聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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自分に出来る事を

S.O.N.G.本部の補給線であるソーラーシステムから火の手が上がり、アルカ・ノイズが進軍していた。

補給基地の防衛として派遣されていた自衛隊がアルカ・ノイズを迎撃した。

 

ババババババババババッ!!

 

自衛隊の攻撃にアルカ・ノイズはダメージを受けて倒れた。従来のノイズと比較して、 アルカ・ノイズの出力スペックは、ノイズと大差ない性能だが、それでも高い汎用性の分解能力を実現したのは、 位相差障壁に用いられていたエネルギーを分解能力の向上にあてたからである。

結果、通常物理法則下にあるエネルギーの減衰率は低下し、 とくに「解剖器官」と呼ばれる部位の起動時には、 これまで観測されてきた従来の位相差障壁ほどの防御性能は損なわれている。

それ故に通常兵器でもアルカ・ノイズと渡り合う事が出来た。

 

「行けそうですっ!!」

 

シンフォギアも聖衣も使えない自分たちでも人類の驚異であるアルカ・ノイズと戦える事を喜ぶが、迎撃している自衛官の背後に、アルカ・ノイズが回転しながら襲い来る。

 

ヒュンッ! ズシャァンッ!!

 

「っ!?」

 

しかし背後から襲ってきたアルカ・ノイズの身体を“赤い閃光”が走ると、アルカ・ノイズは赤い炭となって消滅した。

 

斬ッ!!

 

さらに、突撃してこようとしてきたアルカ・ノイズの何体かが横一閃に絶ち斬られた。

 

「この場は我等に任せて貰う」

 

「オラとっととさがりな。通常兵器でも戦えると言っても、アルカ・ノイズは人類の驚異なんだ。油断していると即お陀仏だぜ」

 

「貴方は!?」

 

自衛官達の前に、黒髪を逆立てた鋭い目付きをした武士のような男性、山羊座<カプリコーン>のエルシドが手刀を構え。

群青色の長髪を無造作に伸ばした男性、蠍座<スコーピオン>のカルディアが、気だるそうに自衛官達を守るように、アルカ・ノイズに立ちはだかる。

 

「(やれやれ、オートスコアラーならまだ楽しめそうだが、こんな雑魚相手じゃ爪が疼かねぇぜ・・・・)」

 

元々エルシドと違ってカルディアは率先して自衛官を守る性分はしていない。

アルカ・ノイズが現れたと言うことは、レグルスを負傷させ、マニゴルドとアルバフィカを追い詰めたオートスコアラーとエレメントアームズが現れるのを期待しているのと、一応“保父さんその2”として二人のお目付け役も兼ねてだ。

カルディアは自衛官達の後方の建物の上にいる二人に目を向ける。

 

「行くデェス!」

 

「うん・・・・!」

 

調と切歌は、シンフォギアクリスタルを構えて聖詠を口ずさむ。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

調が唄うと、クリスタルが光り輝き、調の身体を包み込んだ。

『フロンティア事変』では黒く染まっていた部分が白く変わり、桃色のアーマーが調の身に装備される。

ツインテールの髪にもアーマーが装備された。

 

「キリッ・・・・!」

 

調がヨーヨーの形をしたアームドギアを構えた決めポーズをした。

調が纏うシンフォギアは、シュメール神話の戦女神ザババが振るったとされる二刃の片方、『紅刃 シュルシャガナ』。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

調はフォニックゲインの高める歌を歌いながら、アームドギアのツインテール型コンテナを展開し、中から幾つもの小型円鋸を高速回転させながらアルカ・ノイズ飛ばした。

 

『α式 百輪廻』

 

調の丸鋸がアルカ・ノイズ達を次々と撃破し、調は1体のアルカ・ノイズを踏みながら着陸した。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

そして切歌も歌いながら纏うは、魔女の帽子ようなアーマーを頭に付け肩にはマントのようなアーマーを付けた調と同じく戦女神ザババが振るった二刃のもう片方、『碧刃 イガリマ』。

切歌はアームドギアである大鎌の刃を三枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばした。

 

『切・呪リeッTぉ』

 

放たれた刃がアルカ・ノイズを切り裂く。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」」

 

調の鋸と切歌の大鎌が次々とアルカ・ノイズを切り裂いていく。

 

「悪くないデス!」

 

「(コクン)」

 

「(調と切歌用に作られたLiNKERじゃねぇが、それなりに使えるか・・・・)」

 

カルディアも二人の様子を眺めながらも、アルカ・ノイズを鋭く伸びた紅い爪の衝撃波を飛ばし、アルカ・ノイズを貫いていた。

 

