ドラえもん のび太と仮想世界   作:断空我

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今回、あるキャラの救済回。


20:ジャイアンズと共に

「お、ノビタニアン、キリト!良いところに」

 

「ジャイトス?」

 

 キリトとノビタニアンがアークソフィアで昼寝をしているとジャイトスがこちらへやって来る。

 

 和解から少しずつだが、キリト達もジャイトス達と会話をするようになっていた。

 

 尤も、ジャイアンズは行方不明のスネミス捜索で忙しい。

 

 アルベルヒの行方も探しているのだが、これといった手がかりもつかめていなかった。

 

「どうしたんだ?」

 

 隣でぐーすか寝ているノビタニアンに代わってキリトが尋ねる。

 

「実はよぉ、上の階層でダンジョンを見つけたんだが、俺達だけだと少し苦労しそうなんでな。協力してくれないか?」

 

「ダンジョン攻略か、俺はいいぜ?」

 

「悪いな、明日の朝、転移門前で待ち合わせな、じゃーなー」

 

 ジャイトスは手を振って去っていく。

 

「さて、俺ももうひと眠りと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、何があったの?」

 

 フィリアが目の前の光景をみて、キリトへ尋ねる。

 

「えっと、俺とノビタニアンがシリカと一緒に町中を散歩していたら占い師のNPCに遭遇してさ」

 

「占い師の?」

 

「その占い師に言われたんです!ノビタニアンさんは異性と触れ合っていないと恐ろしい目に合うって!」

 

 力説するシリカ。

 

「ですから、こうやって触れ合っているんです!ギュー」

 

「えっと、あははは」

 

 苦笑するノビタニアンにこれでもかと抱き着いている少女、シリカ。

 

 三人で町中を歩いていた時に遭遇したNPCの占いからずっと彼女はこうやってノビタニアンに抱き着いている。

 

「ただいま……って、シリカ、アンタ、何やっているのよ?」

 

 戻ってきたリズベットは目の前の光景を見て目を丸くしている。

 

「これはノビタニアンさんのためなんです!」

 

「じゃあ、アタシもするね、ぎゅ~~!」

 

 いつの間にやってきていたのかストレアがノビタニアンへ抱き着く。

 

「うぶ!?く、ぐるじぃ!」

 

「す、ストレアさん!くっつきすぎです!」

 

「えぇ~、これがノビタニアンのためでしょ?だったらこれぐらいやらないと~」

 

 ある意味、純粋にノビタニアンを心配しているストレアは彼を抱きしめる。

 

 柔らかい感触や気持ち良いにおいが漂ってきてノビタニアンの頭がクラクラしてきた。

 

「む、むむむ!でしたら!」

 

 シリカも頬を赤く染めながらよりぴったりと抱き着いてくる。

 

「なんか、混沌としてきたね」

 

「というか、その占い師、本当に宛になるの?」

 

「一応、そういう職を専門としている人がいてもおかしくはないからな……何より、ノビタニアンは運が悪いといわれると本当にそうだからな」

 

「え?どうゆうこと」

 

「リアルの世界でもあったんだけど、アイツ、ドラえもんの道具で運が悪いと判断されると本当に悪いんだよ。空から飛んできたラジカセに直撃したり、看板が落ちてくるとか」

 

「ええ!?」

 

「それ以前に、看板が落ちてきて、よく無事だったわね」

 

「まぁな(ドラえもんがいて、軽いケガで済んでいるんだってことは黙っておこう)」

 

「でも、アイツが嫌がっていない理由はそういうことね」

 

「普通なら気にしないんだろうけどね」

 

「ただいま……って、キリト君、これはどういうこと?」

 

「……入る店を間違えたかしら」

 

「お帰り、アスナ、それと店を間違えていないぞ。シノン」

 

「これはどういうことかしら?幻覚を出すモンスターでもいれば、こんなことが起こるのかしら?」

 

「いやぁ、それだったら本当にありがたいんだけどさ、実は、俺とノビタニアン、シリカの三人で商業区を歩いていたら占い師のNPCがいてさ」

 

「占い師?」

 

「もしかして、そこで運が悪いとかいわれたの」

 

