聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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奇跡を否定する者

ー響sideー

 

その日女子は体育の授業でプール、男子はバスケの授業を受けていた。

 

「進路に向けての三者面談、もうすぐですわね」

 

「憂鬱、成績についてのアレコレは、ママよりもパパに聞いて貰いたいよ・・・」

 

「贅沢言わないの、世の中には三者面談に来てくれる家族すら居ない男の子だっているんだから」

 

「そりゃそうだけさ・・・」

 

「レグルスさんの方はどうするのでしょうか?」

 

「代理として、デジェルさんが来てくれるんじゃない? ビッキー<響>の所は誰が来るの?」

 

プールサイドに座る響と未来と、友人である寺島詩織は三者面談の事を話し、板場弓美は母親が怖いのかボヤき、安藤創世が響に話しかける。

 

「う~ん、ウチはおばあちゃんかなぁ? お父さん居ないし、お母さん日曜日も働いてるし・・・」

 

「そう言うのよく有るみたいだよ。どこも忙しいって・・・!」

 

歯切れが悪い上に気分が少し沈んだ響を未来が慌てたようにファローした。

 

「そっか・・・」

 

「優しいおばあ様なのかしら・・・?」

 

「じゃないとビッキーの成績じゃ・・・」

 

「とおうっ!」

 

「「「うわぁっ!」」」

 

『響の家庭の事情』を知る三人も歯切れが悪い声色になるが、響はプールに飛び込み、水しぶきが弓美達に掛かった。

 

「プハッ! そんな事より泳ごうよ! 今日の夜更かしに備えてお昼寝するなら、ちょっと疲れた方が良くないかな? ウワォ、自分で言ってて驚きのアイディアだね♪

 

「よぉ~し!」

 

「えいっ!」

 

「それ!」

 

創世と弓美と詩織もプールに飛び込んだが、未来は静かに響を見て。

 

「空元気の癖に・・・・」

 

それは響の心に大きく食い込んだ“過去の傷”の事であった。

 

 

ーレグルスsideー

 

「来たぞ!」

 

「止めろ! 止めろ!」

 

「獅子堂を止めろ!」

 

「フッ!」

 

その頃、体育館でバスケの授業で、ミニゲームを行っていたレグルスは三人のブロックを華麗にかわしてダンクシュートを決めた!

 

「すげェ、獅子堂って本当すげェな・・・!」

 

「アイツ一人で勝っちまったようなモンだもんな」

 

「“天才”ってあぁ言う奴の事を言うのかね・・・」

 

成績は上の下、運動神経は言うに及ばず、さらに語学も長けたレグルスを遠巻きで見ていたクラスメートは羨望の眼差しを向ける。

 

「フゥ・・・」

 

壁に寄りかかりながら休憩するレグルスに、クラスメートの一人が近づく。

 

「なぁ獅子堂、お前三者面談どうするんだ?」

 

「ん~? どうだろうな、俺んとこ親居ないし、多分代理で従兄弟のお兄さんが来ると思うよ」

 

「獅子堂って、家族とかどうしたんだ?」

 

「母さんは物心つく前に死んで、父さんは俺が五歳の時に肺の病気でさ・・・」

 

「あっ、何かゴメン・・・!」

 

「別に良いよ。それに、叔父さんが居るんだ・・・」

 

「叔父さん?」

 

「あぁ、俺が最も尊敬する叔父さんがさ!」

 

一休みして直ぐにレグルスは、またミニゲームに参加した。

 

 

* * *

 

それから次の授業。響達とレグルスは、二年A組の教室で授業を受けていたが。

 

「ZZZzzz、ZZZzzz、ZZZzzz・・・・」

 

「なるほど、今夜夜更かしする為に、私の授業を昼寝にあてると・・・!」

 

爆睡する響に先生がただならぬオーラを放っていた。

 

「そう言う事なのですね! 立花さん!!」

 

「ギャフンッ!」

 

先生の怒りが噴火して未来達は肩を振るわし、レグルスはケラケラと愉快そうに笑っていた。

 

 

ー夜・デジェル&クリスのマンションー

 

そしてその日の夜。デジェルとクリスのマンションのリビングに集まった、レグルスと響と未来、詩織と弓美と創世、切歌と調が集まり、お菓子を広げていた。

 

「んで、どうしてアタシ達ん家なんだ?」

 

「クリス、そんなにピクピクさせなくても良いだろう?」

 