 

ー弦十郎sideー

 

当然司令室では、無断でシンフォギアを纏っている二人をモニタリングしていた。

 

「シュルシャガナとイガリマ、交戦を始めました!」

 

「お前達、何をやっているのか分かっているのか!?」

 

《勿論デスとも!》

 

《今のうちに、強化型シンフォギアの完成をお願いします・・・・!》

 

「くっ、エルシド! カルディア! 二人を止めろ!」

 

《断る》

 

《ウゼェ》

 

「何だとっ!?」

 

《現在の状況、俺達聖闘士は聖衣を纏えない。戦えるシンフォギア奏者は月読と暁のみ。戦略的に考えて二人が戦うしかない》

 

「しかしだな!」

 

《いちいちウゼェな! 調も切歌も、アホだが馬鹿じゃねぇ。自分達に出来る事をやろうとしてんだ。黙ってみていやがれ!》

 

モニターに映るエルシドとカルディアは、自衛官達の避難誘導をしながら、調と切歌の奮闘を見ていた。

 

 

ー調sideー

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

調はヨーヨーの形をしたアームドギアを投げて、アルカ・ノイズを撃破する。

アルカ・ノイズが反撃すると、大きく跳躍してかわし。

 

ドドドッ!

 

三つの砲を付けたアルカ・ノイズが砲弾を跳躍した切歌に放つが、切歌はヒラリと交わし。

 

「当たらなければーーーーーー!」

 

交わした勢いで大鎌のアームドギアを振りかぶって、アルカ・ノイズを切り裂いた。

調は足のローラスケートでアルカ・ノイズ間をすり抜けて、その場で回転すると、スカート部分が鋸に変形し、体を回転させながら周囲のアルカ・ノイズを切り刻む。

 

『Δ式・艷殺アクセル』

 

赤い煙をあげながら消滅するアルカ・ノイズに調は笑みを浮かべる。

 

「(“奏専用のLiNKER”でも、それなりに戦えるか)」

 

「(中々やるな二人共。だが、アイツを料理出来るかな?)」

 

調と切歌の戦いを見守りながら、エルシドとカルディアは、ソーラーシステムのパネルの上で戦場を眺めている『オートスコアラー ミカ・ジャウカーン』を睨んでいた。

 

 

ーミカsideー

 

「ニコイチでもギリギリ? これはお先真っ暗ダゾ?」

 

S.O.N.G.の補給線を破壊しに来ていたミカは、調と切歌の奮闘を眺めていた。

 

 

ー響sideー

 

響は夢を見ていた。『謂われない罪状』、『人々から向けられる理不尽な非難』、『壊されていく日々』、『悪意に押し潰されそうになる苦痛』、過去の忌まわしい出来事が夢に現れていた。

そして最も忌まわしい記憶、『自分達を置いて去っていく父の背中』。

 

【私、みんなでまた暮らせるようにリハビリ頑張ったよ・・・・。なのにどうして?・・・・お父さん!】

 

去っていく父の背中に必死に手を伸ばす響の視界が白く染まった。

 

* * *

 

「あっ・・・・」

 

目を覚ました響の瞼には涙が流れていた。

 

「(大切なモノを壊してばかりの私・・・・。でも未来は、そんな私に救われたって励ましてくれた・・・・そしてレグルス君は・・・・)」

 

響の脳裏に、『フロンティア事変』で“完全聖遺物ネフェリム”と交戦した際、暴走して今のようにベッドに倒れる自分にレグルスが言ってくれた言葉がよみがえる。

 

【響の頑張りが、人を励ましたり、“希望”をくれた事は間違いないよ】

 

「私が、レグルス君に“希望”を与えられた・・・・。レグルス君や未来の気持ちに応えなきゃ・・・・」

 

響は起き上がり、本来胸元にあるはずのシンフォギアクリスタルに触れようとするが、そこにガングニールはなかった。

 

「あっ・・・・!」

 

響は気を失う寸前、ミカによってガングニールが破壊された事を思い出た。

 

「・・・・・・・・」

 

響は“人助けの力”を、ガングニールを失った事を理解し、顔を伏せた。

 

 

ークリスsideー

 

「シュルシャガナとイガリマ、奏者二人のバイタル安定? ギアからのバックファイアが低く抑えられています」

 

「一体どういう事なんだ?」

 

「失礼」

 

デジェルとレグルスが入室し、デジェルが二人のバイタルをモニタリングを確認した。

 

「どうデジェル?」

 

