茫然自失となったのにカルディアは“笑えた”、それが響だけでなく、翼に未来、弦十郎達にも理解出来なかった。
「カルディアはずっと我慢していた、“外で遊ぶ事”も、“友達を作る事”も、“はしゃぐ事”も、何もかもを耐えて我慢していた。だけど、自分の命が残り少ないと知って療養所を飛び出した・・・」
『だったら俺はもうなんにも我慢しないぜ! 残された時間、目一杯はしゃいで生きるんだ!!』
「カルディアは、残り少ない命を自分が望む通りに使う事を選んだんだ、『ベッドの上でだけは死にたくない・・・!!!』って気持ちがそうさせたんだ。そして、療養所を抜け出したカルディアは一人の“老人”と出会ったんだ」
「“老人”・・・?」
「何でもデジェルに似た雰囲気をした人物だったらしくて、その人に“禁忌の技”を施されたらしい・・・」
「“禁忌の技”・・・?」
「その“技”は、もともと病持ちだったカルディアの心臓を生かし、小宇宙<コスモ>を燃やす程に力と熱を生み出すんだ。だけど時々、カルディアでも制御ができなくなる程の熱量を出してぶっ倒れてしまうんだ」
「では、蠍座<スコーピオン>を助けてと言うのは・・・」
「多分、カルディアの心臓が放熱を始めたんだ。だからデジェルに助けを求めたんだと思う」
「えっ? そこでどうしてデジェルさんが?」
「成る程な、デジェルの凍技は全てを凍てつかせる“絶対零度”、高熱を発する蠍座<スコーピオン>の心臓を静める事が出来ると言う訳か・・・」
首を傾げる響に代わり翼は考察し、レグルスがフィンガースナップする。
「ご明察♪ だからあの子はカルディアを助けてって言ってるんだと思う」
「しかし、何故彼女はそこまで・・・?」
モニターに映る調を眺める翼に今度は弦十郎が応える。
「ひょっとすると、彼女にとって蠍座<スコーピオン>は、“クリス君にとってのデジェル”なのかも知れないな・・・」
《弦十郎殿》
すると、マニゴルドから聴衆をしていたエルシドから連絡が入る。
「エルシドか、蟹座<キャンサー>が何か話したか?」
《最初は惚けていましたが、デジェルが“小切手”を差し出したら話すつもりになったようだ・・・》
「小切手・・・?」
エルシドの言葉にブリッジにいた一同が首を傾げるとモニターにデジェルから貰った小切手を片手にヒラヒラさせ小憎たらしい笑みを浮かべるマニゴルドが映し出された。
《デジェルも太っ腹だね~♪ 0を5つも出してくれるなんてよ~♪ 改めましてごきげんよう、特異災害起動部二課の皆々様、俺が蟹座<キャンサー>のマニゴルド様、又の名を“裏情報屋 アクベンス”》
「アクベンスだと!?」
その名は、デジェルに“シンフォギア”や“二課”の情報を提供した謎の裏情報屋、『ルナ・アタック事件』以降、二課もそれなりに調査をしていたが全く尻尾を掴ませなかった人物が、実は目の前にいる黄金聖闘士だった。
《んで、今は“聖闘士”としてではなく、“情報屋”として情報提供してんのよ♪》
「フン、金銭で動くとは、アテナの聖闘士の最高峰である黄金聖闘士としての誇りは無いのか・・・!」
《天羽々斬のシンフォギア奏者は、その“胸”と同じで柔軟性が足りないね~》
「(ブチッ!) エルシド、その男一度斬って良いか・・・?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「「アワワワワワ・・・」」
《情報提供が終わったら、なます斬りにするなり、撫で切りにするなり好きにしろ・・・》
いつの間に刀(真剣)を持って黒いオーラを放つ翼に、響と未来は震え、レグルスはケラケラ笑い、アスミタと弦十郎達はなるべく知らんぷりした。
《んでだデジェルよ、何が知りたい?》
《先ずはそうだな、小日向君の身体に装着させられた聖遺物、あれは何だ?》
翼を無視してマニゴルドとデジェルが話し合いを始めた。
《あぁ、あの聖遺物『神獣鏡』か、あれは“フィーネ”、“櫻井了子”が米国政府に譲渡したもんだ・・・!》
『っ!?』
此処に来て曾ての仲間(デジェルは除く)、櫻井了子<フィーネ>が関わった事に全員が驚愕の様相を浮かべた。
《ちょいと昔話をするぜ、遡ること五・六年前、米国政府と手を組むために、“何でも良いから聖遺物を寄越せ”と米国にせっつかれていたフィーネは、ある遺跡に行きソコであの聖遺物『神獣鏡』を手に入れましたとさ。次いでにその遺跡調査に来ていた調査隊がいた、フィーネはノイズをけしかけ、調査隊に両親がいて、丁度会いに来ていた姉妹の内の“姉”を残して調査隊はノイズに襲われ全滅。生き残った“姉”は偶然その遺跡近くにいた、“射手座”と“山羊座”の黄金聖闘士に救われ、特務二課に保護されましたとさ・・・!》
