聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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復活の撃槍

ー『黄泉比良坂』ー

 

黄泉比良坂で“邪悪な小宇宙<コスモ>”を感知したマニゴルドは、調と折檻を終えた切歌を連れて現世への扉を開けようとする。

 

「あぁ~~~、頭の中の脳ミソが潰れるかと思ったデスよ・・・!」

 

「切ちゃんが自決なんてバカな事しようとしたからだよ・・・」

 

「元々大して中身が入ってない頭なんだから、気にする事ねぇだろうが」

 

「うぅっ、調とマニゴルドが酷すぎるデェス・・・!」

 

マニゴルドの折檻で涙目になり文句を言うが、調とマニゴルドにバッサリと切り捨てられ、情けない顔になる切歌を無視して、現世への扉を開けるマニゴルド。

 

「さてと、何処でお前はどうすんだ・・・?」

 

「「???」」

 

急に後ろを見据えるマニゴルドに首を傾げるとマニゴルドの目を追う。

 

「え・・・っ!?」

 

「デデデデデデデデェェェェェスッ!!!!」

 

目を見開く調と仰天する切歌、目の前に“半透明になった仲間”がいたのだ。

 

「あのバカ<ウェル>が珍しく面白い事を起こしたぞ、 このままおっ死<ち>んでるなんてらしくねぇぜ♪」

 

マニゴルドが問うと“半透明の仲間”は“獰猛な笑み”を浮かべた。

 

 

 

 

 

ー現世ー

 

 

冥界の鎧、『冥衣<サープリス>』。死者の世界『冥界』を治める神、『冥王 ハーデス』によって108の魔星に選ばれた者達にしか纏えない鎧。神話の魔獣や妖精や精霊、伝説上や空想上の魔物がモチーフとなっており、その黒曜石の輝きは死者の世界を象徴するかのように、妖しく、禍々しく、しかし美しいーーーーーーーーー。

 

そして今、遥か時を越えて、野望と欲望の狂人の手によって、108の魔星の中でも、『冥界で最も神に近き者』が纏っていた冥鎧<サープリス>が目覚めた!

 

 

 

ーアスミタsideー

 

響達のいる区画の映像は今現在も放送されており、モニターに映し出された状況に友里や藤尭を含むオペレーター一同、そして未来も愕然と見ていたが、ブリッジの扉からアスミタが入り、正気に戻り未来は震える声でアスミタに問う。

 

「アスミタさん、あれって・・・?」

 

「ウム、あれこそ、あの鎧こそ、遥か彼方の時代にこの地上を滅ぼした『神々の大戦<グレートウォー>』を引き起こすきっかけを作った神、冥王ハーデスに使える闘士、冥闘士<スペクター>の『冥衣<サープリス>』だ!」

 

 

 

 

ーレグルスsideー

 

「あれが、冥衣<サープリス>・・・!」

 

「地上を第二の冥界に変えた悪の神、ハーデスの冥闘士<スペクター>が纏う鎧・・・!」

 

震える声で響とマリアも、『背中に無数の手を背負った厳つい顔のオブジェ』が分割され、ウェルの身体に装着された冥界の鎧を愕然と見ていた。

 

「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、イィヒャアァハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!! どうだ! 見たか! これこそ! この鎧こそ! この僕こそが! この時代に降臨した、最高にして至高のスーパーヒーローの証! “ネフェリムの細胞”を取り込み! 完全支配した冥界の鎧だっ!! 僕はなんっっって凄いんだっ! 今や『真の英雄』たる僕の前では、冥界の鎧は! 僕にかしずく玩具にしたのだからなぁッ!!!! アヒャァハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

耳障りな狂笑を上げるウェルを睨むレグルスとアルバフィカ。

 

「ウェル、何処でその冥衣をっ!?」

 

「“ウェル様”と呼べッ!! この僕を呼び捨てにしてんじゃねぇッ!!! この“異分子”がッッ!!!!」

 

ヒステリックに喚くウェルは、背中の無数の腕がアルバフィカと響とマリアを抱えたレグルスに襲い掛かる!

