一夏を絶望のどん底に叩き込んだと思ったら自分もその其処でぶっ倒れていた…
何を言ってる――
「ハッ!どうせ死ぬなら道連れだ」
「謀ったな一夏め…」
どういう状況かといえばオルコットと篠ノ之の一夏LOVE同盟VS男組で戦って男組が負けた。ただそれだけだ。
「しかし、雪無といえど2対2は弱いんだな」
「おい、一夏」
「…なんだよ?」
取り敢えず言いたいことがあるのでこちらを向かせる。
「言い訳するつもりじゃないがお前があんな事言わなければ勝ってたからな?」
「それは言い訳では…?」
篠ノ之の声が聞こえた気がしたけど無視無視
遡ること30分前
「あらあら?レディを待たせるだ何て一夏さんは――」
「何をしていた?一夏」
オルコットに被せる形で篠ノ之が問いかける…鬼ってああいうのを言うんだろな
「…いやぁ?俺は行こうとしたよ?でも」
「何だ?」
篠ノ之の氷のような目…まぁ恋する乙女って素敵ですね。一体何人殺ってきたんでしょう?
「雪無に捕まって遅れましたっ!」
あの野郎…引っ張るから何かと思えば…こういうことか
「そうか…では調度良い。2対2で戦おうではないか」
「はいぃ」
情けない声を出したのは決して有無を言わせぬ顔が怖かった訳じゃ無い。
ここまでなら正直勝つ自信があった。いや、絶対に勝てた。
問題は――
「なぁ、雪無は訓練機で戦ったらどうだ?」
――この一言にあった。
「おい一夏!其処に居たら撃たれるぞ!敵は篠ノ之だけじゃないんだ!」
篠ノ之に一直線に飛んでいき、見事ブルーティアーズに撃ち抜かれる一夏。
「だーっ!射線に立つな馬鹿!撃たれたいのか!?」
俺が何とか作った篠ノ之の隙を馬鹿の一つ覚えで突っ込んでいき台無しにし、
「うわぁ!あぶねッ!」
その篠ノ之にカウンターを喰らい加速しようとした俺にぶつかって来る。
いつもよりも操作のラグの大きな、加速の遅い俺の苦手な機体なのに、アイツのお陰で開始10分足らずでシールドエネルギーは
――40/600――
未だ飛べているのが不思議なくらいだった。
さて、過去をいつまでも眺めたって仕方がない。
次は――
「私も混ぜてぇ?」
この妙な猫撫で声は…
「なぁ、俺帰っていい?」
「ハァ?」
「あらあら?そんなこと言ってお姉さん悲しいなぁ~」
「うるせぇやい」
ルームメイトで学園最強(自称)の――
「あら?そういえば名乗ってなかったわね?」
「更識楯無。ヨロシクね」
「なっ」
胡散臭い青髪野郎だった。
「き、貴様何している!」
わぁ、怖い。篠ノ之って独占欲どんだけ強いんだろうね?
「なにって?抱きついてるだけじゃない。一夏く・ん・にっ」
あんなんで顔真っ赤にしちゃって…
「あら?嫉妬?」
「ちげーよ馬鹿」
「いいいいい一夏さん?一体何を為さっているのかしら?」
お、さっきまでぶっ倒れてたオルコットが復活した。
オルコットさあ~ん、スターライトMKⅡが一夏に向いてるよ?
え?ワザと?さいですか…
「さて、じゃあそろそろ訓練開始といきますか。訓練機も借りれる時間に限度があるし」
そんなわけで生徒会長を加えて5人での訓練が始まった。
「なぁ、俺もう打鉄やめていいよね?」
「ダメだろ」
「えぇ~?」
「オラァ!」
打鉄も意外といい気がしてきた。
シールドエネルギーの残量を考えなくてもいいってのは戦略の幅が広がる。
「ほらぁ墜ちなさい」
更識の水をまとったランスが俺を貫かんと迫る。だ、け、ど
「そう簡単に喰らうかよっ」
いくら打鉄の加速が遅いと言っても瞬時加速を使えば話は別だ。
「いいねぇ、シールドエネルギーが沢山あるってのは。残量を気にせず吹かしまくれる」
「馬鹿にしない…でっ!」
流石は学園最強。こんくらいじゃ剥がれない。
「でも相手が悪かったね!」
これでも俺はISのコアの解析ができる存在だ。だからなんだって話かもしれないけど、特製についてはよく理解してるつもりだ。
右足を軸にスラスターを吹かし、回し蹴りを決める。
「きゃあ!」
相手のシールドは0。俺の勝ちだ。
「立てる?」
「案外激しいのね?」
「そんだけ軽口叩けりゃ元気か」
アリーナに更識を置いてピットに戻る。
「なんだよ?その顔は」
戻るなり一夏の顔がアップで映る。ハイパーセンサーめ
「なぁ、量産機では専用機に勝てないんだよな?」
「ああ」
「何でお前は勝てたの?」
ああ、そんなこと
「お前の姉が生身でISと闘えるのと同じだ」
あれを見たときは目を疑ったね。あの人実は常にISを展開してるんじゃないの?
生体ISとかいってさ…
笑えないな。うん
更識楯無っぽさが中々出せない…