FAIRY TAIL ◼◼◼なる者…リュウマ   作:キャラメル太郎

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ヒドゥンってやってる方はマジで難しそうですよね…。
だって本物そっくりなのがいっぱいいるんだもの…。




第三七刀  愚かな大鴉

 

 

リュウマは今医務室へと向かっていた。

 

エルザからウェンディがレイヴンテイルにやられたということを、Bチームのメンバーに話したところ、第一試合の隠密(ヒドゥン)は自分達の誰かから選出しておくからウェンディの所にお見舞いに行ってこいと言われ、向かっていたのだ。

 

なお、ウェンディがやられたことを話した時はもちろんラクサスもガジルもミラもジュビアも怒り心頭といった具合であったが、今はまだその時ではないと説得した。

 

今は…ということは、仕返しはするということを暗に示しているので恐ろしい。

 

──コンコンコン…

 

「ウェンディ、大丈夫か?」

 

「えっ!リュウマさっ!うっ…!」

 

「興奮すんじゃないよ!…まったく…面会が多いね。この娘はまだ弱ってるんだ、面会は短く済ませな」

 

「無論そうする」

 

リュウマがお見舞いに来てくれたことに驚いたウェンディは、寝ているところから上半身を起き上がらせようとして、痛みに悶えた。

 

ポーリュシカはそんなウェンディに呆れながら再びベットに寝かせて面会は短く済ませろと言う。

もちろん相手は病人で、無理はさせたくないので了承した。

 

「ごめんなさい…修業したのに…私…!」

 

「悪いのはウェンディではない。それは皆が知っていることだ。ウェンディが出られない分は我等がやる…気にしなくていい」

 

「グスッ…ありがとう…ございます…!」

 

「辛そうだな…大丈夫か?」

 

謝りながらも辛そうにしているウェンディの額に手を乗せて優しく擦る。

ウェンディは撫でられて気持ちがいいのか、そのまま目を瞑った。

 

「リュウマさんに撫でてもらえたら気分が良くなりました…我が儘になっちゃうんですが…私が眠れるまで…手を…握っ…て…」

 

「あぁ、分かった。眠るまで手を握っていよう」

 

瞼が少しずつ閉じそうになりながらもお願いするウェンディに応えて手を握ってあげるリュウマ。

もう片方の手はウェンディに抱き抱えられながらも一緒に寝ているシャルルの頭を撫でている。

 

「…スゥー…スゥー…」

 

「…スゥー…スゥー…」

 

「眠ったか…ふふ…2人で仲良く気持ち良さそうに眠りおって」

 

そう言いながら優しく微笑んで2人の頭をゆっくり撫でている。

 

──レイヴンテイル…一度で終わりとは限らん。恐らくはもう一度どこかで邪魔をするはず…その時は…

 

「折角小娘が寝たというのに、そんな阿呆みたいな魔力垂れ流しにするんじゃないよ」

 

「…!そうだな、すまない」

 

レイヴンテイルに対して怒りを感じていたら何時の間にか魔力が出ていたようだった。

それをポーリュシカに指摘されて慌てて抑える。

 

「用が済んだんならさっさと出て行きな。本来はもう誰も入れるつもりはなかったんだからね」

 

「そうか、それは失礼した。では…ウェンディ達の事は頼んだ」

 

「顧問薬剤師舐めるんじゃないよ」

 

最後にありがとうと言って医務室を後にした。

ウェンディが寝ているベットの傍の棚には、何時の間にか花が置いてある。

リュウマが来るまではなかったということは、リュウマがこっそりと置いていったのだろうとポーリュシカは思った。

 

「小娘が寝たところで、もう一度検査しておくかね」

 

ポーリュシカは寝ているウェンディの布団をゆっくりと剥がして顔色などを見ていく。

しかし…

 

──カチ…カチ…カチ…カチ…

 

「なんだい…この音は…この2人から聞こえるのかい?」

 

どこからか、時計の針が時を刻むような音が聞こえ不審に思い、出所であるウェンディとシャルルの服を少し捲って見てみると…

 

「こ…これは…魔法陣?」

 

複雑な形をしている魔法陣が2人の体に刻まれていた。

それを見た瞬間、まさか誰かにやられたのかと思ったが、自分はずっとここに居たし誰も入れなかった。

 

それに魔法陣をよく見てみると、攻撃的なものではなく、治療系の魔法陣に見えた。

 

──これは…文字はかなり古いものだね。古すぎてなんて書いてあるか分からないが…治療…?いや、時間逆行…違う…まさか体を再構築しているのか…?

