最弱無敗の神装機竜 ~天翔る紅き彗星~   作:メガボイジャー

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バルファルクの特殊武装や神装をどうしようか悩んでいたら、もう四月に…。


王立士官学園 ~ACADEMY~

「それにしても、女王様がお呼びか…どんな用件なんだろう?」

『さぁな。また派遣とかだろうな。』

 

 

廊下を歩きながら、俺はバルファルクと簡素な会話を交わす。

宇宙飛行士として殉職し、新たな相棒・バルファルクと共に転生してから4年の月日が経った。

転生したあの日、初っぱなから俺は見知らぬ森の中に転移させられた。一体何処なのか分からず、途方に暮れて彷徨っていたところ、俺は銀髪の青年…もとい、“ルクス・アーカディア”と出会った。俺はルクスに王宮へと連れられ、そこでこの世界について知った。

この国はアティスマータ新王国といい、“アーカディア帝国”という大国がクーデターで滅んだ後に建国された国らしい。ルクスはその旧帝国の王子だったらしい。俺は最初は驚いたが、すぐに打ち解けられた。

そして装甲機竜(ドラグライド)が“遺跡”という場所で発見された古代兵器であることも聞かされた。さらに装甲機竜の内、バルファルクを含めた希少種を“神装機竜”と呼称するらしい。

本来、機竜というのは本体と機攻殼剣(ソード・デバイス)の二つで1対となる。しかし、バルファルクの場合はこの二つに加え、俺の右腕についた“バルファルクの横顔を模した腕輪”も含めて1対となる。腕輪にはバルファルクの人格が宿っているため、会話ができる。ただでさえこの世界で神装機竜が希少な価値を持っているのに、その機竜が人格を持つと聞いたら当然貴族も注目するに決まってる。事実、王宮でバルファルクの声を聞いたルクス、女王様、その他貴族が驚きの表情を浮かべた。

この希少性を見た貴族が「それを渡しなさい。適任の者へ譲渡させる。」と俺にバルファルクを渡すよう言ってきた。これを聞いた俺は反論し、バルファルクも『我の相棒は我自身が決める。貴様ではない。』と反論した。一悶着あったものの、辛うじてバルファルクは俺の手元に残った。

 

最初の内はルクスと共に過ごし、俺の知らない知識について教えてもらった。今では俺は“バジーナ家”の養子として迎え入れられ、ルクスとは別々に暮らしているが、あいつとはこの異世界へ転生してからの新たな親友だ。

ルクスは“咎人”という罪人のような立場になっているらしく、ただ働きをして多忙な毎日を過ごしているらしい。

俺も人助けをし、女王様から任務が下されればバルファルクを纏って任務へ赴く事もあった。そしてもちろん、俺の夢は忘れてはいない。暇があれば、夜に望遠鏡を使って星を観察する。この世界ではまだ宇宙に関しての歴史は少ない。前世で培ってきた俺の知識がこの世界でも通用するのか、試してみたいからな。

 

…とまぁ、そんな感じで4年間を過ごしてきた。現在俺は女王様に呼ばれ、王室の前までやってきた。大きな扉の前で、俺は軽く二、三回ノックする。

 

 

「失礼します。“メビウス・バジーナ”、ただいま参りました。」

 

 

俺がノックして自分の名前を言うと、向こうから扉の施錠が解かれた。俺は王室の中に入る。“メビウス”…それはこの世界に転生した際に決めた俺の新たな名前。この世界で天宮星治という名前は…微妙っぽいからな…。

 

 

「メビウス、貴方を待っておりましたよ。」

 

 

王室には金髪のロングヘアーの若々しい女性が立っていた。赤いドレスに身を包んだこの女性こそ、アティスマータ新王国の女王…ラフィ・アティスマータさんだ。ラフィさんからは女王らしい威厳な雰囲気が感じない。それもそのはず、この国は王家の力がまだ弱く、“四大貴族”の助力無しでは成り立たない摂関政治状態になっているからだ。だが国民からの信頼は厚い。俺もラフィさんには色々と助けてもらったため、感謝している。

 

 

「近頃の調子はどうですか?」

「あ、はい。お陰様で。バルファルクと共に頑張ってます。」

「それは何よりです。」

 

 

俺はラフィさんとは久しぶりに会った。こっちも忙しかったからな。

 

 

「それで用件とは、一体何ですか?また別の地域へ派遣ですか?」

「いえ、今回は派遣ではありません。」

「では何か?」

「メビウス・バジーナ、貴方には明日から王立士官学園(アカデミー)に入学してほしいのです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…?」

 

 

