聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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お待たせしました。原作と少し違う展開にします。


弱さを受け入れて

ー???sideー

 

其処は、煮えたぎるマグマが流れる火山の火口内部。マグマによる超高熱と噴煙、普通の人間ならば肉体が即燃え上がりか、噴煙により呼吸困難になるであろう環境である。

しかし、そのマグマが流れる火山内部の岩塊に寝そべる二人の男性がいた。身体の所々に火傷による傷痕があったが、不思議な事に、この火山の噴煙を浴びると、負傷した身体が少しずつ治癒されて行った。

そして、寝そべる二人の男性に一人の青年が近づく。

 

「フム、大分傷も癒えてきたようだな。」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

寝そべる二人は返答せず、火山の噴煙により、傷だらけの身体を治癒する事に専念した。

 

「装者達は『魔剣』の力を得たようだが、槍と剣と弓は完全に使いこなしておらず、双刃はまだ使ってはいないが、ようやっと義手をつかった装者は、自らの“間違い”に気づいていないようだ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

横たわる二人の内、1人の眉根がピクリと反応すると、全身にオーラを纏った。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

オートスコアラー達から襲撃を受けた面々は、緒川と藤尭と合流し、研究施設の会議室で会議をしていた。

 

上座の椅子に翼。

 

翼の右隣のソファーに響と未来とレグルス。

 

左隣のソファーに調と切歌。

 

下座の椅子にデジェルが座り、肘掛けにクリスが腰を落としていた。

 

翼の後ろに控えるように緒川と藤尭が立ち、エルシドは上座近くの扉近くの壁に寄りかかっていた。

 

「主を失い、双子座<ジェミニ>の指揮下で襲いに来る人形・・・・」

 

「風と土のエレメントアームズの性能テストの為に襲いに来たってのか?」

 

翼とクリスが、今回急襲をかけてきたファラとレイア、そしてマリアを追い詰めておきながら撤退したガリィの行動の不可解さに頭を悩ませていた。

 

「どうして優位に事を運んでも、とどめを刺さずに撤退を繰り返しているのだろう・・・・?」

 

「おお言われてみれば! とんだアハ体験デス!」

 

「一々ぼんが暗すぎんだよな」

 

「気になるのは、マリアさんの様子も・・・・」

 

「うん・・・・力の暴走に呑み込まれると、頭の中も黒く塗りつぶされて、何もかも分からなくなってしまうんだ・・・・」

 

「(流石は暴走の第一人者。言うことに重みがある)」

 

装者の中で何度も暴走を繰り返してきた響の言葉に、レグルスは納得し、装者一同は黙るが、エルシドが口を開く。

 

「マリアの方は、暴走した原因は分かるがな」

 

『えっ!?』

 

エルシドの言葉に、装者と緒川達も目を向ける。が、エルシドは静かに目を閉じた。

 

「エルシド。マリアの暴走の原因は一体なんなのだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「おい、黙りしてんじゃねぇよ」

 

クリスが若干焦れたような声を上げる。が、今度はデジェルが口を開く。

 

「今のマリアでは・・・・」

 

『ん?』

 

「今のマリアでは、またイグナイトを抜剣したとしても、暴走するだろう」

 

「だろうね」

 

「だから・・・・!」

 

「その原因を教えて欲しいデスよ!」

 

何か心当たりがあるような態度のデジェルとレグルスに、調と切歌も焦れたような声を上げる。

 

「・・・・自分を」

 

『え?』

 

ようやく口を開いたエルシドに、レグルスとデジェル以外が耳を傾ける。

 

「“自分を受け入れられない者”に力を与えても、宝の持ち腐れになるだけだ・・・・」

 

エルシドはそう言って、会議をしていた部屋を出ていった。エルシドの言葉の意味が分からず、装者達と未来、緒川と藤尭も首を傾げるが、レグルスとデジェルは静かに目を閉じた。

 

 

 

ーマリアsideー

 

「(情けない。・・・・私が弱いばかりに、魔剣の呪いに抗えないなんて)」

 

夕暮れの海岸で、包帯を頭に巻いて気落ちしているマリアは、ギュッと拳を握る。

 

