聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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ミカの炎

~数分前・ガリィside~

 

ミカが響のシンフォギアを破壊するために逃げる響と未来を追撃している間、ガリィはビルの屋上からその様子を眺めていた。

 

「(あ~ぁつまんねぇ。あんなポンコツなんかの相手なんかしても時間の無駄無駄って言いたいけど、マスターの命令だし、それにあのポンコツの相手をしていれば、負傷した獅子座<レオ>以外の黄金聖闘士がやって来るだろうし、アスプロス様から命じられたデータ収集もできるだろうが、黄金聖闘士が来るまで退屈で死にそう・・・・)」

 

ガリィは正直聖詠が歌う事が出来ず、シンフォギアを纏う事が出来なくなった響の相手をするよりも、直接黄金聖闘士とミカを交戦させて『エレメントアームズ』のデータ収集を優先した方が能率的だと考えていた。

 

《ガリィよ、聴こえるか?》

 

ガリィの耳に、アスプロスのテレパシーが聴こえた。

 

「アスプロス様? 如何されましたですか?」

 

《状況を聞こうと思ってな。それでどうなのだ?》

 

「今ミカちゃんがポンコツ奏者を追っていますよ。もう1人いますが、あれは“聖闘少女候補”の少女ですね」

 

《ほぉ『フロンティア事変』で覚醒したアスミタが目をかけている少女か。興味は有るが、今はガングニールの破壊と『火のエレメントアームズ』のデータ収集に専念しろ》

 

「分かってますよ。あ、今ミカちゃんが廃ビルに追い詰めましたよ」

 

《廃ビルか・・・・ガリィ、『水のエレメントアームズ』は持っているな?》

 

「はい、ミカちゃんの『火のエレメントアームズ』も持っていますよ?」

 

《ガングニールが襲われていると知れば黄金聖闘士達が来るだろう。そこでだ・・・・》

 

アスプロスがテレパシーでガリィに“策”を教えると、ガリィはニィッと口の端を吊り上げて、ギザギザの歯を見せながら笑みを浮かべる。

 

「それはそれは・・・・何とも面白いですね~♪」

 

アスプロスの“策”を了承したガリィは、静かに廃ビルの中に入ると、丁度響がガングニールを纏っていた。

 

 

 

ー現在ー

 

響が再びガングニールを纏い、ミカと交戦を初め、最初こそ迷いを振り抜き最高のパフォーマンスでミカを圧倒し、黄金聖闘士達以外は響が勝ったと確信したのだが、直ぐにそれはオートスコアラー達を舐めていた自分達の“浅はかさ”を理解する事になった。

 

「響ーーーー!」

 

ミカにガングニールを破壊され、気を失った響は救援に来たマニゴルドが着ていた喪服の上着にくるまり地面に横たえられる。未来が気を失っている響に駆け寄るが、響はピクリとも動かなかった。

 

「たくっ、復活して早々にギアを破壊されましたって、カッコ悪過ぎだろうがよ」

 

「そう言うなカルディア、ギアを再び纏えるようになった事くらいは評価してやろう」

 

「ま、そのガングニールを簡単に破壊されちまったら意味ねぇけどな」

 

マニゴルドとカルディアは簡単にシンフォギアを破壊された響に呆れ、アルバフィカは一応フォローとも言えないフォローをしていた。

 

「さてと、あれがウワサのオートスコアラーか?」

 

「レグルスを負傷させた『エレメントアームズ』も持っているようだな」

 

「でも1人はほぼ全壊寸前のガラクタ状態、もう1人は新参って所か、少しは楽しめるかな?」

 

暢気な会話をしながらも、目の前のガリィとミカへの警戒は怠っていなかった。ミカが“赤いグリーブ”を、ガリィが“傷だらけの青い籠手”を装備し、それがレグルスに負傷を与えた『エレメントアームズ』であると見抜いて少し警戒を強める。

 

「おやおや、味方の負傷よりも私達の警戒を優先とは、随時と冷たいですね?」

 