全員分のグラスをお盆に乗せ、方眉をピクピクさせるクリスを宥めながら、全員分の飲み物を出すデジェル。

 

「すみません、こんな時間に大人数で押し掛けてしまいました」

 

「ロンドンとの時差は八時間!」

 

「チャリティードックフェスの中継を皆で楽しむには、こうするしか無いわけでして・・・」

 

「ま、頼れる先輩って事で♪」

 

詩織と弓美と創世が集まった理由を話し、響も便乗する。

 

「私は構わないよ。我が家にクリスの友達が来てくれるのは大歓迎だからね」

 

「流石デジェルさん! 懐が深い! それに、やっと自分の夢を追いかけられるようになった翼さんのステージだよ!」

 

「ハァ、皆で応援・・・しない訳にはいかないよな!」

 

「そしてもう一人・・・」

 

未来の言葉を調と切歌が引き継ぐ。

 

「マリア・・・」

 

「歌姫のコラボユニット! 復活デェス!」

 

テレビ画面に『星天・ギャラクシィクロス Maria Thubasa』と表示され、オーディエンスの歓声が響いた。

 

「調ちゃん、切歌ちゃん、マニゴルドさんとカルディアさんは?」

 

「あぅそれがデスね、マニゴルド、急な仕事が入って出掛けちゃったデスよ・・・」

 

「カルディアは連日の夜勤が響いて今日は朝まで爆睡するって・・・」

 

「マリアの活躍は録画したのを見るって言ってたデス」

 

「たくっ、アイツらは本当に集団行動ができねぇな!」

 

「ま、二人らしいと言えばそうだけどさ」

 

「そう言えば、エルシドとアルバフィカも今英国に居るって報告があったな」

 

「それじゃ、二人もこの会場にいたりして?」

 

響達はきらびやかに輝く二人の歌姫の歌声を聴いた。

 

 

 

 

ー翼&マリアsideー

 

光り輝くステージに立ち、美しくきらびやかな衣装を着た二人の歌姫、桃色の髪に猫耳のように丸めた長髪をポニーテールに結わえ、女性として理想的なプロポーションに女神のような美貌をした美麗な女性、『世界の歌姫 マリア・カデンツァヴナ・イヴ』と、蒼い髪にサイドポニーに細くスラリとした凛々しき戦乙女のような女性『日本の歌姫 風鳴翼』であった。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」」

 

シンフォギア奏者であると同時に、世界でもトップレベルの歌声である二人の歌声が、ダンスが、笑顔が、多くの人々を魅了し、活気を与えた。

 

 

 

 

ー緒川sideー

 

そして別の場所で二人のステージを見ていた『タスクフォースS.O.N.G.』の諜報員にして、風鳴翼のマネージャー『緒川慎司』である。その緒川に近づく二人。

 

「緒川殿」

 

「っエルシド、アルバフィカ」

 

緒川に話しかけたのは、サングラスをかけたエルシドとアルバフィカだった。アルバフィカは長髪を隠すように大きめな帽子を被りかなり不機嫌な雰囲気ではあったが。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「どうしたんですかアルバフィカ? そんな帽子を被って・・・?」

 

「此処に来るまで街を歩いていたら男女問わずに注目されてな、その為の措置だ」

 

「あぁ、なるほど・・・」

 

『絶世の美形』と言っても過言ではないアルバフィカの美貌(美の基準が分からない翼やクリスですら見惚れるレベル)は良くも悪くも人目を引いてしまう。外見を褒められる軟派な事が、大嫌いな硬派な性格のアルバフィカにとっては、かなり業腹な事である。それでエルシドは露店で売られていたサングラスと帽子を購入してここまで来たのだ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

アルバフィカは気持ちを切り替えてステージで歌うマリアを見つめ、エルシドも翼を見つめると、二人は少し微笑んだ。

 

「アルバフィカ、なんならマリアさんに会って来ても・・・・」

 

「それはできない」

 

「・・・・“監視の目”が、有るのですか?」

 

「この国に来てから『英国諜報機関 MI6』の諜報員が、ずっとこちらを眺めている」

 

「流石に冥闘士と戦っているときは数百メートル離れて監視しているがな」

 

『フロンティア事変』から任務に赴き海外で行動しているエルシドとアルバフィカも日本に居るレグルス達同様、各国の諜報機関から監視を受けていた。しかし、四六時中監視されているマリアと違ってエルシドとアルバフィカは付かず離れずの距離で遠巻きに監視されている分マシである。手を出して国連が最警戒している黄金聖闘士の逆鱗に触れたくないからだ。