「(強くなりたい。でも、どうすれば・・・・情けないわね。もしここにアルバフィカがいてくれていればと考えている自分がいる。本当に、情けない)」

 

するとマリアの側にバレーボールが転がってきて、エルフナインとカルディアがボールを取りに来た。

 

「あっ・・・・」

 

「ごめんなさい。皆さんの邪魔をしないよう思っていたのに・・・・」

 

「邪魔だなんて・・・・。でも何をしてるのカルディア? みんなと会議しているんじゃ・・・・」

 

「はっ! あんなクッソかったるいお話合いだなんて、退屈過ぎて息が詰まるぜ。敵が来たらぶちのめす。来ないなら来るまで暇を潰す。いちいちグダグダと呑気に会議なんてしたって面倒なだけだ。それならエルフナインにバレーボールでも教えた方がまだ退屈しのぎになるってもんだぜ」

 

「ハァ。カルディアはシンプルで良いわね。私には到底できないわ」

 

とどのつまりサボる口実にエルフナインを使ったカルディアに、マリアはジト目を作って呆れた。

 

「練習、私も付き合うわ」

 

「はい」

 

エルフナインがアンダーハンドサーブをし、マリアが打ち方を教え、カルディアがボールを拾う係をしていた。

 

「それ!」

 

「アウト~」

 

しかし、サーブはコートからアウトしていた。

 

「おかしいな。上手くいかないな、やっぱり・・・・」

 

「色々な知識に通じているエルフナインなら、分かるのかな?」

 

「え?」

 

「あん?」

 

マリアは意を決して、エルフナインに聞いてみた。

 

「だとしたら、教えて欲しい。“強い”って、どういう事かしら?」

 

「・・・・それは、マリアさんはもうとっくに分かっていると思いますよ」

 

「えっ?」

 

「だって、マリアさんは見てきた筈です。強くて優しくて、そして誰よりも気高い黄金の双魚の背中を・・・・」

 

「あっ・・・・」

 

マリアの脳裏に、ウェーブがかかった水色の長髪の男性の背中が浮かんだ。

 

「実はですね。僕は一度だけ、アルバフィカさんとカルディアさんに、僕の知識が有れば“毒の血”や“心臓の病”を治療できるかもしれないと伝えた事があるんです」

 

「・・・・二人がなんて答えたか、想像しやすいわね」

 

「♪~♪~♪~♪~♪」

 

マリアがカルディアに目を向けると、カルディアはソッポを向いて口笛を吹いていた。

 

「お察しの通りです、お二人には断られました。毒の血も心臓の病を治療する気はないとハッキリと言われて」

 

「当たり前だろうが」

 

何故治療を受けないのか不思議に思うエルフナインに、カルディアが告げた。

 

「確かによ。このポンコツの心臓にはさんざん悩まされてきた事なんて腐るほどあるけどよ、コイツはもはや“俺の一部”だ。今さら切り離そうとは思わねえよ。アルバフィカもそうだろうぜ。何しろアルバフィカの毒の血は、恩師であり育ての親を殺した忌まわしい血だ」

 

「・・・・・・・・」

 

「だけどな。アルバフィカは、そんな忌まわしい血すらも受け入れたんだよ」

 

「・・・・受け入れた・・・・」

 

カルディアの言葉に、マリアは何かを考えるように思考を巡らせているとーーーーーー。

 

バシャァアアアアアアアアアアアンンッ!

 

「「「っ!!」」」

 

「お待たせ、ハズレ装者♪」

 

突然噴水のように水柱が上がると、その頂点にオートスコアラー・ガリィがバレエのポーズをとっていた。

 

「連続で襲撃とは、仕事熱心なこって」

 

「マリアさん・・・・」

 

余裕の態度のカルディアと、不安がるエルフナインの前に、マリアが立ち、頭に巻いた包帯を外す。

 

「今度こそ歌って貰えるんでしょうね?」

 

昼間の醜態を持ち出すガリィ。

 

「大丈夫です。マリアさんなら出来ます!」

 

「出来ないときは俺がやるからな」

 

応援するエルフナインとカルディアに頷いて、マリアが聖詠を唄う。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

マリアの衣服が弾け飛び、その身に白銀のシンフォギアを纏った!

