聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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今回は本編でレグルスが編入時の直後のストーリーです。


絶唱しないシリーズ2 若獅子の学園生活 執行人の報酬

これは、『フロンティア事変』が終わり、獅子座<レオ>のレグルスが弦十郎から“勝手な行動”のケジメとしてリディアン音楽院で学園生活を過ごす日々の記録。

そして、“死刑執行人”の名を持つ蟹座<キャンサー>のマニゴルドがマリア達と協力していた時の報酬の話である。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

レグルスが編入して、ホームルームが終わり休み時間になると、レグルスは多くのクラスメート達に囲まれ、色々と質問をされていたが、レグルスは嫌な顔一つせずに受け答えをしていた。

 

「ねぇねぇ! 獅子堂君って何処の国から来たの!?」

 

「色々な国を転々としてたよ」

 

「じゃぁさ、英語とか喋れるの!?」

 

「え~と、英語だけじゃなくて、中国語にフランス語、ロシア語にドイツ語にイタリア語、ポルトガル語にアラビア語、スペイン語はちょっとうろ覚えだね」

 

『凄ぉぉぉぉぉい!!』

 

世界中の国々に赴いて任務をこなす聖闘士にとって、あらゆる国の言語を学ぶのは必要必須。この世界に来て直ぐに、数百年の年月が流れて言語が少し代わったので勉強したのだ。

 

ワイワイ、ざわざわ、ワイワイ、ざわざわ・・・

 

更に何処で嗅ぎ付けたか上級生達も廊下からレグルスを眺めていた。その様子を立花響と小日向未来の席から眺めている板場弓美、寺島詩織、安藤創世。ちなみにレグルスがいる席は教室の真ん中。

 

「イヤ~、“天然美少年系ヒーロー”ってアニメの世界だけだと思っていたわ~・・・」

 

「すっかり学院の注目の的ですね」

 

「ところでビッキーとヒナは何してるの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」(ススススススススススススス)

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」(ススススススススススススス)

 

一心不乱にスマホを操作してレグルスが編入した事を三年の風鳴翼と二年の雪音クリスにメールで報告した。

 

すると・・・・・・・・・。

 

「何ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッ!!??」

 

「マジかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!??」

 

リディアン全体に響く程の翼とクリスの驚愕の雄叫びが響くと。

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド×2

 

バタンッッ!!×2

 

激しい地響きと共に教室の前と後ろの扉が突然開かれ、青い髪をサイドテールにした風鳴翼と銀色の髪をツーテールにした雪音クリスが響達の教室に乗り込んで来て。

 

「おっ、よぉ! 翼にクリス!」

 

「「本当にいた・・・」」

 

暢気に手を振るレグルスを見て翼とクリスは頭をカクンと下げて、響の方に近づき耳打ちする。

 

「(どういう事だ立花、これは!?)」

 

「(何でここにレグルスがいんだよ!?)」

 

「(えぇ~、私だって分からないよ・・・!)」

 

ヒソヒソ話を繰り広げる響と翼とクリスだが、休み時間終了のチャイムが鳴る。

 

キーンコーン、カーンコーン・・・

 

「ハイハイ、皆さん! もうチャイムは鳴りましたよ! 教室に戻る!」

 

先生がやって来てクラスメートは自席に戻り、廊下にいた生徒も教室に戻り始めるが、翼とクリスは。

 

「(立花、昼休みにレグルスを引っ張って来てくれ!)」

 

「(そこで問い詰める!)」

 

「(了解しました!)」

 

奏者達をレグルスはニコニコと微笑ましく見つめていた。

 

 

~授業~

 

授業態度はこれといって問題無く受けていた。

 

「獅子堂君、この方程式の答えは?」

 

「えっと、X=38、Y=43です!」

 

「正解です」

 

「(ヒソヒソ)レグルス君って勉強できたの・・・?」

 

「(ヒソヒソ)そういえば『フロンティア事変』の後、デジェルさんと友里さんに勉強教えてもらっていたような」

 

数学はギリギリある程度の理解はできていたが、現代文の授業は良く分からず、外国人だからと何とか誤魔化せた。ちなみに英語はコミュニケーションは完璧だったが、文法が良く分からないようだった。

 

 

~体育~

 

体育の授業は他のクラスが合同で行い、種目は“サッカー”であった。

 

「ついに、この時が来た・・・!」

 

「響、分かっているよね・・・!」

 

