仮面ライダービースト ~Magic Girl Dinnertime~ 作:流離太
『何なんだぽん。あの仮面ライダーは……』
森の音楽家クラムベリーの相棒たる電子妖精「ファヴ」は、ツートンカラーな体躯を怒りで震わせる。
彼とクラムベリーは「魔法の国」の人材発掘部門から派遣された、魔法少女選抜試験の試験官だ。
本来は高校受験の数倍生温い試験を、血みどろの殺しあいと絶望で面白おかしく彩ってきた。
今回の試験は才能溢れる魔法少女候補生で溢れ、さぞ刺激的なゲームになるだろうと踏んでいたが。
「さぁ、ショータイムだ!」
あの「仮面ライダー」とかいう正義面した連中が妨害してきた。
厄介な連中だとは聞いていたが、このままでは計画が頓挫してしまう。
それなのにクラムベリーときたら。
「随分と、お困りのようですね」
と、まるで他人事。いや、この状況を楽しんでさえいる。
これだから脳筋の戦闘狂は困る。ファヴはクラムベリーと違い、強者との戦いなど望んでいない。
観客席からポップコーンでも食べながらのんびりと見物するように、魔法少女達の絶望する顔を安全圏から嬉々として眺めているつもりだったのに。それがどうしてこうなった。
『元は魔法少女同士の殺し合いを期待していたんだけど…。甘かったぽん』
涙は出ないが泣きたくなる。しかし嘆いてばかりいられない。
憎らしいことに仮面ライダー達はその数を増してきている。対策を練らねば。
ああ。いつもクラムベリーの尻をぬぐい、苦労するのはファヴばかり。
「ですがファヴ。こちらには動かしやすい駒が一人いるじゃないですか」
そこでファヴは、ハッとする。
ーーそうだ、駒。
クラムベリーはカラミティ・メアリのことを言っているのだろう。
しかし、仮面ライダーに対抗できる駒はまだあるじゃないか。
こういう時のため、ファヴはコネクションを培ってきた。
『動かしやすい…かは知らないけど、それは良い案だぽん。どうせそろそろ切り捨てるつもりだったぽん』
クラムベリーに話を合わせながら、ファヴは思考する。
問題は人選だ。例えば、クラムベリーに「森の音楽家」の二つ名を与えた彼女の師匠ならどうだろうか?
彼女なら仮面ライダーに劣らぬ戦力となるだろうが、この戦場に引きずり出すうまい言い訳が思いつかない。あるいは計画のことを知られれば、新たな障害として立ち塞がってくる可能性さえある。
それではまずいのだ。戦闘力は勿論のこと、騙しやすそうな馬鹿か、クラムベリーの本性をある程度話しても手を貸してくれそうなクズが相応しい。
その条件に合致する人物といえば……心当たりは、ふたつ。
「では、早速連絡を取りましょうか…」
腹は決まった。そして、このことはクラムベリーに内緒で進めよう。
彼女のことだ。仮面ライダーを始末するための刺客を放ったと聞けば、獲物を横取りされたと怒りだす可能性がある。
『良いぽん。これでもっとゲームは面白くなるぽん…』
そう、きっとこれは楽しい番外戦になる。水を挿されてはかなわない。
仮面ライダー暗殺計画、これにてスタートだ。
はい、投稿してしまいました(^^)
仮面ライダーも魔法少女育成計画も大好きな身としては、マルス主任さんのお話は一読者として毎度楽しみにしておりました♪
元々小説畑の人間ですが、ムラムラっとスピンオフを書きたいよくが出てきて書いてしまいました(笑)
マルスさん、許可ありがとうございました!
さてさて、今回は序章です。
次回はいよいよ、ファヴの送り込んだ刺客と仮面ライダーが激突します!
さぁ、その最初のターゲットは……?(タイトルの時点でバレバレ)