チートによる自動股   作:さよならデータさん

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ch-1-2 暴走するアンドロイド達

おいっ! それ以上掘り起こすな! やめろ、やめろやめろー!?

 

 

廃墟都市に一人の男の絶叫が響く。

なぜこうなったのか?

なぜこんなことになったのか?

男は懇願する、そんなことはやめてくれと。

ことの顛末は男の存在が確認されてから約2日目の事だ。

 

いきなりヨルハと呼ばれるアンドロイド達の数が増え出したのだ。

そして、何をするかと思えば、

 

「私たちはアンドロイド、貴方の敵ではありませーん」

 

「私たちはヨルハ部隊と呼ばれる月面の人類がー(以下略)」

 

こんな感じで自分たちの自己紹介、いや商品説明というか街道キャンペーンみたいな事を始めたのだ。

 

 

これが大体3日程続いたのだが一向に効果が見られないとなると連中は直ぐ様別の方針へとシフトした。

 

 

要するに人間探索を開始したのだ。

 

完全にUMAを探すテレビ番組的なノリで。

 

 

アンドロイド達には謎の熱意と一体感があった。

普段の任務では殆どが単独や小隊やダブルスでの少数編成であり、余程の重要な任務、または大型機械生命体殲滅といった事でなければこれ程の人員は割けない。

 

 

それが今回は人類、そう思われる有機生命体の接触、確保。

 

これ以上ないほどの大任、現地支援の為に一部のオペレーターモデルすら地球に降下する位だ。

 

使命感に燃える彼女たちはあらゆる方法を運用、試案した。

 

 

それは人間としての倫理感、要するに彼のプライベートを害する程に……。

 

 

 

突然だが人間の三大欲求については御存じだろうか?

 

食欲、睡眠欲、性欲がこれにあたる。

 

更には人の身体には生きるために排泄といった機能もあるのだ。

 

 

ここまで言えばお分かりだろうか?

 

 

彼は今しがた出して埋めた自分の排泄物を彼女たちに掘り起こされているのだ。

 

 

動物は腸の形といった要因でブツの固さや形が違ったり、その状況で体調が分かることもある。

 

 

だがそれはテレビ番組で動物相手にやるから納得できるのであって自分のものでされては最悪でしかない。

 

おい、やめろ! 突っつくんじゃあない、そのケースはなんだ?

よせ、やめろ!? 俺の【Piー】をどこに持ってく気だ!?

 

や、やめれ━━━!!

 

 

もうなんということだろう。

彼の心は色々な意味でボロボロだった。

 

最近、かなり体調も機嫌も悪い。

食事は愚か睡眠すらよく妨害されている。

何しろこの地球では何故か夜が来ないのだ。

寝る場所を探そうにも自分は暗くなければ寝れない。

その条件で言えばビルの中といった所になるのだがそれが出来ない。

ロボットが彷徨いているのもそうだが、問題はこういった建築物の維持をアンドロイドたちがしているということもあった。

一応は居ない場所を探してワイヤートラップといった保険をかけて寝たこともあるがそれに対して前述のロボット達が興味半分面白半分に突っ込んでくる。

お陰でドッカンドッカン寝れたものじゃない。

そして食事の方だが今では基本、レトルトかブロック食だ。

何故動物等食糧になる生き物を焼いて食べないかというと第一にまず火が使えない。

煙でも上がろうものなら直ぐ様アンドロイド達が飛んでくる。

肉、肉が食いたい。

水はあるのに。

あぁ、ストレスが溜まる……。

せめて機械化義体でさえあればこういった苦労もないんだが……。

 

 

「出来ればこの廃墟での調査を進めたかったのになぁ……」

 

 

このままここに居てもストレスが溜まるだけである。

 

仕方なし、ここはドローン達にでも探索させるか。

 

前回みたいにならないように端末でドローンに設定を入力、第一に非接触、第二に未発見、第三に回収と打ち込み量子ストレージに回収して持って来るように言った。

今度こそマシな収穫があればいいが さて、この場所にはもう居られない。

暫くは何処かで身を隠す必要がある。

 

 

「砂漠に身を隠すか森に身を潜めるか……。

━━━うん、後者だな」

 

そう決めて鉄骨で作られたバリケードらしき物を乗り越えて森の中に入った。

しかし生きている人間が滅亡してどれだけの時間が経っているのだろうか。

 

廃墟の樹木の樹齢はもはや1、200では訊かないだろう。

何より人の死体が、骨すら見つからない。

 

この星で本当に何を行っていたのか?