「今のところ二人のバイタルは安定している」

 

「その口ぶり、デジェルさんとレグルス君は、切歌さんと調さんがメディカルルームから、LiNKERを持ち出したを知っていたようですね?」

 

「まぁね」

 

緒川の問いにレグルスは言い訳する素振りも見せずに答えた。

 

「まさか“モデルK”を!? 奏の残したLiNKERを使ったのか?!」

 

“LiNKER モデルK<奏>”、響の前任のガングニール奏者、天羽奏専用に調整されたLiNKERの事である。

 

「何故止めなかった?」

 

「調も切歌も、今自分の出来る事を必死にやろうとしている。“覚悟”を持っている人間に、“危険だ”とか“安全性を考えろ”だとか野暮な事を聞くつもりは無いよ」

 

「っ! 二人の身の危険を考えなかったのか・・・・!?」

 

LiNKER使用の危険性を知る弦十郎は、レグルスに目を鋭くして睨んだ。

しかしレグルスは弦十郎の視線に怯むことなく睨み返す。

 

「いつまでも、“子供だ”とか“大人だ”とか、つまらない理屈で、二人の気持ちを無視しないで欲しいな」

 

「何・・・・!?」

 

「調くんも切歌くんも分かっています。しかし自分に出来る最善を、彼女達が自分達で考えた行動です」

 

レグルスとデジェルは、戦おうとする調と切歌の気持ちを尊重していた。

 

《ギアの改修が終わるまで!》

 

《発電所は守って見せるデース!》

 

モニターでは調と切歌がアルカ・ノイズを撃破していた。

 

 

ーキャロルsideー

 

その頃、アジトの玉座で各地の状況を眺めているキャロルとアスプロス。まるで“王”と“宰相”のような立ち位置の二人は、キャロルは少々つまらなそうに、アスプロスは意味深な笑みを浮かべながら画面を見る。

 

先ず地熱発電所を破壊し、両手の指の隙間にコインを挟んでスタイリッシュなポージングをしている“レイア・ダラーヒム”。

 

《概況、派手に破壊完了・・・・!》

 

河川敷に設置されたソーラーパネルの周りの水を操り破壊する“ガリィ・ジャウカーン”。

 

《まるで積み木のお城。『エレメントアームズ』や“レイアちゃんの妹”に手伝ってもらうまでも無いわね♪》

 

風力発電所の周りに“緑色の竜巻”を幾つもの生み出して破壊しながら、大剣で施設を斬り破壊する“ファラ・スユーフ”。

 

《該当エリアのエネルギー総量が低下中。まもなく目標数値に到達致しますわ》

 

「“レイラインの解放”は任せる。俺達は、“最後の仕上げ”に取り掛かる」

 

キャロルは玉座から立ち上がる。

 

《いよいよ始まるですのね?》

 

「イヤ、いよいよ終わるのだ。そして万象は・・・・黙示録に記される」

 

「(さて、いよいよ計画も大詰め。俺の“目論み”もここからが本番だな)」

 

アスプロスは自分の足元に置いてある。『完全聖遺物 双子座<ジェミニ>の黄金聖衣』が収まる『聖衣レリーフ』を撫でながら含み笑みを浮かべていた。

 

 

ー切歌sideー

 

「オォリャアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

「ハッ!?」

 

アルカ・ノイズと交戦していた切歌にミカが灼熱に燃えている赤い水晶の形をした、高圧縮カーボンロッドで切歌を攻撃しようとするが、切歌は寸前でアームドギアで防いだ。

 

「キヒッ♪」

 

「ぐ、ぐぐぐぐぐぐ・・・・!」

 

だが切歌はミカのパワーに押されて片膝を付き、ミカはもう片方の手から赤いカーボンロッドを取り出して。

 

「ウリャッ!」

 

後ろに回った調に向かって、切歌をカーボンロッドで殴り飛ばし、調も巻き込んでぶっ飛んだ。

 

「「ああああああッ!!」」

 

「おっと!」

 

二人が建物の壁にぶつかりそうになると、カルディアが二人を受け止めた。

 

「ようやく真打ちのご登場ってか♪」

 

ミカに向かって好戦的な笑みを浮かべる。

 

 

ークリスsideー

 

「調! 切歌!」

 

マリアはミカに殴り飛ばされた二人に叫ぶが、カルディアが受け止めたのを見てホッとする。

しかし、クリスが拳を握って歯痒そうな顔をする。

 

「チッ、このまま見ていられるか!」

 

「(クリス・・・・)」

 

