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次回から新たな三人組の登場です
大学の一角が沈黙に包まれていた
沈黙を破ったのはルイスだった
「シェイクスピアって誰?」
二人の視線がルイスに注がれる
「ですかね?」
ルイスが苦笑いしながら二人に問いかけた
「国際犯罪集団、Jabberwockは知ってるかい?」
「あ、はい、知ってます、なんだか怖い集団ですよね?」
式部が頷いた
「そうね…一般市民はその認識で大丈夫よ、深く考えなくていい…でもその犯罪にルイスちゃんが巻き込まれているからには説明しなきゃいけないよね…Jabberwockは国際犯罪集団…それも不可能犯罪を専門にするという異様な集団なのよ…行動理念は滅亡による統一…尤もJabberwockの隊員の殆どは逮捕されたり自殺したりしてもう残党は少ないんだけどね…例外もあるのよ…彼は…シェイクスピアだけはしっぽすら見せないのよ…警察内部では彼の事を影の犯罪者と呼んでいるわ…正直、実在するかも解らない…」
太宰が椅子にドカッと座る
「存在はするだろうね…ただ、奴の腹の中は我々でも理解しかねるな…警察やFBIが血眼になって彼をおっている…彼なら…この事件の真相を知っているかもね…」
またもや三人を沈黙が包む
しばらくすると式部が立ち上がった
「ありがと…ルイスちゃん、行こうか」
「おや?どこに行くんだい?」
太宰も立ち上がった
「そりゃ…捜索だけど」
「僕は…除け者かい?」
太宰がまた怪しげに笑った
「え?でもあんた…」
「シキブをあんな凄惨な現場に連れていったんだよ?…その時点で100回は死刑にできる…なんなら僕が首を斬ってやってもいい…」
太宰が立ち上がった
「…龍大…」
「僕も連れていってくれ…良いよね…シキブ」
「…勝手にしなさい」
式部が部屋の外に出ていく
「相変わらずのツンデレ具合だ…よろしくね、ルイスちゃん」
太宰がヘラヘラと歩いて外に出ていく
「…太宰さんはとても…紫さんの事を好きなんですね」
「当たり前さ…だって惚れた女を大切にするのは普通だろ?」
太宰は相変わらず怪しげにニコニコ笑っている
「…不思議な人」
ルイスも部屋から出る
大学外
「で?シキブー、あてはあるのかい?」
「…はぁ」
式部は大きくため息をついた
「ん?どうしたんだい?」
「いえ、何でもないわ…」
(なんで、私はこいつに惚れたのかしら…)
心の中で嘆きながら式部が太宰に話しかける
「あんた、シェイクスピアに詳しそうな人、知らない?」
「…うーむ…あ、」
太宰は何かを思い付いたように指をパチンと鳴らす
とあるビル
こめかみの血管をピクピクさせ怒りを表現する男が太宰を睨みつける
その男反対には男の視線をヘラヘラとした笑顔で返す太宰と
視線の主を殺意を籠った目で睨みつける式部と相変わらず、置いてきぼりのルイスがいた
その四人を取り囲むはスーツでサングラスの大男たち
「何しに来た太宰」
「嫌だなぁ賢治ィー遊びに来た、じゃダメかい?旧友よ」
賢治と呼ばれた男は大きくため息をついた
「お前ら下がれ、この男になに言ったって無駄だ」
部下であろう大男たちが部屋をでる
「龍大…遊びに来た云々より前に、彼女さんは連れてくるなよ…ここはマフィアのアジトだぜ?そして俺は日本のマフィアのボス…宮崎賢治だぜ?」
宮崎は呆れぎみに語った
「マフィアのボス…」
式部は相変わらず殺意全開である
「うーむ…たしかにシキブを連れてきたのは失敗だったね…話し合いをする前に殺し合いそうだ…」
そんな二人を他所に式部は宮崎から視線を外さず睨みつける
「シキブ、やめて…今はいがみ合ってる暇はないはずだよ」
「…解ったわよ」
式部が矛を収める
「で何だ」
「何が?」
太宰の惚けたような態度に宮崎は怒りで血管をピクピクと浮かび上がらせる
「用事があるのだろう、さっさといえ俺も暇ではない」
「そうだったね…君は超越者を知ってるかい?」
宮崎の目が鋭くなる
「シェイクスピアか?」
「嗚呼、そうだね、知っている事を全部、教えてほしいんだ」