 

「ハズレてないなら、戦いの中で示して見せてよ!」

 

ガリィがアルカ・ノイズを召喚すると、マリアはアームズギアの短剣と蛇腹剣を駆使して、アルカ・ノイズを蹴散らす!

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そしてその光景を、オートスコアラー ファラが口に赤い薔薇をくわえながら 見つめると、薔薇の花弁が散り、その姿が風景に溶け込むように透明となった。

散れた花弁は、風に踊りながら、辺りをヒラヒラと舞っていた。

 

 

 

 

ーレグルスsideー

 

「アルカ・ノイズの反応を検知! マリアさんとエルフナインちゃんとカルディアがいる場所です!」

 

『っ!!』

 

「マリア達がピンチデス!」

 

藤尭からの報告に、装者達が慌てて部屋を出る。

しかし、装者達が出た扉から、“透明の輪郭”が横切るのを、レグルスにデジェルに緒川が確認した。

 

「「「っ!」」」

 

三人はその輪郭が横切った通路を見ると、そこには誰もいなかった。

 

「風・・・・?」

 

「どうかしたんですか?」

 

「いえ、大丈夫です。きっと・・・・」

 

未来が聞くと、緒川は気のせいと思うようにしたが、デジェルとレグルスは。

 

「レグルス・・・・」

 

「変な風が通った・・・・」

 

レグルスの言葉に、デジェルも気がかりな様子を浮かべるが、今はマリアとエルフナインを優先して、エルシドを呼び戻そうと、思念波を送った。

 

 

 

ーマリアsideー

 

「ハァアアアアアアアアアアアアアアアっ!!」

 

マリアが次々とアルカ・ノイズを粉砕していくが、ガリィは手を上げると、大きな水玉を作り出し、それを水流のように発射してマリアを攻撃しようとした。

 

「っ!」

 

それを察したマリアは、投げたナイフで障壁を作り防ぐが、今度はガリィは正面から水流を放ち、マリアは防ごうとするが、防ぎきれず水流に呑まれる!

 

「ぐぅ!」

 

「フフ♪」

 

水流に呑まれたマリアは、その中で身体を氷に包まれた!

 

(強く!・・・・強くならねば!)

 

「マリアさんっ!」

 

「・・・・・・・・」

 

エルフナインが叫び、カルディアは黙って見据えていた。

 

「くぅうっ!! かはぁ!」

 

マリアが気合いを込めて氷を砕いたが、膝を付いてしまう。

 

「てんで弱すぎるぅっ! 」

 

「・・・・っ」

 

ガリィの侮蔑の言葉に、マリアは胸元のクリスタルに手をかけようとするが・・・・。

 

「その力、弱いアンタに使えるの?」

 

「ぁ・・・・っ! 私はまだ弱いまま・・・・っどうしたら強く・・・・!」

 

歯噛みするマリアの脳裏に、先程のエルフナインの言葉が浮かんだ。

 

【だって、マリアさんは見てきた筈です。強くて優しくて、そして誰よりも気高い黄金の双魚の背中を・・・・】

 

「・・・・・・・・」

 

「マリアさん!」

 

「っ・・・・」

 

「大事なのは、“自分らしくある事”です!」

 

「いつまでも“弱いテメエ”を否定してんじゃねぇよ!」

 

「私が、“自分らしくある事”、“弱い自分を否定している”・・・・」

 

マリアは、昼間の自分を思い返した。

 

【弱い、自分を!・・・・殺す!・・・・あああああああああああああああああっ!!】

 

「私は、否定しようとしていたの・・・・自分自身を・・・・」

 

呆然となるマリアの目の前に、先程ファラがくわえ、散ってしまった赤い薔薇の花弁が舞っていた。

 

「薔薇・・・・」

 

マリアは、目の前に舞う赤い花弁を見つめていると、赤い花弁に混じって、“白い薔薇の花弁”が舞い、マリアが上を見上げると、白い薔薇の花弁がまるで花吹雪のように舞い降りてきた。夕暮れの世界に舞い降りる白い薔薇は、どこか幻想的だった。

 

「何よ。薔薇の花弁なんかが降ってきて」

 

「白い薔薇、ですか・・・・?」

 

