聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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新年明けましておめでとうごじゃりまする!!

今年も『聖姫絶唱セイントシンフォギア』をよろしくお願いいたしまする!


平和な日々の裏で・・・

ーS.O.N.G.オペレーターsideー

 

レグルス達が学校に登校している頃、『国連超常災害対策起動部タスクフォース S.O.N.G.』は今のところ平和を満喫していた。

オペレーターの“藤尭朔也”が、これまで各国各地で行われたシンフォギア奏者達によるを救助活動の記録を確認していた。

 

「はい、温かいものどうぞ」

 

「温かいものどうも、珍しいね」

 

「一言余計よ」

 

確認作業をしていた藤尭に、同じくオペレーターの“友里あおい”がコーヒーを渡した。

 

「“シャトルに救出任務”から3ヶ月経つのね・・・」

 

「あの事件<フロンティア事変>の後、二課は国連直轄のS.O.N.G.として再編成され、今は世界各国に起こった災害救助が主だった任務だ。まあそれはあくまでも表向きだけどね」

 

「国連は、“聖闘士”の皆を国連の戦力として引き抜きたいと思っているのと同時に、彼らを自分たちの目の届く所に置いてあわよくば封印しようと思っている・・・」

 

「これまでの事件<ルナアタック事変・フロンティア事変>。聖闘士の皆が居なければどうにもならなかった事態があったと言うのに、都合の良いときは頼って、都合の悪いときは監視に封印とか・・・非道い話だ」

 

「聖闘士の皆が、国連に恭順な態度を取っていれば、国連の監視が付きまとう事も少しは収まると思うけど」

 

「了承すると思うかい? 彼等らが・・・?」

 

「無理でしょうね」

 

彼等黄金聖闘士の“主”は『戦女神アテナ』であり、国連ではない、エルシドはそれほど世渡り上手ではないし、マニゴルドとカルディアは誰かに簡単に従う性格でもない、誇り高いアルバフィカは勿論、アスミタも絶対に従わない、レグルスも自由奔放な性格で好きでもないヤツに従う事はない、デジェルならある程度の理解は持ってくれるが、従う事は断じて無い。

 

「戦闘力もさることながら、それぞれが強烈に我の強い性格をした黄金聖闘士が、国連のお偉いさんに頭を垂れる筈がないよな」

 

「響ちゃん達と違って、あの人達には世の流れに囚われず、“己を貫く力と意志”が有るからね」

 

「そこら辺が響ちゃん達との決定的な違いだね、何とか定年まで給料貰えたら万々歳なんだけど・・・」

 

すると、突然指令室が暗くなり、警戒警報が鳴り響く!

 

「「っ!!」」

 

藤尭と友里がメインモニターに目を向けると『ALERT』と表示された地点が映し出されていた、友里は自分の席に戻り索的を行う。

 

「横浜港付近に未確認の反応を検知!」

 

しかし、すぐに警報が止み、『ALERT』と表示されたモニターが『LOST』と表示された。

 

「消失・・・? 急ぎ、司令に連絡を!」

 

「了解!」

 

友里は風鳴弦十郎へと連絡を始めた。

 

 

 

ー風鳴弦十郎sideー

 

その頃、S.O.N.G.司令風鳴弦十郎は、『ルナアタック事変』以降から造られた、風鳴邸の『地下保管庫』に来ていた。地下約数百メートルをエレベーターで降り、長い通路に何重にもある隔壁と、各隔壁に掛けられた指紋、声紋、網膜スキャン、暗証番号とカードキーでロックを解除し、奥深くへと歩いて行くと、一際大きく厳重なロックが掛けられた扉があった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

弦十郎は少し面倒と思いながらも、数十桁の暗証番号を数秒で打ち込み、同じように指紋と声紋と網膜スキャンやその他諸々のロックを解除して扉が開くと、扉の向こう側は暗い闇が広がった空間の中に入っていった。

弦十郎が少し歩くと天井が、プラネタリウムのように星光が拡がり、床の一部が光り、“2つの大きな台座”と“12の小さな台座”が照らされ、弦十郎は“2つの大きな台座”に近づいた。

 

「エルシドが回収した『蜥蜴座<リザード>の白銀聖衣』と、アルバフィカが回収した『カメレオン星座の青銅聖衣』・・・」

 

