金の姉妹   作:ジャオーン

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第六話 「地球」

場所は第九十七管理外世界『地球』

そこでフェイト・テスタロッサと高町なのは。

二人の少女が涙を流しながら抱き合って居る。

 

そしてそんな少女たちを見守る人間が四人。

アリシア・テスタロッサとクロノ・ハラオウンそしてアルフとユーノ・スクライアである。

四人とも涙を流しながら抱き合う二人を眩しそうにみているのだった。

 

「なのはねぇ……本当に良い子だよ。あの子のお蔭でフェイトは救われたんだ……あの子は本当にフェイトの友達だよぉ」

 

そして遂に涙を流している二人に感化されてしまったのかアルフまで泣き出してしまい、それをユーノが慰めている。

そんなアルフを見てアリシアもしみじみと呟くのだった。

 

「本当にね。フェイトはなのはみたいな子と友達になれて本当に良かったわ。あの子も私のように友達が出来ないままじゃないかって心配していたのよ」

 

「ん……君には友達が居なかったのか?」

 

アリシアの呟きが聞こえたクロノがそう問いかけた。

 

「ええ……友達と言えるのは当時山猫だったリニスくらいだったわ」

 

「それは……」

 

そんなアリシアの答えにクロノは憐憫とも同情ともつかぬ表情をしながら言葉に詰まるのだった。

そしてそんなクロノの様子を見てアリシアは苦笑を浮かべながら言葉を付け加える。

 

「母の仕事の関係であのころは周りに友達になれそうな子が誰も居なかったから仕方なかったのよ」

 

そう何でもないかのように言うアリシアである。

けれどそれを聞いて少し恥ずかしげではあるけれど声をかける者がいた。

 

「な……ならさっ! わ、私がアリシアの友達になってあげようか?」

 

それは意外にもアルフであり、そう言われたアリシア自身も突然の申し入れに驚いた顔をした。

 

「……あら……貴方からそんな風に言われるなんて思わなかったわ。……貴方は……その……私を嫌っていると思っていたから」

 

アリシアは言いずらそうにそう話す。

正直に言えばアリシアはフェイトの使い魔であるアルフには嫌われていると思っていたのだった。

フェイトは決して言わないが、それでもフェイトが母から虐められる原因となったのはアリシアは自分自身だと思っている。

だからフェイト自身はアリシアのことを姉だと慕ってくれても、フェイトのことを一番に考え続けている使い魔アルフには嫌われているだろうと思っていたのだった。

なのでアルフのほうからこのようなことを言われるなど本当に思っていなかったのだ。

 

「そりゃあの鬼婆の話を初めて聞いたときは、あんたにも嫌な感情を持っちまったさ。でもこの前から散々お姉ちゃんがいかに優しいか。一緒に居られてどれだけ嬉しいかって言うのを散々フェイトから聞かされたらそんな気持ちもなくなるよ。それに……あんたを見て居たら分かるよ。あんたがどれだけフェイトのことが好きなのかって言うのが私のも伝わってきたのさ。だから……そんなあんたとは友達になれたらって思うよ」

 

アルフはやや恥ずかしがりながらも、けれどはっきりとそう言うのだった。

そしてアルフにそう言われたアリシアは一度驚いた顔をした後に嬉しそうに右手を差し出すのであった。

 

「貴方にそう言われるなんて本当に嬉しいわ。こちらこそ是非貴方と友達になりたいの。これからよろしね。アルフ」

 

「ああ。こっちこそよろしね」

 

そうしてアルフとアリシアは二人とも笑顔で握手をするのであった。

そして手を離した後も嬉しそうな顔をアリシアにクロノは声をかけた。

 

「良かったな。アリシア」

 

「ええ。これで私にも一人友達が出来たわ………………これでクロノより一歩リードね」

 

クロノに声をかけられアリシアは嬉しそうに声を返した。初めだけわ。後半はからかいの声であったのだが。

実はここ数日でアリシアはクロノをからかうことを覚えたのであった。

基本的にアリシアとフェイトは二人とも部屋で過ごすか、もしくはリンディとエイミィそしてクロノと過ごすかのどちらかであったのだが、そんな中でアリシアはリンディとエイミィそしてクロノとだいぶうちとけて色々な話をするようになったのだが、ある時アリシアはリンディとエイミィに教わったのだ。

クロノはからかうと面白いと。

そんなことを言われてはやらずにはいられないだろうと思ったアリシアである。

元々彼女はいたずら好きなのだ。

そして実際にやってみたら見事にアリシアの琴線に触れてしまい、それからことあるごとにアリシアはクロノをからかうのであった。

 

「…………おい。何が僕より一歩リードなんだ」

 

そしてクロノのほうも一々反応などせず受け流せば良いのだつい返事をしてしまう為に、こうしてアリシアにからかわれる結果となったのだ。

 

「だって…………貴方友達居ないでしょ?」

 

「僕にだって友達ぐらい居るさ!」

 

「へぇ……それは本当なの? ならその友達の名前此処で言えるかしら?」

 

「あ……それは私も気になるね。私たちの知っている人かい?」

 

