聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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注意:今回の話で、シンフォギアキャラの1人がキャラ崩壊を起こします。


二人で一人前な二人

ーマリアsideー

 

「司令! 一体何が、起こ・・・・って・・・・」

 

カルディアとデジェル、マリアとエルフナイン、翼とクリスが指令ブリッジにつくと、マリアはモニタを見て唖然となる。モニタにはーーー。

行方不明だった蟹座<キャンサー>のマニゴルドが、切歌の背中を踏みつけている光景だった。

 

《マニゴルド・・・・! 早く退くデェス・・・・! 苦しいデス・・・・!》

 

《へいへい・・・・ちっ》

 

《なんで舌打ちするデスかっ!?》

 

「マニゴルド・・・・?」

 

「やっと戻ってきやがった・・・・ん?」

 

マリアがポツリと呟くのと同時に、カルディアの身体が金色の光に包まれていた。

 

「おい、蠍座<スコーピオン>。お前の身体変だぞ!」

 

「コイツは・・・・」

 

すると、カルディアが光に呑み込まれ、指令本部からその姿を消した。

 

 

ー???sideー

 

「これで役者は揃った」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

とある活火山の頂点に立つ二人は、遠い日本の様子を眺めていた。

 

 

ー切歌sideー

 

「マ、マニゴルド・・・・!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ようやく身体を起き上がらせ、切歌はマジマジとマニゴルドの姿を上から下へと見ていた。

 

「ほ、本当に、マニゴルドデスか・・・・?」

 

「おいおい、こんな二枚目が他にいるってのかよ?」

 

「あぁ・・・・!」

 

切歌はゆっくりとマニゴルドに近づき・・・・。

 

「マニゴルドーーーーーーーーーーっ!!!」

 

マニゴルドに向かって走る切歌。モニタで様子を見ていた翼とクリスにエルフナイン達も、感動の再会だと笑みを浮かべ、オートスコアラーミカは、面白そうに眺めていたが、調とマリアはジーとモニタを見据え、切歌とマニゴルドの距離が、あと僅かになったその時ーーー。

 

「デーーーーーーーーーース!!」

 

ドガンッ!!

 

「ゴハァッ!」

 

《『ええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!???』》

 

通信機越しから翼達の戸惑いの叫び声が聞こえた。

何故なら、切歌がマニゴルドの顔面に、ドロップキックを決めたからだ。

調とマリアは変わらずジーと、二人を見つめていた。

 

「ててて・・・・切歌! テメエ何しやがる!?」

 

ゴン!!

 

「んがっ!」

 

ドロップキックをかまされ、倒れたマニゴルドの脳天に、切歌がアームドギアの大鎌の反対側(刃の付いている部分)で、殴り付けた。

 

「このデス! このデス! このデス! このデス! このデス! この不良保護者! 今までどこ行ってたデスかっ!? 無事なら無事で! さっさと! 帰って来いデス!!」

 

「がっ! ごっ! ぎっ! だっ! でっ! どっ! ぎゃっ!」

 

大鎌を鈍器のように使ってマニゴルドを殴る切歌に、本部にいた翼達は開いた口が塞がらない状態で見ており、ミカはゲラゲラと腹を抱えて大爆笑していた。

 

「ち、調子に乗ってんじゃ、ねえっ!!」

 

「デスっ!?」

 

すぐさま起き上がったマニゴルドが、切歌にラリアットをかました。

 

「テメエ、いきなり保護者を殴るとはどういう了見だ!」

 

「マニゴルドがさっさと帰ってくれば良かったんデスよ!」

 

それからは、押し合い圧し合い取っ組み合いの大喧嘩に発展した。

 

 

ーマリアsideー

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「うぅっ・・・・!」

 

「なぜ泣いているのだマリア?」

 

《うぅっ・・・・!》

 

「調くんもか・・・・?」

 