 

そしてヨルハと呼ばれるアンドロイド部隊。

敵ではないと叫んでいるが━━━。

 

AIらしき人工知能は確認できず、何故か機械生命体と呼ぶロボット連中と同じ素材によるコアを搭載し、そこから思考をしているようだ。

 

もはやどちらを信じればいいのか。

ギシギシと鳴らす橋の音を聞きながら、周囲を見渡し、

 

 

 

そこで彼は何故かある遊園地とロボット達の村に叫んだ。

 

 

『立地がおかしいだろぉぉお!?』と。

 

 

そこが元は都市であったことも忘れて。

 

 

 

 

 

 

「きっと人間さんは勘違いしているんだと思うんです!!」

 

追加人員の降下した現地で、情報共有の為に情報交換を行っていたところで現地支援人間派遣されたオペレーターモデル6Oが言い出したのが切っ掛けだった。

 

 

 

彼女は昔から地球に興味があったらしく、今回はかなりの倍率であったこの長期任務を勝ち取り、念願の大地に足を踏み入れていた。

それ故か、降下時点で一部の部隊と共に興奮しながらあちらこちらとせわしなく移動し続けていた。

そんな彼女が言うにはもしかしたら、人間の方で機械生命体と自分たちアンドロイドの区別がついていないのではないか? という話が出たからだ。

 

そもそもどこでそんな話が?

これは先ずその個体が人類なのかを調べる為の調査なのでは?

 

とも思ったがやけに強い熱意を持った一部の部隊員に押されてタスキと旗を作製し、廃墟都市内を渡り歩いて呼び掛けを行う事が決定された。

 

「わ、私たちは敵ではない。

貴方たち人類のみかた、よ、ヨルハ部隊━━━」

 

 

「ダメですよ、2Bさん! そんなに恥ずかしがったりして。

人間さんが不審に思っちゃいますよー?」

 

 

「……。

私は戦闘モデル、戦闘が主体の任務である以上、私はこの街頭演説の護衛を━━━」

 

 

「それを呼び掛けながらやるんです。

さぁもう一度いきますよ、さん、にぃ、いち、ハイ!」

 

 

「━━━っ、わ、私たちは敵ではありません!」

 

 

9Sが時折此方を見て笑っている。

2Bは何故かこの行動によって顔が熱くなったように感じた。

そうか、これが羞恥心という感情なのか。

 

彼女はそう思いながら必死で声をあげた。

 

 

この任務は自分には不適切だ。

後で絶対に修正をするよう報告しよう。

そう2Bは固く誓った。

 

 

因みにこの街頭演説、3日後には2Bを筆頭に戦闘モデルから苦情報告が相次ぎ、調査する方向にシフトしていった。

自分たちはバトルモデルでありこの様な任務では護衛を担当するのが正規な運用、装飾品を着けて呼び掛けながらの戦闘は危険性が高く不適切であるといった苦情を筆頭に報告していた2Bを見ながら9Sは珍しいこともあるんだなと思いつつ、その情報をポッドと保存していた。

 

「推奨:保存」

 

「確かにこれは大事にバックアップしておこう」

この一人と二機の行動を彼女は知らない。

 

 

「……私たちに用とはなんでしょうか?」

 

 

重苦しい空気で満たされた個室の中、双子のアンドロイドはその空気に耐えかねて言葉を発した。

 

 

彼女たちの他に室内にいるのは自分たちアンドロイドレジスタンスを纏めるリーダー【アネモネ】と通信ウィンドウに映るヨルハ部隊の指揮官【司令官】。

 

