聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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キャロルの思い出

ーレグルスsideー

 

「マニゴルド! アルバフィカ!!」

 

モニターで爆裂したビルを見てレグルスが叫び、他のメンバーも驚愕の様相を浮かべた。

 

「至急消防と救助隊の出動を要請!」

 

「了解!」

 

「アルバフィカ! マニゴルド! 応答してくれ!!」

 

弦十郎が藤尭に指示を出し、デジェルが二人に呼び掛けるが応答が無かった。

 

「司令、響ちゃんが救護班に収容されました。未来ちゃんも連れて、今こっちに向かっています」

 

「小日向だけ? カルディアはどうしたんですか?」

 

「それが・・・・救護班に二人を任せてビルの方へ向かったそうよ」

 

友里の報告を聞いてエルシドとデジェル、レグルスも司令室を出ようとしたが。

 

「レグルス、お前は待て」

 

「デジェル、でも・・・・!」

 

「今お前がしなければならないのは手足の完治だ。片手片足が使えない今の状態では、かえって邪魔だ」

 

「!」

 

「エルシド! そのような言い方は!」

 

「レグルスがこんな状態になったのは、あのバカ<響>を守るためだったんだぞ!」

 

「いや、良いんだ翼、クリス・・・・」

 

「レグルス・・・・」

 

エルシドの言い方に憤懣する翼とクリスだが、言われたレグルスが抑えた。

 

「確かにこんな状態じゃ足手まといになるだけだ。だから、頼むよ。エルシド、デジェル」

 

「あぁ」

 

「任せろ」

 

エルシドとデジェルが司令室を出るが、レグルス負傷した右腕を掴んで悔しそうに唇を噛みしめ、唇から血が滴り落ちるのを翼とクリス、弦十郎達やエルフナインが目撃した。

 

 

ーカルディアsideー

 

カルディアはマニゴルドとアルバフィカがオートスコアラーと交戦していたビルにたどり着くと、燃え盛っているビルを見つめる。

 

「・・・・・・・・・やっぱ必要だな。“アレ”が」

 

カルディアは以前アスプロスから渡された“ある物”が必要と考えていた。

 

 

 

ー未来sideー

 

「目を開けてっ! 響! お願い響っ!!」

 

本部に運ばれ、ストレッチャーに乗せられた響に未来と翼とクリスが必死に呼び掛けるが、完全に意識を失った響はそのまま手術室に搬送された。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

未来達は手術室の前で、響の無事を祈った。

 

「未来・・・・」

 

「レグルス君・・・・」

 

松葉杖を使いながら未来に近づくレグルス。前回の事で響との間に“わだかまり”が出来たが、未来とはソレと関係無しに話す。

 

「ゴメン未来、肝心な時に俺は・・・・」

 

レグルスが悔しそうに俯くが、未来はレグルスの負傷した手足を見て首を振る。

 

「レグルス君、あの時<ミカと初めて交戦した時>レグルス君が来てくれなかったら、きっと響も私も、板場さん達も殺されていたと思う、レグルス君は私達を守る為に負傷して戦えなかった。だから、気にやまないで・・・・」

 

「でも、ガリィはあの時に言った。“『エレメントアームズ』はまだ未完成”だって・・・・!」

 

「“未完成”?」

 

「ガリィが『水』、ミカが『火』、そしておそらくロンドンで翼が交戦したファラとクリスが交戦したレイアが『風』と『土』のエレメントアームズを使うだろう」

 

「つまりレグルスを負傷させ、アルバフィカとマニゴルドを追い詰めた武装が、後2つあると言う事か・・・・」

 

「聖衣を纏えない状態の今のレグルス達じゃ分が悪すぎる!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「“未完成のエレメントアームズ”でも、これ程の戦力になるなら、もしも“完成”してしまえば、黄金聖衣を持っていない俺達では、勝てないかもしれない・・・・!」

 

「えっ・・・・!」

 

「「っ!」」

 

レグルスの言葉に未来達は少なからずのショックを受ける。

 