 

ポーリュシカはあまりに古い文字と複雑で強固な魔法陣を見てそう思考する。

 

実際に再構築というのは合っている。

 

これはリュウマが自身に大きな怪我を負った時などによく使う『自己修復魔法陣』である。

魔法によって傷そのものを塞いだり、自然治癒力を極限まで高めたりするものではなく、コレは更にその上位。

 

刻んだ対象の体を分析…そこから更に解析し…健全な状態を把握したら、それに合わせてるように体の組織を再構築する魔法陣。

 

つまり、どんな傷であろうと、この自己修復魔法陣を刻めば傷跡を残すことがなく、筋力低下であろうがなんであろうが健全な状態まで治す事が出来るのだ。

 

ただし、効果は刻んだ対象者の総魔力量に依存する。

魔力が高ければ高い程早く修復させることが出来るが、魔力がそこまで高くないと修復に時間がかかってしまう。

 

元々リュウマが自分の為に独力で創り上げた魔法陣なため、仕方ないのだが…それでも時間さえあれば対象者を完璧に修復させるこの魔法陣の効果は凄まじかった。

 

因みに、刻まれた文字は古いなんてレベルの物でなく、現代において最早使われておらず、使っていた()()()1人を遺してもういない。

つまるところ、これは世界で唯一の最古にして世界的に貴重な文字だ。

 

どれ程かというと、古代文字に関する学者がいたら卒倒し、何が何でも手に入れようとする程のものだ。

 

「まさかあの男が…まったく…これじゃあ顧問薬剤師が形無しだよ」

 

ポーリュシカはそう言いながらも、顔色を良くして大分回復してきている2人を見て安心したような顔つきになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──Bチーム観覧席

 

 

 

 

リュウマは医務室を後にしてから直ぐに自分のチームであるBチームの観覧席へと向かった。

競技パート第一試合の隠密(ヒドゥン)は既に始まっているため急いで戻る。

 

「試合の方はどうなっている?」

 

「リュウマ!ヒドゥンにBチームからはジュビアがでたわ」

 

「もう試合ははじまってるが…」

 

「ギヒッ!こいつはダメだな」

 

「…?何かあったのか?」

 

「それがね──」

 

ヒドゥンは魔法によって具現化された街の中で、相手の選手をどんな魔法でも攻撃するというもの。

攻撃すれば1点加算され、攻撃されれば1点減点される。

 

もちろんそれだけではなく、街中には選手達のコピーが山ほど召喚されており、それに間違っても攻撃すれば1点減点されながらもスタート位置に転送されるというものだった。

 

ジュビアはAチームから出たグレイのコピーに開始早々抱き付いて減点を食らったようだ。

流石のリュウマも溜め息を吐いた。

 

グレイやジュビアも頑張っているのだが、いかせんレイヴンテイルから出たナルプディングがフェアリーテイルを集中攻撃をし、ポイントを稼ぎながら邪魔をしてくるのだそうだ。

 

そうしている間にセイバートゥースのルーファスが動き、魔法で造り出された光の矢を他の選手に放ち高得点を一気に手に入れる。

初見で唯一躱し、反撃に出たナルプディングも撃破して結局全員分のポイントを一瞬に手に入れて首位へと立った。

 

そこからジュビアやグレイも健闘したのだが、グレイが最下位のジュビアが下から二番目という結果に終わった。

 

今のところAチームは今だ0ポイント。

Bチームが11ポイントといった具合だ。

 

「ギャハハハハ!フェアリーテイルよっえ~!!」

 

「流石は万年最下位だな!!」

 

「もうお前らの時代は終わってんだよォ!!」

 

試合が終わった瞬間、観客からフェアリーテイルに向けて侮辱の言葉と罵倒雑言、嘲笑いが飛び交う。

グレイもジュビアも顔を俯かせてそれぞれの観覧席へと帰って行く。

 

「ご…ごめん…なさい…!じゅ、ジュビアは…!」

 

ジュビアが観覧席に帰ってきたら直ぐに頭を下げてBチームの全員に謝る。

下げて見えないが水滴が下に落ちていることから泣いているのが分かり、何と声をかけてやればいいのか困惑しているが、リュウマがジュビアに向かって歩き出す。

 

