聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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シンフォギア 敗北

時は少し遡り、オートスコアラーが翼とマリアを襲撃する前ーーーーーーーーーーーー。

 

「『ファラ・スユーフ』よ、『天羽々斬』の威力偵察に赴くならば、一つ忠告しておく・・・・」

 

暗がりに密むその人物はまるで大剣を持ってフラメンコを踊るように回る『オートスコアラー ファラ・スユーフ』に忠告する。

 

「あら? 私がシンフォギア奏者ごときに遅れを取ると思っているのですか?」

 

「フン、あの程度の小娘達ごときに遅れを取るとは思わん。しかし、奴らの背後には“黄金の英雄”達がいることを忘れるな」

 

「どういう事ですか?」

 

「簡単な話だ。まだ“計画”は始まっていないのに此方の戦力を失う訳にはイカンからな」

 

「私では黄金聖闘士に敵わないと?」

 

薄ら笑みを浮かべていたファラは僅かに顔を不快そうに歪めるが、その人物はお構い無しに言葉を紡ぐ。

 

「自惚れるな、お前達“オートスコアラーごとき”で倒せる程度の者達ならば苦労せん。はっきり言って、格が違う」

 

 

そして現在ーーーーーーーーーーーー。

 

 

「ガハッ!」

 

マリアを襲撃し、翼の天羽々斬の剣を破壊したオートスコアラー、『ファラ・スユーフ』は地面に頭から叩きつけられた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ファラはヨロヨロと立ち上がり前方を睨むと、そこには『アルカ・ノイズ』を斬撃で斬り捨てる山羊座<カプリコーン>のエルシドの姿があった。

 

「な、何が起きたの・・・?」

 

ファラは再びエルシドに向けて大剣を構えるが・・・・。

 

「っ!?」

 

突然大剣に強烈な衝撃が走り後方に後ずさる。

 

「っ! っ! っ! っ! っ!」

 

しかも衝撃は一度では収まらず、さらに何度もファラに襲い掛かり、ファラの腕どころか、身体全体に衝撃が走る。

 

「(ど、どうなっているの!? ヤツは手刀を構えてすらいないのに!?)」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

エルシドはまるで、“刀を放とうと構え”でその場に立っていただけであった。

 

「くっ!」

 

バッ!

 

ファラはフラメンコドレスのような衣装を翻して大剣を構えてエルシドに攻め立てようと肉薄したが・・・・。

 

斬!

 

「ガァッ!」

 

大剣を振り下ろそうとした瞬間、斬撃に襲われて、ウエストミンスラー橋の地面に再び叩きつけられた。

 

「一体何をしたの? 山羊座<カプリコーン>・・・!」

 

「貴様が翼の剣を破壊した『ソードブレイカー』なるモノ、おそらく“直接対象の剣に触れる事によって発動する術”。ならば直接その剣に触れずに戦えば良い」

 

「バカな・・・『完全聖遺物 黄金聖衣』を纏っていないただの人間に・・・オートスコアラーのこの私が・・・!」

 

「『聖衣』が無くとも戦う事はできる。“常在戦場”、死は常に覚悟している。この山羊座<カプリコーン>のエルシドを甘く見過ぎた、貴様の浅はかさを呪え」

 

斬!

 

エルシドが目にも止まらない程の速度で手刀を振るうと“小宇宙<コスモ>”を纏った空気の斬撃がファラを襲う。

 

「グァハッ!」

 

斬撃を防ごうと構えるが、エルシドの手刀から放たれた斬撃は大剣ごとファラを吹き飛ばし、地面に叩きつけた。

 

「(斬るつもりで斬撃を放っているのだが、まだヤツは斬られていない・・・・聖衣を纏っていなければこの程度か、まだまだ修行が足らんな・・・)」

 

「がっ! ぐぅうっ!(まさか・・・こ、ここまでの力の差が有っただなんて・・・!)」

 

そして地面に倒れたファラはようやく理解した“格”の違いをーーーーーー。

 

 

ー日本ー

 

そして日本にいるオートスコアラー『レイア・ダラーヒム』もまた、追い詰められていた。

 

「っ!!」

 

バババババババババババババババババッッ!!!

