聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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最近リアルの忙しさと暑さで中々ストーリーがまとまらなかったですが、投稿です。


子供の覚悟

そこはまさに紅蓮の焔地獄、悪鬼羅刹が暴れる修羅の場所。

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」

 

その場で狂笑を上げる二人の人間、いや正確には二人は人間ではない、一応片方は人間だが、その身に宿る力は常人は遥かに越えた超人。『蠍座<スコーピオン>のカルディア』。そしてもう片方は、見た目はゴスロリ服の少女だが、その正体は、世界に怨みを持つ錬金術師が生み出した、戦闘人形。『オートスコアラー ミカ・ジャウカーン』。

 

「行くゾ! 行くゾ! 行くゾ! 行くゾ! 行くゾーーーーーーーーーーーーッッ!!」

 

ミカは興奮冷めぬ様子で、赤い大きなロールヘアと赤いグリーブの自分専用の武装、『火のエレメントアームズ』の靴底からバーニアのように火を吹かせ、一気にカルディアに近づき、カーボンロッドで力を込めて、横顔に叩きつけようとする。

 

「オラァァァァァァっ!!」

 

普通の人間ならば、回避できず首の関節が360度回転する筈の一撃を、当たる寸前でかわし、カルディアは回転して足を鞭のようにしならせ、ミカの脇腹へ叩きつけた。

 

「っ!?」

 

カルディアの超人の強さを持つ聖闘士の最高峰、黄金聖闘士の一撃、常人ならば、運が良くてもあばら骨が全壊してもおかしくない攻撃を受けて、ミカは身体をくの字にして地面に叩きつけられるが。

 

「イヒッ!」

 

しかしミカはにっかりと笑みを浮かべ、『火のエレメントアームズ』を地面に擦らせ、業火を生み出しカルディアの身体を炎が襲う。

 

「うおっとぉっ!」

 

カルディアは襲い来る業火をもろともせず突っ込み、炎に呑まれながらミカに肉薄し、赤い爪を突き立てる。

 

「『スカーレットニードル』!!」

 

「オオゥッ!!」

 

赤く伸びた爪で、人体に蠍座を形成する星の位置をツボのように突き刺し、神経中枢を攻撃し、地獄の激痛でのたうち回り、その痛みを蠍座を形成する星の数、計15発も少しずつ浴びせ、徐々に相手を追い詰め、降伏して楽に殺されるか、抵抗して更なる苦痛でのたうち回るかを選択させる技。一撃必殺の多い黄金聖闘士の中では『最も慈悲深い技』とさえ言われている。

 

『それって拷問の末に結局殺すって意味じゃないの(じゃえねぇか)(ではないか)(じゃないデスか)??』

 

これを聞いて奏者一同は、『最も慈悲深い』処か『最もえげつない技』と認識した。しかしーーーーーーーー。

 

「ニヒッ! ヒャッハァッ!!」

 

ミカは『スカーレットニードル』を5発をその身に浴びたにも関わらず、カルディアの身体に両手で持ったカーボンロッドを叩きつけた。

 

「グホッ!」

 

カルディアは口から少し血を吐きながら吹き飛ぶが踏ん張り地面をえぐりながら止まる。

 

「な、何でカルディアの『スカーレットニードル』を浴びたのに、アイツは大丈夫なんデスか?!」

 

「ありえない・・・・! カルディアは女の子だからって手加減する性格じゃないし、黄金聖闘士の攻撃を浴びて何とも無いだなんて・・・・!」

 

「イヤ、おそらく相手がオートスコアラーだからであろう」

 

「どういう事エルシドさん?」

 

「カルディアの『スカーレットニードル』は人体に使えば絶大な威力を発揮する。しかし相手は自動人形、人体ではない、つまり痛覚が無いのだ」

 

「「っ!?」」

 

オートスコアラーは人間の姿をしているが、実際は錬金術師キャロル・マールス・ディーンハイムが造り出した自動人形、生物としての神経や血肉が有るのではない。

故にカルディアの『スカーレットニードル』の影響を受けないのであった。

 