開いた口が塞がらない状態のS.O.N.G.メンバーだが、マリアだけは目元にハンカチを当てており、それをいち早く正気に戻ったデジェルが問うたが。

ギャーギャー喚きながら喧嘩をするマニゴルドと切歌を眺めていた調までも、ハンカチで涙を拭っていた。

 

《良かった・・・・切ちゃんの調子が・・・・いつもの切ちゃんに戻っている・・・・!》

 

「ええ。マニゴルドが帰って来てくれて本当に良かったわ・・・・」

 

「どういう事だ?」

 

「みんなと一緒にいるときは普段通りなんだけど、家に帰ると切歌は、凄く無気力になっていたの・・・・」

 

「何?」

 

「どういうこった?」

 

ようやく正気に戻った翼とクリス、弦十郎達もマリアに目を向ける。

 

「実はマニゴルドがいなくなってからと言うもの、切歌ってば家に帰ればソファーに寝転がって微動だにしなくなるし」

 

 

 

* * *

 

 

 

【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】

 

【切歌? 大丈夫なの?】

 

【・・・・デ~ス】

 

心配してマニゴルドと切歌とカルディアと調が住んでいるマンションに赴いていたマリアは、すっかり無気力になってソファの上で寝そべって動かなくなった切歌を心配する。

 

 

* * *

 

 

「さらに、ベランダで上の空になっていると、いつの間にか頭の上に、鳥が巣を作っていたし」

 

 

* * *

 

 

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ・・・・。

 

【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】

 

【切歌、頭の上で鳥が巣を作っているわよ・・・・】

 

【・・・・デ~ス】

 

ベランダの手すりに寄りかかって空を見上げて、上の空状態の切歌の頭の上に、鳥の巣ができていた。

 

 

* * *

 

 

「果てはご飯じゃなくてお皿を食べようとしていたし」

 

 

* * *

 

 

【ガジガジガジガジガジガジガジガジ・・・・】

 

【切ちゃん、それお皿・・・・】

 

【・・・・デ~ス】

 

すでに朝ごはんのトーストは食べ終えたのに、何故か皿をかじっている切歌。

 

 

* * *

 

 

「極めつけは、お風呂に入ろうとして脱衣場と間違えたのか、カルディアの部屋で服を脱ごうとする始末・・・・!」

 

 

* * *

 

 

ガチャ・・・・。

 

【ん? 何だ切歌?】

 

【・・・・・・・・・・・・・・・・】

 

自室のベッドで寝そべって雑誌を読んでいたカルディアの目の前で、上の空状態の切歌が、突然服を脱ぎ出した。

ライトグリーンの下着に包まれた、小さな身体に不釣り合いに実った果実が、プリンッと瑞々しく揺れる。

 

【オイオイ、俺の部屋でストリップショーなんてすんなよな】

 

【切歌! 何してるの!?】

 

【カルディア見ちゃダメ!!】

 

カーン

 

【あたっ】

 

【・・・・デ~ス】

 

直ぐに慌てて来たマリアと、料理中だったのか、ピンク色のエプロンを着用し、片手にお玉を持った調が切歌を止めて、マリアが切歌を担いで部屋を出て、調は持っていたお玉をカルディアの額に投げつけ、カルディアは頭をのけ反った。

 

 

* * *

 

「と、そんな状態だったのに、マニゴルドが帰って来てくれて、ようやく本調子に戻りつつあるわ・・・・」

 

ヨヨヨと涙を流しているマリアに、翼とクリスにエルフナイン、さらに弦十郎達も何とも言えない顔になっていた。

 

「そんな状態だったのか暁は・・・・?」

 

「色々ヤバい状態だったのかよ。学校にいるときや、アタシ達と一緒にいるときは、そんな素振りを全然見せなかったのに・・・・」

 

「みんながいる場所なら、寂しさを紛らわす事が出来たんだけど、家に帰って、マニゴルドの部屋を確認して、マニゴルドが帰ってないと知ると、まるで電池が切れたように動かなくなっていたのよ。そんな切歌がもうあんなに元気になって・・・・!」