 

レイアは両手の指の間にコインは挟み込み、指弾術のように次々と相手に向かって放つがーーーーーー。

 

カキンっ!

 

放たれたコインは対象に命中する前に静止し、凍結して地面に落ちていった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

悠然と立つ水瓶座<アクエリアス>のデジェルがレイアを睨む。

 

「(『アルカ・ノイズ』は、使えないか・・・・)」

 

すでに『アルカ・ノイズ』はデジェルの凍技『グラン・カリツォー』によって凍結し、氷像と成り果てていた。

 

「(私の相手を取りながら『アルカ・ノイズ』達をも始末していたとは、驚嘆する以外ないな・・・・)」

 

レイア自身も、自分と目の前の黄金聖闘士との“圧倒的な実力の差”を理解した。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

スッ・・・・パチンっ!

 

ビキビキビキビキビキビキ・・・・・・・パリーーーーンっ!!

 

デジェルはソッと指を弾いてフィンガースナップさせると凍結していた『アルカ・ノイズ』達が砕け散り、風に乗って戦場に舞う。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

砕けた氷の破片は灯りに照らされキラキラと煌めき、戦場を幻想的に彩る。その光景にレイアは見惚れた。

 

「やはり貴方はふさわしい・・・・」

 

レイアは驚嘆したようなため息をついて、デジェルを見据える。

 

「私には地味は似合わない。水瓶座<アクエリアス>のデジェル、やはり貴方ほど、私が相手取るにふさわしい相手はいない・・・・」

 

「戦場で無駄口を叩くのは素人のやることだ」

 

デジェルはレイアに言葉に冷めた態度をとるが、レイアの後方から更なるノイズが現れる。

 

「そう言わないで欲しい。私は貴方の美しき凍技に感嘆しているのだから」

 

「君が私に何の感情を抱こうとどうでも良い。しかし、一つだけ答えて貰う事がある・・・・」

 

レイアを睨むデジェルの瞳に冷徹な光が閃く。

 

「ヤツは、“アスプロス”は何処にいる・・・!!」

 

ゴオォウッ!!

 

デジェルの全身から猛吹雪が吹き荒れる。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

レイアは表情には出していないが、“アスプロス”と言う単語が出て来て僅かに顔を強ばらせる。

 

 

ー弦十郎sideー

 

「イチイバル、反応途絶・・・!」

 

「ノイズに・・・ウソだろ・・・? だってシンフォギアが・・・!」

 

「・・・あの分解は、ノイズの“炭素転換”ではないのかっ!?」

 

S.O.N.G.本部のオペレーター陣は“シンフォギアが破壊された”事態に驚愕した。今まで“特異災害指定ノイズ”を葬って来た“聖遺物 シンフォギア”がノイズにあっさりと破壊された現象に信じられないと愕然となったのだ。

ちなみに、エルシドとデジェルが交戦に入ってはいるが、弦十郎もオペレーター陣も、心配の様相が全く無かった。エルシド達黄金聖闘士は間違いなく“超人の域にいる人間”である。例え“聖衣”を纏っていなくても彼らが敗北するなんて弦十郎達は欠片を思っていないからだ。『常勝無敗にして最強無敵の英雄達』、それが弦十郎達の知る黄金聖闘士だからだ。

 

 

ーデジェルVSレイアsideー

 

気絶したクリスを介抱していた少女はレイアを圧倒するデジェルに驚いていた。

 

「(レイアがまるで相手になっていない・・・! これが黄金聖闘士、『完全聖遺物 黄金聖衣』を纏ってすらいないのにこの強さ・・・!)」

 