「こんな時、アスミタさんは動いてくれないのかな?」

 

「アスミタが動くとしたら、見極めてからだろうな」

 

「見極める?」

 

「そう、本当にキャロル・マールス・ディーンハイムが世界に災いを呼び出す存在なのかどうかをね・・・・」

 

レグルス自身、キャロルに“既視感”を感じていた。

 

「(キャロルのあの目、凄く似ていた・・・・あれは父さんを殺されて荒んでいた俺と同じ目・・・・“大切な人”を奪われた者の目だ・・・・!)」

 

「マニゴルドとアルバフィカは生死不明の行方不明。カルディアがマリア達の方に行っているが・・・・」

 

「くっそ! シャクだがマニゴルドやカルディアの言うとおり、オートスコアラーを舐めていたぜ・・・・!」

 

マニゴルドとカルディアに“敵の力を過小評価し、味方の力を過大評価していた”と言われ、エルシドとデジェルとレグルスからも“敵を甘く見ている”と指摘され、実際勝ったと思った響のこの状態、自分達がオートスコアラーの実力を完全に甘く見ていた。そんな自分自身に腹を立てる翼とクリス。

 

「いずれにしても、私も雪音もこのまま燻っていられるか・・・・!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

天羽々斬とイチイバルが破壊され、戦線に入れない翼とクリスが拳を強く握り締めた。

 

 

 

ーカルディアsideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・嘘、デスよね? カルディア?」

 

「マニゴルドと、アルバフィカが、行方不明・・・・?」

 

「・・・・・・・・あぁ、嘘でも冗談でもギャグでもねぇよ」

 

カルディアから聞かされたマニゴルドとアルバフィカが行方不明になった事にマリアと切歌は愕然となり、調を驚き呆然となっていた。

 

「アルバフィカ・・・・・・・・」

 

「だ、大丈夫デス・・・・あ、あのマニゴルドとアルバフィカデスよ! きっと生きているデェス! 生きて、いるデスよね・・・・?」

 

「切ちゃん・・・・」

 

切歌が今にも泣きそうな顔と震える声で藁にもすがる気持ちで強がる。その痛々しい親友の姿に調はソッと抱きしめた。

 

「調・・・・マニゴルド、無事デスよね・・・・? アルバフィカもきっと帰って来るデスね・・・・?」

 

「うん・・・・あのマニゴルドとアルバフィカだよ。きっといつも通りに帰って来るから・・・・」

 

遂に涙を流す切歌に調が優しく頭を撫でた。

 

「切歌・・・・」

 

「オラマリア、お前もシャンとしろ。アルバフィカや婆さんが居たらどやされるぞ」

 

「・・・・・・・・分かっているわ。分かって、いるから・・・・」

 

ソッとカルディアがマリアに耳打ちし、マリアも何とか揺らいだ気持ちを奮い立たせようとしていた。

 

「(こりゃ重症だな。にしても、マニゴルドとアルバフィカがそう簡単にくたばる訳は無いが・・・・一体どうしたんだ?)」

 

 

ー???sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その男は、目の前に倒れている二人の男性を見ていた。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

倒れている二人の顔には見覚えがあった。かつて遠巻きだが“兄”と同じ頂きに立った者達だから、するともう一人、その男の眼前に現れた男を見て僅かに驚く。

 

「久しいな。君の小宇宙<コスモ>を感じたので探ってみれば・・・・なるほど。君はずっとこの場所にいたのか・・・・因果だな?」

 

「ーーーーーーーーーーーーーー」

 

「何、『黄泉比良坂』で倒れていた二人を見つけたのでな。ついでに連れてきたのだ」

 

「ーーーーーーーーーーーーーー」

 

「おそらく激しい戦闘が起こり、辛くも『黄泉比良坂』に逃げ込んだのだろう。しかしかなりの負傷をしている。この場所に来たのも或いは運命やもしれん。悪いがしばらくこの二人の治療の為に居座るぞ」

 

「ーーーーーーーーーーーーーー」

 

「礼を言おう・・・・」

 