王立士官学園(アカデミー)…俺はその単語を聞いて一瞬硬直した。理由は簡単。何故なら王立士官学園(アカデミー)は“正真正銘の女子校”だからだ。

 

 

「あの…俺の認識が間違っていなければですが、確かあそこは…。」

「ええ。ですが後の共学化のことも考えてのことです。それに、貴方ぐらいの年齢の子は学校に行ってもおかしくないのですよ?学校に行く事は貴方のためにもなります。」

「…。」

 

 

あれから4年経ち、俺の年齢は既に17歳になっていた。確かにこの年齢なら学校行ってもおかしくない……とはいえ、今まで人助けのために各地を転々としてきた俺に、いきなり学園生活を送れというのはなかなかにシビアだ。それに機竜に関してはもう十分理解しているため、ぶっちゃけ習う事が無い。そして入学先が女子校ということもあり、一歩間違えれば大変なことになるのは確実。

 

 

「大丈夫ですよ。それに、貴方には“頼もしい味方”がいるじゃないですか。」

 

 

ラフィさんに言われて、俺は右腕についたバルファルクの方を見つめる。そうだったな…4年の間も困難なことはいくつもあった。だけど、転生してからずっとバルファルクと一緒にいたからこそ、俺は乗り越えることができた。

 

 

「…やっていけると思うか?」

『当然だろう。お前とは何年の付き合いだと思っているんだ?』

「ざっと4年だな。」

 

 

バルファルクはやっていけると豪語した。あれから4年経ち、最初の内は少々プライドが高かったバルファルクの性格も軟化していた。

 

 

「分かりました。後日、現地へ向かいます。ラフィさん、貴女に助けてもらわなければ、俺は今頃各地を彷徨っていたと思います。本当に感謝しています。」

「ふふっ。ありがとう、メビウス。」

 

 

俺の言葉を聞いてラフィさんが微笑んだ。その微笑ましい表情が輝いて見えた。

女子校だからって何だ。今までそんな困難乗り越えてきただろ!俺は心の中で決意を再確認した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

王都から目的地へと、俺は馬車に乗ってやってきた。

城塞都市(クロスフィード)。十字の城塞で囲われた都市で、この都市に王立士官学園(アカデミー)がある。俺は荷物を纏めると、馬車から降りる。俺の左手には荷物が入った袋が握られている。左腰にはサーベル型の銀色の機攻殼剣(ソード・デバイス)、右腕には相棒(バルファルク)。そして懐には二通の書簡がある。一つ目の書簡は学園の正門にいる衛兵に渡せと言われた。そして二つ目は王立士官学園(アカデミー)にいる王女様に渡してほしいとのことらしい。

俺は懐からラフィさんからもらった地図を頼りに、王立士官学園(アカデミー)まで歩く。街は活気に溢れており、大勢の人達がいる。

 

 

「結構賑やかだな。この街は。」

『ああ。』

 

 

俺とバルファルクは簡素な会話を交わしながら城下街を歩き、目的地である王立士官学園(アカデミー)の前まで辿り着いた。結構大きいな建物だな…。

俺は学園までもうすぐそこというところで、俺はある事を思い出す。

 

 

「おっと、忘れるところだった。バルファルク、ここからしばらくは静かにしててくれよ。」

『そうだったな…我が喋るという事実を知る者は数える程しかいないからな…。』

 

 

俺はバルファルクにそう言うと、一旦バルファルクを右腕から外し、服の袖の中にバルファルクを隠す。バレたら色々と大変だからな…時が来るまでしばらくは隠しておかないとな…。

俺はバルファルクを服の中に隠すと、学園の正門に向かって歩いて行く。正門には衛兵が立ち塞がっていた。俺は懐から一つ目の書簡を取り出すと、正門まで歩く。

 

 

「ここから先は許可の無い者は立ち入り禁止となっている。」

「これを。」

 

 

俺は衛兵に書簡を渡す。衛兵は書簡の内容を確認すると、途端に慌てた表情になった。

 

 

「か、確認しました!学園長室へ案内します。ついてきて下さい。」

「ありがとうございます。」

 

 

俺は礼を言うと、衛兵に案内されて学園の中へと入っていく。中も広そうだ…ホグ○ーツ程ではないが広そうだ。

 

 

『おいやめろ。』

 

 

こいつ…直接俺の脳内にっ…!?俺のボケにバルファルクが脳内で突っ込んだ。

俺が学園長室が何処なのかと思いつつ衛兵についていくと、そこである一つの扉の前で大勢の生徒達…もとい野次馬達が集まっていた。その扉の上には『学園長室』というプレートがある。どうやら学園長室はあそこらしい……でも何でこんなに生徒達が集まってるんだ?