 

マリアが再びモニタに映る切歌とマニゴルドと取っ組み合いを見ると、再び目元にハンカチを当てる。

翼達も若干呆れ混じりに、二人の喧嘩を見ていた。

 

 

ー切歌sideー

 

「デーーースっ!!」

 

「あだっ!」

 

切歌がマニゴルドの後頭部にレッグラリアートを決める。

 

「このっ!」

 

「きゃんっ!」

 

マニゴルドが仕返しにヒップアタックで仰向けに倒すと、空かさず切歌の背中にヒッププレスで押し潰す。

 

「オラッ!」

 

「デェズっ!?」

 

そしてそのまま切歌に逆エビ固めを仕掛けた。

 

「これで、どうだ!!」

 

「イダダダダダダダダダダダダダダダダっ!!」

 

切歌が地面を叩いてタップをする。

そしてその光景を鳥居の上から笑いながら眺めていたミカは、ニィッ! と笑みを浮かべる。

 

「おい蟹座<キャンサー>! また私と戦うカ!?」

 

「あん? あっ! お前あの時の火遊び人形! テメエよくも小癪な事やりがったな!」

 

ギリギリギリギリギリギリギリギリ・・・・!!

 

「デデデデデデデデデデデデーーースっ!!!」

 

極めていた切歌の足をさらに極めながらミカに怒鳴るマニゴルド、しかし極められた切歌は悲痛の悲鳴を上げた。

 

「このアホを絞め終えるまで少し待ってろや!」

 

「そんなの待てないゾ!!」

 

ミカは、赤いグリーブ、『火のエレメントアームズ』を足に装備して、足を擦らせると、炎の大玉が生まれ、それをマニゴルドと切歌にむけて蹴り飛ばした!

 

「イヤッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 

炎の大玉がマニゴルドと切歌に迫り、調が二人の前に出ようとするのと同時に、調の横を突風が飛び出し、ミカの大玉を殴り飛ばすと、大玉は空の彼方までぶっ飛び、弾けた。

 

「カ、カルディア??」

 

何とそこにいたのは、S.O.N.G.本部にいるはずのカルディアだった。

 

「よお、マニゴルド。久しぶりじゃねえか」

 

「おうカルディア、悪いがちとあのお人形の相手しておけ」

 

「言われるまでもねえぜ!!」

 

カルディアがミカに向かって飛びかかり、ミカもニィッ!と笑みを浮かべながら、グリーブを擦って、炎を巻き上げた!

 

「さてと」

 

マニゴルドは起き上がると、逆エビ固めの痛みに悶えていた切歌の首根っこを掴みながら、ズルズルと調の方まで引きずる。

 

「オイコラ切歌、何があったか知らねぇがよ。何調との足並み乱してんだこのドアホ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「調。お前も変な気づかいしてんじゃねぇよ。言いてぇ事ははっきりと言いやがれ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「良いか、お前らのシンフォギアはシュメール神話の戦女神ザババの双刃だ。言うなればお前らは、“二人で一人前”なんだ。足並み揃えなきゃ超えられる限界も超えられねぇぞ」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

二人は少しお互いを見て、気まずい雰囲気になるが、調がポツリと呟く。

 

「やっぱり、私を足手纏いと思っているの・・・・?」

 

調は思っていた事を話したが、そんな調の言葉を切歌は遮るように言い放つ。

 

「違うデス! 調が大好きだからデスっ!!」

 

「へっ?」

 

すると切歌は調に近づき、自分の胸の内を吐き出す。

 

「大好きな調だから、傷だらけになることが許せなかったんデス!」

 

「じゃあ、私は・・・・」

 

「アタシがそう思えるのは・・・・あの時、調に庇って貰ったからデス! みんなが私達を大切に想ってくれているからなんデス!!」

 

調はその言葉を聞き目を見開き、“大切な人達”の姿がよぎった。

 

「私達を大切に想ってくれてる・・・・優しい人達が・・・・」

 