ジュビアは怒られるのかと思い肩をビクリとさせる。

リュウマがジュビアにその手を伸ばし…

 

──ポン…

 

「…!」

 

「普通ならば優しい言葉をかけてやるのだろうが、俺はその場凌ぎの優しさなんぞ与えない。故に俺はお前にこう言おう…この屈辱を…敗北感を…絶対に忘れるな。この敗北を次に生かせ。そして乗り越えろ…!悔しいのはお前だけではないし、ここに居る皆が同じ気持ちだ。故に…次は期待しているぞ、ジュビア」

 

「──ッ!…うっ…グスッ…はいっ…はいっ!」

 

リュウマは頭を下げるジュビアの肩に手を置いてそう口にした。

ジュビアは優しい言葉をかけられるのではなく、この今の気持ちを忘れずに次に生かせと言われた。

 

顔を上げればBチームの全員がジュビアを見ていたが、その目に否定的な感情を宿しておらず、みんながジュビアと同じ気持ちだとでも言うような目をしていた。

 

そしてあのリュウマが…妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強たる男が自分に対して期待していると言ってくれた。

散々に負けて罵倒雑言言われる原因たる自分に。

その事実が流す涙を促進させるが、嬉しかった。

 

優しい言葉よりも自分を掻き立てる言葉を言ってくれたリュウマに対して泣きながら小さな声で何度もお礼の言葉を繰り返した。

 

「あなた達もこれ位言えなきゃね♪」

 

「ケッ!」

 

「オレのガラじゃねぇよ…」

 

ミラの言葉に顔を逸らす2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ!1日目のバトルパート第一試合!対戦は…』

 

そしてこの後はバトルパートであり、第一試合の対戦は…

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)A!ルーシィ・ハートフィリア VS──』

 

「あ、あたし!?」

 

 

大鴉の尻尾(レイブンテイル)!フレア・コロナ!』

 

「金髪ぅ…」

 

 

最初からフェアリーテイルとレイブンテイルとの戦いとなった。

 

バトルパートは広大な闘技場全てがバトルフィールドとなるため広く戦うことが出来る。

 

制限時間は30分であり、相手を戦闘不能状態に出来たら勝利である。

 

 

 

『それでは第一試合…開始!!』

 

 

実況の開始合図がされた瞬間にルーシィが動いた。

 

「行くわよ!開け!金牛宮の扉・『タウロス』!」

 

「MOォーーーーー!!!!」

 

召喚したタウロスがフレアに向かって自身が持つ斧を振り下ろし攻撃するが避けられてしまう。

 

「『スコーピオン』!」

 

「ウィーアー!」

 

ルーシィはそれだけだと手数的にダメだと悟ったのか、スコーピオンを呼び出して二体同時開門をする。

 

「『サンドバスター』!!!」

 

「フフフ…」

 

スコーピオンの機械仕掛けの尻尾から放たれる砂の竜巻状の攻撃を、フレアは伸ばした髪の毛で受け止めた。

自身の髪を伸ばしての戦闘は珍しいのでフェアリーテイルのメンバーは少し驚いている。

 

「タウロス!スコーピオンの砂を!」

 

ルーシィの指示でタウロスはスコーピオンの放った砂を自身の持つ斧へと吸収させて合体技を繰り出した。

 

「『砂塵斧(さじんぶ)アルデバラン』!!」

 

「ぐあぁあぁあぁぁ!!くっうぅ…金髪ぅ」

 

フレアはその威力に吹き飛ばされるも、空中で体勢を立て直しながら髪を狼の形にしてルーシィを狙うが…

 

「『キャンサー』!」

 

「任せる…エビ」

 

呼び出したキャンサーを使って髪の毛を切り尽くし防いだ。

フレアは着地と同時に髪を地面へと突き刺した後に伸ばしてルーシィの足下まで伸ばしたら、足に絡めさせて振り回し、地面へと叩きつけた。

 

「私の赤髪は自由自在に動く…」

 

「うぐっ…それならあたしの星の大河(エトワールフルーグ)だって自由自在よ!」

 

ルーシィは腰に付けた星の大河をフレアの腕に巻き付けた。

フレアとルーシィはお互いにお互いを振り回して吹き飛び痛み分けとなる。

女同士の戦いにも関わらず両者は一歩も引かなかった。

 

フレアの髪は焼ける赤髪であるため、触れた物は焼ける程の熱をもつのだが、掴まれたルーシィの足はブーツが焼けただけであった。

 

それに業を煮やしたのかまたも自身の髪を地面へと突き刺した。

ルーシィはその行動に先程と同じく地面からの攻撃かと予測するのだが何処からも来ないので警戒する。

 

しかしフレアは指をフェアリーテイルの応援席へと向ける。

それに従いチラッと見てみると、アルザックとビスカの一人娘であるアスカの横にフレアの赤髪があった。

 

「──ッ!?アスカちゃ──んぐっ!?」

 

「声を出すな…これは命令…」

 

──この人…やり方がきたない…!