「アホか。戦場で、しかもまだ敵がいるって言うのに負傷したヤツを気にかけて隙を見せるのは二流のやる事なんだよ」

 

「敵の力を過小評価して、味方の力を過大評価するのは二流どころか三流以下のやる事だぜ。なぁ? 他の奏者やS.O.N.G.の皆さん♪」

 

《『ぐぅっ!!』》

 

通信機越しで翼とクリス、弦十郎達の苦虫を噛み潰したように悔しそうな声を上げ、それを愉快そうにほくそ笑むマニゴルドとカルディア。そして味方すら嘲弄する二人ににやけるガリィ。

 

「良い事言いますね~♪ ガリィは蟹座<キャンサー>や蠍座<スコーピオン>の方が好みですね。だけど、それはそれ、これはこれで・・・・ミカちゃん、派手にやっちまいなぁっ!!」

 

「オーララララーーーー!」

 

ガリィはビル内部の暗闇に消えて、ミカがグリーブで地面を擦るように蹴り上げると、グリーブの脛部分に錬成陣が淡く輝き、靴底から火花が弾け、マニゴルド達に向かって炎が地を這う蛇のように向かって来たが、マニゴルドが響を、カルディアが未来を抱えて三人は回避した。

 

「うおっ、なんだぁっ!?」

 

「炎があんな動きをすんのかよ?!」

 

「ガリィと呼ばれるオートスコアラーが“水”なら、あのミカと呼ばれる者は“火”を操るのかっ!?」

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

楽しそうに高笑いを上げるミカは『火のエレメントアームズ』の靴底をさらに擦りまくり、次々と炎が生まれ、まるで蛇や鞭のように炎がうねり、地面を炎が走りながら、アルバフィカ達に襲い掛かった。

 

 

ーエルフナインsideー

 

S.O.N.G.司令室でミカとアルバフィカ達の戦闘状況を見ていたエルフナイン達。復活した響に対してぞんざいな言い方をするマニゴルドとカルディアにムッとした顔になり、続いて二人の強烈な嫌味でさらに悔しそうに顔をしかめていた翼とクリスと弦十郎達も顔を引き締め、赤いグリーブの『火のエレメントアームズ』を使うミカの様子をモニターしていた。

 

「あれが、『エレメントアームズ』の力か・・・・!」

 

「はい。四大元素を用いた錬金術により生み出されたミカ専用の武装、『火のエレメントアームズ』です」

 

「どうやったら火が生まれて、あんな蛇か鞭のような動きができんだよ!」

 

画面の中では炎がうねりながらアルバフィカ達に襲い来る炎が映られ、響と未来を抱えているマニゴルドとカルディアは戦いにくそうに回避していた。

 

「ガリィの『水のエレメントアームズ』は空気中や地中、生物内部の“水分”を気化冷却ならびに沸騰を引き起こします。そしてミカの『火のエレメントアームズ』は空気中の“酸素”を燃やしているんです」

 

水分が集まり水となり、火は酸素で燃える。単純な科学である。

 

「空気中の“酸素”を燃やし、さらにミカ自身の能力で自在に操る事ができる。『エレメントアームズ』とそれを扱うオートスコアラーにこれほどまでの力があるとはな・・・・」

 

「聖衣を纏う事が出来ず、十全に実力が発揮できず、立花と小日向を守りながらあの火炎地獄の中で戦うのは少し分が悪いな」

 

「それだけじゃない、カルディアにとってミカは“相性が悪い”よ!」

 

デジェルとエルシドとレグルスは、炎を操るミカとカルディアが相性が悪いと言う事を見抜いた。

 

「どういう事だ、エルシド?」

 

「忘れたか翼? カルディアの“心臓の病”は消えてないぞ」

 

『っ!!』

 

エルシドから言われた言葉に、翼とクリス、S.O.N.G.メンバーは思い出したようにハッ!となった。蠍座<スコーピオン>のカルディアは“心臓に病”を患い、禁術により病の進行を遅らせ延命していた。