「切、歌・・・・」

 

「マリ・・・・ア・・・・」

 

現れた男は、倒れている二人を念動力<サイコキネシス>で運んだ。マグマを吹く山へとーーーーーーーーー。

 

 

 

ー未来sideー

 

リディアンにて、未来は音楽室でピアノを演奏していた。

 

「(あれからもう一週間。レグルス君の治療は良好だけど、マニゴルドさんとアルバフィカさんの行方は解らず、ずっと眠ったままの響・・・・。目が覚めて、胸の歌が壊された事を知ったら、どう思うのだろう・・・・)」

 

『???』

 

未来が演奏を止めてしまい、授業に出ていた他の生徒達が首を傾げる。

 

「心此処に在らず、と言った所ですね?」

 

「あっ・・・・あぁイエ!」

 

音楽教師(男性)に言われ、未来もハッとなる。

 

「すみません・・・・」

 

「小日向さんは、試験の日までに悩み事を解決しておくように」

 

「はい・・・・」

 

「では、次の人」

 

未来の心は、響への心配でいっぱいだった。

 

 

ー弦十郎sideー

 

奏者と弦十郎達S.O.N.G.メンバーと聖闘士達が、本部の司令室にて『プロジェクトイグナイト』の進捗状態を会議していた。

 

「『プロジェクトイグナイト』。現在の進捗は89%。旧二課が保有していた第一号及び第二号聖遺物のデータと、エルフナインちゃんの頑張りのお陰で、予定よりずっと早い進行です」

 

「各動力部のメンテナンスと重なって、一時はどうなることかと思いましたが、作業や本部機能の維持に必要なエネルギーは、外部から供給出来たのが幸いでした」

 

友里と藤尭が作業の進捗を報告するが、緒川が気になる事を口にした。

 

「それにしても、シンフォギアの改修となれば、機密の中枢に触れると言うことなのに・・・・」

 

「状況が状況だからな。それに“八紘兄貴”の口利きも有った」

 

「“八紘兄貴”って、誰だ?」

 

クリスの疑問に翼が答える。

 

「限りなく非合法な実行力を持って、安全保障を裏から支える政府要人の一人、超法規措置による対応のねじ込みなど彼にとっては茶飯事であり・・・・」

 

「百々のつまりが何なんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

言い淀む翼に変わり、エルシドが口を開く。

 

「“内閣情報官風鳴八紘”、風鳴司令の兄上であり、翼の父上だ」

 

「えっ? 翼の父さん??」

 

「私達の黄金聖衣の使用許可も、国連に直訴しているのも彼の人だ」

 

デジェルも翼の父親である風鳴八紘の事は知っていた。レグルスはあまりS.O.N.G.と関係を持たないから知らなかったが。

 

「だったら初めっからそう言えよな。こんにゃく問答が過ぎるんだよ」

 

「私のS.O.N.G.編入を後押ししてくれたのも確かその人物なのだけど。なるほど、やはり親族だったのね?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「どうした?」

 

「やめろマリア、親族には親族なりの事情があるのだ」

 

「え?」

 

マリアの言葉に翼は難しい顔色を浮かべ、エルシドがあまりツッコムなと遠回しに言い、弦十郎も頭を掻く。すると司令室の扉が開き、響の見舞いに来た未来が入室してきた。

 

「響の様子を見てきました」

 

「生命維持装置に繋がれたままだが、大きな外傷は無いから一応は大丈夫だ。安心してくれ、小日向君」

 

「ありがとうございます」

 

デジェルの言葉に未来は笑みを浮かべる。

 

「だけど問題は、響の心の方だね」

 

「ガングニールを失い、立花がどう思うかだな?」

 

「ま~ためんどくさい状態になるんじゃねぇの? 『立花 響、趣味は人助けとウジウジと悩む事』って、今度また敵に自己紹介する時に言ってみたらどうだ?」

 

「カルディア・・・・!」

 

レグルスとエルシドが響の目覚めた時の心情を懸念し、カルディアはデリカシーゼロな事を言って、調が諫める。

 

 

ーエルフナインsideー

 

それは過去の場景。棚にはフラスコや試験管が置かれ、床には錬成陣や木や結晶体等が乱雑に置かれた家で、キャロル・マールス・ディーンハイムは錬金術の勉強をしていた。

 

「うわあぁっ!!」

 

ボオンッ!