「まさかコイツは・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・アルバフィカ?」

 

訝し気に薔薇を睨むガリィ。白い薔薇に見惚れるエルフナイン。カルディアも察してニヤリと笑みを浮かべ。呆然となりながらも、マリアはその人物の名前を呟き、再会したアルバフィカと会話した事を思い出していた。

 

【マリアには、高貴な赤い薔薇や、妖しい黒い薔薇よりも、清純な白い薔薇が似合いそうだ】

 

【そ、そうかな・・・・//////】

 

思い出すと照れてしまう会話。

マリアは夕焼けの空を見上げると、魚座<ピスケス>のアルバフィカの幻影が見えた。

 

「っ・・・・!」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

アルバフィカの幻影は、ただ真っ直ぐ曇り無い眼差しでマリアを見つめていた。

それだけで、たったそれだけで、マリアはアルバフィカが何を言わんとしているのかを察し、その瞳から一筋の涙が流れた。

 

「“否定するな”。と言うの、アルバフィカ?」

 

『(コクン)』

 

マリアの言葉に頷いたアルバフィカの幻影は、そのまま空に溶けて消えた。

 

「・・・・・・・・・・弱い自分を、そうだ」

 

「んん?」

 

立ち上がるマリアを訝し気に見るガリィ。

 

「私が強くなれなかったのは、“自分自身を否定していた”からだ。弱い自分を受け入れて、弱くても自分らしく、それが強さ! エルフナインは戦えない身でありながら、危険を省みずに勇気を持って行動を起こし、私達に届けてくれた『希望』は、『弱い自分を殺す為の力』なんかでは無い!」

 

「ンフゥ♪」

 

明らかに先程とは目付きが変わったマリアに、ガリィはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「エルフナイン! そこで聞いていて欲しい! 君の勇気に応える歌だ!」

 

マリアは覚悟を持って胸元のクリスタルに手をかけ、魔剣の力を呼び出した。

 

「イグナイトモジュール! 抜剣!!」

 

クリスタルを起動させると、マリアは胸元からクリスタルを外し、空に投げると、クリスタルは杭の形態に展開され、マリアの胸元に突き刺さった!

 

「ぐっ! うううううううううぅぅぅぅぅううううううぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!」

 

力の奔流と破壊衝動に呑まれないように抵抗するが、苦痛に歪む顔を浮かべるマリアの脳裏に、弱かった過去の自分を思い返していた。

 

「(狼狽える度、“偽り”にすがって来た、“昨日までの私”・・・・)」

 

しかしそれもまた自分自身。今度は先程と違って、衝動に耐え続けるマリア。

 

「そうだ! “らしくある事”が! “受け入れる事”が強さであるなら!!」

 

「マリアさん!!」

 

「(マリアっ・・・・!)」

 

エルフナインとカルディアはマリアを見つめる。

 

「(アルバフィカ! 今も、私を見守ってくれているなら! どうか、見ていてっ!!)」

 

マリアが奮い立つ!

 

「私は弱いまま・・・・! 弱い自分を受け入れて、この『呪い』に反逆して見せるっ!!」

 

するとマリアに突き刺さったイグナイトモジュールが、目映い光を放ち、マリアのアガートラームが新たな姿となる。

 

白銀のシンフォギアであったアガートラームの形が黒に統一された姿となり、重武装だったアガートラームがシャープな形態となり、腰から伸びた左腕の籠手から抜き取った短剣を構え、イグナイトモジュールの起動に成功した。

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

マリアがフォニックゲイン高める聖詠を歌いながら、アームドギアの短剣を構える。

 

「弱い自分を受け入れ、弱さを強さにするだなんて、頓知を効かせ過ぎだって!!」

 

ガリィが再びアルカ・ノイズを召喚して、マリアに向かわせる。

マリアは左腕の籠手に短剣を乗せて、手甲剣とし、アルカ・ノイズに向けると光弾を発射して、アルカ・ノイズを蹴散らす!

 

「良いね良いねぇ!」

 

ガリィが足元に氷の道を作りながら、フィギュアスケートのように滑り、マリアに迫る!