その時、ミカと戦っていたカルディアはミカが身体から吹き出させた炎によって吹き飛ばされてしまうが、空中で態勢を整えて、調達の近くに着地する。

 

「さぁて、時間は稼いでやったぜ」

 

「分かっているな。切歌、調?」

 

「「(コクン)」」

 

二人が頷くのを見て、マニゴルドは切歌の、カルディアは調の頭に手を置く。

 

「失敗しそうになったら引っ張ってやる」

 

「だから思いの限りやって来いや」

 

そのまま頭に置いた手を二人の背中に下ろすと、二人の背中を押した。そして二人は、ミカと対峙する。

 

「なんとなくで勝てる相手じゃないゾ!!」

 

「マムが残してくれたこの世界で、かっこ悪いまま終わりたくない・・・・!!」

 

「だったら・・・・カッコ良くなるしかないデスっ!!」

 

調と切歌がそれぞれがそう言い放つ。

 

「自分のしたことに向き合う強さを! イグナイトモジュール!!」

 

「「抜剣(デース)!!」」

 

そして遂に調と切歌の2人は胸部に装着されたシンフォギアクリスタルを起動させ、取り外して空中へと投げるとそれが杭のような形となり、2人の胸部に突き刺さる。

 

「うぐぐ・・・・!!」

 

「うぅ・・・・!」

 

「「うあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」」

 

黒い力の奔流に塗り潰されそうな衝動に、切歌も調も飲み込まれそうになるが、2人はそれをどうにか耐え抜く。

 

「底知れず、天井知らずに高まる力~!」

 

それを見てミカはどこか嬉しそうな声を上げながら、炎を全身に彼女は纏い、炎が収まると、縦ツインロールの髪が下ろされ、ミカの全身が発熱したように赤く発光した姿となった。

 

「ごめんね、切ちゃん・・・・!!」

 

「良い、デスよ・・・・!それよりもみんなに・・・・!!」

 

「そうだ、みんなに謝らないと! その為に、強くなるんだああああああっ!!!」

 

調が強くそう叫んだ瞬間、2人の纏っていたシュルシャガナとイガリマは黒く染まり、イグナイトモジュールの起動に成功する。

 

「良し!」

 

「へっ!」

 

マニゴルドとカルディアが、二人の成長に、グッと握り拳を作った。

 

「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!」」

 

切歌は鎌のアームドギアを持ってミカに接近し、振りかぶるが、ミカはそれをなんとか受け流す。

 

「ヒャッハァッ!!」

 

だが、続けざまに調が巨大化させたアームドギアのヨーヨーを頭上からミカに振りかざすが、ミカはそれを両手で受け止め、フルスイングして調ごと投げ飛ばす。

 

「調!!」

 

「最強のアタシには響かないゾ! もっと強く激しく歌うんだゾっ!!」

 

ミカは両手からカーボンロッドを連射し、グリーブから発せられた炎をカーボンロッドに纏わせ、切歌に向けて放つが、切歌はアームドギアでカーボンロッドを弾くが、眼前に迫ってきたミカの体当たりを受けて、吹き飛ばされてしまう。

 

「くあっ!?」

 

境内の建物に激突した切歌の周りに、カーボンロッドが突き刺さり、動きを封じられてしまう。

その隙にミカが切歌に右手を伸ばし、攻撃をしようとするが・・・・。

 

「っ!?」

 

そこにツインテールに装備したアームドギアから、小型鋸を大量に射出した。

 

「向き合うんだ! 出ないと乗り越えられない!!」

 

『α式 百輪廻』

 

ミカに向かって小型鋸が降り注ぐが、ミカは全身の高熱を使って直撃する直後に、鋸を全て焼却し、空中に跳び上がって頭上に大きく円を描いた。

すると、描かれた円から巨大で高熱のカーボンロッドが現れ、グリーブから放たれた炎を纏わせ、次々と調と切歌に向かって降り注ぎ、調と切歌はなんとか走りながらそれを回避した。

