チートによる自動股 作:さよならデータさん
「━━━なんだ、これは?」
砂漠に落とした探査ポット、それの安否が気になり(更新データが送られて来ているので無事なのは分かるが)、確認に漸く砂漠に移動した自分はそこで新たな人類の痕跡を発見した。
どうやら団地らしいがここも一体どうなっているのか。
多少崩れてはいるが普通に形を保っている。
どう考えてもおかしい。
こんな砂漠では風化も早いはずなのに建物は愚か、当時生活していたであろう人の私物や資料が一部残っている。
「……。 アンドロイドが維持している、いや、これは流石に有り得ないな。
だとすれば機械生命体が維持しているって事になるが━━━、先に道があるのか」
進めば進む程に増える疑問、そして道を辿ると見えてくる大量の壊れたアンドロイドの義体。
ここでは便宜上、死体と呼ぶのが正しいか。
とにかく大量にあるそれらに続くように奥に道が見えた。
通るとそこは重なった廃墟の穴がかなり広い空間になっている。
そこで信じられないものを見た。
大量に居た機械生命体達のその行為に正直、ドン引きしつつも今までのとは違う状況に彼は観察を始めた。
ひたすら四つん這いになってカクカクするやつに寝転んだ個体、それに体当たりしているもの。
唯一違うのはなにもない揺りかごを揺らして、こどもと話続ける個体位だ。
「……なんかいけないものを見てしまった気分だな」
彼等はこどもが欲しいのか? それともその為の行為に興味があるのか?
とにかく何か知らないうちに得た疲労感と共に観察していた機械生命体達の輪から出ようとしてつい、ある個体が喋った言葉に反応してしまった。
「オッパイ、スキ、スキ、スキ」
……俺も好き。
思わず自分もノリと雰囲気で肯定しそうになった。
もし彼等が同じ人類であったなら仲良くなれたのかも知れない。
ふと何かを思い出したように量子ストレージを漁る。
取り出したのはとある一冊の薄い本だ。
本来パスカルの村で子供の作り方を教えてと姉妹の機械生命体にねだられた時に見せようとしてパスカルに説教を受けた代物だ。
彼等にはこれを見る資格がある。
彼はそっとその一冊を置くと暖かい目で彼等の前から立ち去った。
願わくば彼等に祝福があらんと願って……。
ついでだが結局そんな彼等はとあるアンドロイドのペアに破壊され、とある機械生命体の兄弟を生み出し、崩落と共に大地に消えた。
同時に聖典として親しまれたその一冊の本も━━━。
その薄い本はきっと今も崩落した団地の奥で新しい持ち主を待っているだろう。
もしかしたら次の主となるのはこんな団地をうろつく貴方なのかもしれない。
▽
「フッ、なんだかとても晴れ晴れとしたいい気分だ。」
また余計な情報を機械生命体に与えた彼は意気揚々と団地から砂漠へと出た。
人に知恵を与えたとある神々もこんな優越感を抱いていたに違いないと思いながら気分良く砂漠へと歩いていく。
━━━たまには別の道に行ってみるかな。
ふと出た気紛れに道を変えてみる。
こういう新しい発見をした時にはそういった流れがきていることもある。
防御用のシールドエネルギーの配分を一部サーチシステムの索敵範囲拡大に回す。
網膜に投影されたマップ地点に大型物体の反応が映し出される。
前に探査ポットから送られたポイントと一緒か……。
ここに何かがある。
未知との出会いの興奮に彼は勇み足で向かって行った。
自分を害する事の出来る者などそうそういない、その油断が己に返ってくるとも知らずに━━━。
▽
「なんなんだ、一体、本当に、この物体はなんだというんだ!?」
砂漠にあったの大型物体の調査、その場所に向かった彼は有り得ないな物を目にした。
それは顔だ、何個もの大きく、そして不気味な顔がそこに廃棄されたように捨てられていた。
これがパスカルから聞いた異星人?
有り得ない、これは生物なのか?
取り敢えず調査を、そう動いたところでとてつもない既視感に襲われた。
━━━俺はこれを何処かで見たことがある。
始めは単なる違和感だった。
しかし、この球体の全体図を見ているうちにどうにもノイズのように何かが頭の中をちらついた。
間違いない、知っている、だがどこで?
今までの航海で見たのか、いや違う。
━━━もっと、もっと前だ。
多分、これは生前の━━━
そう思考を続けて赤黒い閃光が俺の身体を焼いた。
「━━━━━━ガァッ?!」
視界が真っ白になり、大量のアラート表示。
パワードスーツが異常を感知し、破損しながらも生命維持の為に細胞溶液とナノマシンの注入を始める。
自身の油断が生んだ完全な不意討ちだった。
先程の閃光で傷口が焼かれたというのに血が滲み出てくる。
不味い状況だというのに余計な思考が止まらない。
これが走馬灯というやつなのだろうか?
いつ以来だろう、こんな痛みを感じたのは?
いつからだろう、こんな無謀な調査を続けるようになったのは?