俺は生徒と生徒の間を歩いていく。その際「何で男がこんなところにいるの…!?」などとざわめかれたが、俺は気にせず学園長室前まで歩く。

 

 

「ここが学園長室です。」

「道案内どうも。」

 

 

道案内をしてくれた衛兵に礼を言うと、扉をノックする。

 

 

「あ、開いてるから入ってきていいわよ。」

「失礼します。」

 

 

中から学園長と思われる声が聞こえ、俺は学園長室の中に入る。そこには学園長と思われる女性と、生徒と思われる数名の少女達と、手錠を掛けられた“一人の青年”がいた。俺はその青年が誰なのか一瞬で分かった。銀髪に黒い首輪、黒と白の機攻殼剣(ソード・デバイス)は帯びていなかったが、その二つのキーワードで誰なのかはっきりと分かった。その青年も俺の姿を見ると思い出したかのような表情になった。

 

 

「あれ…?メビウス?」

「……ルクス……お前何してんの?」

 

 

この王立士官学園(アカデミー)で、俺はルクスと再会した…再開の形が最悪だが…。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺は何故ルクスがここにいるか聞いた。内容はこうだ。ルクスは元々、学園長からの依頼を受けてこの学園で働く予定だったらしい。だけど昨夜、一人の女性からポシェットを盗んでいった猫を追って学園の屋根を走り、猫からポシェットを取り返した瞬間、重量で屋根が抜け落ちて運悪く女子風呂に落下。さらに落下した際、ルクスの隣にいる少女、リーズシャルテ・アティスマータにのしかかってしまい、おまけにポシェットの中身が下着だったという。その結果ルクスは覗きと痴漢と下着泥棒という三つの罪で捕まり、今に至るという訳らしい。ちなみにルクス曰く、“事故”だったらしい。

 

 

「お前…いつからそんなやつに…。」

「だからあれは事故なんだって!」

 

 

俺の呆れた口調にルクスが驚きの表情を浮かべた。だってそうだろ?屋根登らなくても他の方法があった訳だしな…。しかもリーズシャルテって、確かこの国の王女様じゃん。のしかかるってかなりヤバいんじゃないか…?

 

 

「えーと確か、メビウス・バジーナ君だったわね?貴方の事はルクス君から聞いているわ。私はレリィ・アイングラム。王立士官学園(アカデミー)の学園長を務めているわ。」

「あ、どうも。」

 

 

学園長…もといレリィさんは俺の事をルクスから聞いているらしい。俺は丁重に挨拶した。この人、ルクスと知り合いなのかな?

 

 

「貴方がやって来た目的はこちらも分かっているわ。昨日、私宛てに貴方をこの学園に編入させてほしいという一通の推薦状が届いたの。」

 

 

レリィさんはそう言いながら昨日届いたと思われる推薦状を広げた。ラフィさんが送ってくれたのだろう。

 

 

「差出人は…ラフィ女王陛下。」

「「「「「ええええええええええ!?」」」」」

 

 

推薦状の差出人の正体を聞いたルクス達が驚きの表情を浮かべた。特に王女様の方はリアクションがでかい。まぁ、当然だよな…。

 

 

「…一つ質問してもいいかしら?メビウス君、貴方は女王陛下とはどういった関係なのかしら…?」

「女王様は恩人です。困っていた俺を色々と助けてくれましたから。その恩返しとして、様々な任務をこなしてました。」

 

 

俺はレリィさんにラフィさんとの関係について答えた。居場所や仕事もそうだったけど、一番心に残ったのはバルファルクの件だった。ラフィさんがラフィさんの助けがなかったら、今頃バルファルクは別の誰かに渡ってただろう。

 

 

「ふ、ふざけるなよ!そんな馬鹿げた話が信じられるか!」

 

 

俺の言葉に納得がいかないリーシャが怒号を浴びせてきた。まぁ、これだけじゃ納得はいかないか…あ、そういえば二つ目の書簡を渡すのを忘れてたな…。

 

 

「ここに推薦状が届いているのが何よりの証拠ですよ。それと…。」

 

 

俺はそう言いながら懐から二つ目の書簡を取り出す。

 

 

「これを。女王様が貴女に渡すようにと。」

「母上が…?」

 

 

俺はリーシャに書簡を渡した。リーシャは受け取った書簡を広げると、中の文を確認する。

 

 

「…間違いない…母上の字だ…。」

 

 

リーシャはそう呟きながら書簡を読む。これで少しは納得してくれると助かるけど…………まぁ、そうは問屋が下ろさないか。

 

 