「もうひとつ答えて貰おう。クリスのシンフォギアを破壊したそのノイズ、ただのノイズではないな?」

 

「“世界の解剖”を目的に作られた『アルカ・ノイズ』を兵器と使えば・・・」

 

「(『世界の解剖』・・・? 『アルカ・ノイズ』・・・?)」

 

後ろの少女がボソッと呟いた言葉をデジェルは聴き逃さなかった。そして少女の言葉に続くようにレイアが呟く。

 

「シンフォギアに備わる“各種防御フィールド”を突破する事など、容易いが・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「(流石に“黄金の英雄の一人”とこの場で戦うのは分が悪すぎるか・・・しかし・・・)」

 

レイアはデジェルの背後にいる少女を睨む。

 

「っ!」

 

「(狙いはあの少女か)」

 

デジェルは気絶したクリスと少女を庇うように前に出るがーーーーーー。

 

ーーーーさせないデスよ!!

 

「「「???」」」

 

突然戦場に響いた声にその場にいた全員が目を向けると、歩道橋の上に広告の垂れ幕をマントのように着ている“暁 切歌”がいた。

 

「切歌くん・・・・?(何故広告の垂れ幕を??)」

 

デジェルは何とも言えない呆れ顔を浮かべるが、切歌はお構い無しに垂れ幕を脱ぎ捨て、垂れ幕は風に飛ばされ、切歌は『シンフォギアクリスタル』を取り出す。そして切歌は歌う、“戦いの唄”をーーーーーー。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

切歌の衣服が弾け飛び、切歌の身体にアーマーが装着され、『フロンティア事変』の時には黒かった部分が明るい黄緑色と白に変わり、左右の肩には大きな突起が二つが装備され、魔法使いの帽子のようなヘッドパーツを装着し、緑色の刃をした大鎌を棒体操のように振り回す。これが切歌のシンフォギア、『シュメール神話の戦女神ザババ』が振るった二刃の1つ、『イガリマ』を装着した!

 

「デスデェス!!」

 

切歌は飛び上がると、大鎌の刃が三枚に展開された。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

フォニックゲインの高める歌を歌いながら、レイアに向けて刃を飛ばした!

 

『切・呪りeッTぉ』

 

放たれた三枚の刃はノイズを切り刻む。

 

ビリビリ・・・・!

 

「っ!♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

本来シンフォギアとの“適合係数が低い”切歌と調とマリアは“LiNKER”を使わなければシンフォギアをマトモに扱う事は出来ない、それ故切歌は一瞬顔を苦しそうに歪めるが、直ぐにノイズに向かう。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

迫るノイズ達に向かって、切歌は身体を独楽のように回転してノイズを切り裂く、さらに両肩の突起からバーニアのように火を吹き、さらに回転速度が加速された!

 

『災輪・TぃN渦ぁBェル』

 

回転を終えた切歌はデジェルの隣に付く。

 

「切歌くん・・・・」

 

「お叱りは後で受けるデス!」

 

「(マニゴルド達が知ればどうなるか・・・・うん、切歌くんは間違いなく苛められるな)」

 

頭の中で悪い笑みを浮かべて切歌を弄りまくるマニゴルドの姿を思い浮かべるデジェル。

 

「良いだろう。しかし、この件はマニゴルドにちゃんと報告させてもらうからな」

 

「(ビクッ)か、覚悟の上デェス・・・・!」

 

保護者<マニゴルド>に苛められる未来を想像したのか、若干震えている切歌に苦笑いを浮かべるデジェルは、気を取り直してレイアを見据える。

 

「派手にやってくれるが。水瓶座<アクエリアス>のようなスマートさと、美しさが足りないな」

 

小馬鹿にした態度のレイアをデジェルと切歌が構える。

 

 

ー弦十郎sideー

 

「切歌ちゃんが状況に介入?!」

 

「“LiNKER”を投与せずにか?!」

 

「ですが、これで行ければ・・・・!」

 

「くぅっ・・・・!」

 

子供を戦わせたくないと考える弦十郎は苦く険しい顔色を浮かべながらメインモニターを睨んでいた。

 

 

ーデジェルsideー

 

「っ!!」

 

ババババババババババババババババババババババババババババババババッッ!!!