マリアは手甲剣でガリィを斬るが、ガリィの身体が水泡となって消える。

マリアはガリィの姿が映った水泡を光弾で撃つが、後ろに大きな水泡が現れ弾けると、ガリィが現れた。

 

「私が一番乗りなんだから! ん?!」

 

ガリィの眼前にマリアが短剣を叩きつけようとするが、ガリィは障壁を張り防ぐ。

 

「んん♪」

 

余裕顔を浮かべるガリィだが、マリアの短剣の刀身が輝くと、ガリィの障壁を砕いた!

 

「っ!?」

 

マリアが左腕を振り上げて、驚嘆するガリィの顎にアッパーカットを叩きつけた!

天高くぶっ飛んだガリィよりも高く跳んだマリアは、左腕のアーマーにアームドギアの短剣を接続し、大剣状に変形させ、腰のブースターでガリィにすれ違い様に斬り裂こうとする!

 

『SERE†NADE』

 

が、斬り裂こうとしたその刹那の瞬間、ガリィの身体が突如消えた。

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「っ・・・・」

 

驚く三者をよそに、ある人物がガリィを抱えて着地し、マリアから離れた位置にいた。

 

「貴方は・・・・!」

 

「アスプロス、さん・・・・!」

 

「野郎・・・・!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

双子座<ジェミニ>のアスプロスの登場に警戒するが、アスプロスは相も変わらず不敵に不遜な笑みを浮かべていた。

 

「見事だ、マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

 

「っ!」

 

アームドギアを構えるマリア。しかし、アスプロスは構わず言葉を続けた。

 

「仲間の為に我が身を省みずに戦う気高き心、己が弱さを受け入れ弱さを強さにしたその精神力、お前は更なる高みに立ったと言えるだろう」

 

アスプロスは満足そうな笑みを浮かべると、『アナザーディメンション』を開いた。

 

「お前の奮戦に敬意を表し、この場は去ろう」

 

「えっ・・・・?」

 

「アスプロス様! 私はまだ!!」

 

「落ち着けガリィ、“完成品”が出来ても使い手がいなければただの置物となる。コヤツらと雌雄を決するステージは此処ではない(それに、コイツが破壊されずとも、起動できるようにしておいたしな)」

 

そう言って、アスプロスはガリィを抱えてその場から消えた。

 

「・・・・・「マリアさんっ!!」っ!」

 

ようやく来た響達とレグルス達にマリアは目を向けると、シンフォギアを解除し、疲労により腰を落とした。

マリアとエルフナインとカルディアから、オートスコアラーを追い詰めたが、アスプロスによって逃げられた事を聞かされた。

 

「これがマリアさんの強さなんですね」

 

「いいえ、弱さかもしれない」

 

「えっ?」

 

「でもその弱さを受け入れ、弱さもまた私らしくある為の力だ。教えてくれてありがとう、エルフナイン」

 

「はい!」

 

笑顔を見せるエルフナインを見て、マリアは自分の手に乗った白薔薇の花弁を見る。

 

「(そして、待ってるからね。アルバフィカ・・・・)」

 

きっと帰ってくる。そう確信して、マリアも優しい笑みを浮かべた。

 

 

ーファラsideー

 

マリア達が笑い合っていると、透明となったファラが静かにその姿を現した。

 

「ガリィは最低限の活動をしたようね。お陰で無事に私は目的を果たせました」

 

ファラは舌を出すと、自分の首もとにまで届きそうな長い舌の上に、マイクロチップを乗せていた。

そして、ファラ達の本拠地であるチフォージュ・シャトーでは、歯車が起動すると、ガリィのいつも立っていた台座から眩い青い光が溢れ、青いカーテンにようなものに文字のようなものが刻まれた。

 

 

 

* * *

 

 

そして装者と聖闘士達は、夜の浜辺で花火を楽しんでいた。

 

「くらうデス、カルディア! 日頃の恨み炸裂! ロケット花火連射デェス!!」

 

「どぅわっ! 切歌テメエ! ざっけんな! お返しだぜ!!」

 

「二人とも! ロケット花火の撃ち合いなんて止めなさい!!」

 

切歌とカルディアがロケット花火で危ない遊びをしているのをマリアが叱り、調とデジェルが微笑ましく見ていた。

 