「マフィアに何の見返りも無い事を頼むか?」
太宰がニヤリと笑った
「なら…あとでシキブの恥ずかしいエピソードでも…」
「だ・ざ・い?」
式部は先ほどよりも殺意の籠った視線を太宰に送る
「冗談、冗談だよ!シキブ!」
「はあ…」
式部が鞄からファイルを取り出した
「正直…こんなことしたくないけど…しょうがない…このファイルには貴方達と敵対している、中華系反社会的勢力の日本支部がある所を示しているわ…日本内でドンパチやったら逮捕はする…でも情報だけ、私から提供する…貴方達にとってこの情報がどんだけ重要な物か…貴方ならわかる筈よ」
式部からファイルを受け取った宮崎が一通り目を通す
「驚いた…本物じゃねぇか…いいのか?警察がこんなことして」
「今、貴方を逮捕できないのは残念だし、情報を渡すことには躊躇いもあるわ…ただシェイクスピアが日本にいるなら…私は奴を捕まえなきゃいけないの…式部家の人間として…絶対に…!」
「シキブ…」
「紫さん…」
式部が歯を食い縛る
ルイスが口を開こうとした
「だめで…」
「だめだ、受け取れない」
それよりも前に宮崎は冷たく突き飛ばした
「どうして!?これがどれだけ、重要な情報か…」
「察に情報を渡してもらう訳には行かねぇよ…お前と俺は陰と陽…お前は光であり正義でなければいけない…元気だけが取り柄のあんたららしくもない、脅してでもはかせてみせろ」
宮崎はニヤリと笑った
「…え…」
まるで状況が飲み込めず途方に暮れる式部を他所に太宰が苦笑いをした
「君の悪いところだ…君の冗談は…冗談に聞こえない」
「てめえなら冗談かどうか解るだろ?…それにルイスちゃん…だっけ?あんたと太宰の彼女の真っ直ぐさに惚れた…全面的に協力しよう…勿論、警察にバレねぇようにな」
「ありがとう、宮崎、持つべき物はやっぱりものわかりのいい、友達だよ」
「てめえは何もしてねぇだろ…まぁいい…ん?」
部下の一人が宮崎に近づいてきた
「ボス、小包が届きました」
「小包?誰からだ?」
宮崎は部下の一人から小包を受けとる
「それが…超越者から…だそうです」
三人の脳に電撃を走った
その名は太宰が仮にシェイクスピアに名付けた通り名だ
「超越者?…そんなふざけた名前の知り合いはいない筈だが…」
宮崎は封をあける
中には手紙と写真が入っていた
写真には中身が見えないように丁寧にラッピングされている
「写真…?」
「見せてくれ、賢治!」
太宰が宮崎から写真を受けとる
「まさか…!」
太宰はラッピングを取り写真を見ると目を見開く
「ルイス…ちゃん…ボーイフレンドの髪の色って…何色だい?」
「栗色です」
太宰は移動途中にグリムの話は聞いていた
太宰の口から声にならない悲鳴が漏れる
「…どうしたの?龍大」
「…」
太宰は震える手で式部に写真を手渡した
「そんなッ…栗…色…」
ルイスが写真を覗きこむ
「ルイスくん!ダメだ!」
太宰の静止虚しくルイスは写真を視界に入れた
ルイスは他の二人の比じゃない反応を見せた
瞳孔を震わせその場に座りこんだ
「…グリム…」
その写真には惨殺されたグリムの姿があった
いやグリムの様なものといったほうが正しい…最早、肉塊だ
「シェイクスピアァァァァ!」
太宰が叫び声をあげる
「なんていうやつだ…人間の心はねぇのかよ…あいつは…」
「人間なんかじゃない!…悪魔よ…」
式部が悔しさから涙を流す
宮崎も立ち尽くす
「ん?ルイス…どうかし…」
ルイスの腕が巨大な爪に変化した
「!?伏せろ!」
宮崎が太宰と式部を押さえつける
ルイスは人の物とは思えないような雄叫びをあげる
「ルイスくん…?」
「シェイクスピアのやつ…今度はなんだ…取り抑えろ!手荒な真似はするなよ!」
ルイスは取り抑えようとした宮崎の部下を凪ぎ払うと
ビルのガラスを砕き飛び降りた
「ルイスちゃん!!」
「なんなんだよ…次から次へと…!」
宮崎が部屋を飛び出る
式部はへたりと床に座り込んだ
「ルイスちゃん…」
「…シキブ…待ってて、全部、終わらす…」
太宰が凪ぎ払らわれた部下の懐から拳銃を取り出し宮崎を追う
ビルの一階につくと長身の男がルイスと対峙していた