クリスが司令室を飛び出し通路に出るが、翼がその手を掴んで引き留めた。

 

「待て! 今の私達に何ができる!?」

 

「聖衣を纏う事さえできないレグルスや蠍座<スコーピオン>だって戦ったんだぞ! アタシ達だけ黙ってくわえてろって言うのか!?・・・・あっ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

クリスは翼が自分と同じ歯痒そうな顔をしているのに気付く。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

翼も自分と同じように、生身でも圧倒的な超人の強さを持つ聖闘士達と違って、シンフォギアが無ければ戦場に立つことができない自分自身に対して、不甲斐なさを感じていると知り、一端は落ち着く。

 

「翼さん、クリスさん」

 

「「?!」」

 

通路からエルフナインが現れた。

 

「お二人に、お願いがあります・・・・!」

 

「「???」」

 

 

ーカルディアsideー

 

「アイタタタタタ・・・・」

 

「簡単には行かせてくれない・・・・」

 

カルディアから降ろされた切歌はカーボンロッドに殴られた所をさすり、調も身体に付いた土埃を払った。

 

「ト、トトトト・・・・」

 

当のミカは地面に立てたカーボンロッドの先端で曲芸師のようにバランスを取りながら、両手に持った赤いグリーブ、『火のエレメントアームズ』をジャグリングしながらカルディアに向ける。

 

「蠍座<スコーピオン>。今回は逃げないんだナ?」

 

「あぁ、今日は俺の相手をしてもらうぜ。オートスコアラー!」

 

お互いに獰猛な笑みを浮かべるカルディアとミカ。

 

「カルディア・・・・!」

 

「まだ私達は戦えるデス!」

 

「ウルセェな、ここからは選手交代だ。エルシド、二人を頼むわ」

 

「あぁ」

 

「「うわっ(デェス)!?」」

 

いつの間にか、エルシドが調と切歌の後ろに現れた。

 

「エルシドさん・・・・?」

 

「いつからそこにいたデスか?」

 

「気にするな。自衛隊員達も避難も完了している。それにデジェルから言われているだろう」

 

【連続投与はしてはイケナイよ。そのLiNKERは元々天羽奏専用のLiNKERだからね。最悪ギアからのバックファイアで死ぬ可能性がある】

 

「で、でもデスね・・・・」

 

「カルディアだけでオートスコアラーと戦うのは・・・・」

 

「なんだぁ? お前ら、俺の事を理解していねぇのか?」

 

「「えっ??」」

 

カルディアは押し殺したように声を出し、調と切歌、司令室で戦況を見ていたマリア達も首を傾げる。が、レグルスとデジェルだけはハアァ・・・・と盛大なため息を洩らて、エルシドは鉄面皮を貫いていた。

 

「あっ、カルディア・・・・」

 

「まさか、デスか?」

 

《こんな状況で?》

 

調と切歌とマリアが、カルディアの言わんとしている事を察して、嫌な予感に冷や汗を垂らす。

 

「俺はなぁ・・・・。そろそろひっそりと穏やかに静かに、戦いがしてぇんだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」

 

「「ああぁ、やっぱり(デ~ス)・・・・!」」

 

「オォっ!」

 

カルディアの宣言に調と切歌が両の掌を両頬に当ててOh My God!と言わんばかりのポーズを取り、ミカは面白そうに笑みを浮かべる。

ちなみに司令室にいるレグルスとデジェルは呆れ、マリアも調と切歌と同じポーズと台詞を言って、弦十郎達は唖然とした。

 

「オラ、さっさと殺り合おうじゃねぇか。『火のエレメントアームズ』を構えな♪」

 

「良いゾ! アスプロスももっとデータを集めろって言っていたしナ!!」

 

ミカは嬉々として赤いグリーブの『火のエレメントアームズ』を両足に装備する。

 

「行っくゾーーーーーーーーーーーーーー!」

 

ミカがグリーブの靴底を擦ると火花が飛び散り、そこから炎が蛇のように曲がりくねりながら、カルディアに向かって走った。

 

「ウオラッ!」

 

カルディアは赤く伸びた爪で自分に向かってくる炎を貫いた。

 

「まだまだだゾ!!」

 

ミカはグリーブをさらに擦ると、炎の大玉が幾つも現れ、それをカルディアに向けて、両手に持ったカーボンロッドでフルスイングして放った。

 

「うおっ!」

 

バク転などで回避するカルディアに、ミカの髪の毛のロールからジェット噴射が火を噴き、『火のエレメントアームズ』からも火を噴かせた。

 

「イヤッハァッ!!」

 

「おいおい空も飛べんのかよ!?」

 

シンフォギア奏者どころか、聖闘士達ですら飛行能力を有していないのに対し、制空権を持ったミカはそのままカルディアに向けて急降下しながら『エレメントアームズ』で蹴ろうとする。

 

「っとぉ!」

 

「ウォッ!?」

 

ドオォオオオオンッ!!