「うん!」

 

「「レグルス君!!」」

 

「何?」

 

「「お願いだから手加減してね!!」」

 

「う、うん・・・」

 

聖闘士は常人を圧倒的に越えた運動神経と身体能力を有しているため、その気になればあらゆる大会やオリンピックで金メダルやトロフィーを飽きるほど手に入れる事ができるのだ。しかも黄金聖闘士であるレグルスが蹴ったボールなど、某小学生名探偵のキック力増強シュート以上の破壊力を生み出すので、普通の女の子が受けたら五体がバラバラになりかねない。

 

そして響と未来から切実にお願いされたレグルスはフリーキックのキーパー役をやる事になったが。

 

「はっ! よっ! ほっ! それっ! こらさっ! なんのっ! あらよっと!」

 

プロのサッカー選手顔負けのアクロバティックな動きで、次々とシュートされるボールをキャッチしていく。

 

「獅子堂君、凄~~い!」

 

「カッコいい~!」

 

「う~~ん、うちの部<サッカー部>にスカウトしたいわ・・・!」

 

「「(ハラハラハラハラ・・・!)」」

 

クラスメートと他のクラスの生徒達から黄色い声援を浴びるレグルス。レグルスがやり過ぎないか気が気じゃない響と未来。そしてレグルスがシュートをする出番が来た。

 

「キーパー役は誰がやりますか?」

 

「先生! 私がやります!!」

 

「立花さんが? 分かりました・・・」

 

「(ヒソヒソ)レグルス君! 手加減してね! 絶対に手加減してね!!」

 

「分かってるよ未来♪」

 

他の人にやらせる訳にはいかないから響がキーパー役を務め、未来は必死にレグルスに手加減するように懇願していた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

レグルスはボールを前に瞑目し集中する。そのあまりに静謐した佇まいに誰もが息を呑む。

 

「(スッ) はぁっ!」

 

レグルスの蹴ったボールは真っ直ぐに響のいるゴールに向かう!

 

「っ!」

 

響は足を開いて腰を落とし、ボールを捕らえようとするが、突如目の前に迫ったボールがカクンと下に落ちて、響の開いた足の間をすり抜けてボールネットに包まれた!

 

「よしっ!」

 

『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』

 

見事なゴールを決めて小さくガッツしたレグルスに女子生徒達が歓声を上げた。

 

 

 

 

 

~昼休み~

 

「「(ズ~~~~~~~ン・・・・・・)」」

 

昼休みなり、屋上まで何とかレグルスを連行してきた響と未来は項垂れ、そこには翼とクリスだけでなく弓美に詩織に創世も来ていた。

 

「何故立花と小日向は疲れているのだ?」

 

「何があった・・・?」

 

「イヤ~レグルス君が体育の授業で大活躍しちゃって・・・」

 

「それで昼休みに一緒にご飯食べようとクラスメートや他のクラスの子達が殺到しちゃって・・・」

 

「なるほど、そのレグルスを連れだすのに相当骨を折ったようだな・・・」

 

「お疲れさん・・・」

 

そして当のレグルスは弓美達と会話していた。

 

「こうやってちゃんと話すのって初めてだよな? 改めて俺はレグルス、獅子座<レオ>のレグルスだ。学校では“レグルス・L・獅子堂”って名乗っている。よろしくな!」

 

「アタシ板場弓美。よろしくね!」

 

「私は安藤創世、本当にこうして会うの初めてだよね」

 

「寺島詩織と言います。こちらこそよろしくお願いいたします、レグルス君」

 

「へへへ、可笑しな話だよなぁ・・・」

 

「「「えっ?」」」

 

「俺達ってさ。“ルナアタック”の頃からの顔見知りだったけど、こうして顔合わせて、“お互いの名前”を知ったのが今日“初めて”なんてさ・・・」

 

「そう言えばそうですね・・・」

 

「ビッキー達からは聞いてたけど、こうやって話すのって初めてだもんね」

 

「ウーン、こんなやり取りアニメの中だけだと思ってたわ~」

 

「ハハハ」

 

「「「フフフフフフ・・・」」」

 

『アハハハハハハハハ・・・』

 

可笑しくなったのかレグルスは弓美達と和気藹々と和やかに笑い合っていた。

 

「こっちは、突然レグルスが編入してきて慌ててるって言うのにあの野郎は・・・!」

 