「覚醒したか…」
「グルルルル…」
「共に行こうじゃないか…超越した世界へと…!」
長身の男の頬を銃弾が霞める
「てめえがシェイクスピアか?」
「…名なら幾らでもあるが…最近はそう名乗っているな」
もう一発、シェイクスピアの頬を銃弾が霞める
「なら…話は、はえー…死ね」
「おやおや…ジャパニーズマフィアは物騒だね」
シェイクスピアの両手が触手状に変形、宮崎とルイスの首を締め上げる
「ぐ…嘘…だろ…」
ルイスは大人しくなりうんともすんとも動かない
「賢治!ルイスくん!」
太宰が触手を発砲する
触手は千切れルイスと宮崎が解放される
「く…助かった太宰」
「大丈夫かい?賢治」
シェイクスピアは怪しげに笑いながらルイスを担ぐ
「私はこれで失礼しよう…ジャパニーズマフィアのボスと勇敢なる少年よ」
シェイクスピアはビルを後にする
「整理がつかねぇ…」
「僕もだよ…ルイスくんは…一体…」
三日後、とあるコンビニ
「…暇だな」
「ですね…」
店員達がのんびりとした午後を過ごしていた
片方は大柄の男、かなり筋肉質だ
片方は細身の男、見た目からわかるくらい優男だ
「…太郎」
「芥川です…なんですか?」
「暇だな」
「…ですね」
芥川が大きなアクビをした
「阿笠さん…何回もそんな話して楽しいですか?」
「…楽しくはない…がこれくらいしかやることがあるまい」
「まぁ…ですね」
客が入ってきた
「いらっしゃいま…おや?コナンさんじゃないですか」
「コナンって呼ぶな…俺は南幸(みなみさち)だ、大体、"幸"は"こ"、じゃなくて"こう"じゃないか、"う"はどこにいったんだ、"う"は」
「並び替えるとコナンになりますよ、探偵だし、旦那にはもってこいですよ…だいたいさちって読まないですよ普通」
「芥川…てめ、後でシメル」
「そうだぞ、宏介、幸さんに失礼だ」
「芥川です、そうっすね、で?今日はどんなご用件で?」
後で緑色の服を着た少女が入ってきた
「芥くん、ショーさん、久しぶりー」
「晶子ちゃん、久しぶりだね」
晶子と呼ばれた少女はにこりと笑う
「あーごほん!本題だ…実はな俺は今、とある事件を追ってる…少年、少女大量惨殺事件…知ってるだろ?」
三日経った今になってマスコミの報道は熱を帯びた
あることないこと、書かれていたが
どれも真実ではない
「とある事件の関係者から情報を貰ってな…てめぇらシェイクスピアって知ってるか?」
「「?」」
国木田と阿笠が首を傾げた
「知らないんすか?国際犯罪集団のリーダーッスよ…警察は隠してるみたいッスが…ネットから駄々漏れッス、存在してるかどうかもわかんないんで…まぁ都市伝説みたいなもんスね」
「康史…詳しいな」
「芥川です…あの阿笠さんの間違いってかすってすらないんスけど?」
「でそのシェイクシェイクがどうしたの?」
「シェイクシェイクって…シェイクスピアだよ」
南がもう一度、咳払いする
「シェイクスピアがこの事件に関わっているそうだ…懸賞金、10億は下らない国際指名手配犯が日本にいるんだ…こんなチャンスを逃す手はないだろう…そこでだ、お前らにも手伝って欲しいんだ」
「また、危なそうな依頼ッスね…」
「行く」
即決したのは阿笠だった
「え?先輩本当に行くんスか!?」
「あぁ…」
「バイトは?」
「休みを貰おう」
芥川は大きくため息をつく
「勿論、ただでとはいわん、それに危険は無いように俺と晶子も同行する」
「たのしそーだしね!」
「…南さんが来てくれるなら安心ッスね…俺も同行するッス」
南が頭を下げた
「ありがとう」
「南さんが頭を垂れる必要はないッスよ…俺たちも好奇心で行きますから…好奇心だけで国際犯罪集団のボスに立ち向かうなんて…バカばっかりッスよ…俺も人のこと言えた立場じゃないッスけど」
芥川が苦笑いで答えた
「よし、なら明日、情報元と接触する…10:00にここ、でいいか」
「了解ッス」
「あぁ…」
それが邪神教徒に関わる犯罪につながるだなんて
誰が気がつけただろう…
そしてプロローグは終わりました
次から本格的に邪悪な意思との対峙になっていきます