私達のパパ   作:黒姫凛

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バイトを雇おうその1

「ーーーという訳で、今回から貴女はこの資料の通りに働いて貰います」

 

私こと、遙風霧乃(はるかぜきりの)は、立派に成人となり、何一つ罪を犯すことなく真っ当な社会人になる事が出来ました。

そして今、政府直属のハローワーク求人で、見事仕事を見つけることが出来、合格することが出来ました。

もう感激です!!

私の道は、誰の邪魔も入ること無く真っ当に進んでいます。生きてて良かったです。

 

「あの、質問よろしいでしょうか?」

 

「どうぞ」

 

「この資料を見る限りでは、孤児院の周りには空いている土地やマンションが見当たらないのですが、私は今の住居から通うことになるのでしょうか?」

 

私が働く所は、都市部から遠く、電車でも時間がかかってしまう所にある訳ですが。

今のアパートから通うとなると、金銭的にも苦しいのです。場合によっては、この仕事を断らなければならないかも………。

ううーっ、折角仕事が見つかったのに。

 

「ご安心ください。既にその件については、孤児院のオーナー様から孤児院の空いてるスペースに住んでいいと許可を得ております。風呂は共用、キッチンも共用でオーナー様が作られます。もちろん、お金はかからないと保証付でありますので、すぐにでも移住された方が宜しいかと思いますが?」

 

な、なんと!?

それは素晴らし過ぎますね!!

何ですか何なんですか!?凄すぎでしょ!!

ここのオーナーさん気前良すぎじゃないですか!!

本当に私の人生の道は甘々過ぎますね。いつか天罰が下りそう……。

 

「しかし、これはオーナー様が原因なのですが、お給料は安いと思っていてください。普通にバイトで稼いだ方がいいと思うぐらいの価格なので、後で苦情を起こさないように。辞めるなら今ですが?」

 

「あ、いえ。お金に関しては今はあまり困っていないので、住居を提示してくださっているだけでもありがたいですし、当分は節約ということで生活していきます」

 

「本当に宜しいのですか?後でここは嫌だとに泣きついても私共は何もしませんが、本当に宜しいのですか?深く考えてください。もう1度自分の胸に手を当てて考えてみて。さぁ、さあさあ!!考え直しましたでしょうか?」

 

なんか遠回しにこの仕事を降りなさいって言われているような気がする………。

何でこんなにも言ってくるんだろう。顔がめちゃくちゃ必死だ。

 

「あの、何故そこまで………?」

 

「………えっ?あ、いえあの。私としては、慣れない環境で少しばかり、物凄ーい居づらい所に入るのは何とも緊張した生活になってしまうので。その、そういう女性が物凄ーく、ここの仕事場では思ってしまうので、そんな緊張感に押しつぶされたくなかったら、辞めてもいいんだよ?って忠告しているだけなんです。ええっ?いいえ。別に羨ましいとか思ってるわけではありませんよ?仕事場としては、女性にとってとても、とてもとてもとてもとてもとても素晴らしいところだと思っていただいて結構なのですが?それとは違って、緊張感なるものが自分の身体を締め付けるのですよ?もー、その緊張感の元凶と来たらもー、溜まりませんわ!!!!」

 

えーと、つまりこの人は何が言いたいのだろうか?

辞めてもいいと忠告している?羨ましいとか思ってない?緊張感?素晴らしいところだ?何を言っているのだろうか全く分かんない。

まぁ何?ちょっと態度が気になるけど、折角ハローワークの人が一生懸命探してくれたんだし、断るわけにも行かないかな。

 

「わかりました。私、この仕事を全力でやります」

 

「えっ!?ほ、本当にやるんですか?もう後悔しても遅いのですよ?緊張感のあまり、胃袋に穴が空いて病院送りとかもう私達は知りませんからね?」

 

ちょっと待ってぇええ!!ドンだけ怖いところなの!?

今の私の決断が一瞬にして揺らいだんですけど!?

何?これが天からの罰なの!?私の選択を仰ぎまくって神様達は面白がってるの!?

何それ意味分かんない!!

でも、それでも私はーーー。

 

「お願いです!!私にやらせて下さい!!私、孤児院で子供たちの世話をするのが夢なんです!!お願いします!!」

 

私は、深々と頭を下げた。

もうどーなってもいいや。夢に近づけたんだから、全力で仕事を全うするしかない!!

 

「わ、分かりました。そこまで言うなら止めません。しかし、これだけは言っておきます。ーーー『くれぐれも、気をつけてください』」

 

私は、最後の最後まで必死だったが、最後の言葉だけは、耳にタコが出来るぐらい染み付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーへ?バイト?」

 

「ああそうだ。毎年毎年政府直属のハローワーク求人で、結構な奴が仕事を探していてね。その1人2人を貰ってくれないだろうか?」

 

「ああ〜、ハローワーク求人情報確かにいつ見ても満員ですからね。このご時世、仕事見つけるの辛くなりましたからね」

 

ああ、俺もこの家建ててなかったら、多分ニートだったわ。

別ルートの俺、乙でーす。

 

「で?どうする。貰ってくれるか?もちろん、仕事を真っ当してくれる忠犬みたいな娘を選ぶので、安心して欲しい」

 

まぁ確かに、俺1人でも何とかなってきたけど、労働力は必要かな。2人……まぁ大丈夫かな?別に特に見られても駄目なものはないからな。

あ、金銭的には心配だわ。

 

「じゃあ、2人貰いますね。あ、神崎さん。その娘達の住居が遠かったら、ここに住まわせること出来るので、そう言っておいてください。もちろん、お金は取らないし、衣食住揃ってるので安心をって。まぁ、ただし給料は残念なことに少ないからって言っておいてください。こちらも生活がかかってるから」

 

「だからもっと金を増やそうって言ったのにな。内閣も、他の大臣でさえも黒崎の生活が心配だとかなんとか言って、金の増量の声をずっと待ってるんだぞ?」

 

何それ初耳。

俺ってどんだけ希少価値なんだわ。

男としては嬉しいけど、なんか尺に合わないな。

 

「ええっ?マジかー。じゃあ今度から、増量してもらいますかな。あ、適度にお願いしますよ?いきなり大金とか、俺が持ちませんので」

「分かってるって。黒崎は他の男よりもお金の欲が少ないからな。そこは抜かりないぞ」

 

「ありがとうございます。では、またバイトの件、決定しましたら連絡お願いします」

 

「ん。分かった。じゃあ失礼する」

 

送りを響に任せ、机のコーヒーカップに手を添える。

むむむっ、なかなか大変な事になるな。

一応みんなには言っておいた方がいいかもしれない。

夜ご飯の時にでも良いかな。

コーヒーをグイッと飲み込み、苦味を味わいながらソファーに持たれかかる俺。そのまま、意識は眠りについていった。

 

 

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