 

「あっ! パパ!?」

 

爆発したところに目を向けると、キャロルと同じ色をした金色の長髪に顔に無精髭を生やし、眼鏡を掛けたキャロルの父親が料理をしており、手に持っていたフライパンには黒い煙が上がっていた。

 

「爆発したぞ・・・・」

 

「プッ! アハハハハハハハハ!」

 

振り向いた父の顔には爆発で黒くなっていた。そんな父のおかしな顔に、キャロルは朗らかに笑った。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

テーブルに置かれる、黒くなった父の料理をキャロルは父に見つめられながら食したが・・・・。

 

「ウッ!・・・・・・・・」

 

「ウマイか?」

 

渋い顔を浮かべながら咀嚼するキャロルに、父は不安そうに聞いた。

 

「苦いし臭いし美味しくないし、0点としか言いようが無いし!」

 

「ハァ、料理も錬金術も、レシピ通りにすれば間違い無い筈なんだけどな・・・・どうしてママみたいに出来ないのか?」

 

黄昏る父に対してキャロルは勢い良く立ち上がる。

 

「明日は私が作る! その方が絶対美味しいに決まってる!!」

 

「コツでもあるのか?」

 

「内緒♪ 秘密パパが解き明かして。錬金術師なんでしょ?」

 

「ハハハハハ、この命題は難題だ・・・・」

 

「問題が解けるまで、私がずっとパパのご飯を作ってあげる!・・・・ウフフフ♪」

 

父親との幸せの時間を享受するキャロルの顔には、幸せに満ちた笑顔を浮かべていた。

 

 

* * *

 

「夢・・・・?」

 

天羽々斬のシンフォギアクリスタルの調整をしていたエルフナインは、“キャロルの記憶”を見てモノ憂い気に呟いた。

 

「数百年を経たキャロルの記憶・・・・?」

 

エルフナインは天羽々斬の状態を表示していたモニターの時計を見た。

 

「10分そこら寝落ちしてましたか。でも、その分頭は冴えたはず! ギアの改修を急がないと!」

 

エルフナインはキャロルの記憶から、“父の遺言”が脳裏に思い浮かべた。

 

【キャロル・・・・生きて、もっと世界を知るんだ・・・・!】

 

【世界を・・・・?】

 

【それがキャロルのーーーーーーーー】

 

“異端の技術に手を染めた”、と言われない非難により炎に包まれ極刑にされる父の姿にキャロルは涙を流していた。

 

「(パパは何を告げようとしたのかな? その答えを知りたくて、ボクはキャロルから世界を守ると決めて・・・・でもどうしてキャロルは、錬金術だけでなく、自分の思い出までボクに転送複写したのだろう?)」

 

キャロルの事を気にかけながらも、エルフナインはギアの改修の手を進めていた。

 

 

 

ーカルディアsideー

 

カルディアはS.O.N.G.本部の一室でデジェルとエルシド、レグルスを集めた。

 

「何の用だカルディア?」

 

「ん」

 

カルディアはアスプロスに渡された“あるデータが入ったメモリ”をデジェルに渡す。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

デジェルは一応自前のパソコンにメモリを挿入して“内容データ”を確認した。

 

「っ! これは・・・・」

 

「デジェル。これって・・・・!」

 

「あぁ、『フロンティア事変』の時にエアキャリアと一緒に消滅したと思っていたが・・・・」

 

「カルディア。何故お前がこれを?」

 

「んな事は今はどうでも良いんだよ、それでデジェル。コレで何とかなるか?」

 

「・・・・・・・・こちらも、櫻井良子<フィーネ>が持っていたデータが有るからな。それと合わせれば何とかなる」

 