 

「闇雲に逃げてるだけじゃジリ貧だゾっ?!」

 

「知ってるデス! だからぁ!!」

 

切歌が高くジャンプすると彼女は一気に空中にいるミカに接近し、マニゴルドとの喧嘩で培ったドロップキックを叩きこむ。

 

「そなぼし!?」

 

ミカが地上に着地した所で、切歌の両肩のパーツからアンカーロープが放たれ、ミカを拘束して地面に固定した。同時に切歌のアンカーを調のギアと接続した。

そして空かさず、調は足のアームドギアから、巨大なタイヤのような円状の刃を生み出し、内側に乗り、高速突進する。

 

『非常Σ式 禁月輪』

 

それに合わせるように、切歌はギロチン状に変形した大鎌のアームドギアをローブにセットし、ブースターを噴射させスリングショットのように突撃した。

 

『断殺・邪刃ウォttKKK』

 

そして、調の技と切歌の技を合体させた。

 

『禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS』

 

まるで処刑台のような二人の合体技がミカに身体を両断する!

 

「足りない出力をかけ合わせてエエエエエエエエエエエエエエエエエッッ!!??」

 

2人の合体技を受けたミカが爆散したように爆発した!・・・・かに見えた。

 

「やった・・・・デスね、調!!」

 

「うん!!」

 

「イヤ」

 

「まだだ」

 

勝利を喜ぶ切歌と調に、マニゴルドとカルディアは一切警戒を解かず、ミカが爆散した地点を睨むと。

 

「フフフフフフ。これで三人までがイグナイトを完璧に発動出来たか」

 

爆発の煙の中から、腹部を斬られ、ミカの上半身と下半身を右脇腹に持った『双子座<ジェミニ>のアスプロス』が愉快そうに笑みを浮かべていた。

 

「双子座<ジェミニ>のアスプロスっ!?」

 

「オートスコアラーを、回収しに来たの?!」

 

切歌と調が、アームドギアを構える。が、アスプロスはそんな二人に、手を上げる。

 

「早合点しないでもらいたいな。俺はミカを回収しに来ただけだ。それと・・・・」

 

アスプロスは、マニゴルドとカルディアに目を向ける。

 

「さて、マニゴルドにカルディア? 俺と手を組むと言う話の返事を聞きたいのだが?」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

マニゴルドとカルディアはゆっくりと手を上げーーー。

 

「ハッ!」

 

「ふんっ!」

 

カルディアは右手中指を力強く立て、マニゴルドは親指を立てようとして、親指を下に向け、さらに首をかっ切るような挙動をした。

アスプロスは二人の態度に腹を立てる事をせず、含み笑いを浮かべた。

 

「決裂か・・・・。まああらかた予想通りだな。それにしても、僅か短期間でここまで成長するとは、シンフォギア装者も棄てたものではないな」

 

「「っ・・・・!」」

 

アスプロスが一瞥すると、切歌と調は身体を強ばらせ、マニゴルドとカルディアが二人を庇うように前に立つ。

 

「暁切歌、月読調、お互いを守り合う事で更なる高みに到達したか。まさに“二人で一人の戦士”。・・・・少々、羨ましいな」

 

最後の方でポツリと呟いた言葉に、調と切歌は聞こえなかったが、マニゴルドとカルディアには聞こえていたが、何も言わずにアスプロスを鋭く見据える。

 

「己と真に向き合い、友と共に己を越える。マリア・カデンツァヴナ・イヴに続いて、さらに二人もイグナイトの力を引き出すとはな。フフフ、LiNKER持ち達の方が優秀だな」

 

アスプロスはそのまま背後の空間が割れると同時に、その場から去っていった。

 

 

ーレイアsideー

 

《レイア、こちらは終わった。そっちも退却しろ》

 

「承知」

 

レイアが転移術を使うと、S.O.N.G.基地を抑えていた巨大な影も、その姿を消した。

 