「へへへ、良いね良いねぇ。『スカーレットニードル』が通じないヤツがいるなんてよ・・・・面白くなったぜーーーーーーーーッッ!!」

 

「キャハハハハハハハハハハハッッ!!」

 

雄叫びを上げるカルディアと、テンションが上がり大笑いを上げるミカはさらに激しく戦った。

 

「オラオラオラッ!!」

 

必殺の技である『スカーレットニードル』を通じないカルディアは、手足を鞭のようにしならせ、ミカに攻め立てる戦法を取るが。

 

「ソォレっ!!」

 

「うおっ!?」

 

ミカは『火のエレメントアームズ』で地面を擦ると、カルディアの足元の地面が、文字通りの火の海へと化したが、カルディアは間一髪に後方へ跳びかわす。

 

「まだまだダゾーーーーッッ!!」

 

ミカは髪とエレメントアームズのバーニアでカルディアに肉薄した。

 

「チィッ!」

 

「ウリャリャッ!!」

 

「ぐあぉっっ!!」

 

ミカはカーボンロッドでカルディアを地面に叩きつける。

 

「フッ!!」

 

倒れたカルディアにミカは、カーボンロッドを突き刺そうと投擲する。

 

「クソッ!」

 

「キャハハハハハハハハハハハッッ!!」

 

間一髪身体を反らしてかわすカルディアだが、ミカはさらにカーボンロッドを次々と投擲し、カルディアは地面を転がりながらかわすが、ついに身体の周りを突き刺さったカーボンに囲まれ動けなくなった。

 

「面白かったゾ、蠍座<スコーピオン>! でもこれで、終わりダゾーーーーッッ!!」

 

ミカの持つカーボンロッドが燃え上がり、カルディアの心臓に向けて投擲した。

 

「「カルディアーーーーーーーーッッ!!」」

 

調と切歌がカルディアの元へ行こうとするが。

 

「ヘッ、騒ぐんじゃねぇよっっ!!」

 

カッとカルディアが気合いを込めると、小宇宙<コスモ>が波動のように周りに拡がり、迫っていたカーボンロッドを周りを囲んでいた物ごと破壊した。

 

「なんトォッ!?」

 

「うおりゃっ!!」

 

「ガァッ!!」

 

驚くミカの背後に一瞬で移動し、カルディアは両足を組んでミカの首に巻き付け、空中で大きく身体を仰け反らせながらミカの頭を地面に叩き付けた。

 

「へへへへへへ、確かにこれで、終わりだな・・・・」

 

ミカを地面に杭打ち状態にして、跳躍して離れたカルディアは不敵の笑みを浮かべた。しかし、その身体からは、蒸気が舞い上がっていた。

 

 

ー調sideー

 

「す、凄い・・・・。知ってはいたけど、本当に凄い・・・・」

 

「カルディア、何だか生き生きしてるデスな・・・・」

 

「しかし良く見ろ。カルディアの身体から流れた汗が体温で蒸発し、白い蒸気が出ている」

 

「あっ! まさか発作が!?」

 

カルディアは心臓に不治の病を背負っており、本来ならば死ぬか一生を病院のベッドで過ごす程の病状であったが、“禁術”により心臓に常人では耐えられない熱を放出して病の進行を遅らせている。しかしその“禁術”によりカルディアの心臓は燃えているような高熱を放出し、最悪の場合は“死”に直結してしまう。

実際『フロンティア事変』では死ぬギリギリ一歩手前までの状態になってしまっていた。

 

「“白い蒸気”が出たと言うことは、発作が出始めていると言うことだ」

 

“白い蒸気”はカルディアの身体から流れる汗が心臓の発熱と共に、身体の体温が高まり汗が蒸気した事で発生する現象。これが血液が蒸発した“赤い蒸気”となれば本格的にカルディアの“死”が決定したという事になる。