 

「クッ!」

 

「ウワッ!?」

 

次々と襲い来る腕をかわすレグルス達。

 

「ウェヘヘヘヘヘヘ、まさに壮観! この僕の冥衣の前では、テメェら“骨董品”なんて所詮“旧世代の遺物”! この僕と言う“新世代の英雄”の前では塵芥に等しい!」

 

「何で魔星に選ばれた訳じゃないウェル博士が、冥衣を纏えるんだっ!?」

 

「おそらく“ネフェリム”の細胞を投与したあの腕だ! “聖遺物を操る力を持つ腕”で、冥衣を操っているのだ!」

 

「“ネフェリム”の細胞でドーピングした力かっ!?」

 

「ヒャァハハハハハハハハハハッッッ!!! 最ッッ高の気分だぁ!」

 

狂笑を上げるウェルは更に無数の腕で響とマリアを抱えて動きにくくなっているレグルスを集中的に狙った。

 

「うわっ!」

 

「キャッ!」

 

腕に引っ掛かり、響とマリアはレグルスから引き剥がされる。

 

「響ッ!」

 

「マリアッ!」

 

レグルスとアルバフィカは急いで二人の元へ向かおうとするが。

 

「行かせるかYOッ!」

 

ウェルは更に腕で攻撃し、レグルス達を足止めする。

 

「くっ!」

 

「(私に、シンフォギアがあれば・・・!)」

 

マリアはガングニールを起動させたくとも、ウェルからの攻撃をかわすのが精一杯の状態、響も日頃の特訓の成果か何とかかわしている。

 

「そろそろ、鬱陶しいバカ女<マリア>を始末するかな? 嫌、先ずは僕に恐怖の屈辱を与えた化け物女<響>かなぁ? 決~~~~めた♪」

 

ウェルがマリアに目を向けていたが、直ぐに響に目線を変える。

 

「えっ・・・?」

 

「さっさと消えろYO! 化け物女ぁああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

ウェルの背中の冥衣の腕が響に襲いかかる、次の瞬間!

 

ドンッ! ドドドドドドっ!!!

 

「あっ・・・あぁ・・・!!」

 

「ガハッ!」

 

響を突き飛ばし、マリアの身体に冥衣の拳がめり込む!

 

「マリアーーーーーーーーーッ!!!!」

 

「マリアさーーーーーーーーーんッ!!!!」

 

「あぁっ!」

 

「ンフゥッ♪」

 

アルバフィカと響の悲痛な叫びが区画に響き、レグルスは愕然となり、ウェルは下劣にニヤケ笑みを浮かべ、マリアは壁の柱まで吹き飛ぶ。

 

「・・・・・・」

 

「マリアっ!!!」

 

アルバフィカは自分の身体の事を省みず、吹き飛んだマリアを受け止めて地面に横たわらせると、小宇宙<コスモ>を流して治療を行う。

 

「ウヒヒヒヒヒヒ、イヤァヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!! 失敗作の贋作女がぁ! 化け物女を庇うとは! とんだお笑いだなぁ!!!アヒャハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

「いい加減にしろよ・・・!」

 

「ハァ? グギャビッ!!!」

 

金切り声で耳障りな笑いを上げるウェルの眼前に無表情のレグルスが現れ、晒された顔面に拳を深く叩きつける!

 

「ギベラァアッッ!!!」

 

殴り飛ばされたウェルは鼻血と口の中を切ったのか血を吐き出しながら、壁に叩きつけられる。

 

 

ー響sideー

 

響はアルバフィカの元へ走った。

 

「アルバフィカさん! マリアさんは!?」

 

「ウェルが遊びでの攻撃だったから致命傷には至ってはいないが、戦闘ができる状態ではない・・・!」

 

アルバフィカの治療を受けているマリアは、響に目を向ける。

 

「“融合症例”・・・嫌、立花響だったかしら・・・?」

 

「はい!」

 

「不思議ね・・・今更人助けをするだなんて・・・本当に私は、“中途半端”で・・・・・!」

 

「それで良いんだマリア。セレナが大好きだったのは、“悪者のマリア”ではない、“優しいマリア姉さん”なのだからな・・・」

 

悔しさを滲ませるマリアにアルバフィカが優しく諭した。

 

「・・・そうかもしれないわね・・・」

 

フッと笑顔を浮かべるマリアは首から下げていた“ガングニールのペンダント”を引きちぎり、振るえる手で響に渡そうとする。

 

「これ、を・・・・・」

 

「ガングニール。でもこれはマリアさんの・・・」

 