 

「アルバフィカ、マリアさんに会いに行かないのですか?」

 

「私もマリアも、監視を受けている身だ。下手に接触すれば妙な勘繰りを受ける」

 

アルバフィカはステージで歌うマリアの姿を眺めながら、少しだけ悲しそうな瞳をしていた。

 

 

ー響sideー

 

マリアが降板し、翼のパートになったステージをテレビで眺めていると。弓美がペンライトを振ってはしゃいでいた。

 

「こんな二人と一緒に、友達が世界を救ったなんて! まるでアニメだねぇ!!」

 

「う、うんホントだよ・・・・」

 

テンションあげあげの弓美に響は苦笑いをうかべる。

 

 

 

ーマリアsideー

 

そして降板したマリアは次の自分の番が来るまで、エレベーターでステージを降りた。降りたマリアの前に、黒服にサングラスをかけた男が二人近づくと、マリアは露骨に顔をしかめた。

 

「任務、ご苦労様です」

 

「アイドルの監視程ではないわ・・・」

 

「監視ではなく警護です。“世界を守った英雄”を狙う“危険人物”も少なくないので」

 

「貴方達の言う“危険人物”とは、米国の艦隊を素手で制圧した“闘士達”の事かしら?」

 

「滅相もない、彼等をそのように扱ってはおりませんよ。“今のところは”ですが」

 

いけしゃあしゃあと詭弁をほざく黒服<監視エージェント>の言葉にマリアは語る事がないと言わんばかりに、エージェント達と共に(内心イヤイヤ)楽屋に戻る。

 

 

 

ー響sideー

 

「“月の落下”と“フロンティアの浮上”に関連する事件を終息させるため、マリアは“生け贄”とされてしまったデス・・・・」

 

「“大人達の体裁”を守る為にアイドルを、文字通り“偶像”を強いられるなんて・・・」

 

『フロンティア事変』に関連した米国と関係者達は、『人々のフォニックゲイン』を集めたマリアを“偶像<アイドル>”として利用している事に、切歌と調とクリスも、レグルスとデジェル以外はやるせない気持ちになっていた、未来を除いて。

 

「そうじゃないよ・・・」

 

未来は優しい言葉をかける。

 

「マリアさんが守っているのはきっと、“誰もが笑っていられる日常”なんだと思う」

 

「未来・・・・」

 

「「フッ」」

 

「そうデスよね!」

 

「だからこそ、私達がマリアを応援しないと・・・!」

 

「うん!」

 

未来の言葉に調と切歌は気持ちを改めて、テレビを見つめた。

 

「(デジェル、マニゴルドがいないのは、弦十郎が言っていた、“未確認の反応”の調査の為?)」

 

「(あぁ、そろそろ何かしら連絡がある筈だが・・・)」

 

レグルスとデジェルが目線で会話しながら、マニゴルドからの調査報告を待っていた。

 

 

 

ーマニゴルドsideー

 

そしてマニゴルドは、未確認の反応が検知された横浜港に赴くと、“穴が開いた地面”に触れていた。

 

「この“穴”、拳銃なんてチャチな武器で出来たモノじゃねぇが、一体何なんだ・・・?」

 

マニゴルドは、地面に出来た“穴”の後を辿り始めた。

 

 

 

 

ーエルシド&アルバフィカsideー

 

「「っ!?」」

 

「どうしました二人共?」

 

「エルシド、感じたか?」

 

「あぁ、何かいるぞ・・・!」

 

「あぁ二人共!」

 

エルシドとアルバフィカは、“不穏な気配”を感知し、その場所に向かった。

 

 

 

 

ー響sideー

 

響とクリスの通信端末に、弦十郎からの通信が入った。

 

《第七区域に大規模な火災発生! 消防活動が困難なため、救援要請だ》

 

「はい! 直ぐに向かいます!」

 

「響・・・」

 

「大丈夫、人助けだから!」

 

響とクリスに続いて、調と切歌も立ち上がる。

 

「私達も・・・!」

 

「手伝うデス!」

 

「二人はレグルスとデジェル兄ぃと一緒に“留守番”だ! “LiNKER”も無しに出動なんてさせないからな!」

 

即却下され、クリスと響は現場に急行した。

 