 

カルディアに回避され、あわてて軌道修正しようとするが間に合わず、地面にグリーブを叩きつけた箇所から小さな爆発が起こった。

 

「アレレ??」

 

ミカのグリーブが地面にくい込んでしまい、引っこ抜こうとしていた。

 

「(あれが『火のエレメントアームズ』。空気中の酸素を燃やして発火現象と爆破現象を引き起こす、オートスコアラー ミカ専用の武装か・・・・・・・・面白ぇじゃねぇか!!)」

 

「よいしょっとぉ!」

 

ドオォオオオオンッ!!

 

ミカは能力を発動させて、グリーブをくい込んだ地面を爆破させて足を抜いた。

 

「フゥ~、避けてばかりじゃ面白くないゾ。本気で相手してくれないなら、あのじゃりん子共で遊んでも良いんだゾ?」

 

グリーブでステップを刻みながら、ミカは調と切歌を見据える。

 

「「っ!!」」

 

調と切歌はアームドギアのヨーヨーと大鎌を構えようとするが、その二人の前にエルシドが立ち、手刀を構える。

 

「おいコラ、何勝手に相手を代えようとしてんだ?」

 

カルディアがミカに向けて赤い爪を構える。

 

「お前、本気で相手するのカ?」

 

「あたりきしゃりきよ。それにな・・・・ふざけんなよテメェ・・・・!」

 

カルディアが怒気を含んだ声でミカを睨む。

 

「「カルディア・・・・」」

 

「調と切歌で遊ぶだと? 誰の許可を得て、んな事しようとしてんだ?」

 

「オヨ?」

 

「良いかぁ、調と切歌をなぁ。いじめたりからかったり玩具にして遊んで良いのはなぁ・・・・俺とマニゴルドだけなんだよッッ!!!」

 

「「それどういう意味(デスか)っ!!??」」

 

自分達の為に怒気を放ったと思っていて少し感動した調と切歌は盛大なツッコミを炸裂させた。

 

「フ~ン、じゃ続きだゾ!」

 

ミカは再び大玉の火炎弾を生み出してカーボンロッドで殴り、カルディアに向けて放った。

 

「オゥラッ!!」

 

カルディアは気合いと共に拳で火炎弾を殴り打ち返した!?

 

「エッ?」

 

一瞬唖然となったミカは回避も防御も遅れ、打ち返された火炎弾が直撃した!

 

「ウワァッ!?」

 

火炎弾を浴びたミカは少し顔と服に焦が目付いた。

 

「驚いた「まだまだだぜぇ!!」ゾ!?」

 

炎に包まれたミカの眼前にカルディアがヌッ!と現れ、ミカの腹部に膝蹴りをする。

 

「ウオッ!?」

 

「だぁらあああああああああっ!!」

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

カルディアが身体の柔軟性を活かし、まるで手足が鞭のようにしならせながらミカに攻め立てた!

 

「オゥラよっとぉッ!!」

 

ガシッ! ブウゥンッ!!

 

カルディアはそのままミカの頭を掴むと大きく振りかぶって、建物の壁に叩きつけた!

 

「オオオオッ!!」

 

ミカはその勢いで次々と壁を破壊しながら飛んで行った。

 

「ヘヘヘヘ!」

 

カルディアが笑みを浮かべながらミカが飛んで行った方向を見ると。

 

 

「イヤッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」

 

飛んで行った先からミカが髪とグリーブのバーニアで戻ってきた。

 

「蠍座<スコーピオン>お前、面白いナ!」

 

「なんだぁ? やっと分かったのか?」

 

ボロボロの格好になったミカだが、その顔はギザギザの歯を剥き出しにした笑みを浮かべ、カルディアも犬歯を見せた笑みを浮かべる。

 

「楽しもうじゃねぇかよ! オートスコアラーミカ・ジャウカーンッ!!」

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

ミカがバーニアを吹かせてカーボンロッドを両手に携えてカルディアに突っ込み、カルディアも赤い爪を伸ばして、踏み込みでアスファルトを砕きながらミカに突っ込んだ。

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」

 

灼熱の天蠍と業火の杖が、紅蓮の戦場で狂想曲を奏でた。




今回はここまでです。
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