「雪音、気持ちは分かるが落ち着け・・・!」

 

張っ倒してやろうかと拳を挙げるクリスを翼が羽織い絞めして押さえる。

 

「ム~~~~~~!」

 

「響、押さえて押さえて・・・」

 

弓美達と仲良く笑い合うレグルスを見てむくれる響を宥める未来。

 

「それで、どうしてレグルス君がウチの学院に編入して来たんですか?」

 

「あぁ、先程叔父様に連絡をしたのだが・・・」

 

「アタシもデジェル兄ぃに連絡したんだけどよ・・・」

 

 

ー数時間前・翼&クリスsideー

 

「叔父様! これはどういう事ですか!?」

 

《あぁ、スマンな。実は以前からレグルス君をリディアンに編入させたいと思っていたのだが、シジフォスの事もあるから断念していたのだ》

 

レグルスは『ルナアタック』が終結して直ぐに叔父である射手座<サジタリアス>のシジフォスの捜索に旅立ってしまった。

 

《だが、今はエルシドの他にアスミタやアルバフィカも冥衣の探索と平行して、シジフォスの捜索をしてくれているからな》

 

「・・・・・これを機にレグルスに“平凡な日常”を体験させて、あわよくばこのまま“日常”に生きて貰おうと言う訳ですか?」

 

《その通りだ。お前やクリス君も、今そこの“日常”がどれ程大切かは自分が一番理解しているだろう?》

 

「はい・・・」

 

“戦いの無い平和な日常”、“防人”として青春の大半を自らの鍛練に費やして来た翼と、幼い頃に“この世の地獄”を経験して来たクリスも“平和な日常”を通して“穏やかな生活”を知った。

 

「お兄ちゃん! これどういう事?!」

 

《良い機会だとおもってね》

 

「良い機会?」

 

《レグルスは生まれてから10年以上の月日を人の寄り付かない森の中で過ごし、迎えに来たシジフォスと共に聖域<サンクチュアリ>に来たが、聖域は俗世から離れ、聖闘士を育成する場所で有ったが故に“平和な日常”を知らずに育った。私やエルシド達は肉体が若返りそれなりの“平和”を知る事が出来たが、レグルスは聖戦での戦いの直後にこちらに来たからな。これを機に“日常”を知って貰おうと思ったのだ》

 

「それでレグルスが、戦いから離れる事になったらどうするの?」

 

《・・・・・・・・そればかりは、レグルスの“気持ち”次第だろう》

 

“平和な日常”を知ったレグルスが、“聖闘士としての人生”よりも“一人の少年としての人生”を歩み始めるのでは無いかとクリスは懸念する。

 

「叔父様、レグルスが“戦いから身を引く”事になったらどうしますか?」

 

翼もクリスと同じ懸念を弦十郎に聞く。

 

《そうなったら、俺がレグルス君の保護者役になるさ。彼が、“穏やかな日々”を望むならな・・・》

 

デジェルと弦十郎はレグルスの“意志”を尊重するつもりだった。

 

 

~現在~

 

「レグルス君に、“平和な日々”を経験させる・・・」

 

「そうすれば、レグルス君が“戦い”をやめてくれるかも知れないんですね!」

 

未来と響は弓美達と楽しく会話し、弓美からアニメの動画を見せてもらって笑っているレグルスの姿を見る。

 

「レグルスは幼き頃、それも雪音よりも幼き頃にたった一人の肉親である父上を目の前で冥闘士に殺され、それから孤独な少年時代を送ってきた・・・」

 

「それも父親を殺したヤツへの“復讐”を誓ってな・・・」

 

「レグルス君が、“穏やかな世界”で生きて欲しいね」

 

「うん・・・!」

 

響達のレグルスを見つめるその目は、どこか悲しそうだった。

 

 

~午後の授業~

 

午後の授業は“音楽”だった。そして、弓美が何を思ったか。

 

「先生! レグルス君に歌を歌って貰おうと思います!」

 

「およ?」

 

弓美の意見にクラスの大半(響と未来と詩織と創世以外)が賛成し、先生も了承してその時間はレグルスの歌が響いた。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

「何か何処かで聞いた事が有るような・・・?」

 

「歌の選曲は弓美に任されているから、多分アニメの歌だろうね・・・」

 

「ですがとても爽やかでナイスな歌声ですね」

 

「しかもレグルス君、歌上手すぎ! 翼さんにも匹敵するかも!」

 