「「む~~~~~~~!!」」

 

調と切歌は頬を膨らませた。

 

「レグっちとデジェルさんは行かないの?」

 

「確かにデジェルの凍技なら、火災なんてあっという間に沈静出来るけどね」

 

「我々聖闘士が『タスクフォースS.O.N.G.』の活動に参加するには、“国連上層部の許可”がいるんだ」

 

「“国連の許可”、ですか?」

 

「何でそんなモノが必要なの?」

 

「国連上層部は俺達黄金聖闘士の事を“目の上のたんこぶ扱い”しているからね、あまり俺達におおっぴらに動かれるのは困るんだよ」

 

「古代ギリシャ神話の戦士が『世界を救った英雄』の一員で、国連の全戦力を持っても対抗できない程の力を有しているなどと知れれば、国連の威信に関わるからな」

 

「要は、これもまた“大人の体裁”の為だよ」

 

やれやれと言わんばかりにレグルスとデジェルは肩を竦めた。

 

「しかし、見学くらいなら・・・・」

 

「問題無いよね~♪」

 

デジェルとレグルスはベランダに出る。

 

「あの、二人共・・・・?」

 

「ちょっと行ってくるな~♪」

 

「直ぐに戻る」

 

そう言って二人はベランダから夜の街に飛び出していった。

 

「ビッキー達に追い付けられるの?」

 

「確か黄金聖闘士って聖衣が無くてもマッハ二桁のスピードが出せるって言ってから・・・・」

 

「それなら追い付けられますわね」

 

「ホントあの人達も十分アニメの世界の人間だよね・・・」

 

「そうデスな・・・」

 

「うんうん・・・」

 

未来達は二人が去ったベランダからギャグ汗をながしなから見ていた。

 

 

 

 

ーマリアsideー

 

そしてマリアは監視のエージェントを連れて衣装を着たマネキンが二段列に列べられた通路を歩いていた。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

しかし、そんなマリアを不気味に見据えている視線があった。

 

フゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・。

 

「風・・・・誰かいるの!?」

 

「「っ!!」」

 

通路に不気味な風が吹き、マリアとエージェントは身構えると、通路に声が響いた。

 

ーーーーー司法取引と情報操作によって仕立てあげられた『フロンティア事変の汚れた英雄』。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。ーーーーー

 

「何者だ!?」

 

警戒するマリア達の上の段にある、“ロングスカートの衣装を着た女性のマネキン”が、閉じていた瞳を開く。

 

「っ!?」

 

「んんっ!!?」

 

マネキンは突然エージェントの一人の唇を奪った。すると、エージェントがビクンビクンと痙攣する!

 

「離れろっ!!」

 

もう一人のエージェントが拳銃を構えるが、唇を奪われたエージェントは段々髪の毛と肌から生気が無くなったかのように無機質な白になり、力無く倒れた。

 

「フフ・・・・♪」

 

マネキンのような女は不気味な笑みを浮かべ、エージェントが拳銃を発砲した。

 

「ウフフフ・・・・♪」

 

マネキンのような女は長いスカートを翻すと緑色のつむじ風が現れ弾丸を跳ね返した。

 

「ぐあっ! うっ!」

 

跳ね返った弾丸はそのままエージェントに当たり、その1つが額に当たり、エージェントは絶命した。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

マネキンのような女はフラメンコを踊るような構えをし、マリアも更に警戒する。

 

「纏うべきシンフォギアを持たぬお前に用はない」

 

妖しく光る瞳をしたマネキンは薄い笑みを浮かべてマリアを見据える。

 

 

ー???sideー

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

 

そしてここは日本、マントを身に纏った少女らしき人物が、追っ手が引き起こした燃料トラックの火災現場から逃げようとした。

 

「追いやれ、踊らされるのは・・・・」

 

ロックミュージシャンのような姿の追っ手の少女は、ターゲットに向けてコインを投げ飛ばす。投げ飛ばされたコインは地面に当たり、そのうちの1つは車を貫通し車が爆発した。

 

「あぁっ!!」

 

逃げていた少女は爆風によって吹き飛ぶがそれでも逃げようとしていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そして少女が逃げる先に待っていた“魔女の帽子を付けたロングローブの少女”が燃え上がる炎を悲しそうに見据えていた。

 

「(もうすぐだよ・・・・パパ・・・・っ!)」

 

