仮面ライダービースト ~Magic Girl Dinnertime~ 作:流離太
こちらのお話も中盤に差し掛かり、いよいよ物語の核心に向かっていきます。
そういえば、資料としてオフィシャルファンブックを購入いたしました。
色とりどりの魔法少女が図鑑となっており、このお話に登場する十七人目じゃなくてもヨダレが溢れてしまいます(じゅるり)
「―― 仮面ライダーウィザードさんと、お見受けいたします」
「雑魚には興味がありません。一対一、シンプルな殺し合いというやつをやりましょう」
突如目の前に現れた白い魔法使い「仮面ライダーワイズマン」。
操真晴人はその姿に、かつて家族のように仲がよかった少女「コヨミ」を重ね合わせた。
―― いや、違う。
晴人は頭を振る。
かつての戦いで命を落としたコヨミは、ファントム「オーガ」の陰謀で、悪の仮面ライダーワイズマンとして蘇ったこともある。
しかし今、その魂は晴人と共にある。コヨミであるはずがない。
「誰だ……お前は」
「ふぅむ、この姿に怯まないとは。お察しの通り、私は笛木暦ではありません。このドライバーも、魔法の国の技術で作り出した模造品です」
横笛と槍が一体化したような武器「ハーメル・ケイン」の切っ先を晴人に向け、ワイズマンは名乗りを上げる。
「そうですねえ……仮に、十七人目の魔法少女とでもしておいてください」
―― 十七人目の、魔法少女?
「仁藤を襲ったのは、お前か?」
「袋井魔梨華のことですか? 直情型の彼女が、こんな回りくどい真似はしませんよ」
言われてみれば、電話で聞いていた特徴とも違う。
となれば、新手か。言動から、どうもウィザードに狙いを絞っているらしい。
「晴兄……」
「こいつは俺が引きつけておく。お前達は、ここから一番近い場所にいる仮面ライダー……ビーストを呼んできてくれ」
ラ・ピュセルは頷き、スノーホワイトやハードゴア・アリスと共に、ワイズマンの脇を駆け抜ける。
グール達がそれを追跡しようとするが、ワイズマンはそれを手で制する。
「一対一の勝負と言ったはずなのに、仲間を呼ぶのですか? 正義の味方が、多数でひとりを袋叩きにしていいと?」
「じゃあ、このグールはなんだ?」
晴人はぐるりを一瞥する。
周囲にいるグールはざっと見て、数十体といたところか。
「まさか、俺達のタイマンを観戦するためのギャラリーってわけでもないだろ?」
「ああ、確かに。反論の余地も無いくらいの正論ですね」
「その格好といい、胡散臭いことこの上ないぞ、あんた」
―― Driver on、Please!
晴人は腰に巻かれた手掌型のベルトを起動させる。
すると、電子音声に似た呪文が流れ出す。
―― Shabadoobie touch henshin!
―― Shabadoobie touch henshin!
晴人の指に、キラリ輝く指輪がはめ込まれる。
それをベルトにかざすと同時、灼熱の焔で綴られた紅蓮の魔法円が晴人の全身を包み込む。
―― Flame! Please
―― Hee! Hee ! Hee Hee Hee!!
緋の宝石で装飾された煌びやかなコートを翻し、晴人は静かに佇む。
仄暗い夕闇の下、澄んだルビーのような頭部が輝きを放っている。
「さぁ―― ショー・タイムだ」
銃と剣が一体化したような武器「ウィザーソードガン」を携え。
晴人――いや、指輪の魔法使い「仮面ライダーウィザード」は宣言する。
直後、
―― 交わる両者の刀身。
―― 響く鋭い金属音。
「おいおい、いきなりかよ。せっかちなやつだな」
両者舞踏するよう。互いの刃をぶつけ合う。
二撃。三撃。散る火花。
いつの間にか戦場は、波止場でなく採石場へ変わっている。
「……――ウゥゥ」
「……――ウゥゥゥゥ」
グールの群れが体をくねらせ、背後から組みついてくる。
振り向きざま横薙ぎに剣で切り裂く。そのままくるり回転し銃を乱射。ひらり、舞うコート。
―― Explosion! Now
刹那、ワイズマンのベルトが電子呪文を詠唱する。
あのスペルは確か、周囲に大規模な爆破を引き起こす「エクスプロージョン」。
マトモに喰らえば、一撃で行動不能になってしまう強力な魔法。
―― Hurricane! Please
―― Foo、Foo! Foo Foo Foo Foo!