「戦えない私よりも、貴女が持っていた方が良い・・・!」

 

「マリアさん・・・」

 

「貴女は、彼らに・・・“黄金の英雄達”に認められている。もしかしたら、この力を持つ事ができるかもしれない・・・!」

 

「・・・・・」

 

「お願い・・・!」

 

「頼む・・・!」

 

「(コクンッッ!!)」

 

響はマリアの手を握ると力強く頷いた。

 

 

ーレグルスsideー

 

「はひ! はひ! はひひぃいいいいいっ!!!」

 

殴られた顔を押さえながらウェルは惨めに悲鳴を上げる(因みにその惨めな姿は全世界に放送されている)。

 

「・・・・・そうか、思い出した」

 

「ふひゃひぃッッ!!!」

 

ウェルの近くに来たレグルスの“威圧感”に、ウェルは以前に浴びた恐怖を思い出し、顔を醜悪に歪めて尻餅を付いて後ずさる。

 

「マニゴルド達に言われてから、中々思い出せなかったけど。そうか、あの時<カ・ディンギルでの戦い>、響の腕を噛み千切ったヤツ<ネフェリム>の近くで、なんか五月蝿く喚いていたヤツか・・・!」

 

「アァアッ! アァッ・・・!」

 

「あの時も言ったけど・・・お前、さっきから煩いよ・・・!!」

 

「フギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

まるで“獅子の威圧感”により、追い詰められたネズミのように錯乱したウェルは、背中の腕を乱雑に振り回してレグルスを攻撃するが、レグルスは余裕に回避していた。

 

「来るな! 来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなあああああああああああッッッッ!!!!!!」

 

如何に冥界の鎧をその身に纏っても、根は『“覚悟”も無く、“力”を得ただけの子供』、自分が優位な立場で無ければ戦う事が出来ないウェルは、錯乱した子供のような攻撃をするが、レグルスはまるで相手にしていないのか苦もなくかわしていると、レグルスの瞳に響が映った。

 

「(響、歌うか・・・?)」

 

 

 

ー響sideー

 

マリアから託された“ガングニールのペンダント”を握りしめ、響は歌う、“戦いの唄”を!

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!」

 

ガングニールのペンダントが光輝くと衣服が弾け、響の身体をマリアの時は黒かった鎧が、響のメインカラーである橙色に変わり、その身に装着された。

 

本来は、『北欧神話の主神 オーディーン』が振るったとされる『槍』だが、“誰かと手を繋ぎたい”と願う響の想いに呼応した。橙色に輝く響のシンフォギア!

 

「『撃槍 ガングニール』だーーーーーーッ!!!』」

 

 

 

 

ー弓美sideー

 

“ガングニール”を纏う響の姿は、全世界に放送され、その姿は弓美達も見ていた。

 

「ビッキー・・・!」

 

「やっぱり立花さんの・・・!」

 

「人助け・・・!」

 

友の勇姿に誇らしげに微笑む弓美達。

 

 

 

ー響sideー

 

「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!! こ、こんな所で!! やっとスーパーパワーを手に入れたのにッッ!!! こんな所で、終わるかぁアアアアアアアアアッッ!!!!」

 

レグルスだけではなく、もう一人の化け物(ウェルの被害妄想で認定)である響の復活に、更に錯乱したウェルは惨めに這いつくばって逃げようと、左腕を遺跡の床に叩きつけると、床から小さな穴が現れた。

 

「あっ!」

 

「逃げるかっ!」

 

「うっ・・・」

 

「マリアっ!」

 

「アルバフィカさん、マリアさんをお願いします!」

 

「待てこの悪党!!」

 

「来るなアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

マリアをアルバフィカに任せ、逃げようとするウェルを追おうとするレグルスと響に冥衣の腕が襲うが回避する。出入り口から弦十郎と緒川がやって来た。

 

「ウェル博士っ!」

 

「捕まって溜まるかっ!!」

 

往生際悪く、ウェルは開いた穴から下に逃げ、穴は直ぐに閉じてしまった。

 

「くっ!」

 

「響さん! そのシンフォギアはっ!?」

 

「マリアさんの“ガングニール”が、私の歌に答えてくれたんです!」

 

ズシイィィン!!