だが禁術の副作用によりカルディアの心臓は小宇宙<コスモ>を燃焼すると心臓の温度が上がり常人では耐えられない熱を生み出し、“死”の可能性すらあるのだ。

 

「現在あのビル内部の温度がどれ程の高さになっているかはモニターでは解りませんが・・・・!」

 

「ですがあの炎の勢いです!少なくともビル内部の温度は60℃を越えていると思われます!」

 

「カルディアさんの心臓が、その高熱空間で発作を引き起こす可能性があります!」

 

緒川と藤尭と友里は。徐々に炎に包まれはじめて来ているビル内部を見て、頬に冷や汗を流していた。

 

「それだけではありません。このまま炎に包まれれば五人の呼吸もままならなくなります」

 

炎が燃えれば煙が生まれ、それは人体に有害な有毒ガスが生まれ窒息死を起こすからだ。エルフナインの言葉に翼とクリスも険しい顔色が浮かぶ。

 

「不味いな、カルディアもそうだが。立花や小日向もあの炎の中にいる」

 

「デジェル兄ぃ! 早くあのクソ蠍とバカ達を退避させないと!」

 

「解っている」

 

デジェルはカルディアに通信した。

 

 

ーカルディアsideー

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

ミカはグリーブからバスケットボールくらいの火の玉を生み出すとマニゴルドに向かってサッカーのように蹴り飛ばした。

 

「うお、あっつ!」

 

「まだまだ行っくゾーーーーーーーー!!」

 

マニゴルドは回避するが、ミカは次々と火の玉を生み出し、響と未来を抱えたマニゴルドとカルディアに向けて蹴るが、アルバフィカが『ダーツローズ』で火の玉を破壊するが、破壊された火の玉の炎が飛び散り、床や柱に燃え移り、さらにビル内部を炎が包んだ。

 

《カルディア、聴こえるか?》

 

「あん? デジェルか?」

 

《今すぐ響君と未来君を連れて離脱しろ》

 

「はぁっ?! 何言ってんだ?! せっかく面白くなって来たのによ!!」

 

ビル内部はミカの『火のエレメントアームズ』が生み出した業火に覆われ、炎が床と柱を包んでいた。

 

「いやカルディア、デジェルの判断は正しい」

 

「お前、こんな炎に包まれたサウナのような場所にいたんじゃ心臓がまた発作を起こすぞ」

 

アルバフィカとマニゴルドも、デジェルの言わんとしていることを理解した。マニゴルドは抱えていた響をカルディアに渡す。

 

「このバカと小日向は任せる。お前は直ぐに離脱しやがれ」

 

「・・・・チッ!」

 

舌打ちしたカルディアは窓やドアに目を向けるが、既にミカの『火のエレメントアームズ』が起こした炎によって塞がれてしまっていた。

 

「小日向、ちょいと荒っぽい脱出をするぞ。覚悟は良いか?」

 

「(コクン)」

 

気を失っている響を気にかけながらも、未来はハンカチを口元に当てながら頷く。

 

「オゥラッ!!」

 

カルディアは響と未来を抱えたまままだ燃えていない柱や壁を蹴り跳び、響がミカの攻撃で開けた天井の大穴から脱出した。

 

 

 

ーデジェルsideー

 

「良し、カルディアが響君と未来君を連れて離脱した」

 

「直ぐに響君に救護班を向かわせよう!」

 

《オイこらデジェル、 聴こえているか??》

 

弦十郎が救護班に連絡を入れている最中、カルディアが通信をよこした。

 

「どうしたカルディア?」

 

《そっち<司令室>は今モニターで何処を見てやがる?》

 

「ビル内部を見ている。マニゴルドとアルバフィカがミカに攻撃しようとしているが、炎に遮られて攻めあぐねているが、すぐに終わらせるだろう」

 

モニターにはミカが生み出した炎の鞭や火柱、火の玉がマニゴルドとアルバフィカに襲い掛かるが、二人は難なく回避をし、ミカに攻勢に出ようとしていた。

 

《今俺達は近くのビルの屋上に居るんだがよ、妙な光景が目の前にあるぜ・・・・!》

 

「妙な光景??」

 

《ビル内部からビルの外側を見てみやがれ・・・・!》

 

通信で言われ、デジェルが目配せすると藤尭がビルの外側をモニターに表示した。

 

『なっ!?』

 

司令室にいた全員が驚いた。何故ならアルバフィカとマニゴルドが交戦しているビル全体が、徐々に“凍りついていた”からだ!

