「ノビタニアンもヨラバタイ樹を見つけたらしい」
メッセージを受け取ったキリトへフィリアが尋ねる。
「向こうは何かを見つけたかな?」
「……月を見つけたって言っているな」
「月?どういうこと」
キリトの質問の意味がわからず、シノンが尋ねる。
「この九十二層が俺達の知っているものと同じなら月はヨラバタイ樹の天辺を目指すのに必要になるはずだ」
「よくわからないけれど、ノビタニアン達と合流する必要があるわけね」
「ああ」
頷いたキリト。
ヨラバタイ樹を目指すことにした。
「キリト~!」
「皆さん!」
キリト達がヨラバタイ樹へ到着すると既に来ていたノビタニアン達が出迎える。
ヨラバタイ樹は今まで見てきた樹木よりも太く、天辺に届きそうな高さを持っていた。
アインクラッドは階層なので、流石に二人の知るヨラバタイ樹と比べると規模は小さい。
「高さは違うが……これを普通に登るなら数日はかかるな」
「この入手した宝石を使えばいいんだよね?」
フィリアがキリトの手の中にある宝石をみる。
「でも、どうやって使うのかな?」
「あ、キリト君!あのNPCのおじいさん、器が必要っていっていたよね!!」
「だから、これの出番さ」
キリトが指をさすのはノビタニアンが手に入れた巨大な布袋。
「でも、そんな布袋が何の役に立つのよ?」
「僕が体験した世界と同じならこれを攻略するならこれが役立つんだ。キリト、お願い」
「よし」
ノビタニアンの持つ袋へキリトが手に入れた宝石を使う。
すると宝石が輝いて袋の中へ入っていき。
「ふ、膨らんでいきますよ!?」
「凄いなぁ」
皆の見ている前で袋は丸いものへなっていく。
「ね、ねぇ、これって」
「さ、みんな、乗るよ」
「乗るの!?」
キリトとノビタニアンが三日月の形をした袋へ飛び乗る。
「よし!行こう!」
「わーい!」
続いて、ユウキ、ストレア。
「い、行きます!」
「なんか、わくわくしてきたよ!」
「わ、わぁ!」
シリカとフィリア、リーファが。
最後に、
「行くしかないのね」
シノンが飛び乗るとともに三日月の袋は上昇していく。
「これでヨラバタイ樹までいけるのはわかったけれど、この袋は何なの?」
掴まったままのシノンが尋ねる。
「月だよ」
「月って、あの夜空に浮かぶ?」
「簡単にいうと、僕が体験した冒険のはじまりに月が折れて、風船みたいに飛んでいったんだよ。それがヨラバタイ樹の近くにあったから膨らませて天辺を目指したんだ」
「ありえないわよ。それ、現実からして」
「「だって、夢だもの」」
「……アンタ達が規格外だって改めて思い知らされたわ」
二人の言葉を聞いてやれやれとシノンはため息をこぼした。
十分足らずでヨラバタイ樹の天辺へ到達する。
落ちないように注意しながら彼らは天辺へ降り立つ。
「あ、宝箱があるよ!」
フィリアが豪華な作りの宝箱を見つける。
「どうやらモンスターじゃないみたいだね。開ける?」
『ようこそ』
「いや、その必要はなさそうだぞ」
「声が!?」
『この中にある剣と兜を手にしてください』
バカッと音を立てて開く。
中を覗き込むと白い鞘に納められている剣と兜がある。
「うわぁ、これ、凄い重たい!」
取ろうとしたフィリアは剣の重さに座り込んでしまう。
「どれどれ?うわっ、ボクでも持てないよ!?」
ユウキが剣を持ち上げようとするがびくともしない。
「ユウキが無理じゃ、私やリーファでも無理かもね」
「うーん、そうかも」
「俺とノビタニアンでやってみよう」