 

突然、『FRONTIER』全体が大きく揺れた。

 

「なんだっ!?」

 

「ウェルめ、今度は何をするつもりだっ!」

 

『FRONTIER』が大気圏を越えようとしていた。

 

 

ーアスミタsideー

 

「響・・・・・!」

 

「まさかマリア・カデンツァヴナ・イヴのガングニールを、響ちゃんが纏う事が出来るなんて・・・!」

 

響の起こした“奇跡”に、ブリッジにいる全員が見つめていた。が、そうではなかった人物が一人。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「アスミタさん・・・・・」

 

ウェルが冥衣を纏った姿を見てから、他の人間達には気付かない位に、僅かに渋面を浮かべるアスミタに未来だけが気付いていた。

 

ズシイィィン!!

 

『っ!?』

 

『FRONTIE』の地響きが起き、友里達は分析を始めた。

 

「重力場の異常を検測!」

 

「『FRONTIER』、上昇をしつつ移動を開始!」

 

『FRONTIER』の異常を聞いたアスミタはブリッジから戦場に転移しようとするが、未来がマントの端を掴み、友里達に聴こえないように小声で話す。

 

「待って下さい、私も・・・・・!」

 

「良いのか? これから私は聖闘士としての“務め”を果たすつもりだ。見たくないモノや危険が待っているぞ?」

 

一応だが、ハーデスの冥闘士が現れたと言う事は、アテナの聖闘士として、戦地に赴こうとするアスミタに付いて行こうとする未来に忠告する。

 

「それでも、私も行きたいんです。もう待ってるだけはイヤなんです・・・!」

 

「(この眼・・・アテナ様に似ている) 良いだろう。しかし、勝手な行動は慎むのだぞ・・・」

 

「はいっ!」

 

パァッと笑顔になる未来と転移しようとするアスミタ。

 

「未来ちゃんっ!?」

 

「何処へっ?!」

 

漸く気づいた友里と藤尭が停める間もなく二人は転移した。

 

 

 

 

ーレグルスsideー

 

「何が起こったんだ・・・?」

 

「今のウェルは、左腕を『FRONTIER』に繋げる事で、意のままに制御できる・・・」

 

アルバフィカの治療を受けているマリアは息絶え絶えながら答える。

 

 

 

 

ーウェルsideー

 

冥衣を纏ったウェルは通路に沿ってヨロヨロと歩き、左腕で壁に設置されたシステムを起動させていた。

 

「“ソロモンの杖”が無くとも、僕にはこの“冥衣”と『FRONTIER』がある・・・! 邪魔する奴等は、重力波にて、足元からひっぺがしてやる・・・! そうさ、あんな“遺物”共に・・・! あんな“異分子”共なんかに・・・!新世界のニューヒーローであるこの僕の、この僕の壮大かつ崇高なストーリーを汚されて溜まるか・・・!!」

 

 

 

ーマリアsideー

 

「『FRONTIER』の動力は、“ネフェリムの心臓”。それを停止させれば、ウェルの暴挙も止められる・・・! お願い、戦う事が出来ない私に変わって・・・お願い・・・!」

 

悲痛なマリアに、響は能天気な声を掛ける。

 

「調ちゃんにも頼まれてるんだ」

 

「っ・・・」

 

「“マリアさんを助けて”って。だから、心配しないで♪」

 

「それに、マニゴルドが先にウェルを見つけたら大変だしな・・・」

 

「レグルス、あのゴロツキ蟹は何を言ってきたんだ?」

 

「協力する条件として、“マリア達の身の安全と自由の保証”。そして、“ウェルの生殺与奪に邪魔をせず、口を挟まない事”、だよ♪」

 

「えっ・・・!」

 

「成る程」

 

マニゴルドが出した“3つ目の条件”は、“人命優先”・“罪を憎んで人を憎まず”な二課の大義名分に、盛大に喧嘩を売る内容だった。

 

「まぁ正直、オレもエルシドもデジェルも、ウェルを処刑する事には何の異論は無いんだけどさ。流石に公僕である二課の皆にとっては容認できるモノじゃないからね。そこで、マニゴルドと“競争”する事にしたんだ」

 

「「“競争”・・・?」」

 

レグルスの後を弦十郎が引き継ぐ。

 

「マニゴルドが先にウェル博士を確保したら、煮るなり焼くなり捌くなり好きにして良い。だが俺達か翼達がウェル博士を確保したら、お上の裁きに任せるってな・・・」

 

「そ、そうなの・・・・・」

 

「(だとすれば私はマニゴルドの側に付いた方が、都合が良いかもしれんな・・・・・)」

 

ズガアアアアアアアアアンッッ!!