「そうかい。それじゃ任せたぜ」

 

「カルディア、何故コレをデジェルに作らせようとする?」

 

「簡単だぜエルシド。あの過保護な奏者共やS.O.N.G.の連中がコレを知れば、ああだこうだと五月蝿く理屈コネ繰り回して、邪魔になるだけだからな」

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 

デジェルもエルシドもレグルスも、響達奏者や弦十郎達が“彼女達”に対して過保護であると思っていたので何とも言えない顔になる。

 

 

 

 

ーキャロルsideー

 

「・・・・・・・・・・・・・!!!」

 

アジトの玉座に座り、目を閉じていたキャロルは突如、自分の身体を抱いた。

 

「くっ!・・・・うぅ!・・・・まただ・・・・! 身体から、溢れる程のこれは、一体・・・・!?」

 

キャロルは父を失い、世界を憎むようになって数百年、キャロルは自分の中に“抑えようのないナニか”が蠢く感覚がまるで発作のように沸き上がるのを感じていた。

 

「キャロル」

 

「アスプロス・・・・」

 

アスプロスが現れ、キャロルを抱き締めると小宇宙<コスモ>をキャロルの身体に流した。するとキャロルの身体から沸き上がっていたナニかが収まった。

 

「アスプロス、俺に一体、何が起こっているんだ?」

 

キャロルは戸惑いがちにアスプロスを問うが、

 

「・・・・・・・・安心しろキャロル、俺に任せろ。何も心配しなくて良い」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

キャロルは気持ちを落ち着かせようと、アスプロスの胸の中で目を閉じた。

 

「もう大丈夫だ」

 

少ししていつもの気持ちに戻ったキャロル。

 

「してキャロル? 手は打ったか?」

 

「無論、そろそろ頃合いだ」

 

アスプロスの言葉にキャロルは肯定するように頷いた。

 

 

ー弦十郎sideー

 

ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!

 

黄金聖闘士達と切歌と調を除いたメンバーがいる司令室に、けたたましく警報が鳴り響くと、メインモニターに『Alca-NOISE』と表示された。

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

「座標、絞り込みます!」

 

ズズゥウウウウウウウウウウウウンンッ!!

 

藤尭と友里がアルカ・ノイズを索敵仕様とすると、本部である潜水艦が激しく揺れた。モニターに外の映像が映し出されると、本部外にアルカ・ノイズが発電施設に攻撃していた。

 

「まさか敵の狙いは、我々が補給を受けている、この基地の発電施設!?」

 

「何が起きてるデスか!?」

 

緒川が呟くと同時に、切歌と調が入ってきた。

 

「アルカ・ノイズにこのドッグの発電所が襲われてるの!」

 

「ここだけではありません! 都内複数ヶ所にて、同様の被害を確認! 各地の電力供給率、大幅に低下しています!」

 

「今本部への電力供給が絶たれると、ギアの改修への影響は免れない!」

 

「内蔵電力もそう長くはもちないですからね・・・・」

 

「それじゃ、メディカルルームも!?」

 

メディカルルームにいる響にも悪影響が生まれると言われ、未来も焦る。すると、調が隠していた『潜入美人捜査官メガネ』を掛ける。

 

「フン・・・・!」

 

「な、何をしているデスか? 調・・・・??」

 

「しーーーーー・・・・」

 

「???」

 

調は人差し指を立てて静かにとジェスチャーし、切歌と共にコッソリと司令室を出て行った。

 

 

 

ー調sideー

 

司令室を出た調と切歌(潜入美人捜査官メガネ装着済み)は、通路を走っていた。

 

「『潜入美人捜査官メガネ』で飛び出して、一体何をするつもりデスか!?」

 

「時間稼ぎ・・・・!」

 

「なんデスと!?」

 

「今大切なのは、強化型シンフォギアの完成までに必要な時間と、エネルギーを確保する事!」

 

「確かにそうデスが、全くの無策じゃなにも・・・・」

 

切歌と調は、ある区画の扉前までにやって来た。

 