「うん」
二人が剣へ手を伸ばす。
「うわっ」
「二人掛かりでやっと、だな」
「それ、装備できるんですか?」
「いや……多分だけど、イベント限定アイテムだな」
「残念だね。これだけ凄かったら大活躍できたのに」
残念がるフィリア。
キリトがアイテムとして収納する。
「さて、問題はここからどうやって帰るかだね」
「あ、そっかー、お月様はとんでいっちゃったもんねぇ」
ストレアの言葉通り、月は空へ消えており、戻る手段は。
「じ、自力でここから降りないといけないんですか?」
下を覗き込んだシリカが青褪める。
かなりの高さだ。足を滑らせて落ちてしまったら命はないだろう。
『その心配はありません。帰り道はこの箱の中』
「箱の中!?」
驚くユウキが覗き込む。
「うわぁ~、レールができているよ!?」
顔を出したユウキは驚きの声を上げる。
「よし、行こう」
「罠じゃないよね?」
「大丈夫だ。行こう」
全員が宝箱を通ってヨラバタイ樹の下へ到着する。
「パパ、お帰りなさいです!」
「ただいま、ユイ、アスナも戻ってきたんだな」
キリト達がエギルの店へ戻るとユイ、アスナ、リズベットが出迎える。
「おかえり、キリト君。攻略に出ていたの?」
「あぁ、九十二層の攻略だ」
「くたくたです」
シリカがぐでーと机に突っ伏す。
「お疲れ、はい、飲み物よ」
リズベットが皆へ飲み物を渡していく。
「それで?攻略はなんとかなりそうか?」
「あぁ、かなり大変だけど。目途はついた。アルゴに情報も送っておいた」
ヨラバタイ樹を攻略した後、キリト達は続けて竜の谷へ向かった。
宝箱からヨラバタイ樹の下へ降りた時にいたNPCの情報から竜を討伐するように頼まれたのだ。
竜は人を石化する能力を持っており、苦戦はしていたのだが、ギリギリのところで勝利を収めることに成功する。
「温泉!?それって、どんな効能があるの!?」
「いや、効能はわからないなぁ」
詰め寄ってくるリズベットにキリトは苦笑しながら首を振る。
「でも、肌がすべすべになったような気がするわ」
「そうですね。疲れも取れたような気がします」
シノンとリーファの言葉にアスナが「いいなぁー」と声を漏らしてキリトをみる。
「パパ!ママと三人で温泉へ行きたいです」
「うっ……」
「パパは大変だねぇ~」
「アタシたちも温泉に行きたいから護衛の剣士が必要、そう思わないかな?ノビタニアン君」
「え、あれ?」
参加していなかった女子二人の視線を受けて。
「「あ、案内します」」
「よろしい……そういえば、九十二層の攻略はかなり早く進んでいるみたいだけど、どうして?」
「あぁ、俺やノビタニアンが経験した冒険の一つと同じ内容なんだよ」
「二人が体験した?」
「うん、夢幻三剣士って名前の夢のソフトなんだけどね」
「夢?」
「うん、ドラえもんが出してくれた気ままに夢見る機のソフトなんだけどね」
ノビタニアンとキリトは夢幻三剣士について話す。
「その気ままに夢見る機っていうの?いいわねぇ、好きな夢がみられるなんて」
気ままに夢見る機についてリズベットが興味を示した。
「うん、僕も気に入ったんだけどね。夢幻三剣士が現実に力を及ぼすというのであまりよくないなぁってことで返却したんだ」
「それじゃあ、その夢はどうなったんだ?」
「クリアはしたさ。妖霊大帝オドロームを倒してユミルメを救った……そのあとは……」
「えっと、思い出せないね」
二人は首を傾げる。
結末を思い出せない。