 

「デジェルさん! 聴こえるデスか!?」

 

《あぁ、聞こえている》

 

「早く来てくださいデス! カルディアが発作を・・・・」

 

高熱を発するカルディアの心臓の熱を冷ます事が出来るのは絶対零度の凍技を持つデジェルのみ。切歌がデジェルに来てもらおうと連絡するがーーーー。

 

「ヒャァッハーーーーーーーーッ!!」

 

「「っ!!」」

 

地面に突き刺さったミカが再び立ち上がって来た。

 

「フフフフフ、面白いゾ! 面白いゾ蠍座<スコーピオン>ッッ!! 蟹座<キャンサー>も面白かったけどお前も最高に面白いゾ!!」

 

「そうかよ・・・・! こっちもテンション上がって来た所よ!!」

 

カルディアが爪を伸ばしてミカに突っ込もうとするが。

 

「「ストップ(デェス)ッッ!!」」

 

「ぐがッ!?」

 

調がカルディアの後頭部を、切歌がカルディアの背中をそれぞれにダブルドロップキックをおみまいして、カルディアをおさえた。

 

「選手交代・・・・!」

 

「こっからは私達が相手デス!!」

 

カルディアを踏んづけたままミカを睨み、アームドギアのヨーヨーと大鎌を構える調と切歌。

 

「ン~~? じゃりん子どもが相手カ? 私は蠍座<スコーピオン>ともっと遊びたいゾ」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

明らかに役不足と言いたげなミカの態度に、調と切歌は静かに、LiNKERが入った注射銃を取り出して、お互いの首筋に当てる。

 

「月読、暁・・・・」

 

もちろん、エルシドがちゃっかりカルディアの腰を踏みながら、二人の肩に手を置いて止めようとするが。

 

「エルシドさん、やらせて欲しいデス・・・・」

 

「このままカルディアが戦えば、また発作が発生してしまう。それにエルシドさんは、これからの戦いに必要な人」

 

「それはお前達二人もそうだ、お前達二人も必要な存在なのだぞ」

 

「ありがとうございますデス。」

 

「でも私達は、カルディアを失いたくない・・・・!」

 

『フロンティア事変』で一度は命を落としかけたカルディアを、また失う事を調は拒んでいた。

 

「あのな、俺が大切だと思うならさっさと足を退けろよ」

 

三人の足元でカルディアが抗議するが、取り敢えず無視された。

 

 

ーマリアsideー

 

「はっ、さらにLiNKERを!?」

 

「何をしているエルシド! 二人を連れ戻せ! これ以上「やらせてあげて下さい!」っ!?」

 

弦十郎の言葉をマリアが遮った。

 

「これは、あの日道に迷った臆病者達の償いでもあるんです・・・・」

 

「臆病者達の償い?」

 

「誰かを信じる勇気が無かったばかりに、迷ったまま独走した私達。だから、エルフナインがシンフォギアを甦らせると信じる事こそ、私達の償いなんです!」

 

マリアは歯を食い縛り、閉じた唇には一筋の血が流れた。

 

「弦十郎、前に言ったよね?『子供のやりたい事を支えてやれない大人なんて、カッコ悪くて叶わない』ってさ。調や切歌は弦十郎から言わせれば、まだまだ子供かも知れないけど。子供は子供で考えているんだよ」

 

「そんな子供達を支えたり、間違いを犯しそうになったら叱るのが、大人の務めではないのですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

レグルスとデジェルの言葉に、弦十郎は渋面を作りながら、モニターに映る二人を見た。

 

 

ー調sideー

 

カルディアをエルシドに任せ、調と切歌はお互いの掌を合わせ、お互いの首筋にLiNKERの入った注射銃をつける。

 

「二人でなら・・・・!」

 

「恐くないデス!」

 

プシュン・・・・ドクン!