一体いつから、こんな風になってしまったんだろうか。
そんな思考を切り捨て、直ぐ様パワードスーツにバトルパッケージを展開し、牽制の一撃を放つ。
━━━出力が低い、どうやら動力機関に異常がおこったようだ。
安定性も悪い。
砂塵が舞う中をそのまま高速で飛行し、痛みを無視しながらバチバチと紫電を鳴らすレールガンで射撃を繰り返す。
敵は先程の大型物体だった。
まだ起動状態の物が残っていたらしい。
痛いと呟くように言葉を繰り返し自身を小型化したような弾幕を撃ってくる。
その弾幕が肩にマウントされたレールガンに接触し爆散した。
不安定とはいえ、こちらの防御機能を突破した。
━━━認識が甘かった。
こんなやつが砂漠に居たなんて……。
数分前の迂闊な自分を呪い殺してやりたい。
「くそっ、何とかしないと━━━」
量子ストレージに格納された予備の携行兵器を取り出し、直ぐ様迎撃を開始する。
しかし、予想以上に硬い。
此方の攻撃が通らず、彼方からの攻撃は此方の障壁を簡単に貫通する。
不味い、このままだと此方が持たない。
機動戦闘によるGが傷口を抉る、だがこうしなければ敵の攻撃に当たる可能性がある。
「仕方ない、か」
正直に言えば使いたくはない、だが手はあまりない。
直ぐ様機体のジェネレータに直結するエネルギーラインを手持ちの火器に繋ぎ、チャージを開始する。
さっきの不意討ちにより不安定な出力と使った際に、パワーダウンした時の対処、ましてや飛行中には危険だ。
一気に着陸してから一撃で決める必要がある。
ナノマシンが効いてきたのか痛覚が感じなくなってきている。
決めるしかない。
そう決意して、相手が動きを止めたことに気付いた。
いや、そうじゃない。
あれは━━━
その場で高速回転を始めた大型物体の出力が異常な程に増えていく。
そこであの兵器の言葉を思い出す。
『こんな世界、イラナイッ!!』
それは悲痛な叫びだった。
どうしようもない怒りだった。
だからこそ分かる。間違いない、こいつは自爆するつもりだ。
だが、いったい何故?
あちらが圧倒的に有利だった状況での自爆、不可解だ。
しかし、考えている時間はない。
悪態を着けながら降下し、大型物体に対して一撃を放つ。
━━━止まらない。
出力が更に高まる。
二撃目はなんとか相手にダメージを与えたがそれでも止まらない。
止めなくては、そう思っても不安定な出力と砂塵による威力の減衰で決定打にならない。
こんなところで━━━。
悔しさが込み上げる、どう考えても間に合わない。
あんなエネルギー量で自爆されたら地表は焼け、地軸にも影響を与えるだろう。
そうなればここは死の星だ。
もう数秒もない、逃げようにも逃げられなかった。
せめてこの星だけでも守りたい。
「━━━副官へ、今マークした座標に砲撃支援を。
繰り返す、指定した座標に砲撃支援を。
時間がない、一帯に向かって掃射しろ」
そう通信すると直ぐ様全機能を防御に回し、後退した。
避難は間に合わないだろう。
最悪、意識データだけは無事だろうがこの義体はどうなるかわからない。
「あぁ、あいつらはこの事についてどう思うかな……」
思い出すのは副官にパスカル、その村の機械生命体達。
泣いてくれるだろうか、それとも怒られるのだろうか?
そんな事をポツリと考えながら来た衝撃と閃光に意識を手放した。
▽
「なんだ、これ……」
デボルとポポルの二人はキャンプから依頼された補充品の回収に砂漠へと来ていた。
その事を利用して人類の探索も出来る限りしたが未だに成果はない。
それでも二人は諦めず、補充品を集めながら彼を探していたがその日は異常な出来事が起こった。
砂漠に起こった強烈な衝撃波と閃光、彼女たちは偶々運良く、離れた岩場に隠れることができ、被害を免れた。
そうして出てきた彼女たちを待っていたのは赤熱化した砂漠の一帯。
何があったのかはわからない。
だがこんなことが出来るのはもはや一人しかいない。
ふとその赤熱となった大地から何かが此方に歩いてくるのが見えた。
その機械装甲は熱によって焼け爛れ、内部がどうなっているのか想像もできない酷い有り様だ。
まるで亡霊のように覚束ない足取りでそのまま自分たちの岩場の近くまで来ると空間から何かを取り出し、装甲を脱いだ。
彼女たちは絶句した。
それは自分たちの探していた人物だった。
身体から焼け焦げたような異臭を発し、皮膚は爛れている。
見れば見るほどにどうして生きているのか分からないほどだ。
不意に気を失ったのか彼が倒れる。
それを彼女たちは慌てて支え、日陰へと運んだ。
触れてみて分かるその異常な体温、もはやこの熱さでは身体機能に異常が出ているだろう。
どうしてこうなるのか。
また間に合わなかった、そんな感情が脳裏を過る。
ふと彼が持っていた物体に視線を向ける。
赤い十字架の刻まれた金属ボックス、もしやとおもいその場で開けようとするがナンバーロックがかかっていることに気づく。
「そんな……。これじゃあ開けられない」
どうする、そう聞こうとして彼女の片割れはその箱へとハッキングを仕掛けた。
これしか希望はない、なんとしても助けるのだと回路が焼ける激痛の中で叫んだ。
「デボル!!」
その後の言葉はない、だが分かる。だって私達はそういう風に造られたのだから、
機材をセットし、マニュアルに従い中にある溶液の入った特殊な注射器を何度も彼の身体に打ち込む。
蒸気と共に彼の肉体が再生し、目にも止まらぬ早さで枯れ枝のようだった肉体にみずみずしさが戻った。
しかし、意識はまだ戻らない。
そんな現状を嘲笑うかのように敵性反応を持った機械生命体がこちらへと向かってきている。
「少し待っててくれ、直ぐに戻るから」
デボルは彼を眠るように倒れたポポルの横に寝かせると武器を抜いて立ち向かった。
例えそれが多勢に無勢であろうと自分たちの罪を償うために。
なんか中途半端になってしまった気がする、その内多分修正します。
多分。