 

レイアは機関銃のようにコインを連射してデジェルを牽制しながら緑色のスパークを出している切歌を見据えたいたが、デジェルの近くにいる少女とクリスにノイズ達が迫っていたのを確認する。

 

「愛しい奏者が危険だが?」

 

「生憎だが、切歌くんがここにいる以上“もう二人”がいると分かっているのでね」

 

クリス達に迫るノイズを桃色の鋸が切り裂き、桃色の影が現れる。明るい桃色の鎧に、桃色のツインテールのようなアーマーを頭に装備し、袖の長い腕に足なローラー付きのアーマーを装着した、切歌のイガリマと同じくザババの刃、『シュルシャガナ』のシンフォギアを纏う“月読 調”だった。

 

「っ!」

 

調は飛び上がると頭のアーマーから小さな桃色の鋸をノイズに向けて射出し、ノイズを切り裂く!

 

『α式 百輪廻』

 

「女神、ザババの・・・・」

 

少女は気を失い倒れようとするが、調が抱きとめ、そのまま移動した。

 

「カルディア・・・!」

 

「あいよ」

 

すると今度は切歌が脱ぎ捨てた垂れ幕でクリスを包んで回収する群青色の癖ッ毛の長髪をした青年、蠍座<スコーピオン>のカルディア。

 

「デジェル、ここは引こうぜ」

 

ポイッ、ポフッ

 

「了解だ」

 

カルディアからクリスを投げ渡されたデジェルはクリスを抱き留めそのまま離脱した。調は『非常Σ式 禁月輪』でノイズを切り刻みながら進むが、突如身体に桃色の火花が散り、『非常Σ式 禁月輪』が解除された。

 

「くうっ!(やっぱり、私達の“適合係数”ではギアを上手くは使えない・・・・)」

 

「オラ調! ずらかるぞ!」

 

カルディアが両腕に切歌と少女を持ち、背中を調にむけた。

 

「う、うん・・・・」

 

調はカルディアの背中に飛び乗ると、デジェルとカルディアは夜の街に消えた。それを見てレイアは呟く。

 

「予定に無い闖入者。指示をください」

 

《追跡の必要は無い・・・・帰投を命ずる。ファラも十分だ。それ以上戦えばどうなるか分かるな?》

 

 

 

 

ーエルシドVSファラsideー

 

「(シンフォギアシステムの破壊を確認・・・これ以上の戦闘行為は不必要ね・・・)分かりました、ではそのように・・・」

 

エルシドと対峙していたファラは持っていた大剣を杖代わりにヨロヨロと立ち上がり、“赤い水晶”を取り出すと足元に落とし“赤い魔法陣”が展開された。

 

「逃げるか・・・?」

 

「貴方と戦うのが如何に無謀な事なのかは良く理解しました。しかし、この辛酸、必ずご返却します」

 

“赤い魔法陣”が光ると、ファラの姿が消えたーーーーーー。

 

「一体・・・・あっ! エルシド! アルバフィカ!」

 

マリアは素っ裸になった翼をエルシドとアルバフィカに見せないようにしようとしたが・・・・。

 

「転移か・・・・」

 

「新たな敵と言う訳だな・・・・」

 

当の二人は全く翼の裸に感心を示さず、ファナが消えた地点を調べていた。

 

「(・・・・・・・・・・・・少しは感心示しなさいよ! 特にエルシドッ!!)」

 

あまりにもクール過ぎる二人にマリアは内心憤然と突っ込んだ。

 

 

ー弦十郎sideー

 