 

「「っっ」」

 

LiNKERを注入された二人の身体から一際強い鼓動がし、注射銃を落とした二人はミカの方を向くが、調と切歌の鼻から血が滴り落ちる。

 

「オーバードーズ・・・・」

 

LiNKERの過剰摂取による肉体の負荷が現れていた。

 

「鼻血がなんぼのもんかデス! カルディアは血が沸騰しても戦ったデス! レグルスさんは腕が氷って、足に大火傷を負っても戦ったデスよ!」

 

「うん。私達にだって、覚悟がある! 行こう切ちゃん! 一緒に!」

 

「切り刻むデス!!」

 

切歌は両手にアームドギアの大鎌を二本持ち融合させ、三日月型の刃が左右に付いた大鎌を形成した。

 

『対鎌・螺Pぅn痛ェる』

 

そして調もツインテールのヘッドギアの左右のホルダーを展開させ、2つの巨大な回転鋸を形成した。

 

「オッ! 面白くしてくれるのカッ!」

 

ミカはカーボンロッドと火炎弾を放つ。

 

「「っ!」」

 

二人は放たれた攻撃を回避し、カーボンロッドは地面に刺さり、火炎弾は爆裂した。

 

「オオッ!!」

 

ミカはにっかりと笑うと、大きな鉤爪のような掌からカーボンロッドを次々と発射した。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

切歌はフォニックゲインを高める聖唱を歌いながら両肩のギアをバーニアのように吹かせ、三日月型の大鎌で迫り来るカーボンロッドを弾き、ミカに迫り大鎌を振るうが、ミカはカーボンロッドで防ぐ。

 

「オッ!!」

 

しかし、オーバードーズによるパワーでカーボンロッドは破壊され、ミカは楽しそうな笑みを浮かべて後ろに退く。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

切歌の後ろから調が跳び上がり、形成した回転鋸をミカに向けて放つ。

 

『γ式・卍火車』

 

ミカはさらにカーボンロッドを取りだし、迫る回転鋸を弾く。調は空中で仰け反るように回転すると、脚部と頭部から円形ブレードを縦向きに展開させる。

 

『非常Σ式・禁月輪』

 

「ヒヒッ!」

 

調は一輪バイクのように地面を走りながらミカに突撃するが、ミカはカーボンロッドで防ぎ、激しい火花が散り、ミカは調の突撃を避ける。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」」

 

調と切歌は並び、聖唱を歌いながらミカに攻め立てる。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

「更なる適合係数の上昇で、ギアの出力も上がっています!」

 

「二人のユニゾンが、数値以上の成果をあげています!」

 

「だが、この効果は時限式だ・・・・!」

 

「それでも、調と切歌は目の前の茨を切り刻み、道を開いてくれる!」

 

藤尭と友里からの報告を聞いても、弦十郎は渋面を作り、マリアは調と切歌を見守る。

調と切歌の戦闘状況に全員の視線が集まっている間、レグルスは調と切歌のバイタルチェックをしているデジェルにソッと話しかける。

 

「デジェル。二人のデータはどう?」

 

「今のところは順調だが、もう少しデータが必要だな」

 

「この戦闘で集められる?」

 

「集めて見せるさ。彼女達の為にもな」

 

 

 

ー調&切歌sideー

 

調と切歌は、太陽光発電のパネルに移動したミカを追い、左右から交差するようにミカを切り裂き、ミカのカーボンロッドを破壊するが、ミカは笑みを浮かべていた。

 

「子供でもそれなりのフォニックゲインを出せるカ、出力の高いこの子一人で十分かもダゾ・・・・ウフフフッ♪」

 

ミカは調と切歌を見て大きく口をニヤケさせた。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」」

 

調は両手に持ったヨーヨーを合わせて融合し、頭上で巨大化させてミカに向けて振り落とす。

 

『β式・巨円斬』

 

ミカは両手を巨円斬の前にかざして、炎の障壁を張って防ぐが、上を見ると調と切歌が跳び上がって手を繋ぎ、ミカに向けてダブルキックをすると、調の靴底のギアのローラーが飛びだし巨大鋸となり、切歌の靴底のギアからはショーテルのような刃が飛びだした。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」」

 

調と切歌は展開させた武装でミカに向けて急降下ダブルキックを繰り出すが、ミカは巨大な火の玉を放出して二人のキックを防ぎ。

 

「ドッカ~~ン!」

 

「「ハッ!?」」

 

ドオオオオオオオオンッ!