 

ルーシィはそう心の中で叫んだ。

しかしそこからはフレアがルーシィに何もするなと命令して攻撃を与えていく。

アスカを人質に取られているために防御する他ないが、髪でも魔法であるため着実にダメージが入っていく。

 

「このまま何もするな…いいな」

 

 

 

 

 

 

「……キャンサー!!」

 

四肢を髪で縛られて動けないところを命令されるが、キャンサーを呼び出して拘束していた髪を残らず切った。

 

「この…!あの子供がどうなってもいいのか!」

 

「やれるものならやってみなさい」

 

「…そう…なら望み通りにしてあげ…る…」

 

フレアはアスカの方を見て意思のように固まった。

何故か?

 

フレアの視線の先には…

 

 

「リュウマ!?何故ここに!」

 

「………。」

 

「わ~お兄ちゃんどうしたの~?」

 

 

Bチームの観覧席に居るはずのリュウマが片手でアスカを抱き上げながら、もう片方の手でフレアの赤髪を掴んで黒い焔で燃やし尽くしていた。

 

リュウマの顔を隠していた三度笠から目が見えた。

その目は…

 

 

『良かったな?俺が貴様の相手だったら無惨に斬り殺していたぞ塵が』

 

 

と、物語り…首に抜き身の刀を突きつけられ、今まさに斬られそうになっていると錯覚してしまう程の殺意を飛ばしていた。

 

それをダイレクトに飛ばされているフレアの身体はカチコチに固まってしまい、動けずにいた。

 

 

 

 

 

 

──ルーシィが反撃する数分前

 

 

──なんだ…突然ルーシィが一方的にやられだした。

 

先程まで優勢だったにも関わらず、いきなり一方的にやられ始めたルーシィに対してリュウマは怪しんだ。

戦いの中でやられるならば分かるが、防御だけで反撃もしないことに怪しんだ。

 

そこで思い出した…相手はレイブンテイルだったということを。

 

ルーシィはフレアに激しく攻撃されながらもBチーム観覧席にチラリと視線を向けた。

実際にはリュウマに向けて視線を向けた。

所謂、一瞬のアイコンタクトだった。

 

──アスカちゃんが…お願い!

 

「…なるほど…やはりそうか」

 

そして、そのアイコンタクトをリュウマは完璧に拾い上げた。

 

そこからは速かった。

魔力を脚に纏わせて強化し、重ねて縮地を使って神速の速度を持ってフェアリーテイルの応援席へと移動した。

 

──この赤髪は確かにあの小娘の物だな。

 

そう心の中で呟きながらアスカを抱き上げて髪を掴み燃やした。

 

「リュウマ!?何故ここに!」

 

「………。」

 

「わ~お兄ちゃんどうしたの~?」

 

ここでルーシィが、リュウマがアスカを助け出した事を悟り反撃に出たのだ。

 

──さぁ…お前に教えたアレを見せてやれ

 

リュウマのその言葉に、ルーシィは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

──ところ戻り闘技場にて

 

 

 

──ありがとうリュウマ!!

 

そう心の中で感謝するルーシィは、フレアに向き直る。

 

「よくもアスカちゃんを人質にしてくれたわね…許さないんだから!」

 

「あ…あぁ…」

 

フレアは未だにリュウマの殺気をその身に受けているため動けない。

ルーシィはそれを見逃さずに、ビーチの修行の時にリュウマから直々に教えて貰った技を使おうとする。

 

『ルーシィは鞭を使うのだったな。こんな技があるのだが、良ければ覚えてみないか?』

 

『えっ!あたしに教えちゃっていいの?リュウマの技なんでしょ?』

 

『ルーシィならきっと…これを使いこなすだろう。それならば何も惜しくない。是非使ってくれ』

 

『うん!ありがとう!』

 

──リュウマ…あたしの為にありがとう!練習の成果今見せるね!

