黒森峰・・・私の嫌いな分家のとある家が校長を、私の祖母が理事長をしている中高一貫校だ。
「・・・。」
私は今様々な顔をしているだろう。
憎悪が少しずつ増えていき、嫌いというレベルではなくなった私の西住への感情を帽子を深く被り必死に隠す。
身体が成長するにつれ、私の顔は母であるしほにとてもよく似てきている。
そのため見る人が見れば血縁を疑うはずだ。
「戦車道部の外部整備員の方かね?」
警備員が声をかける。
私の姿は有名な整備会社の作業服であり、一応整備の方の免許も持参している。(製造に比べると凄く簡単であり、会社等に勤めている人くらいしか取ることはない。)
「はい!!4号突撃戦車ラングの修理に来ました。」
「まっすぐ行った所に事務室が有るから校内移動許可書を書いてくれ。」
「はい。」
ときどき素の自分が出てしまう。
凡庸の私には潜入も完璧にはできないか・・・。
「新入部員、私が新しく隊長に就いた西住まほだ。君達に求めることは勝利だ。ここは黒森峰、全国で一番強い学校、つまり戦車道も全国の模範となるように頑張ってくれ。以上だ。」
まさか先輩が全員隊長就任を辞退するとは・・・。
こんな時期まで新しい隊長が決まらなかったなんて異常だ。
だが・・・みほは無論、エリカという逸材もいる。
先輩と同学年には島津4姉妹の長女島津義和さんと次女の島津義美がいる。
本当は義和さんに隊長をやってもらいたかったが・・・
「本家のまほちゃんがいるのに隊長やると私の胃が死んじゃうからやりたくないかなー・・・理解してくれる?」
と言われたからにはやらせられない。
そもそも義和さんは引きこもり体質だから隊長にはあってないのかもしれない。
「隊長、姉のかわりに私があなたを支えます!!」
戦術兵器義美・・・中学時代キル数57両の私の次に戦車を破壊しまくったヤバイやつ。
「私の胃が死ぬ。」
隊長なので弱い姿を見せるわけにはいかないが、変頭痛が希に起こるようになった。
ストレスだろうな。
「西住の次期家元がそんな顔をしない。」
工具箱を持った女性が立っていた。
「・・・!?ほむ!?」
敵情偵察は早々に諦め、4号突撃戦車を直し終え、あいつに会って帰ろうと思ったけど、頭を抱えている姉がいたので、せっかくなので声をかけることにした。
で、今姉の部屋である隊長室に場所を移していた。
「3LDK・・・黒森峰は金持ち・・・良いな。」
「まだ慣れていない。1人でこれだけ広いと使い道がない。」
「そんなもん・・・か。」
「お母様と文通していることは知っていたが、黒森峰に何の用だ?」
「敵情偵察・・・をしたかったけど、警備が厚くて無理だったからラング直して帰ろうとしていた。」
「継続も必死に探ってるんだな。」
「違う。継続高校の部員と私は険悪。」
「ならなぜ?」
「気分。」
「そうか・・・。」
「気分は気分だけど・・・宣戦布告をしようか。」
「宣戦布告?」
「西住を倒す。島田を倒す。戦車道というカテゴリー全てで。」