少女の耳に“ある人物からの通信”が入ると、悲しみに染まっていた少女の顔が花開くような笑みを浮かべた。

 

「うん!・・・・もうすぐアイツを捕まえる! 待っていてくれーーーーー!」

 

 

ー響sideー

 

そして響とクリスは『タスクフォースS.O.N.G.』のヘリコプターで現場に向かい、弦十郎からの現場状況を聞いていた。

 

《付近一体の避難はほぼ完了。だが、マンションに多数の生体反応を確認している》

 

「まさか人が!?」

 

《防火壁の向こう側に閉じ込められているようだ。更に気になるのは、被害状況が四時の方角へと拡大していることだ》

 

それは、この火災は“誰か”が引き起こした事を表していた。

 

「バカネコが暴れていやがるのか?」

 

《響君は救助活動を、クリス君は、被害状況の確認へ向かってもらう》

 

「了解です!」

 

 

 

ーマリアsideー

 

マリアを襲撃してきたマネキンのような女と交戦していた。マネキンのような女は片手でスカートの裾を掴み、もう片方の手には両刃の剣を持ってマリアを攻め立て、振り下ろす。

 

「フッ!」

 

マリアは寸前で回避し、剣は地面に突き刺さる。

 

「ハァアアアアアアアアアっ!!」

 

回避したマリアはカポエラのように回転蹴りを襲撃者の後ろ首に叩き込んだ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

しかし襲撃者は、本来なら気絶する一撃をくらったにも関わらず、蹴られた反動を利用して、マリアを上へと投げ飛ばす。

 

「しまった!」

 

空中で横倒れになったマリアに向けて、襲撃者は剣を突き立てた。

 

 

ー響sideー

 

響はヘリコプターの扉を開ける。

 

「任せたぞ!」

 

「任せれた!」

 

響は“シンフォギアペンダント”を持って、パラシュート無しのスカイダイビングをした。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

そしてペンダントを構えて唄う。己が“撃槍”を!

 

ペンダントが光輝き、響の衣服が弾け、その身体に身に纏うわオレンジ色のパワードスーツ。響の[誰かと手を繋ぎたい]と願う心に呼応して槍で有りながら『無手のシンフォギア』へと変化した『北欧神話の主神オーディーン』が振るった『撃槍 ガングニール』!

 

「アチョ~、ハァっ!」

 

気合いを入れた響はシンフォギアの力となる『フォニックゲイン』を高めるために歌を歌いながらマンションの天井を砕き、マンションの中へ入っていく。

 

《反応座標までの誘導、開始します!》

 

オペレーターの指示を受けながら、響は“助けを求める人達”の元へ向かった。

 

 

ー救助者sideー

 

救助者達は煙にまかれないようにハンカチで口元を被っていたが、不意に“歌”が聞こえた。

 

「何か、聴こえないか?」

 

「ん?・・・・これは、歌?」

 

 

ーマリアsideー

 

「くっ!」

 

マリアは重力に従ってまっ逆さまに突き立てられた剣へと堕ちて行くが!

 

ガキィンッ!

 

「翼っ!?」

 

突き立てられた剣を阻み、マリアを抱えたのは、『日本神話の絶剣 天羽々斬』のシンフォギアを纏う、風鳴翼だった。翼はマリアを抱えたまま着地する。

 

「友の危難を前にして、鞘走らずにはいられるか!」

 

翼とマリアは襲撃者に構える。

 

「待ち焦がれていましたわ」

 

「貴様は何者だ!?」

 

襲撃者はスカートの端をつまみ、剣を頭上に構える。

 

「“オートスコアラー”・・・・」

 

「“オートスコアラー”?」

 

“オートスコアラー”と名乗った襲撃者は、剣を翼へ向けて構える。

 

「貴女の歌を突き打ちに来ました」

 

オートスコアラーは翼に向かった!

 

 

ー響sideー

 

響は拳で次々と床を砕いて下の階へ向かい、救助者達がいる階へたたどり着いた。

 

《響ちゃん、左手90度の壁をぶち抜いて迂回路を作って!》

 

「貫けーーーーーっ!!」

 

友里からの指示で響を壁をぶち抜きまくり、救助者達を発見する。

 

「避難経路はこっちです!」

 

救助者達を避難経路に案内した響は他の救助者を探して壁を破壊しまくる。

 

「せいっ!」

 

《響ちゃん、生体反応が1つ!》

 

響はぶち抜くと、階段の踊り場に倒れている男の子を発見した。男の子を抱き抱えた響の頭上の天井が崩れる!