尚、二人は知らないことだが、気ままに夢見る機が直前に回収された影響で夢の最後が曖昧になっているのだ。
「二人の話通りなら九十二層も折り返しということだね?」
「これならすぐに九十二層も攻略できるわね!」
「明日も攻略に行くつもりだ」
キリトの言葉に反応したのはシノンだ。
「なら、明日はノビタニアンと行動するわ」
「え?」
「じゃあ、私はキリトと行こうっと!」
ノビタニアンの腕を掴みシノンが、キリトを抱きしめてストレアが手を上げる。
「ボクもノビタニアンと行くよ!」
「わ、私も!」
遅れてユウキとシリカがノビタニアンへつくといいだす。
「じゃあ、私も行く!明日は血盟騎士団の仕事はないから!」
「私も武具店の仕事がひと段落ついたから行くわ!」
「だったら、ノビタニアンの方でも」
「わかってないわね!アンタと行くことに意味があるのよ!それに、温泉も行ってみたいしね」
温泉が大好きなリズベットも参加すると言い出し、キリトの周りが騒がしくなる。
キリトは助けを求めてノビタニアンを見ようとするが。
シリカとユウキによって引っ張られているノビタニアンの姿があった。
「くそう、なんであいつらはモテるんだよ!?」
カウンターで食事していたクラインが悔し気な声を上げる。
「だが、あれはあれで大変だと思うぞ」
「だからって、くそう、なんで俺はもてねぇんだ!?」
エギルの言葉にクラインは悔しそうな声を上げる。
「それより、攻略の話に参加しなくていいのかよ?」
「問題ねぇよ。俺達風林火山は別方向から攻略を進めるからな」
「そうかい、ま、無茶はするなよ」
「ふぅ~、疲れたなぁ。明日に備えてそろそろ寝ようっと」
夜、ノビタニアンは自室へ戻っていた。
装備を解除してラフな格好になったノビタニアンはベッドへ寝転がる。
電気を消して寝るという時。
――コンコン。
ドアがノックされる。
「ん?どうぞ~」
「やっほ~」
入ってきたのはユウキだった。
「ユウキ?どうしたの」
「うん、さっきのお話がしたくて」
「話って?」
「夢幻三剣士!それって、どんなゲームなのかなって!」
「ゲームっていうか、夢だよ?」
「それでも!楽しそうなんだもん」
「……本当、ユウキは楽しい話に目がないね」
「だって、楽しいことは幸せでしょ?」
「え、ああ、うん」
頷くノビタニアン。
「さ、教えてよ!どんなことをしたの?」
「どんなっていわれても、最初は現実世界の教室が舞台だったよ」
「学校だよね!?いいなぁ」
「そう?先生に怒られて廊下に立たされていたんだから」
今でも思い出したくはない。
廊下に立たされて先生に怒られ、ママに泣かれたのだから。
「その後、ユミルメの世界へ飛ばされたんだ」
「話によると飛ばされたときに月へ落ちたって聞いたけど?」
「夢の中だからね、まぁ、ナビゲートしてくれた妖精がこれまた酷かったんだけど」
無責任なところが多い妖精だったもんなぁとノビタニアンは思い出し笑いをする。
「その途中でキリトと……」
話の途中でノビタニアンは言葉を止める。
「ノビタニアン?」
「ジャイトス、スネミスに会ったんだ」
「ジャイトスって……ジャイアンズの人?」
「…………うん」
ユウキにノビタニアンは小さく頷いた。
「ねぇ、ユウキ」
「どうしたの?」
「僕は……間違っているのかな」
「何を?」
「ドラえもんのことで騙した二人のを僕は許せない。でも、いつまでも許せないままだと何も成長しないんじゃないかって思う自分もいるんだ」
ジャイトスとスネミスを許せるか?