「マリアが元気になって良かった」

 

「おかげで気持ちよく東京に帰れそうだ」

 

「カルディアとエルフナインがなんか言ってくれたおかげみたいだな」

 

調もデジェル、エルシドもマリアが元気を取り戻し、ホッと一安心する。

 

「ふむ、充実した特訓であったな!」

 

「それ本気で言ってるんすか?」

 

未だに特訓と思っている翼の言葉に、クリスは呆れながら思わずツッコミを入れる。

 

「充実も充実! おかげでお腹が空いてきたと思いません!?」

 

「何時もお腹空いてるんですね?」

 

エルフナインはそんな響に思わず苦笑するが、昼時と同じくまたみんなで買い出しジャンケンをすることになり。

結果は響の1人負けであり、それに響は涙目になるが・・・・。

 

「しょうがない。付き合ってあげる?」

 

「この人数じゃ流石に男手必要だろう。レグルス、お前も行くぞ」

 

「うん」

 

未来とエルシド、レグルスが響の買い出しの手伝いを申し出た。

しかし響はレグルスが来ることに少し苦い顔を浮かべる。

が、未来が響の手を引っ張り、エルシドとレグルスも続いた。

 

「響さん、何でレグルスさんを避けてるデスかね?」

 

「そうだね、変だね」

 

「デジェル兄ぃは分かる?」

 

「・・・・この件に関しては、我々は何も言わない方が良い」

 

「何故だ?」

 

「響自身が、解決しないといけない事だからよ」

 

「・・・・・・・・」

 

デジェルとカルディア、マリアとエルフナインも何となく察している様子だが、察していない翼達は首を傾げる。

 

 

 

ーレグルスsideー

 

そしてコンビニに到着したのだが、いつの間にか響がコンビニの外に置いてあった自販機を見つめていた。

 

「もうなにやってるの?」

 

「凄いよ未来!! 東京じゃお目にかかれないキノコのジュースがある! あっ、こっちは葱塩納豆味だって!」

 

「(割と結構気になるジュースばっかなんだけど・・・・)」

 

「(製作者の意図が分からん・・・・)」

 

そんな響を未来は微笑ましく見守り、レグルスとエルシドは少し呆れて見ていると・・・・。

 

「あれ? 確か君は・・・・未来ちゃん? じゃ無かったっけ?」

 

「えっ?」

 

丁度コンビニから1人の男性が出てきて未来に話しかけ、彼女は誰か分からず首を傾げたが・・・・。

 

 

「ほら、昔ウチの子と遊んでくれていた・・・・」

 

「どうしたの未来~?」

 

 そこに丁度響が未来の元にやってくると彼女はその男性の姿を見て固まり、同じく男性は響の姿を見ると驚いた表情を浮かべた。

 

「響・・・・?」

 

「っ! お父・・・・さん・・・・?」

 

「「(お父さん!?)」」

 

響がそう言うと、レグルスとエルシドは驚いた。何故ならその男性は、昼間のオートスコアラーの襲撃で、民間人を避難誘導の手伝いを翼が要請したが、「冗談じゃない! どうして俺がそんな事をっ!!」と言って、自分だけ逃げ出した卑怯者だったからだ。

 

「っ・・・・!!」

 

響は突然走り出し、彼女は逃げるようにその場から立ち去ったのだった。

 

「あっ響!」

 

「響! うわっ!!」

 

未来が響を追いかけ、響にお父さんと呼ばれた男性も追いかけようとするが、その前にレグルスが立ち塞がり、男性はレグルスにぶつかると尻餅を付いた。

 

「お、お前は、さっきの、クソガキ・・・・!」

 

「ねえ、アンタさあ・・・・」

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいっっ!!」

 

レグルスが少し睨むと、男性は悲鳴を上げて立ち上がり、逃げ出した。

レグルスとエルシドは、その男性の逃げ姿を見つめる。

 

「あれが、立花の父親・・・・」

 

「響達家族を、“見捨てた父親”・・・・!」

 

レグルスの目に、怒気が浮かんでいた。

 

 




ガリィは破壊されませんでした。原作では破壊されるオートスコアラーですが、まだ破壊しません。
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