「調ちゃん切歌ちゃん、デシェルとカルディアと共に離脱。クリスちゃんや保護対象者の無事も確認されています・・・・」

 

「負傷者との合流と回収を急ぎます!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

正直なところ、シンフォギアが敗北した事にS.O.N.G.指令室の空気は重くなっていた。そんな中、弦十郎はモニターに映る保護された少女の顔を難しく睨んでいた。

 

「錬金術師キャロルと、同じ顔の少女・・・・」

 

 

 

ーカルディアsideー

 

太陽が上り始めた道路を走るデジェルとカルディア。

 

「LiNKERが無くたってあんなヤツに負けるもんかデス!」

 

「切ちゃん・・・・」

 

「お前な、そんな様で良く言えんな?」

 

ずっとスパークしている『イガリマ』と『シュルシャガナ』が戦う事ができない事を物語っていた。

 

「分かっているデス!」

 

「・・・・私達、何処まで行けば良いのかな?」

 

「行ける何処まで、デス・・・・」

 

「でもそれじゃ“あの頃”と変わらないよ・・・・?」

 

切歌と調の脳裏には『破滅の巫女フィーネ』の魂の器として集められた『レセプターチルドレン』としてかき集められ、無理矢理LiNKERを投与されてシンフォギア奏者になった調と切歌とマリア、その様子を見るは今生のフィーネであった櫻井了子と、LiNKER開発の為に参加したジョンウェイン・ウェルキン・ゲトリクス。

 

そして『ルナ・アタック事変』によって引き起こる災厄から人類を救うために聖遺物の力を使おうとしたナスターシャ教授を手伝いたい為に戦ったが・・・・。

 

「状況に流されるままに、力を振るっても、何も変えられない現実を思い知らされた・・・・」

 

二人は流されるままにお互いを殺し合うようになってしまった苦い記憶が甦る。

 

「マムやマリアのやりたい事じゃない・・・!」

 

「アタシ達が、アタシ達のやるべき事を見つけられなかったから、あんな風になってしまったデス・・・!」

 

「目的もなく、行ける処まで行った処で、望んだゴールがある保証なんてない。ガムシャラなだけではダメなんだ・・・・」

 

「もしかして、アタシ達を出動させなかったのは、そういう事デスか? デシェルさん?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・マニゴルドとの約束だ。君達に普通の生活を送らせる。それが、『フロンティア事変』でマニゴルドが我々と交わした契約だから。なるべく君達を出動させなかった」

 

「「・・・・」」

 

「くっ!」

 

「クリス?」

 

デシェルの腕の中にいたクリスの意識が覚醒した。

 

「お、目ぇ覚めたようだな」

 

「よかった・・・・」

 

「大丈夫デスか?」

 

「・・・・大丈夫なものかよっ!」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「(聖衣<クロス>を纏ってすらいないお兄ちゃんに助けられて、護らなければならない後輩に護られて、大丈夫な訳ないだろう!)」

 

自分の不甲斐なさにクリスは悔しそうに顔を伏せた。

 

「処でよ、デシェル。お前なんか面白い名前を喋っていたな?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「カルディア・・・・?」

 

「どうしたデスか・・・・?」

 

尋常じゃない威圧感を放つカルディアに調と切歌首を傾げる。

 

「来ているのか? アイツも、この世界に?」

 

「その少女の言葉が真実ならばな・・・・」

 

「へぇ~そうかい、そりゃ面白い事が分かったぜ」

 

好戦的かつ獰猛な笑みを浮かべるカルディア。

 

「カルディア、面白い名前って・・・?」

 

「どうやらまた黄金聖闘士が現れたみたいだぜ」

 

「マジデスか!?」

 

「あぁ、俺達黄金聖闘士の、イヤ聖域<サンクチュアリ>の最大にして最悪の裏切り者・・・『双子座<ジェミニ>の黄金聖闘士 アスプロス』・・・!!」

 