 

「どうなっている? 何故ビルが凍っていっているのだ?」

 

「ハッ! ガリィです! ガリィが『水のエレメントアームズ』を使って、ビル内部からビル全体を凍らせているんです!」

 

「だとしてもあの氷結スピードはおかしいだろう!? 何故あんなに早く凍っているのだ!?」

 

「雨だ・・・・!」

 

エルシドもビルの異変に驚き、エルフナインがガリィの仕業と判断するが、翼がビルの凍りつく速さに戸惑うが、デジェルは察していた。

 

「デジェル兄ぃ??」

 

「響君達があの廃ビルに逃げ込み、響君がガングニールを破壊される直前まで大雨が降っていた。ビル表面は雨によって濡れている上に、湿度もかなり高くなっている。ガリィの『水のエレメントアームズ』が水分だけでなく、湿度も使って凍らせる事ができるなら、ビル全体を凍らせる事も可能だ・・・・!」

 

「だけどさ、何故ビル全体を凍らせているんだ?」

 

レグルスもモニターに映る二つの場面、“凍りつくビル”と“炎に包まれたビル内部”、この2つの関係性が解らなかった。全員が敵の狙いが解らずにいる間に、氷は徐々にビル全体を包み、カルディアが脱出に使った穴を塞いだ。

 

「もしかして、あの氷はマニゴルドとアルバフィカを逃がさないために作ったのかな?」

 

「イヤそれは無いレグルス、“逃がさない”のが狙いならば、ミカと相性が悪いカルディアや戦闘不能になった響君と“今は”戦えない未来君を“逃がす理由”がない。三人がいた方がマニゴルドとアルバフィカの動きをある程度制限できるからだ・・・・」

 

デジェルはモニターに映るマニゴルド達を見ると、ミカへと攻勢に出た。

 

 

 

ーマニゴルドsideー

 

「アッチ!アチチチチチチッ!! ガキの内から火遊びなんてしやがって!! 将来ロクな大人にならねぇなこの水道管頭ッ!」

 

「お前が言っても説得力皆無だがな。それに相手はオートスコアラーと呼ばれる人形だ。ロクな大人になる事は無いだろう」

 

「ウルセェ!」

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハッ! もっとダゾ! もっともーっと見せてやるゾ!!」

 

「ガキの火遊びはここまでだぜ!」

 

攻勢に出ようとするマニゴルドとアルバフィカだが、炎の鞭が襲いかかり、二人は分断されたと思われたが。

 

「アルバフィカ!」

 

「『ローリングローズ』!!」

 

アルバフィカが黒薔薇の竜巻で炎を鞭を凪ぎ払い、その一瞬でマニゴルドがミカに迫る。

 

「オーララララ!!」

 

ミカがさらに火炎攻撃を放つが、マニゴルドは炎を掻い潜り、ミカの懐に付いた。

 

「ンン?!」

 

「オォゥラッ!!!」

 

ドゴォンッ!

 

マニゴルドの膝蹴りがミカの腹部にめり込み、ミカを上の階の柱に叩きつけた。

 

「スゴいゾ! 動きが見えなかっタゾ!!」

 

しかし叩きつけられたミカは落下しながらも、直ぐにマニゴルドを見るが、一階にいるのはアルバフィカだけでマニゴルドが消えており首を傾げる。

 

「ンン? 何処ダ?」

 

グワシッ!