「とどのつまり、貴方は女王様のお気に入りの騎士ということなのね?」

「まぁ…そう言う事になりますね。」

「けど、何で編入なんか…?」

「女王様曰く、「貴方ぐらいの年齢の子は学校に行ってもおかしくない。学校に行く事は貴方のためにもなります。」…だそうです。」

「……はぁ…分かりました、貴方の編入を許可します。よろしくね、メビウス君。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

 

 

俺はレリィさんと握手を交わした。これで編入に関しては何とか成立………と思われたが

 

 

「…話は大体分かった。だが私達はまだお前達を認めた訳では無いからな?特に貴様、お前は覗き魔、痴漢、下着ドロの変態の犯罪者だ。そんな男をこの学園で働かせるなど、有り得ない!」

 

やっぱりか。リーシャはまだ納得しておらず、声を荒げたままだ。特にルクスに対しては敵意剥き出しだ。

 

 

「私はルクス君とは付き合いがある訳だし、彼がそんな事をする人じゃないと思うけど…………今回の事に関しては偶然とは断言出来ないものね。」

「そこは断言して下さいよ!?」

 

 

ルクスが慌てた表情でツッコんだ。

 

 

「でも実際、故意でやったかどうかと言われると、誰にも証明できないのよね。なら、本件の被害者でもあり、二年の首席でもあるリーズシャルテさん。彼の処分は貴方の裁量に任せてもよろしいかしら?」

「ええええええええっ!?」

「ふっ…。」

 

 

ルクスが驚きの声を上げている中、リーシャがニヤリと笑った。

 

 

「ならば決闘だ!ルクス・アーカディア、貴様が私に勝てば、貴様がこの学園で働く事を許可してやる。だが負ければ牢獄行きだ。」

 

 

リーシャは赤い機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜剣すると、その剣先をルクスの方に向けながら決闘を申してきた。まぁ、妥当なところかな。ルクス……頑張れよ。

俺が目でルクスに向けて念じたその時、リーシャの機攻殻剣(ソード・デバイス)の剣先が何故か俺の方にも向けられた。

 

 

「…え?」

「メビウス・バジーナ、処分は貴様も同じだ。私が勝てば、貴様も牢獄行き。ルクス・アーカディアが勝てば、貴様の編入を許可する。」

「ちょっ、ちょっと待って下さい!ルクスは分かるけど、俺は何にも罪を犯してないでしょ!?」

「貴様はルクス・アーカディアとはどういった関係だ?」

「えっと…親友ですが…?」

「じゃあ“親友”という連帯責任だ。」

 

 

リーシャから理不尽な飛び火をもらった俺。そんな理不尽な“連帯責任”があってたまるかこの野郎(怒)。

俺が心の中でキレていると、リーシャは扉の方へ向かった。

 

 

「それでいいな?野次馬達!!」

「「「「「「キャアアアアアアア!!」」」」」」

 

 

リーシャが扉を開けた途端、扉越しで盗み聞きしていた生徒達が学園長室に雪崩れ込んできた。俺が学園長室に入る時、妙に生徒達が集まってた訳だ。それにしても野次馬多くねぇか?

 

 

「学園の皆に伝えろ!観客は多い程良いぞ。新王国の姫が、旧帝国の王子をやっつける見せ物はな!」

「「「「「「「キャアアアアアアアア!!」」」」」」」

 

 

リーシャの高らかな宣言で生徒達は一気にハイテンションになり、学園の者達に話を広めるべく楽しそうに走り去っていく。

 

 

「大変な事になったわよ!リーズシャルテ様が、今回の痴漢と装甲機竜(ドラグライド)で決闘をー」

「相手は『無敗の最弱』だそうよ?詳しい事、誰か知ってる?」

「そもそも、旧帝国の王子なのでしょう?その下着ドロの人。」

「というか隣にいる男の人は誰なの?」

「そういえばあの時、学園長室に入っていった人だよね?」

「すごくカッコ良くなかった?」

「うんうん、旧帝国の王子と比べて、背も高くて大人っぽかったよ!」

 

 

その際、生徒達の話し声がこっちにも聞こえてきた。ルクスはその話し声を聞いて肩を落とし、溜め息をついた。俺もその話し声を聞いて右手で頭を抱える。

 

 

「はぁ~……メビウス、大変なことになったね…。」

「…ここの王女様は、無礼なのが売りなのか?」

 

 

決闘騒ぎでガックリとしているルクスに俺はそう呟いた。ルクスが勝てば編入、リーシャが勝てば牢獄行き。俺の人生はルクスに委ねられた………ふざけてるだろあの野郎…ハバネロよりも暴君だわアレ。

 

 