 

ー切歌sideー

 

それから、切歌と調の元へと駆けつけた弦十郎とクリスとデジェルは、正座して申し訳無さそうに俯く切歌と調、正座しているがそっぽを向いているマニゴルドとカルディアを叱っていた。

 

「こっちの気も知らないで!!」

 

「たまには指示に従ったらどうだ?」

 

「いきなりイグナイトモジュールの発動は危険過ぎる」

 

そんな三人に対し、調と切歌は頭を下げて謝罪するが、マニゴルドとカルディアは知ったことかと言わんばかりの態度でそっぽを向いた。

 

「・・・・独断が過ぎました」

 

「これからは気をつけるデス・・・・」

 

「珍しくしおらしいな・・・・」

 

素直に謝罪する調と切歌に、クリスと弦十郎は少し驚き、デジェルは二人が成長したことを察して小さく笑みを浮かべる。。

 

「私達が背伸びしないでできるのは、受け止めて、受け入れること・・・・」

 

「だから、ごめんなさいデス・・・・」

 

「・・・・うむ。分かればそれで良い・・・・。マニゴルド。無事の帰還は喜ばしいが、今まで何処にいたのか聞きたいのだが?」

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

マニゴルドはそっぽを向いたまま口笛を吹いて惚ける。

 

「お前、帰って来て早々その態度かよ・・・・!」

 

クリスがマニゴルドの態度に腹を立てるが、デジェルが押さえた。

 

「マニゴルド。アルバフィカはどうした?」

 

「あん? ちょっと別行動中だ。すぐに戻ってくる」

 

「そうか。今日はもう帰って良いが、明日本部で詳しい事を聞かせてもらうぞ」

 

「承知しました~。んじゃ帰るぞ」

 

それから四人はやいのやいの騒ぎながら家に帰る。

 

「まったく・・・・」

 

弦十郎は、すぐ無茶をする調と切歌、相も変わらず協調性ゼロのマニゴルドに肩をすくめる。

そんな切歌と調の背中を見ながらクリスはあることをボソっと呟く。

 

「先輩が手を引かなくたっていっちょ前に歩いて来やがる。(あたしとは、違うんだな・・・・)」

 

「・・・・・・・・」

 

デジェルがクリスの手を握り、クリスは少し身体をデジェルに寄せる。

クリス自身、アスプロスに言われた言葉が、胸に内に棘のように突き刺さっていた。

 

 

* * *

 

 

そして家に帰った四人。調と切歌は改めて決意を表す。

 

「足手纏いにならないこと・・・・。それは、強くなることだけじゃない、自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

 

「『責任』。『自らの義に正しくあること』・・・・」

 

調の言葉を聞いて切歌はスマホで「責任」の意味を調べ、読み上げる。

 

「でも、それを正義と言ったら調の嫌いな『偽善』っぽいデスか?」

 

「・・・・・・・・」

 

【それこそが偽善・・・・!】

 

すると調は切歌に言われ、『フロンティア事変』の時、自分が響に対して偽善者呼ばわりしたことを思い出し、彼女は暗い表情を浮かべる。

 

「ずっと謝りたかった。薄っぺらい言葉で響さんを傷つけてしまったことを・・・・!」

 

切歌は、調の肩に両手を置き、額をくっつける。

 

「ごめんなさいの勇気を出すのは、調一人じゃないデスよ・・・・。調を守るのはアタシの役目デス!」

 

「切ちゃん・・・・ありがとう、何時も・・・・全部、本当だよ・・・・!」

 

感動的なシーンにカルディアはニヒルな笑みを浮かべるが、マニゴルドは、ポンっと切歌の肩に手を置く。

 

「感動的なところで悪いけどよ切歌。・・・・お前、冷蔵庫に入れておいた俺のどら焼きとツマミ用のベーコンどうした?」

 

「(ギクッ!)いや、その、デスね・・・・! マニゴルドがいなくなって、このままじゃ腐っちゃうと思ってデスね・・・・」

 