そういわれると許せないとノビタニアンは答えるだろう。だが、SAOやドラえもんと別れてからの日々を考えると、今のままではダメなのではないか?とノビタニアンは思っていた。
「うーん」
ユウキはまっすぐにノビタニアンをみる。
「よし!」
何かを決めたユウキは拳を作ると誰かへメッセージを飛ばす。
「ユウキ?何を」
「ノビタニアン!明日は攻略をしないよ!」
「へ?」
目を白黒するノビタニアンへユウキは笑顔で言う。
「明日、ジャイトスって人と会おう!!」
第七十六層アークソフィア。
転移門のある広場にノビタニアンはユウキと共にいた。
「なんで、こんなことに」
「泣き言いわない!アルゴさんが連れてきてくれるからね!」
今すぐにでも逃げたいノビタニアンだが、こうと決めたユウキは頑固でどこまでも追いかけてくる。
仮に逃げ出しても敏捷値の高い彼女から逃れられはしないだろう。
「オー、ユウキちゃんにノンビ、待たせタナ~」
手を振って、こちらへやってくるのは情報屋アルゴだ。
彼女の傍には図体の大きいプレイヤーこと、ジャイトスがいた。
「……ノビタニアンか」
「ジャイトス」
「はじめまして、ボクはユウキだよ」
「……俺は、ジャイトスだ。情報屋の鼠からここへ来るように言われたんだが……」
ちらりとジャイトスはベンチに座っているノビタニアンを見る。
「何の用だ?」
「ジャイトスさん、ノビタニアンと仲直りしようよ!」
「仲直り?」
鋭い目でジャイトスがノビタニアンをみる。
どんなモンスターと戦ってきたことで多少なりと恐怖をこらえることができたノビタニアンだが、やはり、昔から苦手なジャイトス。
彼と対峙するとやはり緊張してしまう。
「ノビタニアン、お前は俺を許してくれるのか?」
震える声でジャイトスが尋ねてくる。
驚いた表情でノビタニアンは彼を見た。
その顔はとても後悔しているという表情だった。
ノビタニアンの知っているジャイトスがそんな顔を見せたことに戸惑ってしまう。
「どういうこと?」
「……あの日のことを後悔している。昔は四月バカとか、そういうので済むもんだと思っていた。だが」
ジャイトスはゆっくりと話す。
四月バカの騒動から一年と少しの時が過ぎた時、ジャイトスの家族に異変が起こったのだ。
ジャイトスの大好きだった“おじさん”が事故で命を落としてしまったのだ。
彼にとって憧れで目標の人の死にショックを受けて、死ぬ直前に言われた事で変わったという。
――立派な漢になれ。
それからジャイトスは乱暴者から変わっていった。
他人から物を奪わず、不用意に暴力を振るうことはしなかった。
そんな彼の心残り――ドラえもんが帰ってきたという嘘をついたこと。
あの嘘をついてからノビタニアンとキリト。その二人と交流することがなくなった。
「おじさんがなくなってから俺は気づいたんだよ。大切な人を失ったお前の気持ちってやつ……」
「ジャイトス……」
「ノビタニアン……俺のこと、許してくれるのか?」
「少し前の僕ならずっと許さなかった」
「っ!」
「でも……」
驚くジャイトスへノビタニアンは真っすぐに目を向ける。
「僕は前に進みたい。だから、君のことも許していきたいと思う、ジャイトス」
ノビタニアンはジャイトスへ手を伸ばす。
「もう一度、僕と友達になってよ」
「……おう、友よ」
二人はそういって握手を交わす。
「何かあっさりと解決したケド、これでよかったノカ?」
二人のやり取りを見てアルゴが尋ねる。
「うん、ありがとう、アルゴさん」
「それにしても、あんな男同士みたいな友情、初めてみたゾ」
「ボクも」
楽しそうに会話をしているノビタニアンとジャイトスの二人。
長い時間、疎遠になっていた二人は今までの時間を埋めるように会話をしている。
「ボクがノビタニアンへしてあげられることは限られているから」
「ン?」
「何でもない。ありがとうね。アルゴさん」
何処か遠くを見るような表情をしてユウキは一歩、踏み出そうとして。
「……」
「お、オイ!?どうしタ?」
胸元を抑えて座り込んだユウキをみて、アルゴが驚きの表情で駆け寄ってくる。
「ごめん、少しチクって痛みがきただけだから大丈夫」
ニコニコと笑顔を浮かべるユウキにアルゴはそれ以上の追及をやめた。