「ところでメビウス。」

「ん?」

 

 

ルクスが小声で何か思い出したかのように俺に話しかけてきた。

 

 

「右腕の“あれ”はどうしたの?」

「おいおい…容易に明かせる訳ねぇだろ…。」

 

 

俺は小声でルクスにそう答えた。バルファルクは腕に隠してあるけれどもな…。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く兄さんは何やっているんですか…。呆れました。」

「ゴメンね?アイリのいる王立士官学園(アカデミー)で騒ぎを起こしちゃって…。」

 

 

決闘騒ぎの後、俺達はレリィさんに言われて応接室にいる。そこでルクスがアイリと呼ばれる少女からお叱りを受けていた。ルクスの事を兄さんと呼んでいた辺り、二人は兄妹なのだろう。俺はソファに座り、溜め息をつきながら項垂れていた。今ここにいるのは俺、ルクス、アイリ、そしてアイリの側で立っている少女だ。ちなみにこの少女は学園長室での話の時にもいた子だ。

 

 

「はぁ……何をどうしたら俺まで巻き添えを喰らうのやら……。」

「それは仕方ないですよ。兄さんは毎回毎回厄介事を拾ってきますから…。」

「ルクスの事もそうだけど……問題は王女様だな。あれはルクスが拾ってくる厄介事よりもえげつない…。」

 

 

俺は先程の件に苛立っている。数時間後にリーシャとルクスの決闘があるが、その決闘でリーシャが勝てば俺とルクスは牢獄行き……これは酷い。こっちはラフィさんの頼みでやってきたのに理不尽過ぎるだろ…。汚いな、流石王女様汚い。

 

 

「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はアイリ・アーカディアです。」

「俺はメビウス・バジーナだ。こんな形で申し訳ないけど、よろしく。」

 

 

俺はアイリとそれぞれ自分の名前を名乗った。

 

 

「えっと…君は座らないの?」

 

 

ここで、ルクスはずっとアイリの側で立ったままの少女にそう質問した。そういえばこの子って誰だ…?

 

 

「Yes、適切な距離を保たないと、息を“吹き掛けられただけでスカートをめくられる”と聞いているので。」

「ちょっ!?僕を何だと思ってるの!?」

 

 

少女の口から辛辣な爆裂魔法が言い放たれた…えっ?全然違うって?安心しろ、ネタだ。それにしてもルクス…初対面でこの印象…哀れだ。

 

 

「彼女は女子寮での私の同居人です。名前はお願いできますか?」

「Yes、1年のノクト・リーフレットと申します。まさかアイリのお兄さんが変態だったとは……残念です。」

 

 

どうやらアイリの側で立っている少女はノクトというらしい。

ちなみにルクスは度重なるストレスとトラブルに頭を抱えていた。

 

 

「はぁ……もし兄さんが負けてしまったら、私はあの莫大な借金をどう返せばいいんですか?兄さんが捕まって牢獄行きになったら、私はとても困ってしまうんですよ?」

「ご、ごめん…。」

 

 

アイリの言葉にルクスは謝ることしか出来なかった。ルクスとアイリ、旧帝国の生き残りである二人には、“咎人”として新王国から課せられた借金を返済する事を命じられている。しかもその借金の額は、頭のネジが全部ぶっ飛んでいるんじゃないかという位、桁違いとの事だ。

 

 

「ちなみに、その王女様は強いのか?」

「Yes、リーズシャルテ様はこの学園で現在無敗の強さを誇っています。」

 

 

俺の質問にノクトが答えてくれた。王女様が学園の中では無敗………となると、彼女は神装機竜を所持しているかもな…。

俺はふとルクスの方を向くと、ルクスが苦笑いしていた。それもそうだよな…色々なプレッシャーをいっぺんに背負わされているからな……俺もルクスのとばっちりで酷い目にあってるけど、ルクスをプレッシャーで戦意喪失させる訳にもいかない…よし!

 

 

「…ルクス、なってしまったものは仕方ねぇぞ。」

「え?」

「出来る事なら俺が王女様に挑んでやりたいところだけど、王女様がお前に決闘を申し込んできたのなら、お前自身でやるしかない。」

「…。」

「安心しろよ。確かにお前のトラブルには巻き込まれたけど、俺は“親友”を切り捨てはしないぜ。全力で応援してやるさ!」

「メビウス……ありがとう。」

 

 

俺はルクスに激励を送った。これで幾分かはストレスが軽くなっただろう。とにかく、この決闘はルクスに任せるしかないな…。

 




次回は決闘、および幻神獣(ガーゴイル)戦です。次回にようやくバルファルク出せます。
では、お楽しみに!
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