 

「リュウマ直伝!───」

 

その場から空中に飛んで、星の大河を地面へと思い切り叩きつけた。

するとそこから小さい岩がフレアへと向かっていき、フレアを足下から迫り出てきた巨大な岩が包み込んだ。

ルーシィはそこからはもう一度地面へと鞭を叩きつける。

すると白い蛇のような形をした魔力が巨大な岩を螺旋状に駆け上り…頂上へと着いた瞬間──

 

「──秘技・『地這い大蛇』!!!!」

 

「きゃああああああああああ!!!!」

 

巨大な岩を四方へと弾き飛ばしながら大爆発した。

 

フレアはその爆発に吹き飛ばされるもまだやられておらず立ち上がろうとするが、ダメージが大きくなかなか立てずにいる。

 

「チャンス!『ジェミニ』!」

 

「ピーリ/ピーリ」

 

──ボフン!

 

「って…なんでその格好なのよーー!?」

 

「しょうがないよ、コピーした時の姿なんだから…」

 

「あ…お風呂上がりの…」

 

『『オオォォォォォォォォ!!!!』』

 

「ば、バスタオル…!」

 

「い、イイ!!!」

 

「いいぞぉーー!!!」

 

「うぅ…まさかバスタオルなんて…」

 

チャンスだと思い、ジェミニを呼び出して自身へと変身させるが、まさかのバスタオル一枚の姿で現れたので驚く。

観客はそんなジェミニに釘付けとなり歓声を上げた。

ルーシィはその観客の歓声に恥ずかしそうにするも、試合中なので直ぐに気持ちを立て直す。

 

ルーシィは自分に変身したジェミニと手を繋ぎながらあの詠唱を唱えていく…

 

 

「「天を測り…天を開き…あまねく全ての星々…」」

 

 

かつて、オラシオンセイスとの戦いの際にリュウマによって教えられた星々の超魔法…

 

 

 「「その輝きを持って我に姿を示せ」」

 

 

その威力たるや…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のもの…

 

──とうとう己の物にしたか…流石だな。

 

リュウマはそう口にした。

修行の時に放てるようにと練習台となっていたのだから、その努力は1番知っていた。

 

 

「「テトラビブロスよ…我は星々の支配者…アスペクトは完全なり」」

 

 

「な、なに…なんなのコレ…!」

 

 

──見せてあげるわ…これこそが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力よ!!

 

 

    「「荒ぶる門を開放せよ」」

 

 

──これがギルドの誇りをかけた一撃!!

 

 

   「「全天88星………光る!」」

 

 

──魅せてやれ…その一撃を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「『ウラノ・メトリア』!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああぁああぁあぁああぁああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

フレアはルーシィの放った星々の超魔法により吹き飛ばされ、気を失った。

ルーシィの戦いは…見事勝利で終わったのだ。

 

 

『し、試合終了ー!!何という凄まじい魔法でしょうか!フレア選手は戦闘不能となりこの試合…フェアリーテイルAのルーシィ・ハートフィリアの勝利です!』

 

「よっしゃあーーー!!!」

 

「よくやったぞルーシィ!!」

 

「…!うん!!」

 

ルーシィはフェアリーテイルの応援席に向かって満面の笑みを浮かべながら大きく手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ウラノ・メトリアを放つ数分前

 

 

「いきなりここまで来て、どうしたというんじゃ?リュウマ」

 

「あのルーシィの相手の髪がアスカを狙っていた。恐らくは…いや、確実に人質にとって脅していたのだろう」

 

「「「……!!!!!」」」

 

そう言って燃えカスとなっている髪の毛をフェアリーテイルのみんなに見せる。

みんなはその事実に騒然とさせて怒り心頭といった具合だ。

 

「あいつ…!」

 

「なんてきたねぇんだ!」

 

「レイブンの奴めぇ!!」

 

みんなはレイブンテイルの方を睨み付けながら言葉を溢す。

 

「アスカをありがとうリュウマ…」

 

「私達が気づかないばかりに…本当にありがとう…なんてお礼を言ったらいいか…!」

 

「クカカ、そう気にするな。しかし…レイブンテイルは今度何をしてくるか分からんからな…皆も用心しておけ」

 

「おう!」

 

「気をつけるな!」

 

「本当にありがとう…!」

 

「ありがとう…!」

 

アルザックとビスカからお礼の言葉を言われて、気にするなと言いながら、フェアリーテイルに注意をしておく。

レイブンテイルは何処から何をしてくるか分からないためだ。

 