「大丈夫……まだ、時間はある……まだ、ボクはここにいるんだ」
アルゴへ聞き取れないほどの小さな声でユウキは呟く。
第九十二層のボス門。
その前に攻略組が集まっている。
彼らは今日、九十二層のボス討伐を開始する。
二つの剣を構えているキリト、片手剣を構えているリーファ、短剣を構えているシリカ、メイスの準備しているリズベット。弓と矢の数などをチェックしているシノン。
盾を構えているノビタニアンと剣を抜いているユウキ。
門の前には血盟騎士団のアスナがいる。
これよりボス討伐が始まろうとしていた。
「皆さん、勝ちましょう!」
アスナの言葉と共にボスの門が開かれる。
転移できないエリア。
その部屋の中央。
浮遊しているボスの姿がそこにあった。
鳥類のような嘴をもち、茶色い皮膚は老けていながらもどこか不気味な雰囲気を持っている。手に持っている杖の握り部分は骸骨となっておりそこは怪しい光を放っている。
黄色い瞳はプレイヤーを捉えるとランランと輝き始めた。
――妖霊大帝オドローム。
かつて夢の世界で戦った相手にキリト達は挑むために走り出す。
そんなオドロームを守るように甲冑姿のモンスター、妖霊兵士が現れる。
「行くよ!ユウキ」
「うん!」
妖霊兵士が攻撃を繰り出すよりも早くノビタニアンのソードスキルが敵を薙ぎ払う。
ユウキがその横を突っ切りオドロームへ仕掛ける。
彼女と並ぶように二つの剣を構えてキリトが走っていく。
オドロームが攻撃を仕掛けるよりも速くキリトとユウキのソードスキルが放たれた。
攻撃を受けたオドロームが杖を構える。
「直線状から離れて!」
アスナの指示を受けてプレイヤー達が離れた直後、オドロームの杖から火球が放たれた。
「(事前の情報通りだ!)」
クエストでボスの情報が開示されていた。
オドロームは魔法による攻撃、HP減少によってプレイヤーを石化して動きを封じ込める力を発動させるという。
キリトがスィッチで後退してポーションを飲んで回復を行う。
「キリト君!」
「順調だな」
「うん」
アスナもポーションを飲んで状況を確認する。
敵のHPバーは残り二つ。
範囲攻撃も無事に対応できている。
現在はノビタニアンとユウキがアタッカーとしてオドロームのHPを刈り取っていた。
「みんな!下がって!」
その時、ノビタニアンが何かに気付いて叫ぶ。
オドロームのHPバーが残り一本になったと同時に杖のグリップ部分の骸骨を掲げたのだ。
何か範囲攻撃が来るのだろう。
ノビタニアン達が後退していく時、地面から巨大な枝のような棘が飛び出す。
プレイヤーが直撃すると麻痺のバッドステータスが現れる。
「不意打ちによるバッドステータス攻撃……!?」
キリトはポーションを飲み終えると駆け出す。
オドロームの攻撃で少し体制が崩れる攻略組だがキリトの二刀流ソードスキル“スターバースト・ストリーム”がオドロームのHPを奪っていく。
「まずい!そっちに行ったぞ!」
ジャイトスの声にキリトが視線を向けると妖霊兵士の数体がこちらへやってこようとしている。
ソードスキルを発動しているキリトは対処できない。
近づこうとした妖霊兵士の頭へ矢が刺さる。
「行かせないわよ」
離れたところにいるシノンが“射撃”で援護してくれたのだ。
「ありがとう!シノのん!」
その間にアスナの細剣とカバーするためにやってきたリズベット、シリカが妖霊兵士たちと戦う。
「キリト!」
やってきたのはノビタニアンとユウキ。
「二人とも!終わらせるぞ!」
オドロームが範囲攻撃の体制に入ったのをみてキリトが叫ぶ。
二人は頷きながらオドロームへソードスキルを繰り出す。
三人のソードスキルを受けたオドロームのHPが0となる。
黄色い瞳を限界まで見開き、おぞましい悲鳴を上げてオドロームの体が消滅する。
“Congratulation”。
その表示を見た時、プレイヤー達は歓声を上げた。
「やったね、ユウキ!」
「……」
「ユウキ?」
「そ、そうだね!やったよ!」
ノビタニアンはユウキへ何かを尋ねようとしたが彼の肩へ誰かが腕を回す。
「やったな!ノビタニアン!」
「ジャ、ジャイトス!う、うん!やったよ!」
いきなりのことで面喰いながらも素直にノビタニアンは喜びを分かち合う。