2つの大きな台座に置かれたのは、聖闘士達の身を守る為に“戦女神アテナ”が造った星座の鎧、『完全聖遺物 青銅聖衣の聖衣ドックタグ』と『完全聖遺物 白銀聖衣の聖衣ブローチ』だった。世界中を旅しているエルシドとアルバフィカは、『聖衣の捜索と回収』、『冥衣と冥闘士の排除』、『射手座の黄金聖闘士 シジフォスの捜索』を行っており、聖衣を回収するとマニゴルドに連絡し、転移してきたマニゴルドに渡して、そのマニゴルドが弦十郎に預ける手筈になっており、これは昨夜マニゴルドから渡された物であった。『完全聖遺物』である聖衣を国連や反社会的組織に奪われないようにするにはこの方法が最も安全だからである。マニゴルドは面倒だと渋々だが。

 

「これで青銅聖衣と白銀聖衣、黄金聖衣を含んだ88の星座の聖衣の4分の1が回収したか・・・」

 

弦十郎は、“12の小さな台座”の上に置かれた、『蟹座』、『獅子座』、『蠍座』、『射手座』、『山羊座』、『水瓶座』、『魚座』の黄金聖衣が宿る『完全聖遺物 黄金聖衣の聖衣レリーフ』を眺める。本来なら『乙女座の黄金聖衣』も置かれる筈だが、『乙女座の黄金聖闘士 アスミタ』はS.O.N.G.にあまり協力的でないため『乙女座の台座』は空席となっていた。

弦十郎は、今は行方不明となっているシジフォスの射手座<サジタリアス>のシジフォスの『射手座の黄金聖衣』を眺め、語りかける。

 

「シジフォスよ、お前が行方不明となってもう3年もの月日が経ち、一気にお前の仲間の黄金聖闘士達が6人も現れたよ。だが、国連は“強すぎる力”や“正しい心”を持ったアイツらを煙たがっている。情けない限りだ、お前達は本来ならば俺達の世界の人間ではないのに、俺達の世界を守ってくれた。その恩人に対して俺達は何もできない所か、危険物扱いをしているんだからな・・・」

 

普段ならばこのような愚痴を言わない弦十郎がここにはいない射手座の勇者にしか愚痴を溢せない、責任有る立場の人間ほど簡単に弱味を見せる事はできない、それは周りにいる汚い人間達に漬け込まれる事になるからだ。

 

「っ・・・」

 

弦十郎の通信端末が鳴り響く。

 

「友里か、どうした?・・・・何、わかった。直ぐに戻る」

 

友里からの通信で顔を引き締める弦十郎は、『保管庫』を出ていった。

 

「シジフォス、またお前達の力が必要になるやもしれん・・・・!」

 

すると、再び暗い闇に覆われた『保管庫』で、『射手座の黄金聖衣レリーフ』が淡く輝きを放っていた。

 

 

 

 

ー横浜港ー

 

夜の世界を横浜みなとみらいの灯りが照らす世界を走る“人物”がいた。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 

その“人物”の足元を弾丸のようなモノが撃たれ、その“人物”は倒れる。

 

「うっ!・・・くっ!」

 

狙撃者から隠れるために電話ボックスを盾にするその人物は、黒いコートとフードで隠された白金の髪をした少女のような顔立ちだった。

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・『ドヴェルグ=ダインの遺産』・・・!」

 

少女はオルゴールのような小箱を大事そうに抱えていた。

 

「(全てが手遅れになる前に、この遺産を“あの人”の仲間に届ける事が、僕の“償い”・・・!)」

 

少女は再び駆け出した。そしてその後ろ姿を睨む人物がいた。

 

「私に“地味”は似合わない。だから次は、派手にやる・・・!」

 

まるでロックミュージシャンのような派手な服装をした少女が、逃げてゆく少女を睨んでいた。

 

 

 

ーリディアン音楽院ー

 

季節は夏へとなり、今年の春から共学化されたリディアン音楽院の門を女子だけでなく男子の姿もチラホラ見えるようになった。最初は女子は戸惑ったが、去年の冬始めに編入したレグルス・L・獅子堂(獅子座<レオ>のレグルス)の存在のお陰ですぐに落ち着き、運動部の方はスポーツを通して男子と理解を示し、他の部活動の生徒もそれなりに受け入れ始めていた。

そんな登校中の生徒の中でも、三年生の中でもトップレベルの美少女である『雪音クリス』が歩いていた。制服は薄い夏服へと衣替えし、小柄な体型と不釣り合いな豊満な胸元は、男子生徒達には目の保養にも毒にもなる。

 

「ク~リスちゃ~~ん!」

 

そんなクリスに後ろから飛び付こうとするのは、二年生の問題児女子、活発と言う言葉が全身から出ている少女『立花響』であったが。

 

ボカンッ!