 

ミカの火の玉が弾けて爆発すると、発電タワーが破壊されてしまった。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

ブツンっと、本部のブリッジの電源が、ブレイカーが落ちたような音と共に消えた。

 

「内蔵電源に切り替えます!」

 

すぐにブリッジに明るさが戻るとメインモニターにヨロヨロと立ち上がる調と切歌が映った。

 

「負けないで・・・・!」

 

「お願いセレナ。二人に奇跡を・・・・!」

 

未来とマリアは祈るように呟く。するとブリッジの扉が開く音が響いた。

 

「ん? 響くん!?」

 

「響っ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

弦十郎が響の名を叫び、未来が響に抱き付く。レグルスも一瞬だけ響を一瞥するが、すぐにモニターの方へ視線を移す。

 

「ありがとう。響のお陰で私・・・・」

 

「私の方こそ、また歌えるようになったのは未来のお陰だよ・・・・・・・・」

 

響はレグルスの方を見るが、レグルスは響に振り向く事はしなかった。

 

「・・・・響、大丈夫なの?」

 

「大丈夫! へっちゃらだよ!」

 

強がってはいるが、胸に無いシンフォギアクリスタルに手を置いているし、視線は背中を向けているレグルスに向いていることに未来は気づいていた。

 

「状況を、教えてください」

 

響はレグルスから視線を外して、弦十郎に状況説明を求めた。

 

 

ー調&切歌sideー

 

余裕の態度を見せるミカ。調と切歌のギアは先程の爆発とオーバードーズの影響でボロボロとなっていた。調が両膝を付く。

 

「あっ、このままじゃ何も変わらない。変えられない・・・・!」

 

「こんなに頑張っているのに! どうしてデスか!? こんなのイヤデスよ・・・・! 変わりたいデス!!」

 

あまりにも無力、あまりにも理不尽な現実に、調と切歌は無力感を感じていた。

 

「まぁまぁだったゾ! でもそろそろ遊びは終わりダゾ!」

 

ミカは口をおもいっきりひんむきながら笑みを見せ、髪のバーニアを吹かせ、切歌に肉薄し。

 

「はっ!?」

 

「バイならーーーー!!」

 

掌から伸ばしたカーボンロッドが、切歌の胸のシンフォギアクリスタルを無惨に砕いたーーーー。

 

「あっ・・・・あぁっ!」

 

吹き飛んだ切歌は、そのままうつ伏せに倒れ、イガリマのシンフォギアが砕け散り、裸体を晒した。

 

「切ちゃん!!」

 

調が切歌に駆け寄ろうとするが、進路先にカーボンロッドが落ちた。調はミカに向き直る。

 

「余所見してると後ろから狙い打ちダゾ!」

 

ミカはさらにカーボンロッドを取りだす。調はツインテールのギアを2つずつ展開させ、計4つの鋸を形成した。

 

「邪魔しないで!」

 

「仲良しこよしで、お前のギアも壊してやるゾ!」

 

《ミカ。適合係数の低いソイツ<調>の歌に用はない。山羊座<カプリコーン>と蠍座<スコーピオン>も控えている。好きに始末して良いが、時間をかけるな》

 

「わかったゾ! そぉれっ!!」

 

キャロルからの通信を聴いて、ミカは両手一杯にアルカ・ノイズの種をばら蒔いた。空中で砕けた種の中身が地面に染み込むと、魔方陣が現れそこからアルカ・ノイズが軍団で現れた。

 

「に、逃げるデス。調・・・・!」

 

「切ちゃんを置いて逃げるなんてできない!」

 

調は鋸を構える。

 

「始まるゾ! バラバラ解体ショーーーーー!!」

 

ミカが吠えると同時にアルカ・ノイズ達が襲い来る。調が迎撃しようとするが。

 

斬! ドシュンッ!