「そうだ、でも、なんで」

 

「そこの占い師、インチキよ」

 

 シノンの言葉で場の空気が止まる。

 

「い、インチキ?」

 

「そうよ、占いをするといって悪い結果を伝えて、幸福アイテムを売りつけようとする詐欺師よ」

 

「えっと、それって」

 

「マジか」

 

 場の空気が何とも言えないものになった時、にこりとシノンがほほ笑む。

 

「さて、ノビタニアン。私がアンタを占ってあげるわ」

 

「え、シノンが?」

 

「えぇ、見えるわ。アンタに不幸がこれからやってくる」

 

「え?」

 

 カランカランと音が鳴り響く。

 

 それは死神がやってくる知らせ。

 

「ただいまぁ、いやぁ……楽しかった……よ」

 

 中へ入ってきたのは紫髪の少女。

 

 彼女は目の前の光景を見て、それから笑みを浮かべる。

 

「やぁ、ノビタニアン。なんか知らないけれど、楽しいことをしているね」

 

「ゆ、ユウキ?その、これは」

 

 気のせいか、ゆらゆらと彼女の髪が逆立っている気がする。

 

「あ、そ、そうだぁ、私、ピナの面倒みなきゃ!」

 

「ストレア、アンタ、こっち来なさい」

 

 離れるシリカとリズベットによって連れていかれるストレア。

 

 ノビタニアンも逃げ出したいが目の前の恐怖に腰を抜かしていた。

 

「あぁ、大丈夫だよ」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべるユウキ。

 

「ここは圏内だから何があっても死ぬことはないから」

 

 死刑宣告と共にユウキの振りぬいた一撃がノビタニアンを襲う。

 

 その後のことは記憶にない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひどい目にあったよぉ」

 

「まぁ、お前の運のなさは昔から変わらずだな」

 

 テーブルへ戻ってきたノビタニアンにキリトは苦笑しながら迎える。

 

「そうだ、アスナ。明日なんだけど、ジャイアンズのメンバーとダンジョン攻略を行うんだが、一緒に来ないか?」

 

「うん、いいよ」

 

「ノビタニアン、大丈夫?」

 

 ユウキが身を乗り出して尋ねてくる。

 

 小さな頭痛を感じながらもノビタニアンは頷く。

 

「大丈夫だよ。ユウキはシノン達とダンジョンへ行くんでしょ?そっちの方も危険だってアルゴさんから聞いたんだけど」

 

「大丈夫!シノンは強いから」

 

「アンタみたいに前衛はできないけれど、ちゃんとやるから安心して」

 

「ううん、シノンは頼りになるから信じているよ」

 

「そ、そう」

 

「むむ」

 

 頬を赤らめるシノンにユウキは不満そうな顔をしている。

 

「じゃあ、明日は俺とノビタニアン、アスナの三人とジャイアンズのメンバーでダンジョンの攻略だ」

 

「うん、任せて」

 

「オッケー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、

 

「前に自己紹介したけれど、血盟騎士団の副団長を務めるアスナです。今日はよろしくお願いします」

 

 ダンジョンの手前、ジャイアンズのメンバーにアスナが改めて自己紹介をしていた。

 

「自己紹介ありがとう、アスナさん、俺様はジャイトス、ジャイアンズのギルドマスターで斧使いだ」

 

「同じ細剣使いのヒデヴィルです。今日はよろしくお願いします」

 

「シズカールです。槍を使っています」

 

「キリト、ノビタニアンも今日はよろしく頼むぜ」

 

「任せてくれ」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「すまないね、ノビタニアン君、キリト君、このダンジョン、僕達だけだと出現するモンスターの数に対処できないんだ」

 

「俺らは攻略組になりたてなんでな。頼むぜ、黒の剣士に白銀の剣士」

 

「おいおい、それで呼ぶのはやめてくれ……それならせ――」

 

 ヒュン!