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

響は天井ごとぶち抜いて、男の子を抱えて脱出した!

 

 

 

* * *

 

それから少しして、火災現場に消防車が消化作業を行うのを見て、救急車に向かう響の目の前に取り乱した女性がいた。

 

「ウチの子がまだ見つからないんです! まだ救助されて「お願いします!」 あっ、コウちゃん!!」

 

男の子の母親らしき人物が響に近づく。

 

「煙を沢山吸い込んでいます。早く病院へ!」

 

「ご協力感謝します!」

 

救急隊に任せて、響はその場を離れようとすると。燃え上がるマンションの向かい側の歩道橋でマンションを見つめる人影がいた。

 

 

 

ー???sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その少女は燃え盛るマンションを見つめると、“過去の忌まわしい記憶”が甦る。

 

【それが神の奇跡でないのなら、人の身に過ぎた悪魔の知恵だ!!】

 

【裁きを! 浄罪の炎でイザークの穢れを浄めよ!!】

 

燃え盛る鉄鍋に落とされようとしていた“拘束された父”の姿。

 

【パパ! パパっ! パパーーーーーっ!!】

 

【キャロル・・・生きて、もっと世界を知るんだ・・・】

 

【世界を・・・・?】

 

【それがキャロルの・・・・】

 

そして最愛の父は炎の中に消えた。

 

「・・・・・・・・・・・・パパ・・・・!」

 

少女の瞳に涙が浮かんだ。

 

「消えてしまえば良い思い出・・・・」

 

「そんな処にいたら危ないよ!」

 

「っ!」

 

不意に少女が見下ろすと、響がいた。

 

「パパとママとはぐれちゃっのかな? そこは危ないから、お姉ちゃんが行くまで「黙れ・・・・!」っ!」

 

響の言葉を遮った少女は指先で空中で円を描くように動かすと緑色の魔方陣が生まれ、緑色の竜巻が響を襲う!

 

「うわぁっ!!」

 

竜巻は響の前の地面を抉った。

 

「えぇ・・・・!」

 

驚く響の耳に、クリスからの通信が入る。

 

《敵だ! 敵の襲撃だ! そっちはどうなっている!?》

 

「敵・・・!?」

 

響は竜巻を起こした少女を見ると、少女は腕を天に伸ばして、幾つもの緑の魔方陣を展開する。

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術が、世界を壊し、“万象黙示録”を完成させる!」

 

「世界を・・・・壊す?」

 

「オレが“奇跡”を殺すと言っている!!」

 

キャロルと名乗った少女の魔方陣です重なり、一際大きな光を生み出すと、幾つもの緑色の竜巻が響に襲いかかる!

 

「はっ!」

 

“緑色の竜巻”が響を呑み込もうとするが、響の眼前に“金色の雷光”が閃いた!

 

「『ライトニングプラズマ』!!」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!!

 

響に迫り来る緑の竜巻を金色の雷光が防いだ。

 

「「っ!?」」

 

驚く響と少女。響の前に颯爽と現れたのは、茶色い短髪の陽的な少年。

 

「やぁ響、なんかまた面白そうなヤツが現れたね? でも、ハロウィーンにはまだ時期外れ過ぎるよ」

 

「レグルスくんっ!」

 

“地上最強の十二人”の一角、可能性の若獅子。獅子座<レオ>のレグルスだ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

キャロルと名乗った少女はレグルスを見て驚くが、直ぐに笑みを浮かべた。

 

「お前が、遥か神話の闘士、獅子座の黄金聖闘士か?」

 

「そうだけど、君は何者だ?」

 

「オレの名はキャロル・マールス・ディーンハイム。錬金術師だ」

 

「“錬金術師”、“キャロル”・・・・?」

 

首を傾げるレグルスに、キャロルと名乗った少女は歩道橋から降りて地面に降り立つと、レグルスに向かって手を差しのべる。

 

「獅子座の黄金聖闘士よ。オレと共に来い!」

 

「えっ?」

 

「何・・・・?」

 

「お前を“真に理解”できるのはオレだけだ! オレとお前は“同志”となれる! レオのレグルスよ! オレの片腕となれ!!」

 

錬金術師の少女との邂逅。それは新たな戦いを告げる鐘の音が鳴り響いた。

 

 




キャロルには響よりもレグルスの方が共感できると思う。
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