それから弓美の選曲(アニソンのみ)で『勇○100○』や『君が○きだと○びたい』や『D○ND○N心○かれてく』や『シュ○ーソン○とビタ○ス○ップ』等の歌を歌い、その授業はレグルスのオンステージになっていた。

 

 

 

~放課後~

 

弓美達を含んだクラスメート達から、歓迎パーティーをしないかと誘われたが、用事が有ると言って響と未来、そして昇降口で待っていた翼やクリスと合流した一同はそのまま校舎を出ると、校門に人だかりができており、翼はクラスメートを見つけて話しかける。

 

「何かあったのか?」

 

「あっ、風鳴さん。何かスッゴい美形のお兄さんと、ガラの悪い人達がいるの!」

 

一同が校門を見ると、いつものスーツ姿のデジェルと革ジャンにサングラスを付けたガラの悪い格好で“アタッシュケース”を持ったマニゴルドと、マニゴルドと同じようにガラの悪い格好で林檎をかじるカルディアがいた。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「デジェルにマニゴルドにカルディア、お待たせ」

 

レグルスが三人に手を振ると、デジェルがレグルス達に近づく。

 

「すまないが皆、これから直ぐに私とクリスのマンションに来てくれ」

 

「デジェル兄ぃ、どういう事? それに蟹座<キャンサー>やカルディアまで・・・」

 

正直響達は未だにマニゴルドに対して余り良い感情を抱いてない。アルバフィカはその“気高き誇り”を見せ、カルディアの奏者達をも上回る戦士としての“生き様”は悔しいが認めざる得ないが、マニゴルドはマリア達の為とは言え“交換条件”を出して来たり、善意優先で他人を信じなかったり、悪人とは言え命を奪う姿勢は、奏者達に良い感情を抱かせなかった。

 

「・・・ふぁ~あ」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

マニゴルドは奏者達からの厳しい目線など何処吹く風な態度で退屈そうに欠伸をし、それが更に奏者達の目をきつくした。

 

「まぁまぁ皆、此処に居ても仕方ないし、とりあえずデジェル達のマンションに行こうぜ」

 

レグルスに宥められ、響達は渋々一緒にデジェルとクリスが同棲しているマンションに赴いた。

 

 

 

 

ーデジェルとクリスのマンションー

 

リビングのテーブルにマニゴルドが持っていた“アタッシュケース”を置く。

 

「マニゴルド、このアタッシュケースがそれなのか?」

 

「あぁ、俺がFISに協力していた“報酬”だよ。マリアがナスターシャの婆さんから聞いて、俺への“報酬”を隠していた貸金庫から持って来たんだよ」

 

「“報酬”目当てでお前はFISに協力していたのか?」

 

「当たり前だろうが、俺はお前ら二課の連中やレグルス達みたいに無償で働くのを喜ぶ慈善屋じゃないんだよ。貰うモン貰って行動するギブ&テイク大好き男なんでね」

 

マニゴルドの言い様に更に目が厳しくなる響達。

 

「それで、このアタッシュケースには何が入ってるの?」

 

「ま、俺達聖闘士にとって関係有るモンだよ」

 

マニゴルドがアタッシュケースを開けると、その中には。

 

“五つのドックタグ”と“三つのブローチ”が入っていた。

 

「これって・・・聖衣ブローチ?!」

 

『フロンティア事変』で“琴座<ライラ>の白銀聖衣”を纏った未来は、三つのブローチが白銀聖衣が宿る聖衣ブローチだと見抜いた。

 

「えっ!? じゃこのドックタグって・・・」

 

「このドックタグには、青銅聖衣<ブロンズクロス>が宿っている」

 

『えっ!?』

 

デジェルの言葉に響達は聖衣ドックタグや聖衣ブローチに刻まれた星座の軌跡を見る。レグルスが何の星座であるか察した。

 

「このドックタグに刻まれてるのは、“仔馬座<エクレウス>”、“冠座<ノーザンクラウン>”、“こぐま座<ウルサミノル>”、“ウサギ座<レプス>”。響とクリス、切歌と調の“守護星座”の青銅聖衣だ・・・!」

 

「えぇえっ!!?」

 

「アタシ達の守護星座・・・!」

 

響が仔馬座の聖衣タグをクリスは冠座の聖衣タグを持って見つめる。

 

「では、小日向の琴座の聖衣ブローチと同じこれは・・・!」

 

