最弱無敗の神装機竜 ~天翔る紅き彗星~ 作:メガボイジャー
では、どうぞ!
“宇宙”……それは無限に広がるフロンティア。宇宙は人類の夢だ。広大な未知の領域を求め、人類は日々研究を続けている。宇宙飛行士である俺もその一人だ。
子供の頃からの夢だった宇宙。幾多の難関を乗り越え、その夢がようやく叶った。新人の宇宙飛行士となった俺は現在、宇宙ステーションにいる。宇宙への憧れ、無限に広がる夢を抱いた俺は
俺の“命”は今まさに、一つの星の終わりの如く、終焉へ向かおうとしていた。
ドカァァァァン! ドカァァァァン!
『ステーション内で異常発生!至急、シャトルへ退避せよ!繰り返す!ステーション内で異常発生!』
ある日突然、ステーション内で起きた原因不明の爆発。その爆発は止まる事を知らず、ステーションのあちこちで連鎖的に爆発していく。張り巡らされたソーラーパネルが爪で引っ掻かれるかの如く剥がれ、コーティングされた壁と強化ガラスが砕け散り、そこから物資や宇宙飛行士達が空気の無い宇宙空間へと追放されていく。シャトルへ退避せよと鳴り響く警告アナウンス。
俺はステーションにドッキングしているシャトルへ乗り込むため、通路を渡る。他の者達も崩壊していくステーションから脱出するため、シャトルへ乗り込んでいく。
「お前で最後だ!星治も早く乗り込め!」
「ああ!分かった!」
学生時代からの親友である半田が俺に向かって叫ぶと、一足先にシャトルへ乗り込んでいった。どうやら俺を除いて皆はシャトルに乗り込んだようだ。シャトルは目の前。ステーションが爆発する前に俺も乗り込まないと…!
俺がすぐそこにあるシャトルへ向かおうしたその時だった。
ドカァァァァァァン!!
「っ!?…半田ぁぁああああああああ!!」
ステーションの爆発の際に飛び散った破片がシャトルにぶつかり、半田達が乗ったシャトルは跡形もなく爆発した。退路が断たれ、半田も死んだ。ダブルショックを受けた俺に追い打ちをかけるかのように、シャトルの爆発の際に通路に出来た穴が、周囲の物資と共に俺を無酸素の宇宙空間へ追放しようとする。パイプにしがみつく俺は、その先に一着の宇宙服があるのを見つけた。俺はパイプからパイプへしがみつきながら宇宙服まで移動する。移動する度に引き寄せられ、追放されていく物資に激突していく。
「こんなところで………死んでたまるか……!!」
俺は絶対に生きて帰る…!生存本能剥き出しの俺は、ようやく宇宙服のもとへ辿り着き、すぐに宇宙服を着た。俺が振り返ると、爆風が俺のもとへ迫ってきていた。このステーションはもう崩壊する。俺は宇宙服の生命維持装置を起動すると、躊躇わずに吸い寄せられる空気に身を任せてステーションを脱出した。直後、宇宙ステーションはオレンジ色の炎に包まれた。
ステーションから脱出した俺の視界には、青く丸い地球が映っていた。ステーションの破片、宇宙空間に放り出された物資が邪魔だったが、その地球は確かに丸かった。
……とは言ったものの、ステーションは爆発。シャトルも無いとすると、地球へ帰る手段がない。このままだと、選択肢は二つ。このまま宇宙空間に居続けて考えるのをやめるか、もしくは地球の重力に身を任せて隕石になるかの冗談抜きで二つだ。
俺が絶望的な状況で地球へ帰還する方法を考えていたその時、俺の最期が来た。
「…!?」
俺のもとへ、燃え盛るシャトルが近づいてきた。まるで爆死した半田達の怨念が、俺に近づいてきたかのように…。
「ああ、くそ…!」
この宇宙空間で避けれる訳がなく、俺は燃え盛るシャトルの衝撃を受けて吹き飛ばされた。その際、受けた衝撃で生命維持装置が故障し、酸素が供給されなくなった。さらに吹き飛ばされたことで地球の重力に捕まったのか、吹き飛ばされた俺の体がそのまま地球へと向かっていく。どうやら俺の末路は、隕石になって死ぬことらしい。
地球の重力に捕まった俺。やがて大気圏に突入し、空気摩擦によって体が焼き尽くされていく。だが今の俺に熱さはもちろん、痛みも、吸い寄せられる感覚すらもない。痛覚が完全になくなっていた。痛覚がシャットアウト………そうか………俺はもう死ぬんだな……………宇宙という広大な夢を抱き、このまま焼死、もしくは墜落死していくんだな………。
キィィィィィィン……!