 

 キリトのすぐそばをアスナのレイピアが通過した。

 

「キリト君?」

 

 にこりとほほ笑むアスナにキリトは沈黙を選んだ。

 

 同じくノビタニアンも口をふさぐ。

 

「今の……見えなかったぜ」

 

「凄い」

 

「素敵だわぁ」

 

 ジャイアンズのメンバーはそれぞれの感想を漏らす。

 

「さ、行きましょう」

 

 場の空気を換えるようにアスナが歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、かなり強いな」

 

 ダンジョンは石造りになっており、その中を徘徊するリザードマンやゴーレムはこの階層においてかなりのレベルを持っていた。

 

 ジャイアンズはジャイトスが壁役として奮闘しているがレベル差もあって苦戦している。

 

「アスナ、彼らのフォローを頼む」

 

「任せて!」

 

「ノビタニアン」

 

「彼らをカバーするね」

 

 アスナと共にノビタニアンが苦戦しているジャイアンズのメンバーのサポートへ向かった。

 

「ジャイトス、スィッチ!」

 

「すまねぇ」

 

 後退するジャイトスに代わってノビタニアンが盾でリザードマンの攻撃を受け止める。

 

 受け止めると同時にソードスキル“スター・Q・プロミネンス”を放つ。

 

 攻撃を受けて怒りの声を上げるリザードマンだが、続けてアスナが放ったソードスキル“アクセル・スタブ”を受けて大きくノックバックする。

 

「今よ!ソードスキルを放って!」

 

 アスナの指示で待機していたヒデヴィルのソードスキル“リップ・ラヴィーネ”とシズカールのソードスキル“リヴォーブ・アーツ”を受けたリザードマンの体がはじけ飛ぶ。

 

「やったわ!」

 

「うん!」

 

 喜ぶ二人をみてアスナとノビタニアンは歩き出す。

 

「流石は攻略組だね。僕達の使っているソードスキルよりも熟練度が上だ」

 

「だな、俺なんか、防ぐのに精いっぱいなのに、ノビタニアンなんかソードスキルも放てる。どんだけ、筋力とかにステータス振り分けているんだ?」

 

 ヒデヴィルとジャイトスが前を歩くノビタニアンを見ながら話す。

 

「でも」

 

 そんな二人に対してシズカールはどこか納得のいかない表情をしている。

 

「私たちの知っているノビタニアンさんじゃなくなっているみたい」

 

 シズカールの知っているノビタニアン。

 

 誰よりも優しくて暴力を嫌う、優しい人だった。

 

 だが、彼は攻略組として最前線にいる。噂によれば彼らは殺人ギルドのプレイヤーを手にかけたという。

 

 それが事実だとすれば、彼は――。

 

「それは違うと思う」

 

 シズカールの言葉を否定したのはアスナだ。

 

 彼女は表情を変えずにシズカールを見る。

 

「私はリアルのノビタニアン君を知らない。でも、彼は何があろうと誰かのために奮闘する人……きっと、本質は変わっていない」

 

「……ノビタニアンさんの本質」

 

「触れてみないとわからないものだよ」

 

 アスナに言われてシズカールは小さく頷いた。

 

「みんな、止まるんだ」

 

 先を歩いていたキリトが制する。

 

「どうしたの?」

 

「この先に強力なモンスターがいる。おそらくこのダンジョンを守っているボスだ」

 

 キリトの言葉に奥を見ると奥の広い空間。

 

 そこで剣をもって佇んでいる鎧の騎士が立っている。

 

 名前はリベリオンナイト。

 

「俺達で対処できると思う」

 

「なら、やっちまおうぜ」

 

 ジャイトスがやる気をみせる。

 

「キリト君、どうする?」

 

「危険になったら撤退する。俺とアスナが攻め込んで、ジャイトスとノビタニアンがタンクする。ヒデヴィルとシズカールは他にモンスターが沸いた場合の対処を頼む」

 

「わかった」

 

「はい!」

 

「それじゃあ、行くぞ!」

 

 キリトが二つの剣を抜いて駆け出す。

 

 ボスである騎士はキリトを視認すると純白の輝く剣を構える。

 

 振り下ろされる剣を躱してソードスキル“ダブルサーキュラー”を放った。

 

「アスナ!」

 

「はぁああああああ!」

 

 アスナの細剣のソードスキルが騎士のHPを奪う。

 