 

「ギャウンっ!!」

 

飛び付こうとした響の脳天に、クリスの鞄が叩きつけられ、それを見た黒髪のセミショートヘアに白いリボンを付けた『小日向未来』と、黒髪をツインテールにした物静かそうな少女『月読調』と金色の短髪に活発そうな印象の少女『暁切歌』と茶色の短髪に爽やかそうな印象を受ける少年『獅子座<レオ>のレグルス』こと、『レグルス・L・獅子堂』が驚く。

 

「アタシは年上で、学校では“先輩”! コイツら<調と切歌>の前で示しが付かないだろう!」

 

翼が卒業してから、学校での年長者として振る舞うクリス。

 

「アハハ・・・」

 

「おはよう調ちゃん、切歌ちゃん」

 

「おはよう二人とも」

 

「おはよう、ございます・・・」

 

「ごきげんようデェス!」

 

今年の春からリディアンに入学した調と切歌(1年生)。調はまだぎこちないが、切歌は持ち前の明るさで直ぐに溶け込んだ。

 

「切歌はいつも元気だなぁ♪」

 

「こんなに暑いのに相変わらずね」

 

すると1年生らしき男子生徒がレグルスに大急ぎで駆け寄る。

 

「獅子堂先輩!」

 

「ん、どうした?」

 

「大変なんです! 『ダンス部』と『バンド部』がまた場所取りで揉めてるんです!」

 

「またか・・・分かった案内して。響、未来、皆、悪いけど俺先にいくね!」

 

「レグルス君、頑張ってね!」

 

「遅れそうになったら先生に上手く言っておくから!」

 

「うん、お願い!」

 

響達と別れたレグルスは後輩に連れられ、ダンス部とバンド部のいさかいを止めようと向かった。

 

「レグルス君、新学期が始まってから忙しそうだね」

 

「今年で編入してきたり入学してきた男子生徒みんなの“纏め役”をやっているそうだよ」

 

「元女学院の空気に馴染めない男子生徒や、男子生徒とどう接すれば良いか戸惑ってる女子生徒達の“仲介役”もやっているらしいからな」

 

「以外と多忙なんデスな、レグルスさんって・・・」

 

「うん以外・・・」

 

共学化されてからは男子生徒達と女子生徒達の間に入って仲を取り持っているレグルスは以外と多忙なのだ。しかし、これはレグルスの明朗快活な性格と、爽やかな陽的な雰囲気による人柄だからこそできる事でもある。

 

「あれ?」

 

「ん?」

 

響と未来の目に、調と切歌が“手を繋ぎ合っている”のが入った。

 

「イヤ~暑いのに相変わらずだね」

 

「イヤイヤそれがデスね。調の手はちょっとヒンヤリしているので、ついつい繋ぎたくなるのデスよ~」

 

照れ臭そうな切歌の二の腕を調が摘まむ。

 

「そう言う切ちゃんのプニッた二の腕も、ヒンヤリしていて癖になる。マニゴルドのご飯が美味しいからって食べ過ぎだよ・・・」

 

「えっ? それって、本当なの!?」

 

「ん? マニゴルドが私達のご飯を作っている事?」

 

「イヤそれも確かに気になるけど・・・!」

 

未来は響の二の腕を摘まむ。

 

「ヤーー! やめてやめて! 未来ってば!」

 

「~~~~~~っ////////////」

 

ガンっ!

