さて、今は椚ヶ丘中学校受験日、私は回りを見て(正確には意識の波)緊張している人とそうでない人の区別をしていた。
そのなかで特に緊張していない人、浅野 学秀を見た、マンガで見た通り自信満々という感じだ、意識の波も穏やかこれ程安定してる人はあまりいないだろう。
「試験時間10分前ですこれより先私語をしたものは失格とします、それでは試験会場に移動してください、」
皆、試験官の人の後ろを黙って付いていく。
「ではここで座って後5分待っていてください、開始の合図はこちらで出します」
5分という長いようで短い時間を机の上にあるプリントに書かれている注意事項を読んでいる人が大半、読んでない人は前の時計を見ている。
「それでは始めてください」
試験官がそう言うと皆急いでプリントを広げ書き込んでいく。
最初の教科は私の得意な教科の理科だ(苦手な教科なんてない)。
そんな私が理科の化学式を間違えたのに気付き消しゴムで消そうとしたが消しゴムが見当たらない、そういえば昨日勉強し終わって消しゴムを入れてない。
どうしようと焦っていると横から消しゴムを渡された。
顔を見ていないけどそんな余裕がある人はカルマ君くらいしか思い付かない、もう一人いるが浅野君は人を助けるような性格はしていない、逆に忘れたのが悪いとこちらが攻められそうだ。
試験終了25分前に終わった(試験時間は45分)、もう一度問題と回答を見直して間違えてる所はないかを確認すると試験終了10分前に成っていた、丁度良い時間に成ったな。
「そこまで!ペンを置いて速やかに退室してください」
声と同時に立ち上り横を向いた。
あり得ないと思っていた浅野君だった。あり得ないと思っていたので瞬きして3秒ほど動きが止まってしまった。これは仕方ないと思う、直ぐに気が付き部屋を退室した。
次からの教科、国語、数学、社会、を全て完璧にこなしその日は終わった。
帰り際に浅野君を見つけて声を掛けた。
「あの、消しゴムありがとう」
「ん?ああ、困ってるみたいだったからね」
浅野君は消しゴムを一つしか持っていない様子だったから無い状態で全科目受けたことになる、それでも彼は間違える事は無かったのであろう、自信満々だ。
「それなら、もし君が入学したら宜しく僕は浅野 学秀」
「もし堕ちてたら?私は潮田 渚」
「それは無いよ君は最初の一ヶ所以外間違えてないようだったからね、それにあんなに早く解ける人が堕ちるはずが無い」
そうだね浅野君のいう通りだよ、私は全問正解の400点満点だという自信がある。浅野君も全問正解だろう。
「くすくす、それなら一緒のクラスに成れたら良いね」
「ああ「いた、浅野君!」それじゃあ失礼するよ」
「……絶対一緒のクラスになるよ浅野君」
私は彼が去った後で小さく呟いた、その呟きを聞いたものは誰もいない。