 仰け反る騎士は大振りの一撃を繰り出すが。

 

「ジャイトス!」

 

「任されよ!!」

 

 盾を構えた二人が騎士の攻撃を受け止める。

 

「ぐっ!?」

 

 あまりの衝撃にジャイトスが少しのけ反るも防御に成功した。

 

「そこだぁ!」

 

 大振りでがら空きの胴体へキリトの二刀流が炸裂する。

 

 このままいけば、倒せるという時。

 

「キリト君!」

 

 アスナの叫びで横を見ると数人のプレイヤーがシズカールとヒデヴィルを拘束していた。

 

 プレイヤーのカーソルはオレンジだ。

 

「おっと、そこまでだ、黒の剣士!」

 

 短剣をシズカールへ突きつけてオレンジプレイヤーが叫ぶ。

 

「オレンジプレイヤーがなんで、この階層に!?」

 

「動いたら、このガキたちを殺すぞ」

 

 オレンジプレイヤーに刃を向けられて震えるシズカールと歯がゆさに顔をゆがめているヒデヴィル。

 

 上級の階層で姿を見せなかったオレンジプレイヤーの出現にキリトは驚きを隠せない。

 

「……ノビタニアン」

 

 キリトはちらり、とジャイトスと共に奮闘しているノビタニアンを見る。

 

 

 

――しばらく、任せていいか?

 

 

 

――オーケーだよ。

 

 

 

 

 アイコンタクトして、キリトはオレンジプレイヤー達をみる。

 

「アスナ、頼むぞ」

 

「うん」

 

「やめろ!武器を捨てるから、二人を離せ!」

 

 キリトはエリュシデータとリメインズハートを地面へ投げる。

 

「よし、まずは、てめぇから」

 

 武器を捨てたことで油断したオレンジプレイヤー。

 

 その隙をついてキリトが投擲用のピックを投げる。

 

「つっ!?」

 

 ピックはオレンジプレイヤーの持っている短剣をはじく。

 

「アスナ!」

 

 閃光とまでいわれる速度を持ったアスナのレイピアの衝撃を受けてオレンジプレイヤーは倒れる。

 

「二人とも、大丈夫!?」

 

「アスナさん!」

 

「はい!」

 

 キリトは剣を拾い、逃げようとしているオレンジプレイヤーの前に回り込む。

 

「動くな。お前たちに」

 

「うわぁ!」

 

 ジャイトスの悲鳴が聞こえた。

 

 振り返ると叛逆の騎士がジャイトスを弾き飛ばしてこちらへ迫っている。

 

 アスナは二人を守ろうとレイピアを構えた。

 

 キリトも駆け出そうとするが。

 

「死ね!黒の剣士!」

 

 オレンジプレイヤーが襲い掛かってくる。

 

 キリトは攻撃を受け止めて、救援を阻まれてしまう。

 

「あ、あぁ」

 

 アスナを狙おうとしている反逆の騎士の姿を見て、シズカールの顔は恐怖に染まる。

 

 目の前の騎士が放つ威圧感。

 

 これから死ぬかもしれないという恐怖。

 

 倒れているシズカールを守ろうと細剣を構えるヒデヴィル。

 

 アスナがソードスキルを放とうとした時。

 

「やめろぉ!」

 

 “ヴォーパル・ストライク”放ってノビタニアンが叛逆の騎士へ攻撃する。

 

 攻撃を受けたことで標的がノビタニアンへ移る。

 

 ソードスキルを纏った剣がノビタニアンに振り下ろされた。

 

 咄嗟にノビタニアンはHPを見る。

 

 キリトの攻撃を受けて残りHPは僅か。

 

 これならば。

 

 ノビタニアンは盾を構えることなく剣を繰り出す。

 

 チョイスしたのは得意としているヴォーパル・ストライク。

 

 敵の放つソードスキルも自分のものと同じヴォーパル・ストライクだった。

 

 

「うぉおおおおおおおお!」

 

 

 二つの剣がぶつかり火花を散らす。

 

「そこだぁあああああああああああ!」

 

 真っすぐに放った剣が叛逆の騎士を捉える。

 