犬歯を剥き出しにしたカルディアは獰猛な笑みを浮かべた。

 

 

ー翼sideー

 

ロンドンにいる翼(エルシドの上着を着用)とエルシドとマリアとアルバフィカは、ロンドン警察が封鎖したウェストミンスラー橋で翼はS.O.N.G.と連絡を取っていた。

 

「“完全敗北”・・・イエ、状況はもっと悪いかもしれません。ギアの解除に伴って、身につけていた衣服が元に戻っていないのは、コンバーターの損壊による機能不全と見て間違いないでしょ・・・」

 

「まさか、翼のシンフォギアも?!」

 

「・・・・『絶刀 天羽々斬』が手折られたと言う事だ」

 

その顔には悔しさが滲んでいた。

 

 

 

ー弦十郎sideー

 

「クリスちゃんの『イチイバル』と、翼さんの『天羽々斬』が破損・・・・!」

 

「了子さんが居ない今、一体どうすれば良いんだ・・・?」

 

敵ではあったが、『聖遺物』に関する研究の第一人者であった櫻井了子がいない状況で、シンフォギアの破損を修復できる人間がいない現状に友里と藤尭を含んだオペレーター陣に不安がよぎる。

 

「レグルスくんと響くんの回収はどうなっている?」

 

《こちらレグルス、今回収されたよ。響は・・・》

 

《もう平気です。ごめんなさい、私がキャロルちゃんとちゃんと話が出来ていれば・・・》

 

「話を、だと・・・?」

 

相手にすらされていなかった相手と話をしようとする響に弦十郎は首を傾げる。

 

 

ーマリアsideー

 

マリア達がいる処に、黒い車が何台もやって来て、マリアを監視していたエージェント達がマリア達を取り囲んで拳銃を向ける。

 

「状況報告は聞いている。だがマリア・カデンツァヴナ・イヴ、君の行動制限は解除されていない。しかも、第一級監視対象である聖闘士達との接触は、極力「うるさいぞ米国」っ!!」

 

拳銃をむけていたエージェント達は、エルシドとアルバフィカが前に出て怯む。

 

「銃口を向けたならば覚悟しろ、その引き金に付けた指に少しでも力が入れば」

 

「両の手首が無くなる事を覚悟しておけ・・・!」

 

『ッっ!!!』

 

エルシドとアルバフィカが凄むとエージェント達は怯えた様相を浮かべる。

 

「待って、二人とも・・・・」

 

マリアがアルバフィカ達を制すると、翼の耳に付けた通信機を取ってS.O.N.G.本部にいる弦十郎に連絡を入れる。

 

「風鳴指令、S.O.N.G.への転属を希望します」

 

「マリア・・・・」

 

「聞けばクリスの『イチイバル』も破損した事、ギアを持たない私ですが、この状況に偶像<アイドル>のままではいられません。もちろん、エルシドとアルバフィカも、そちらに向かわせます。良い?二人とも?」

 

「・・・・・・・・良いだろう」

 

「丁度こちらも、回収した冥衣を置いていきたいと思っていた所だ・・・・」

 

エルシドとアルバフィカとマリア、三人がS.O.N.G.へと転属した。

 

 

ーマニゴルドsideー

 

「さてと、横浜土産も買ったしそろそろ帰るかな~」

 

その頃、横浜で調査していたマニゴルドは、調査に飽きたのか横浜土産を大量に買い込んで帰り支度をしていた。

 

『マニゴルド』

 

「っ! テメェ、よくも俺の前にしゃしゃり出て来やがったな・・・・!」

 

マニゴルドが睨むと、その先の景色いや、空間がガラスが割れたかのように砕け、ソコからある人物が現れた。

 

青い長髪に透き通るような色白い肌、肩幅も広く、顔も整ってはいるが、高圧的な雰囲気を出す男性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ?!『アスプロス』よっ!!」




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