 

調に迫るアルカ・ノイズ達が斬られ、貫かれ炭素消滅した。

 

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

調の側に、胸を抑えたカルディアが立ち、倒れた切歌に上着を被せたエルシドが立った。

 

「カルディア・・・・!」

 

「エルシド、さん・・・・!」

 

「悪ぃな。爆発から逃げるのに、少し手間取っちまった」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

カルディアは身体の苦痛を悟られないように笑みを浮かべ、エルシドは手刀を構えてアルカ・ノイズを睨む。

 

「ダメだよカルディア! 心臓が!」

 

「へっ、嘗めんなよ。アルカ・ノイズだかなんだか知らねぇが、大人しくしてやるほど俺は大人じゃねぇんでな・・・・」

 

エルシドが倒れた切歌を抱える。

 

「エルシドさん・・・・」

 

「暁、諦めるな。お前には“帰りを待っているヤツ”がいるだろう。ここで死んでしまったら、比良坂でヤツにどんな仕打ちを受けるかな?」

 

「はははは、そうデスね・・・・」

 

こんな所で弱音を吐いていたら、あの“意地悪蟹”が帰ってきたら、どんなイジメに合うか分かったものじゃないので、切歌も乾いた笑みを浮かべる。

 

「オラ行くぞ!」

 

「・・・・!!」

 

「フッ!」

 

カルディアが爪の衝撃破を、調が展開した鋸を、エルシドが斬撃でアルカ・ノイズと奮戦するが、タイムリミットが迫り、調のシュルシャガナの出力が低下してギアが徐々に破壊される。

 

シュンっ・・・・ガキン。

 

「あっ・・・・!」

 

ギアの出力低下で動きが鈍くなった調の胸元のクリスタルに、アルカ・ノイズの一体が伸ばした触手がかすり、シュルシャガナを破壊した。ミカが楽しそうな笑い声をあげ、カルディアが倒れそうになる調を抱え、切歌を抱えたエルシドと背中合わせになる。

 

「コイツは、ピンチってヤツかぁ?」

 

「まったく、聖衣が無ければこの程度の我が未熟さが嘆かわしい・・・・!」

 

『完全聖遺物 黄金聖衣』を纏えばミカもアルカ・ノイズの軍団など、ものの数ではないが、国連の許可がおりない現状では使う事ができない。カルディアもエルシドも、聖衣が纏えないとこの程度の敵に防戦となるしかない自分たちに業腹となる。アルカ・ノイズ達がジリジリと四人に迫る。

 

「けっ、こうなったらとことんやってやるぜ!」

 

「フゥンッ!」

 

二人は捨て身で戦おうと構えるが。

 

《カルディア。エルシド。調君。切歌君。間に合ったぞ》

 

「「「「っ!」」」」

 

四人にデジェルからの通信が聞こえたと同時に、アルカ・ノイズな身体に小さな風穴が開き、身体のあちこちが切り裂かれ、傷口から血飛沫のようなものを上げていた。

 

「まったく無茶してくれるぜ」

 

《バッチリのタイミングだ。クリス》

 

「フッ。それが新たな剣か、翼」

 

「あぁ。振り抜けば風が鳴る翼だ!」

 

そこに立つのは、細部が異なる新たな姿となった。『絶剣 天羽々斬』を纏うシンフォギア奏者、風鳴翼。

翼と背中合わせに立つは、同じく細部が新たな姿にになった『魔窮 イチイバル』を纏うシンフォギア奏者、雪音クリス。

 

剣と弓が、新たな力を携えて蘇った。

 




今回はここまで。XVの査察官。ウェルクラスのバカで外道ドSですね。
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