 残り僅かだったHPを刈り取り、叛逆の騎士はくぐもった声を上げてその体が消滅した。

 

「……ふぅ」

 

 ノビタニアンは耐久値が減った剣を鞘に納めて振り返る。

 

「大丈夫?シズカール」

 

 そういって手を差し伸べるノビタニアンをシズカールは茫然と見ていた。

 

「どうしたの?」

 

「あ、ご、ごめんなさい」

 

 手を掴んでシズカールは真っすぐにノビタニアンを見る。

 

 昔の面影を残しながらも男の子として成長しているノビタニアン。

 

「(アスナさんの言うとおりだわ)」

 

 シズカールは間違いに気づく。

 

 彼の本質は変わっていなかった。

 

「ごめんなさいね、ノビタニアンさん」

 

「え?」

 

 小さく謝罪されたことにノビタニアンは気づかなかった。

 

「キリト君!オレンジプレイヤーは?」

 

「すまない、逃げられた……」

 

 キリトの話によるとオレンジプレイヤーはあらかじめ持っていた転移結晶で姿を消したという。

 

「攻略組に連絡しないとね、注意を呼びかけないと」

 

「そうだな」

 

「ねぇ、キリト」

 

 ノビタニアンがキリトのところへやって来る。

 

「悪いな、騎士を任せちまって」

 

「大丈夫だよ。少し危なかったけれど」

 

 ポーションを飲んで回復したノビタニアンはメニューからある武器を取り出す。

 

「それよりも、とんでもないのドロップされたんだけど」

 

「おいおい……とんでもないものじゃないか」

 

 ノビタニアンがアイテムを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うそぉ、魔剣クラスに匹敵する武器じゃない」

 

 リズベット武具店(新)。

 

 ノビタニアンは叛逆の騎士がドロップした武器を鑑定してもらっていた。

 

「“リベリオンクラレント”……キリトの使うエリュシデータ以上の力を持っている剣。アンタの使っているシルバーナイツより上だから喜んで使ってもいいんじゃない?」

 

「うん……今の僕の筋力値だとギリギリ使えるんだ」

 

「なら、使っちゃえばいいじゃない。何か気に入らないものがあるの?」

 

「……この設定だよ」

 

 ノビタニアンはリズベットへリベリオンクラレントの設定を話す。

 

「大事な人を裏切り、親友と殺し合いをした騎士が所持していた剣……アンタね。設定は設定であって、実際にそうなるわけじゃないでしょ」

 

「だとしても、縁起が悪いよ。キリトと殺しあうなんて」

 

「そうね。なら、売り払って金にするのがいいかもね」

 

「ありがとう、よく考えるよ」

 

 ノビタニアンは頷いて武器をしまう。

 

 彼が出て行ってからリズベットは呟く。

 

「ホント、アイツらの友情はすごいわね。驚くばかりだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノビタニアン君!」

 

 外に出て宿へ戻ろうとしていたノビタニアンの前にやってきたのはヒデヴィルだ。

 

「やぁ、ヒデヴィル」

 

「今日はありがとう、シズカール君も、感謝していたよ」

 

「そう、そういってもらえると嬉しいかな」

 

 ヒデヴィルと歩きながら話をする。

 

 もともと、ヒデヴィルをライバル視していたノビタニアンだが、今はそんな気持ちはない。

 

 クラスメイト、もしくは知人として、真っすぐに見ている。

 

「それにしても君たちは強いね。ソードスキルの熟練度も、技術も」

 

「……それだけがこの世界のすべてじゃないよ。人の感情も重要になってくると、僕は思っている」

 

「その、ノビタニアン君」

 

「なに?」

 

「もう一度、僕と友達になってくれないかな?」

 

 ヒデヴィルの言葉にノビタニアンは目を丸くする。

 

「僕はジャイトス君達との騒動を知らない、でも、もう一度、友達として仲よくしたいんだ……ダメかな?」

 

「いいよ」

 

「本当に!?」

 

「でも、攻略では手加減しないからね?足手纏いにはならないでよ?」

 

「任せて。頑張るよ」

 

 二人は互いに握手をする。

 

 


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