ウィザードは風のエレメントを司る「ハリケーン・スタイル」へと変化。撒き起こる爆煙に乗る形で宙へ舞い上がり、魔法の影響から逃れる。
遥か足下では、グールが爆発に巻き込まれている。
それを見届けながら、ウィザードは新たな指輪をベルトにかざす。
―― Land! Please
―― Do Do Do Dododon! Don Dondond
エメラルドカラーの体躯が、トパーズの煌めきへと変わる。
土のエレメントを司る「ランド・スタイル」だ。
そして、
「―― フィナーレだ」
―― Cho iine!
―― Kick Strike! Saiko-!
急降下。一直線。ワイズマンに向け飛び蹴りを放つ。
しかしワイズマンも黙っていない。
―― Chain! Now
無数の鎖を召喚し、ウィザードを捕らえようとする。
「無駄だ」
―― Drill! Please
が、全身を独楽のようにスピン。高速回転し鎖を振り払う。
そのままの勢いで、
……―― 必殺の飛び蹴りが、ワイズマンを穿つ。
「がっ……!?」
蹴られた腹部を押さえ、よろよろと後ずさりするワイズマン。
優雅に屹立し、コートの裾をはためかせるウィザード。
勝敗は、誰の目から見ても明らかであった。
「お、見事……です。流石、は……森の音楽家クラムベリーを、破った……だけのことは、あります……」
「こいつを喰らっても喋れるとは、あんたも中々やるな」
だが、ウィザードが戦った相手の中では中の上ほどの実力。
これまで戦ってきた笛木やオーガ、クラムベリーといった敵達には及ばない。
「が、しかし……」
ワイズマンはハーメルケインを杖に、なおもウィザードに顔を向ける。
まだ向かってくるかと、ウィザードも臨戦態勢をとる。
そんなウィザードに対し、ワイズマンは。
「はぁ……あなたには、欠片もときめかない」
大きな溜息を吐いた。
予想だにしなかった発言に、ウィザードは、思わずキョトンとする。
「は?」
「あなたの相手なんて、最初からやる気が無かったと言ってるのです。美しくも可憐でも清らかでも可愛らしくもないあなたなんかと……ああ、なんで私がこんなことを」
「なんだよ、その言い草? そもそも、喧嘩を売ってきたのはお前だよな?」
「ちょっと弱みを握られてしまいましてね。逆らえば、私の社会的地位が失墜しかねない状況にあるのです」
「そいつに頼まれて、俺を襲ったと?」
「それがなければ、なにが悲しくてあなたと一対一で刃を突き合せなければならないのか……はぁ」
ワイズマンは手元の水晶玉を撫でながら、再び溜息を吐く。
なんだろう。こちらはなにも悪くないのに、なぜか申し訳ない気分になってくる。
とりあえず、向こうが戦意を喪失したことだけは確かだ。
「じゃあ俺、帰ってもいいかな? 仁藤のやつを迎えにいかなきゃいけないんだ」
「ああ、はい。いいですよ……と、言いたいところですが」
ワイズマンの手には、いつの間にか、四つの指輪がはまっていた。
「もうしばらく付き合ってくださいな」
「仮面ライダーの指輪!?」
晴人は目を剥く。
あれは、ベルトにかざすことで任意の仮面ライダーを召喚できるリングだ。
召喚されたライダーは呼び出した者の傀儡として、命令を忠実に実行する。
―― IXA! Now
―― Kaixa! Now
―― Kick Hopper! Now
―― Garren! Now
直後、四人のライダーが召喚される。
「その命、神に還しなさいッ」
白を基調とした聖職者風仮面ライダー「イクサ」。
「俺のことを好きにならないやつは、邪魔なんだよ」
ギリシャ文字のΧをシンボルとする「カイザ」。
「お前、今俺のことを笑ったな……?」
バッタをモチーフとした「キックホッパー」。
「軽い、私の扱いが非常に軽い……」
ダイヤスートのクワガタライダー「ギャレン」。
「みなさん、私の代わりに足止めがんばってください。私はこの虚しさを癒すため、取り溜めしたまどか☆マギカをぶっ通しで視聴してきます」
―― Teleport! Now
それだけ言い残すと、ワイズマンこと十七人目の魔法少女はどこかへと消え去っていった。
「跪きなさい」
「お前がこれから俺達にフルボッコにされるのも、乾巧ってやつのせいなんだよ……」
「お前、俺の弟になれ」
「俺の体はボドボドだァッッ」
後には、ウィザードの前に立ちはだかる四人の仮面ライダーが残された。
「第二ラウンドの開始ってわけか……手加減してくれよ、先輩方?」
ウィザードはフレイムドラゴンの指輪を手にはめる。
今、新たな戦いの火蓋が、切って落とされた。
次回、みんな大好きファヴ畜生が再登場するぽん!