 

「オオッ!?」

 

一瞬でマニゴルドはミカの胴体を両足で挟み込み『蟹爪<アクベンス>』を繰り出そうと見せるが。

 

「うおおぉらよっとぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

マニゴルドはミカを両足で挟んだまま縦に回転し、遠心力を加え、足に挟んだミカを地面に向けて投げて叩きつけた。

アルバフィカの近くに着地するマニゴルド

 

「『蟹爪<アクベンス>』の発展技か?」

 

「まぁな。今度切歌をイジメもとい鍛えてやる時に試してみようと思ってた新技だぜ」

 

 

ー切歌sideー

 

「ヘックチッ!」

 

「どうしたの切ちゃん?」

 

「急にくしゃみなんかして?」

 

「イヤデスね、なんか凄くイヤな寒気を感じた気がするデスが・・・・」

 

その頃、切歌はマリアと調と共にS.O.N.G.本部に向かう途中で謎の寒気に襲われていた。

 

 

ーマニゴルドsideー

 

「あまり切歌や調で新技の実験をするな」

 

「何言ってんだよ? 俺は新技を編み出せる、切歌達も鍛える事ができる、一鳥二石じゃねぇの?」

 

「・・・・本音は?」

 

「アイツら<切歌と調とマリア>をイジメるのが楽しいからだ!・・・・って何言わせんだ」

 

暢気な会話を繰り広げる二人だが、屋内の空気が薄くなったせいか呼吸が少し苦しくなってきた。

 

「チッ、やべぇな。少し呼吸が苦しくなって来やがった・・・・! 敵の狙いは、ここで俺達二人を窒息死で始末する事か?」

 

「イヤ、あのミカなるオートスコアラーには、そんな知恵が回るような性格はしてなさそうだった。ただ考えなしに暴れているだけだな」

 

「歯止めが効かなくなったカルディアみたいなヤツかよ?」

 

「“心臓の病”と言う一応のリミッターが付いてない分、カルディアより質が悪いがな・・・・!」

 

二人は全く警戒を解くことなく、ミカが叩きつけられた箇所を睨むと、そこから土が盛り上がり、ミカが飛び出してきた。

 

「面白い! 面白いゾ!! 蟹座<キャンサー>! お前凄く面白いゾ!! もっともっとヤろうヨ!!」

 

「モテモテだなマニゴルド?」

 

「ケッ、アホなガキの子守りは切歌だけで十分なんだよこちとら!」

 

ミカは心底楽しそうにマニゴルドに向けて吼えるが、当のマニゴルドは気だるそうにしていた。ミカは飛び上がると、マニゴルドに向けて踵落としを繰り出すが。

 

「おっと!」

 

寸前でマニゴルドは後ろに一歩引いてかわし、ミカのグリーブは床を砕いた。

 

「アレレレ?」

 

「っマニゴルド! 退け!」

 

「っ!」

 

アルバフィカの声にマニゴルドは後方へ退くと、グリーブから光が溢れーーーー。

 

ボオンッ!!

 

なんとグリーブ、『火のエレメントアームズ』を叩きつけられた床が小さくだが爆発した。

 

「おいおい床が少し爆発したぞ? どうなってんだ?」

 

「ミカの『火のエレメントアームズ』が地面を擦る事で火花を生みそれが火炎となるなら、接近戦でグリーブを相手に叩きつけると、攻撃箇所から火花を生んで爆破させる能力だろう」

 

「『水のエレメントアームズ』が人体に触れれば氷結と沸騰を引き起こすなら、『火のエレメントアームズ』は攻撃と爆破を同時に起こすって訳か、どっちもえげつねぇ能力だぜ・・・・制作者の性格の悪さがにじみ出てんな!」

 

厄介な武装を作った双子座<ジェミニ>にマニゴルドは悪態を付いた。

 

「ヨーシ! まだまだ行くゾォ!」

 

「そこまでですよミカちゃん」

 

再びエレメントアームズで火炎攻撃を行おうとしたミカの背後にガリィが現れた。

 

「ガリィ、何で止める? 蟹座<キャンサー>面白いからもっと楽しみたいゾ」

 

「お楽しみ中に悪いんだけどね~。こっちはもう十分なんですよ。『火のエレメントアームズ』の戦闘データもかなり取れたし、当初の目的であるガングニールの破壊も既に完了。もうこれ以上やり合う理由が無いんですよ」