「………?」
大気圏で体が焼かれていく中、鳥の鳴き声とジェット機の音を足して二で割ったかのような声が聞こえた。俺はある方向を向くと、そこには一点の紅い光があった。ぼやけて色彩を失っていた視界の中で、その光だけは紅く映っていた……………あれ、こっちに近づいてくる……?
その紅い光は、こちらに猛スピードで近づいてきた。近づいてくるにつれて、その紅い光は眩しさを増していく。
俺の意識が切れかかる寸前、俺の視界に映った紅い光の正体は…
『キィィィィィィィィィン!!』
“ジェット噴射で飛行する白銀のドラゴン”だった。
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…を…ませ…。
目を…覚ませ…。
目を覚ませ。
「…?」
謎の声が聞こえ、再び俺は目を覚ました………って、あれ?
「俺…若返ってる…!?」
俺は自分の身体をよく見ると、何故か肉体が14歳の時の頃まで若返っていた。可笑しいな……俺22歳のはずだけど、何で肉体が若返ってるんだ?全く科学的理論がつかない…。心当たりがあるとしたら、宇宙ステーションの爆発に巻き込まれて、炎上したシャトルに激突して、大気圏で燃え尽きて、そしたら銀色のドラゴンが……………。
『目が覚めたようだな…。』
「っ!?」
また謎の声が聞こえ、俺は声が聞こえた方向へ目を向ける。そこには…
「銀色の…ドラゴン…!?」
そこにはあの時見た銀色のドラゴンがいた。そのドラゴンは銀色の甲殻で覆われており、四足歩行らしいが、問題は背中の“翼”だ。翼は何故か妙に翼爪が長く鋭い。“翼”というよりは、“翼脚”というのが正しいか。そしてその翼脚の先端からは、謎の紅いエネルギーが出ていた。恐らくその正体不明のエネルギーを利用を利用して飛んでいたのだろう。ドラゴンの紅い胸部には、謎のエネルギーを生成するための器官があるのだろう。
フィクションでのドラゴンは、翼を羽ばたかせて空を飛んでいた。だがこいつの場合は、謎のエネルギーを翼脚から噴射して推進力を得ている。こいつの“翼”は羽ばたくためではなく、推力を得るためのいわばブースターの役割なのだろう。甲殻が銀色なのも、酸素濃度が薄い超高高度で受ける紫外線の影響を少なくするためなのだろう。実際シャトルやステーションにも、紫外線対策のコーティングを施されている。
「お前は…誰なんだ?」
『我が名は天彗龍・バルファルク。』
“天彗龍・バルファルク”…?彗星っていうことなのか…?紅い彗星と聞くと、どこぞの三倍速いやつを思い出す…気のせいだよな?バルファルクと言うと、豪胆を意味するvalor、隼を意味するfalconを足して二で割ったような語呂だな。通りで鳴き声が鳥っぽい訳だ。それにしても、この真っ白で何も無い空間は一体なんだ…?
「どうしてここに…?そしてここは何処なんだ?」
『大気圏で燃え尽きようとしていたお前を見つけた。だがこの場所が何処だか我にも分からぬ。何せ、我の肉体も滅されたからだ。』
「!?」
バルファルクの肉体も滅んだ…!?どういうことなんだ…!?