 

『っ!?』

 

四人が目を向けると、ウェルが逃げた床を弦十郎が拳で破壊した。

 

「師匠!」

 

「ウェル博士の追跡は、俺達に任せろ! だから響君とレグルス君は・・・」

 

「“ネフェリムの心臓”を・・・!」

 

「停めます!!」

 

「(コクン) 行くぞ、緒川!」

 

「はい!」

 

弦十郎と緒川はウェルの後を追った。

 

「待ってて、ちょっと行ってくるから!」

 

「アルバフィカ、お前はどうする?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「アルバフィカ、行って・・・」

 

「マリア・・・」

 

「ウェルが冥闘士の力を悪用するなら、貴方は聖闘士としての本懐を果たして・・・」

 

「了解した・・・!」

 

アルバフィカは弦十郎達を追い、レグルスと響は区画にある吹き抜けから、外に飛び出した!

 

 

既に重力の影響がほとんど無くなり、浮かび上がっている残骸は飛び越える二人が地面に着地すると、エルシドと翼、“ソロモンの杖”を持つクリスとデジェルの四人と合流した。

 

「翼さん! クリスちゃん!」

 

「エルシド! デジェル!」

 

「立花・・・!」

 

「もう遅れは取りません、だから!」

 

「あぁ、一緒に戦うぞ!」

 

「はいっ! あっ!」

 

響はクリスが“ソロモンの杖”を持っていることに気づいた。

 

「やったねクリスちゃん! きっと取り戻して帰ってくるって信じてた!」

 

「アタシが、取り戻した訳じゃない。それにこんなモノの為に、蠍座<スコーピオン>が・・・・・・!」

 

「あっ、カルディアさん・・・」

 

「・・・・・あの男は、間違いない無く“戦士”であった、おそらく我々奏者よりもな・・・」

 

カルディアが死んだ事を思い出し、少し気落ちする奏者達。

 

「カルディアの死を悼むのは後にしておけ・・・」

 

「今私達のやるべき事は、『FRONTIER』を操る“ネフェリムの心臓”の停止だ・・・」

 

「「「・・・・・っ!」」」

 

エルシドとデジェルの言葉で、奏者達は気持ちを切り替える。

 

ビビッ!

 

『っ!?』

 

全員の通信機から弦十郎の通信が届いた。

 

《本部の解析にて、高質量のエネルギーを検知した! おそらくあそこが、『FRONTIER』の炉心、“心臓部”に違いない! 聖闘士達と奏者達は、本部からの支援情報に従って急行せよ!》

 

「行くぞッ! この場に“黄金”と、“槍”と“弓”にそして、“剣”を携えているのは我々だけだ!」

 

六人は、炉心がある“心臓部”に向かった!

 

 

 

ーマリアsideー

 

傷も回復し、起き上がるマリアの目の前で、“光”が現れた。

 

「っ! 貴方達は・・・・・!」

 

其処に現れたのは、乙女座<ヴァルゴ>のアスミタと小日向未来だった。

 

「マリアさん・・・!」

 

「・・・・・」

 

「何をしに来たの? 小日向未来は兎も角、ヴァルゴ、貴方は・・・」

 

「何、少し迷いの中にいる君に、道を示してやろうと思ってな・・・」

 

「道・・・?」

 

意味が分からないと言いたげのマリアを無視して、アスミタは座禅を組む、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

小宇宙<コスモ>を高め、アスミタの全身を“黄金の光”が包むと、“少女”の声が響いた。

 

[姉さん・・・]

 

「っ!?」

 

マリアの耳に、聞き覚えが、嫌忘れる筈の無い“少女”の声にアスミタの頭上を見上げると。

 

「あっ・・・あぁっ・・・」

 

マリアの瞳に涙が浮かんだ。

 

[マリア姉さん・・・!]

 

その“少女”は、マリアがずっと想い、1日たりとも忘れた事が無かった“大切な妹”。

 

「セレナっ・・・!!」

 

“セレナ・カデンツァヴナ・イヴ”だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回でウェル博士に天誅をかましたいです!
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