 

「エーーーーーーーーーーッ!!」

 

「チッ、文句言って無いでとっとと帰るんだよ! とっくに“仕込み”は終わったんだからな!」

 

ミカが不満そうに声を上げ、最初は猫なで声だったガリィは舌打ちした後、かなり口悪く怒鳴り声をあげた。

 

 

 

 

 

ーデジェルsideー

 

「“仕込み”・・・・!?」

 

戦況をモニターで見ていたデジェルは、ガリィの言った“仕込み”と言う言葉から改めて“廃ビル内部”と“廃ビル外部”の画面を交互に見た。

 

「(“ガリィの『水のエレメントアームズ』によって凍らされ密閉された建物”・・・・“ミカの『火のエレメントアームズ』によって火炎地獄となったビル内部”・・・・火が燃え盛っている密閉された空間、もしもあの凍らされた建物に少しでも“穴”が空いてしまえば!)」

 

デジェルは気付いたガリィの、そしてこれは双子座<ジェミニ>のアスプロスが事前にガリィに吹き込んでいた“凶悪な策略”であることをデジェルが知る由がない。

 

「カルディア! 直ぐに響君と未来君を連れてそこから遠くに退避しろ!! マニゴルド! アルバフィカ! 緊急離脱だ!!」

 

『っ!?』

 

普段冷静なデジェルの突然の大声に、レグルスとエルシドだけでなくクリスと翼、弦十郎達も驚いた。

 

《なんだよデジェル?》

 

「良いから直ぐにそこから退避しろカルディア!できるだけ遠くにだ!」

 

カルディアは首を傾げたが、直ぐに響と未来を再び担いで今いるビル屋上から離れた。

 

「どうしたんだよデジェル兄ぃ・・・・?」

 

クリスもこんなに感情的になったデジェルを見るのは初めてで戸惑う。

 

「いっぱい食わされた。奴等の目的は窒息死なんて生温い策略ではなかった!」

 

「どういう事?」

 

「奴等の目的は・・・・!」

 

 

ーアルバフィカsideー

 

ガリィとミカは転移用の水晶を地面に叩きつけると、魔法陣が足元に現れ、沈むように消えるが、ガリィを大きな氷の結晶を生み出してカルディアが脱出に使った、響によって作られた天井へと投げた。

 

「では魚座<ピスケス>。もし生きていたらあの時の決着でもつけましょう」

 

「蟹座<キャンサー>、お前面白いゾ! また戦おうナ!」

 

ガリィとミカが消えるのと、ガリィが投げた氷の結晶が天井に張られた氷を破った。

 

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!

 

すると、破られた氷の天井から大量の気流がビル内部へと流れ込んできた。

 

《マニゴルド! アルバフィカ! 緊急離脱だ!!》

 

「おいおいマジかよ、コイツは!」

 

「不味い!」

 

通信機からデジェルの叫び声が聴こえたこの瞬間、マニゴルドとアルバフィカもガリィとミカの狙いを理解した。

 

密閉された空間の炎は酸素不足により鎮火するが、突然流れ込んできた空気により、屋内の鎮火されつつある火が激しく膨張し逆巻き、爆裂を引き起こすこの現象をーーーーーーーーーーーー『バックドラフト』。

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッッ!!!

 

入り込んだ空気により炎が勢いを増し、炎の奔流がマニゴルドとアルバフィカごと屋内を呑み込むと、内部からビルが爆発したーーーーーーーーーーーー。

 

 

 

 

 




今回はここまで。

アスプロスともう一人の双子座<ジェミニ>のCVですが、三名の候補がいます。

諏訪部順一(聖闘士星矢Ω オリオン座のエデン。テニスの王子様 跡部景吾)

小西克幸(聖闘士星矢Ω 仔獅子座の蒼摩。天元突破グレンラガン カミナ)

浪川大輔(ハイキュー!! 及川徹。テニスの王子様 鳳長太郎)

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