『この姿から察している通り、我はお前の住んでいた世界とは別の世界からやって来た。』
まあそうなるだろうな。ドラゴンが俺のいた世界に存在したらそれでこそ大混乱は避けられない。ましてやジェット飛行を行うドラゴンなんて見たら尚更だ。
「貴方方ですね?」
「『!?』」
俺達が振り向くと、そこには白いローブを纏った女性がいた。
「えっと…貴女は一体…?」
「私は貴女達を転生させる神です。」
『神か…これまた複雑な存在がやってきたな…。』
お前が言うかバルファルク。俺からしたら神様とドラゴンがいることが複雑だ。
「宇宙飛行士として殉職した貴方と、ドラゴンとして狩人達に討伐された貴方を別の異世界へと転生させましょう。」
転生か…しかも異世界ときたら、完全にファンタジーだろうな…。それよりも、バルファルクが死んだ理由って、狩人達に討伐されたからか。謎のエネルギーで飛行するバルファルクを倒せる狩人…どんな人間止めた人達なんだ?俺がそう考えていると、神様はバルファルクの方を向いた。
「ですが天彗龍、貴方の場合は今から送る異世界に相応しい姿になってもらわなければなりません。」
『どういうことだ?』
「あちらの世界では
一理あるな。ドラゴンがドラゴンの姿のまま転生しちゃったら、ものの数分後にまた討伐されちゃうからな…。
『ではどうすればよいのだ?』
「貴方には
『何…?』
バルファルクに告げられた転生の条件…それは異世界にある古代兵器•
『……。』
バルファルクは黙り込んだ…………無理もない。今のドラゴンの姿から、古代兵器の姿に転生しなければならないからだ。でもそうしないと転生ができない。
数分間の沈黙の末、バルファルクは…
『………分かった。』
渋々と受け入れてくれた。するとバルファルクは、俺の方を向いた。何か言いたいそうだ。
『…但し、条件があるぞ。』
「条件って…?」
『天宮星治、お前は宇宙飛行士として殉職したばかりだったな。お前はそれでも、再び遥か高き“宙”を舞うことが出来るか?』
バルファルクは条件を言ってきた。確かに、俺は宇宙飛行士として殉職したばかりだ。どちらかというと、怖いという答えが脳内に残る………だけど、宇宙は俺の夢なんだ。異世界という未知の世界で、もう一度翔べるなら…!
「…ああ。俺はそう決めたからな。」
『…………ふっ、いいだろう。お前に力を貸してやる。我が天彗龍の力をな。」
俺の決意に、バルファルクはくすりと笑いながら言った。どうやら力を貸してくれるようだ。
「決まりですね。では天宮星治、貴方に神装機竜を召喚するための
神様はそう言うと、右手を俺の方に向けた。
「ぐっ!?…ああああっ……!?」
すると、俺の頭で激しい頭痛が起こる。召喚のための詠唱符が、俺の脳内にインストールされていく。
やがてインストールが完了したのか、頭痛も治まった。
「そして天彗龍、貴方も。」
神様は今度はバルファルクに向けて手を向けた。
『ッ!……キィィィィィィィィィィン!!』
バルファルクの体が咆哮と共に光に包まれる。やがて光が止み、そこには
「剣…?」
バルファルクがいたと思われる場所には、鞘に納められた一本の剣が浮遊している。全体的に銀色である辺り、その剣がバルファルクであることが一瞬で分かった。形状としては、ハンドガードがついた刺々しいデザインのサーベルといったところか。
「それは
「試しに召喚してみて下さい。剣を抜き、トリガーを引きながら先程の
神様にバルファルクを召喚する手順を聞かされた。折角だし、慣れておくのも悪くないな…よし。
俺は鞘から
『ーー飛翔せよ、銀翼を以て宙を翔る天彗龍。一筋の凶星となりて、渺茫たる宙に紅き軌跡を描け、《バルファルク》!」
俺が
『キィィィィィィィィィン!!』
次の瞬間、銀色の光の粒子が集まり、俺の背後に紅い炎と共に
「『
俺とバルファルクの声が重なると同時に、俺の体がバルファルクに覆われた。そして俺の体を謎のエネルギーが包み込み、俺の姿を変化させた。
バルファルクを召喚し、装着した俺。銀色がメインカラーで、二足歩行のドラゴンのような兵器と化したバルファルク。背中には、バルファルクの特徴である翼脚が備わっている。俺の腕とは別に、バルファルク自体に備わっている両腕。右腕にはとても鋭利な銀色の大剣が装備されている。そして俺は、何故か全身にバルファルクを模した銀色のパワードスーツが装着されており、頭にはバルファルクの頭部を模した大型のヘルメットが覆っている。そして胸部はバルファルクが謎のエネルギーを生成するための器官の如く紅くなっている。そして先程まで手に持っていた
「成功か…?」
『そのようだな。』
俺が接続に成功したことにそう呟くと、俺が被っているヘルメットのバイザーが光ると同時にバルファルクの声が聞こえた。
「そういえばバルファルク、このエネルギーは一体…?」
『これは“龍気”と言われる、我が高速飛行や攻撃をする際に利用するエネルギーだ。機竜になった今でもエネルギー自体は我自らが生成することができる。』
どうやらこの謎のエネルギーは“龍気”と呼称するらしい。機竜の姿となっても龍気は自ら生成できるって…それなんて半永久機関?
「接続も上手くいったみたいですね。それでは、貴方達を異世界へと転生させましょう。貴方達に幸運を。」
神様がそう言うと、俺達の周りに魔法陣が展開された。どうやら転生するようだ。これから異世界の地へ転生…
夢を抱き続ける限り…。