「全くの無策じゃないよ。切ちゃん・・・・」

 

「メディカルルーム・・・・??」

 

 

ーカルディアsideー

 

「あ?」

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 

司令室に行こうとしていたカルディア達は通路で調と切歌が響が眠るメディカルルームに入って行くのを見た。

 

 

ー調sideー

 

「こんな所でギア改修までの時間稼ぎデスか?」

 

「このままだとメディカルルームの維持までも出来なくなる・・・・」

 

調は眠る響を見つめる。かつて“偽善者”と呼んで嫌悪し蔑んでいた相手、しかし今はその優しさに触れて、仲間として友達として先輩として尊敬する人。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「フッ・・・・だったらだったで、助けたい人がいると言えば良いデスよ!」

 

「イヤ」

 

「どうしてデスか?」

 

「恥ずかしい・・・・。切ちゃん(&カルディア)以外に、私の恥ずかしい所は見せたくないもの」

 

「ーーーー!!!」

 

何故か感極まった切歌は背中に百合の花を咲き誇らせ。

 

「ん?」

 

「調ーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

切歌は調に抱きつこうとするが、調は“目的の物”がある引き出しに向かい、かわされた切歌はそのまま床にビタンッ!と倒れる。

 

「ブギュッ!!・・・・イタタタタ、全くなんデスかもう・・・・」

 

ピピッと電子音が鳴ると、引き出しが開けられ、ソコに“目的の物”があった。

 

「見つけた・・・・!」

 

「見つかったデスか!?」

 

切歌が調の隣に行き、“目的の物”を見つめるが、二人の背後に一人の男性が現れーーーーーーーー。

 

グワシッ!×2

 

「ッッ!?」

 

「デデデェスッ!?」

 

二人の頭を誰かが掴んだ。

 

「ア、アワワワワワ・・・・」

 

「どどどどどど、どちら様デスか?」

 

ガタガタ震える二人には本当は分かっていた。自分達の頭を掴むこの人物の手のひらの感触から誰なのか即理解していた。

 

「なーに面白そうな事してんだ? 調? 切歌?」

 

「(カ、カカカカカカ、カルディア?!)」

 

「な、なななななな、何の事デスか? わ、私達はただの、通りすがりの美人捜査官デェス! 調とか切歌と言う名前の美少女奏者では無いのデス!」

 

『潜入美人捜査官メガネ』を装着している自分達の正体がバレる訳ないと思っている二人は脂汗を流しながら惚けるが・・・・。

 

「アホか、嫌アホだアホだと分かっていたけどな。たかがんなメガネごときで、俺らから正体を隠せると思っていたのか? アン??」

 

二人の頭を掴んだまま立ち上がり、ブランと宙に浮いたまま出入口の方に二人の頭(身体?)を向けると、レグルスとデジェルとエルシドが、苦笑い浮かべたり呆れていたり半眼で見ていた。

 

「バ、バレてるよ切ちゃん・・・・!」

 

「さ、流石は人類最強にして地上最強の黄金聖闘士デェス! 私達のスペシャルな変装を見破るなんて・・・・!」

 

「(本物のアホだわコイツら・・・・)」

 

「それで切歌に調、“ソレ”使うの?」

 

「うん・・・・」

 

「ぶ、武士の情けデス・・・・止めないで欲しいデェス・・・・!」

 

「誰が止めると言った」

 

「えっ?」

 

「デェス?」

 

てっきり止められると思っていた二人は、エルシドの言葉に思わず首を傾げる。

 

「医者志望としては、君達に“ソレ”を使わせるのはオススメ出来ないが・・・・」

 

「“戦おうとする者”を止めるつもりは無い」

 

「保護者も同伴するしね。ね、カルディア?」

 

デジェルとエルシドとレグルスは切歌と調を止める為に来たのではなかった。

 

「まぁな。オラ、さっさと“LiNKER”を持って行くぞ」

 

「「うん!/デェス!」」

 

調と切歌は引き出しに隠されていた“目的の物”、“LiNKER”を持って、戦場に向かった。

 

 

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