アリシアは完全にからかいモードで。アルフは割と天然な感じで訪ねている。

そしてそんな二人の視線を受け今更引っ込みがつかなくなったのかクロノは絞り出すように声を出すのであった。

 

「…………………エイミィだ」

 

「おお! 聞いた聞いたアルフ? エイミィだって!」

 

「聞いたよアリシア。そうか~だからクロノとエイミィと良く一緒に居るんだね」

 

そしてクロノの答えを聞いたアルフとアリシアはキャッキャと笑い合う。

そんな二人をこいつら本当にさっき友達になったばっかりかよと問いた気にジト目で睨んだ後にガックリと肩を落とした。

そしてそんなクロノをフェレット状態のクロノがぽんぽんと肩を叩き慰めるのであった。

 

さて四人がそうやって戯れていた頃フェイトとなのはのほうも一段落がついたようである。

そしてそんな二人を見計らいそろそろ時間であることをクロノが伝える為に腰を上げようとした。

けれどそれを見たアリシアがクロノのほうを向き声をかけた。

 

「あ! クロノもう少しだけ時間良いかな?」

 

「ああ……それは構わないがどうしてだ?」

 

「私もなのはに挨拶したいのよ。ダメかな?」

 

「そういうことなら構わないさ。ただ余り時間もないから手短にな」

 

「ええ! ありがとうクロノ」

 

「あ……ああ……」

 

そうしてアリシアはクロノに笑みを浮かべてお礼を言いうとすぐに二人の元へ歩いていった。

けれどクロノのほうはまたもやあの笑みにやられて顔を赤らめてしまったのだった。

やはりあの笑顔は卑怯だと思うクロノ。

普段は大人びているくせにこちらへと向ける笑顔は心から笑みなのだ。

そしてアリシアはフェイトと同じで間違いなく美少女である。

そんな子からあれほど可愛らしく笑みを浮かべられ赤面しない男など居ないと心の中で意味も無く弁明するクロノであった。

そしてそんなクロノの様子を見て隣に居たユーノが一言。

 

「なあクロノ……君ってロリコン?」

 

「……うるさいぞフェレット」

 

 

そんな後ろでされているやりとりなど気にせずアリシアはフェイトとなのはの元へと歩いていき声をかけていた。

 

「ごめんさい。二人の邪魔をするわけではないけれど、私もなのはさんと話してみたいのだけれど良いかしら?」

 

普段よりも上品な雰囲気でアリシアは二人へと話しかける。

そしてそんなアリシアに対して少しだけ焦った様子でなのはは返事をするのだった。

 

「あ、はい! 大丈夫ですっ!」

 

「そう。ありがとうございます。では改めてあいさつ致しますわ。私はアリシア・テスタロッサ。そこに居るフェイトの姉です。よければアリシアとお呼びください」

 

「え、えと。私は高町なのはって言います。フェイトちゃんの友達で、よければなのはって呼んでください」

 

アリシアは確かにフェイトより小柄なのだが、それでもそこから醸し出される雰囲気にのまれてしまいなのはは緊張しているかのように自己紹介を行った。

 

「もう……お姉ちゃん。わざとそんな雰囲気で挨拶してるでしょ」

 

そしてそれを横から見ていたやや拗ねたよう感じでアリシアへ声をかけた。

最近アリシアが他人をからかい始めていることを知っているフェイトは注意するように言うのだった。

 

「あら……私の貴方の姉よ。お友達にきちんと挨拶しないといけないでしょ?」

 

「なのははそんこと気にしないよ!」

 

そしてそれでも止めないアリシアに今度は少しだけ怒ったような声をフェイトはだした。

 

「ふふ……ごめんねさいフェイト。別にからかうつもりはなかったのよ? でもフェイトが嬉しそうだったから私も少しだけはしゃいじゃった。なのはもごめんね?」

 

そんなフェイトの雰囲気についにアイリアは折れ先ほどまでの雰囲気をひっこめ和らかな声で今度は話し始めた。

 

「むぅ……お姉ちゃんのばか……」

 

フェイトはまだ私怒ってますと言った口調であるが、アリシアが優しく撫でてやるとすぐにへにゃっとした顔になるのであった。

 

「にゃはは。ちょっとびっくりしたけどフェイトちゃんと仲が良さそうで本当に良かったの。フェイトちゃんのことこれからもよろしくお願いします」

 

「それはもちろんよ。なのは」

 

「あの……それと……良かったらアリシアちゃんって呼んでいいですか?」

 

そう言うなのはの提案にアリシアは少しだけ驚いた顔をした後に優しく笑って快諾の声をだす。

 

「ふふ……そう呼ばれるのは初めてだからどこかこそばゆいわ。でも貴方にそう呼ばれるのは何だか嬉しいわね。つまり私のことも友達だと思ってくれてると言うことで良いのかしら?」

 

「もちろんだよアリシアちゃん!」

 

「ありがとうなのは。これからよろしくね」

 

そしてアリシアとなのはお互いに握手を行った。

共に名前を呼びあい笑みを浮かべながら。

その後も三人は短い時間ながらお互いのことを話し合った。

そうしてこの青い空の下に三人の少女の笑い声が響いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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