顔は笑っているが、目が全然笑っていないマニゴルドから、切歌は滝のように汗を流して目を泳がせる。それが何を物語っているのか一目瞭然だった。マニゴルドは切歌の首根っこを掴んだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「し、調!!」

 

「切ちゃん、頑張って・・・・」

 

「おい調。お仕置きが終わるまで暇だし、ちょっとゲームでもやろうぜ」

 

調とカルディアはカートゲームを始め、マニゴルドは無言で切歌を引きずりながら、自分の部屋に連れ込む。

 

「ま、待ってデス、マニゴルド! だからその件に関してはデスね!・・・・えっ? なんで鞭なんて持ち出すデスか? 何でアタシの身体を荒縄で縛るデスか?・・・・ま、まさか・・・・!?」

 

ビシッ! バシッ! ビシッ! バシッ! ビシッ! バシッ! ビシッ! バシッ!・・・・。

 

「あぁああああああ! ま、また! これデスか!? そ、そんな! うぅ悔しいデス! で、でも! あぁ、あはんっ!♥ も、もっとデェスっ!!♥♥」

 

「あっカルディア、崖側で青甲羅はズルい・・・・」

 

「さっき橋を飛んだ時に雷落としたヤツが言うな」

 

鞭で引っ叩く音と、切歌の嬌声を聞き流しながら、調とカルディアがカートゲームを楽しんでいた。

 

「フンッ!」

 

ピシャンッ!!!

 

「アッーーーーーーーーー♥♥♥」

 

切歌の嬌声を聞き流しながら、調はいつもの我が家に帰って来た実感を感じた。

 

 

 

ーアスプロスsideー

 

チフォージュ・シャトーでは。ミカを象徴するような『赤い垂れ幕』がミカの台座の上に降りてきた。

そして歯車の1つが軋みをあげると、玉座の後ろに置かれた巨大な装置の扉が突如ゆっくりと開き、その中から、響と翼とクリスに倒された筈だった錬金術師・・・・。

 

『キャロル・マールス・ディーンハイム』が現れた。

 

それを見てレイアとファラは彼女の前に跪き、キャロルは階段下に控えていたアスプロスの元に一直線に行き、両手を大きく広げて、アスプロスの身体にギュッと抱きついた。アスプロスはキャロルの頭を優しく撫でる。

 

「お目覚めになりましたか?」

 

「そうか・・・・ガリィとミカは・・・・」

 

ファラに声を聞き、アスプロスから離れたキャロルは、天井からかけられている文字のようなものが刻まれた『赤垂れ幕』と『青い垂れ幕』を見ると、彼女はミカとガリィが破れたことを即座に理解した。

が、アスプロスが指を鳴らすと、空中にディスプレイが現れると、棺のような装置の中で、ミカとガリィが眠るように横たわっているのが表示された。

 

「派手に散りましたが、現在はアスプロス様により身体の修復中です」

 

「これからいかがなさいますか?」

 

「言うまでもない。『万障黙示録』を完成させる。この手で奇跡を皆殺す事こそ、数百年間の大願・・・・」

 

キャロルは自身の手を握りしめる。そんな彼女の目には・・・・。

なぜかここにいない筈の医務室で座る響の姿が映っていた。 

 

《聞いた!? 調ちゃんと切歌ちゃん強いね! ホントに強くなったと思う。そう思うでしょ? エルフナインちゃんも!》

 

医務室にいるのは、響とエルフナインの2人だけ、つまり、エルフナインが見て聞いているものが、キャロルにも伝わっているのであった。

 

「・・・・あぁ、思うとも・・・・。故に、世界の終わりが加速する!!」

 

何も気づかない響の暢気なマヌケ顔を嘲りながら、キャロルは思惑通りに進んでいる事を高らかに宣言した。

 




この世界の切歌は、Mの世界に身体半分入っています。ちなみに調はまだ片足入った状態。
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