もしかしたらまた人質に誰か襲うかもしれないし、何か罠を仕掛けてくるかもしれない、そういったものをフェアリーテイルのメンバー頭の中に入れておかせた。

 

「アスカ?少し父と母の元へ行ってくれないか?」

 

「え~なんで~?」

 

「後で高い高いをしてやる…それならどうだ?」

 

「ほんと!?わかった~!!」

 

リュウマは自分に抱き付いていたアスカを下ろしてやり、トテトテと走ってアルザックとビスカの元へ行ったのを確認すると、アスカの耳を塞ぐように指示をした。

 

そして──

 

 

「『おい…レイブンテイルの塵共。次に余計な真似をしてみろ…貴様等の仲間を1人ずつ攫って拷問にかけた後、体を24分割に切り分けて1時間に1パーツずつ貴様等の拠点に送りつけてやる…最初は爪だ…次に指…次に手首まで…嫌なら大人しくすることだな…ゴミに群がることしか能の無いカラス共め』」

 

 

「「「「「……………………。」」」」」

 

「え~?何も聞こえないよ~?どうしたの~?」

 

リュウマはその場で身の毛もよだつような言葉を吐き捨てる。

本来この場で言っても聞こえないはずなのだが、リュウマは自分の声を目的の位置にまで届かせる音弾をレイブンテイルの観覧席にまで飛ばした。

 

「どれ、アスカ?高い高いだ!」

 

「きゃっ!あはは!わーい!あははははは!もっとやって~!あはははは!」

 

「ふふふ…仕方ないな」

 

 

((((こ…こっえぇぇぇぇぇぇぇ!!??))))

 

 

フェアリーテイルのみんなの心の声が1つとなった。

その張本人はアスカに高い高いをしてやって遊んであげていた。

先程までの見ただけで死にそうになるような眼はなんだったのか、早い変わりようである。

 

「では、俺は観覧席に戻る。見つかると面倒だからな、またなアスカ」

 

「うん!またねお兄ちゃん!」

 

「ふふ、うむ」

 

アスカの頭を優しく撫でてニコッと笑ってあげると、その場から一瞬にして消えた。

 

 

((((絶対怒らせないようにしよう…))))

 

 

みんなの心に誓いを立てさせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──大鴉の尻尾(レイブンテイル)観覧席

 

 

「チッ…フレアめ、何をしているんだ」

 

「分かんねぇでさぁ…」

 

「あんな魔法を食らったらフレアは戦闘不能になるな…オーブラ、あの女の魔法を消せ」

 

「……。」

 

相手の魔法を消し去ることの出来るオーブラが実行しようとしたその時──

 

 

『おい…レイブンテイルの塵共。次に余計な真似をしてみろ…貴様等の仲間を1人ずつ攫って拷問にかけた後、体を24分割に切り分けて1時間に1パーツずつ貴様等の拠点に送りつけてやる…最初は爪だ…次に指…次に手首まで…嫌なら大人しくすることだな…ゴミに群がることしか能の無いカラス共め』

 

 

突如計り知れない殺気と共にそんな声が観覧席に響いた。

その言葉を真実たらしめるかの如く殺気が観覧席を覆っているため、レイブンテイルのマスターたるイワンは冷や汗をダラダラと掻き、それ以外のレイブンテイルのメンバーは全員白目を向いて泡を吹きながら気絶した。

 

あまりの殺気に幻を見てしまったのだ…

 

 

自分に対して嗤いながら拷問し…最後まで死なないように手足から少しずつ己の体を24分割に斬り落としていくリュウマの姿を…斬り落とされていく自分の体…その鮮明な幻を…。

 

 

無論そんなものに耐えられる筈もなく、脳がこれ以上は危険だと判断して自動的に気絶という手を取った。

つまりは、ただの殺気だけで今まさに集団で死にかけたということだ。

 

 

──な、なんなんだ…これは…!ば、化け物か…!もういい…試合なんぞこの際どうでもいい…目的を最優先にする。さもなくば…我々が死ぬ…。

 

 

 

 

リュウマの脅しは、想像以上に効いたらしく…レイブンテイルに恐怖とトラウマを刻み込みながら釘を刺すどころか叩き刺すことに成功した。

 

 

 

 

 




いや~、リュウマ様恐いですねぇ…。
ウチのリュウマ様ならやりかねない…てかやりますねはい。


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