 

あぁ、この場所もやはりだめだったか。

 

彼女たちは仕方ないと思いつつもいつかは来るだろうと諦めた気持ちで自分たちを見る二人の言葉を待った。

自分たちには罪がある。

償いきれない大罪が、例え自分たちがやったのではないとしても━━━。

 

 

司令官が口を開く、重苦しい空気はまだ四散した訳ではないがこのままでもいられない。

だからこそ先に聞いて起きたかった。

 

 

『君たちにはまだ記憶はあるだろうか?』

 

 

 

 

その質問は双子にはタブーであった。

同型モデルの犯した大罪が今の自分たちを形作り、今こうしてその現状が続いているのだ。

記憶の消去と仲間であるアンドロイドからの迫害、恒常的な罪悪感の生成……。

 

 

「……。 処分されるのか、私たちは。」

 

 

どこか諦めたように聞くデボル、だが返答はある意味違っていた。

それは酷く的外れで、意味のない質問。

 

 

『━━━君たちの製造される前に人類による宇宙探査、いや移民計画はなかっただろうか?』

 

 

 

その言葉に首を傾げる、どういう意味だろうか。

腑に落ちないものの双子は答える。

 

ない、とは言えないと。

 

 

そもそも【あの計画】が起こる原因はとある病症が始まり、世界規模に拡散したためだ。

 

その一因でもある魔素は様々な要因を引き起こした。

特に技術的ブレイクスルーを引き起こし、それで私たちは作られたのだから━━━。

 

「そうか、━━━そうか」

 

 

何かを確かめるように二度、司令官は頷いた。

 

そしてまた尋ねてくる。

 

 

「そういった人類が居たとしたら、━━━その技術力は我々アンドロイドを凌駕しているのだろうか?」

 

 

何を言っているのだろう、要領を得ない。

リーダーであるアネモネも困惑していた。

だが、答えない訳にもいかないだろう。

 

 

「もし、もしそんな人類が居たのなら━━━」

 

 

 

それは間違いなく私たちを置き去りにしているだろう。

 

 

この言葉に二人は息を飲んだ。

そして双子は話を続ける。

 

日進月歩という言葉がある。

その言葉の意味は文字通りだ。

だから宇宙にもし人が居たのなら━━━

 

 

 

「私たちは人の器を守る為に長い間停滞していた」

 

「もしこの星から脱出し、生き延びていられたのなら私たちとは比べるべくもないわ」

 

 

「人は日々成長し続けていく。

何より残った人類を守る為に維持しか出来なかった私たちと宇宙に上がっていた人類。」

 

 

時間による進歩が違うわ。

━━━もっともいればの話だけれど。

 

そう締めくくった双子の話に司令官は沈黙した。

かの計画だけで千年以上経過している。

それだけあれば私たちには想像もつかない進化をしていても不思議ではない。

それが人間、私たちの創造主。

 

司令官は此方を強い眼差しで見ている。

やがて何か頷くと、

 

「お前たちに是非とも見てほしい映像がある。

但し、絶対に外部に漏らさないで貰いたい」

 

 

司令官は決断と共に情報を開示した。

その映像は双子にとって何を感じさせたのか。

どこからか流れた頬を伝う雫は彼女たちに忘れていた感情をもたらした。

 

長い年月、流すことのなかった安堵の涙を━━━。

 

 

人類は生きていた。

━━━絶滅してはいなかったのだと。

 

 

 

 

 

 

 




みんな感想どうもです。
でもみんなも書いてくれてもいいのよ?


とりあえず嘘予告



「ドラム缶の他にも湯沸し器みたいなのが……」


「私はパスカル、この村の村長をしています」


「こんなに貴重な映像機器をありがとうございます!!
早速子供たちに見せてあげます」

「や、やめてください!? それ以上おかしな情報を子供たちに教えないで!」


次回【苦労する村長】

機械生命体の村に一人の人間が現れる。
それは一体何を意味するのか。
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