 

じゃれる響達に顔を赤らめたクリスがフルスイングで響の頭に鞄を叩きつけた。

 

「ギャフンッ!」

 

「「「あぁ~~・・・」」」

 

「ク、クリスちゃん酷いよ・・・クリスちゃんだってデジェルさんとはいつも甘々ラブラブなのに・・・」

 

「っ・・・ア、アタシ達は節度を持って、そう言う事は家でやってんだよ・・・!/////////」

 

「「「「ムッ!(ギュピーン!)」」」」

 

顔を赤らめたクリスの一言に響と未来、調と切歌の目が妖しく煌めき、クリスに詰め寄った。響の想い人は自由奔放、未来の想い人(男性)は俗世から離れた僧侶、切歌の想い人は切歌をほとんどペット扱いのゴロツキ、調の想い人は戦闘狂、どちらも変化球どころか魔球クラスの変わり者ばかりなので正統派の恋人付き合いをしているクリスとデジェルの恋愛模様は興味をそそられるのである。

 

「クリスちゃん! その事をもっと詳しく教えて!」

 

「なんだよいきなり!?」

 

「家ではいつもどんな風にラブラブしているの!?」

 

「バカ! そんな事こんな所で言えるか!!//////」

 

「この間のデートも砂糖吐きそうなくらい甘々だったのに、家ではあれ以上なんデスか!?」

 

「何でお前が、この間のデートの事知ってんだよ!!」

 

「マニゴルドとカルディアと一緒に買い物に行ったら二人がデートをしているのを見かけて尾行したから・・・・」

 

「ちょっと待て! ってことはなにか? キャンサーの野郎もスコーピオンのヤツも見てたのかよ!?」

 

「うん・・・・」

 

「マニゴルドもカルディアも、それはそれはゲスい笑みを浮かべたデェス♪」

 

「嘘だろちきしょーーーーーーーーーーっ!」

 

『女三人寄れば姦しい』と言うが、五人ともなれば半端なくやかましく、通りすぎる生徒達は可笑しそうに見ていた。

 

 

 

ーデジェルsideー

 

その頃、雪音クリスの最愛の人『水瓶座<アクエリアス>のデジェル』こと、『デジェル・A・水瓶』も、医大で講義を受けるために学友達と教室に向かっていたが、突然バイブレーションモードにしていた“S.O.N.G.用の通信端末”が震えた。

 

「んっ?」

 

「オイ水瓶<ミヘイ>どうしたんだ?」

 

「イヤ電話だ、すまないが先に行っててくれ・・・」

 

「もしかしてあの銀髪巨乳の可愛い彼女ちゃんからか?」

 

「だと嬉しいんだがな」

 

学友達を先に行かせたデジェルは人目のない場所に移動すると、弦十郎ちゃんからの通信に出た。

 

「こちらデジェル。何か有りましたか?」

 

《デジェル。実は昨夜に未確認の反応が検知されたのだが、直ぐに消失してな》

 

「未確認の反応、気になりますね・・・」

 

《計器のトラブルって可能性はどうだ?》

 

「イエ、二課からS.O.N.G.へと変った際に機材は念入りにチェックされた筈です。まだ3ヶ月足らず、計器がトラブルが起こしたとは考えにくい。マニゴルドに連絡して、横浜の調査に行ってもらいます。アイツはフリーのジャーナリストですからこういう時は自由に動く事ができますからね」

 

《分かった、こちらでも調査隊を送るがそっちも任せる》

 

「了解」

 

ピッ!

 

「・・・・また新たな事態が起こったのか?」

 

弦十郎との通信を切ったデジェルはマニゴルドに通信を送った。

 

 

 

 

ーエルシドsideー

 

霧の都・英国<ロンドン>に任務で赴いた『山羊座<カプリコーン>のエルシド』は、ロンドン郊外の道路を歩いていると。

 

「アルバフィカ・・・・」

 

「エルシドか・・・・」

 

なんと反対路線の道路の脇道からやって来た、『魚座<ピスケス>のアルバフィカ』と再会した。

 

「お前もこの英国に来ていたのか?」

 

「あぁ、冥闘士の討伐をしていた。エルシド、お前もか?」

 

「ウム、それと定時連絡で翼とマリアがこちらでライブを行うと聞かされてな。顔を見せに行ってこいと言われたのだ」

 

「私もだ」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

無言になる二人。元々あまり接点が無い上に任務優先のストイックな仕事人気質な性格なので会話が弾まないのも無理はない。

 

「行くか?」

 

「そうだな」

 

簡潔な会話で二人はロンドンへと向かった。




今回こんなデキで申し訳ありません!

新しい作品のアイディアが沸いてきてなかなか進みません!

次回でGX編第一話を終らせたいです!

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