凡人は天才を夢見る   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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プロローグ

私は前世と呼ばれる記憶が存在する。

 

気がついたのは2才の時だった。

 

経緯は省略しよう。

 

聞いてもつまらないだろうからな。

 

・・・で、小さいながらに私は姉達同様に戦車道を行っていた。

 

家柄でそうせざるをえなかった。

 

そう、私は西住流の本家に産まれてしまったのだ。

 

私は凡人だ。

 

分家の専属教師に私は凡人と評価された。

 

砲弾は重くて持ち上げられない。

 

戦車のレバーを引く力もない。

 

天性の勘で相手を見つける(フィールド全体を見渡して指示を出す能力)もない。

 

お前は凡庸だ。

 

凡庸の三女西住ほむ(むほは語呂が悪かったんだろうな)

 

そう言われ続けている。

 

 

 

 

 

 

私は西住家でも一番きついポーカーフェイスだ。

 

産まれてこの方一度も笑ったことがない。

 

脳の病気ではないので笑おうと思えば笑えるが、笑えるような現状ではない。

 

前世の記憶が有るだけでまだ私は2歳、感情もこんなに発達するはずがないのだが・・・環境が悪いのよ。

 

環境が・・・

 

 

 

 

 

私の1日は1号戦車の中で始まる。

 

車内に置かれたレーション(菓子類無し)を食べる。

 

次に車内の掃除をしていると戦車を蹴る音が聞こえてくる。

 

キューポラを何とかして抉じ開け、教官(分家の人)を中に入れる。

 

「遅い、お姉様方は2歳の頃、とっくに朝のメニューを終わらせていたぞ。装填は?」

 

「ま、まだです。」

 

バコ

 

「早くしろ。次は平手では済まんぞ。」

 

「は、はい!!」

 

私は凡庸だ。

 

力がないのだ。

 

 

 

 

 

 

必死に装填して標準を絞っていく。

 

「遅い!!何分かかっているんだ!!お姉様方は15秒以内だったぞ!!」

 

「すみません。」

 

「謝るのだけは上手いな。お前は。」

 

私は凡人だ。

 

だから名前も呼ばれない。

 

三女か凡人か凡庸かお前しか呼ばれたことがない。

 

小さい頃は知らないが・・・。

 

 

 

 

 

 

キューポラを上下する筋トレを平手を受けながらやっていると、姉達が乗った2号戦車がどこかに行くのが見えた。

 

「何をしている!!手が止まっているぞ!!」

 

「すみません。」

 

記憶が確かなら川辺に行って釣りをしていた筈だ。

 

羨ましい。

 

 

 

 

 

 

 

姉達にとってアップのようなものを終わらせるのに、私は夕方までかかる。

 

私にはアップが終わるまで食事が出されないから死ぬほどお腹がすく。

 

15分間しか食事の時間が与えられず、喉に詰まらせながらもゼリー状の食事を流し込む。

 

姉達は天才だから練習を終わらせたら、普通の食事を食卓で食べている。

 

父親が申し訳なさそうにこちらを見てくるが、母親に何かを言われると目線を外す。

 

姉達はよくわかってないのか食事を終えるとテレビを見ていた。

 

私は夕方までとは別の教官がやって来て訓練を続けている。

 

私は凡人だ。

 

西住では歴代最弱だ。

 

 

 

 

 

10時には訓練が終わる。

 

戦車をそこから掃除して、そのホースから出る水で体を洗い、戦車の中を掃除していると意識が無くなる。

 

私の1日はこうして終わる。

 

お米が食べたい。

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