「そうだ。翼、君の守護星座、“鶴座<クレイン>”とマリア・カデンツァヴナ・イヴの守護星座、“カシオペア座”、そして今は亡き天羽奏の“鷲座<イーグル>”の白銀聖衣ブローチだ」

 

デジェルからの答えを聞いて、翼も自分の守護星座の聖衣ブローチと奏の聖衣ブローチを持って見つめる。

 

「これが、私と奏の守護星座・・・!」

 

「次いでに言うと、残った聖衣タグはマリアの亡き妹、セレナ・カデンツァヴナ・イヴの守護星座、“いるか座<ドルフィン>”の青銅聖衣タグだ」

 

カルディアはいるか座の聖衣タグをマジマジと眺めながら説明した。

 

「これが、マニゴルドがFISに協力していた“報酬”なのか・・・?」

 

「そうだ、FISのナスターシャ教授はマニゴルド達黄金聖闘士と接触してすぐ、これまでFISが集めていた聖遺物から発見し、米国政府にも秘密裏に回収していた青銅聖衣タグと白銀聖衣ブローチを貸金庫に保管し、マニゴルドへの“報酬”にしたと言う訳だ」

 

「じゃマニゴルドさんは、聖衣を取り戻す為にFISに協力していたんですね!」

 

響の問いにマニゴルドはソッポを向く。

 

「フン。如何に別世界の地球とは言え、聖衣は俺達聖闘士の“魂”って言っても良いからな。米国のヤツらやどこぞの道化<ウェル>のようなバカに利用されちまえば、あの世の聖闘士達が化けて出てくるかも知れねぇからな」

 

ぶっきらぼうに言ってはいるが、シンフォギア世界の聖闘士達の為に行動している事を理解し、奏者達はマニゴルドを少し見直した。

 

「それで、この青銅聖衣タグと白銀聖衣ブローチはどうするんですか?」

 

「恐らく我々の黄金聖衣レリーフと琴座の白銀聖衣ブローチと同じように、風鳴司令に預かって貰うしか無いだろうな」

 

「んじゃそっちのゴタゴタはデジェルに任せたわ」

 

「俺はこれから警備員のバイトがあるからこれで・・・」

 

マニゴルドはフリーのジャーナリストの仕事へ、カルディアは警備員のバイトへ出掛けた。

 

「マニゴルドさん、ジャーナリストの仕事って言ってるけどどんな仕事なんですか?」

 

「あぁ、暴力団との黒い繋がりや汚職に手を染めた政治家達の情報を収集したりしているんだ」

 

「ンな事して大丈夫なのかよ?」

 

「マニゴルドはあの容姿だからな、“裏社会”へは自然に溶け込めるんだ」

 

成る程と納得する響達。

 

「マニゴルドもカルディアも、真面目に働いているみたいだな・・・」

 

「今は収容所にいる暁切歌と月読調、それにマリア・カデンツァヴナ・イヴがいつ帰って来ても良いようにな・・・」

 

働きに行く二人の後ろ姿をレグルスとデジェルは何処か微笑ましそうに見ていた。

 

 

 

ーマリア・切歌・調ー

 

その頃、収容所にいるFIS側の奏者達は。

 

「・・・・・・暇デスね」

 

「マニゴルドとカルディアは釈放されて働いているようだよ・・・」

 

「早く会いたいデスね・・・」

 

「うん・・・でもマリアは」

 

「デェス・・・」

 

「何で何も言わずに旅に出たのよアルバフィカ・・・大切な旅だって事は分かるけど、せめて何か一言位言いに来てくれても罰は当たらないでしょうに・・・」(ズーーーーーーン)

 

「マリア・・・」

 

「重症デスな・・・」

 

収容所で暇を持て余しまくっていた金色の短髪にバッテンのヘアピンを付けた暁切歌と艶やかな黒髪をツインテールにした月読調は、何も言わずに旅に出てしまったアルバフィカに対して不貞腐れている、桃色の長髪に猫耳のようなヘアスタイルをしたマリア・カデンツァヴナ・イヴを不憫そうに眺めていた。

 

 




ー捕捉ー

今更ですが、原作聖闘士星矢LOSで白銀聖衣の待機状態無かったので“ブローチ”にしました。

黄金聖衣:レリーフ

白銀聖衣:ブローチ

青銅聖衣:ドックタグ

冥衣:黒い宝玉

こんな感じです。
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