《なん・・・だと・・・!》
「ッ!! まさか、その生き残った“姉”と言うのは・・・!」
マニゴルドの昔話に、エルシドと翼、弦十郎達に戦慄が走り、レグルスとアスミタは顔を強ばらせ、響と未来は戸惑う。
「その“姉”の名は・・・“天羽奏”・・・!」
『ッッッ!!!!!!』
全員、特に翼とエルシドは愕然となった。
「そんな・・・奏の両親と妹を・・・奏の家族を奪ったのは・・・櫻井女史嫌、フィーネだったのかッッ!?」
モニターに詰め寄ろうとする翼を緒川と響が押さえた。
《そう言うこった、笑えねぇ話だぜ、前ガングニールの奏者は、自分の家族を奪った“仇”から“戦う力”を貰ったなんてよ・・・》
《・・・・・・・・》
「おのれ、おのれェ・・・! フィーネ・・・!!」
翼とエルシドは拳をきつく握り、血が滴り落ちる。響達も奏の家族に起こった悲劇がフィーネ<櫻井了子>の手引きによるものだと知り愕然となる。
《話続けて良いか?》
《あぁ、それで『神獣鏡』をフィーネは米国政府に譲渡したのか?》
《『神獣鏡』は他の聖遺物、ガングニールと天羽々斬とイチイバル、シュルシャガナやイガリマと比べて“格”が低いからな、イチイバルのように手駒にする事を断念したフィーネは、米国政府に渡すのを躊躇わなかったそうだ。だが、『神獣鏡』は“鏡の聖遺物”、光の屈折を応用して俺らの飛行艇、エアキャリアのステルスシステムとして使われていたんだ》
《成る程、あのステルスはあの聖遺物から発せられていたのか・・・・では、その『神獣鏡』を小日向君に無理矢理装着させたのは・・・・》
《分かってンだろ? ドクターウェルだ・・・》
《やはりヤツか・・・・しかし何故小日向に?》
《『FRONTIER』を浮上させるには『神獣鏡』は必要不可欠。だが、以前に浮上させようと試みたが、出力不足で失敗し、それで業を煮やした野郎はシンフォギアとして使う事で足りない出力をあの嬢ちゃんから得ようとした。丁度嬢ちゃん本人も友達の為に“力”を欲していたし、野郎にとってもガングニールとレグルスには“屈辱”を受けたからな、その腹いせもかなり含めての事だろうよ・・・・》
「俺と響への嫌がらせの為“だけ”に、そんな下らない事の為に、未来を戦場に放り込んだのか・・・!?」
「未来をあんな風にしたのは、ウェル博士・・・!!」
あまりにも個人的な下らない理由で、戦場に立つ必要の無い人間を兵器にしたウェルに、レグルスと響、翼達もウェルに対して怒りを燃やす。当然アスミタも身体から小宇宙<コスモ>がユラユラと立ち込めた。
《あのスカイタワーの一件以来、マリアはウェルの強行策で計画を進めるようになり、FISは実質野郎が指揮を取るようになっちまった。俺と調はそれに反発したのよ・・・!》
《お前とあの少女、月読調はウェル博士のやり方が気に入らなかったのか?》
《あの野郎は身体の大きい“だけ”で中身はガキ、それもこっすい悪知恵が働くクソ餓鬼だ。物事が自分の思い通りにならないと直ぐに癇癪やヒステリーを引き起こし、自分の思い通りにするためなら、目の前で何十何百の人間の生命を嗤いながら鼻唄歌いながら踏みにじり、友達の為に戦おうとする純な女の子の友愛すら言葉巧みに利用し、利用価値が無くなれば簡単に切り捨てる、ソコに良心の呵責も罪悪感も一切合切無い、むしろ見せモンにしてゲラゲラ嘲笑する。ンなクソ野郎の指揮する処なんて御免だね・・・!》
そしてマニゴルドの事情聴取の最中、藤尭が『FRONTIER』に接近した事を報告する。
「『FRONTIER』への接近はもう間もなくです!」
メインモニターに映し出された『FRONTIER』を一同は真っ直ぐに見据えていた。
《覚えておけや、今のFISはウェルが仕切っている。野郎が何を目論んでンのかは分からんが、俺の見立てでは野郎は信用できねぇ》
「その根拠は何だ?」
《生憎、俺はお前ら二課やシンフォギア奏者と違って、善意優先で人間を信じない、“悪党を見る目”だけなら俺はレグルスやアスミタ以上だぜ》
ニヤリと笑うマニゴルドは遠回しに“ドクターウェルに警戒しろ”と言った。
間もなく、決戦が始まるーーーーーーーーーーー
自分なりにマニゴルドのキャラを表現してみました。