都合のいい感じに接合したものになります
初期のベースはアニメ、それで不足する部分などを適宜補完していく感じで。
追記
この二次創作は歴史情報の正確さを保証しません。
一応複数の書籍を基準に情報を拾っていますが都合で嘘を付くこともあります。
大体合ってるはずですが疑問に思ったら各自調べてください。
注意
原作と違い、地名に関しては国名以外だいたい現実と同じものを用います。
帝都ベルンが帝都ベルリンになったり。
位置関係とかが結構重要だったりする事もあるのでgoogleMAPを使いながら読むことを推奨します
「
その名を聞いたとき、私は自分の耳を疑った。
かつて数百両の戦車を破壊し、ある種の伝説となった男の名前にそっくりだったからだ。
確かにこの"帝国"は私が知るとある国に似ており、彼はその国の出身。
今までそのような例は見たことはないが、時代的にもその人物が存在している可能性だってある。
しかし、おかしいな。
「ハンナ」だと?「ハンナ・ウルリカ・ルーデル」だと?
彼の名前は「ハンナ」ではなく「ハンス」だったはずだ。
「ハンナ」では女の名前ではないか。
そもそも声が高すぎる。彼は男だ。となると名前が似ているだけの別人だろうか。
第一、今はルームメイトの自己紹介を聞いているはずだ。
初めて名前を覚えるであろう同期の、それも数少ない女部屋の4人、
いや事前に聞いていた話では女は自分ともう一人しかいない、実質2人部屋なのだ。
結局思考はまとまらず。とりあえず廃棄することとして、
返答しながらその自己紹介をした人物の顔を確認した。
「ターニャ・デグレチャフだ。よろ――」
途中で言葉が切れた。再び思考が停止した。
自分が見たのは黒髪の年端も行かぬ、自分と殆ど背丈の変わらない少女。
「ん? どうかしたか?」
至極当然な反応が返ってきた。
もう一度思考を整理する。
つまりこれは、
"自分が前世から知っている人物とよく似た名前を持つ、
本来ならこんなところにいるはずのない年齢の少女がルームメイト"ということなのだろうか。
…気にするだけ無駄か。偶然にしては出来過ぎな気がするし色々とおかしいが後回しで良い。
「いや、なんでもない。ターニャ・デグレチャフだ」
何者だ? 死にたがりの天才少女か?
今は時間がない。招集に遅れてしまえば最初から悪い評価を残すことになるだろう。
ルームメイトの正体に関しては、後々確認すればいいだけのことだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
初日が終わり、就寝準備をしていた頃。
「なあターニャ。君は何故その歳で士官学校なんかに入った?」
ルーデルが突然に口を開いた。
入学前にも軍人達に何度も聞かれたことだが、馴れ馴れしいな色々と。
「私は孤児院で育った。だが孤児院ではまともな生活なんかできないし教育も受けられない。だからより早く職について早く離れたかった。それだけだ」
表面上の理由を述べる。本当の理由は…あちらの"中身"を探る時でいい。
だが、相手はそれは求めている答えではないと断った上で
「私が聞きたいのはね、ターニャ。その知恵と精神は何処で手に入れたのかということだ」
やはり。分かってはいたがやはり"自分と同じ"存在らしい。
でなければ年齢が二桁にも行っていなさそうなガキがこんな所にいるはずがない。
だが、自分から弱点になるかもしれない情報を渡す訳にはいかない。
先に相手が何者か確認できるならその後でも良い。
「そっちこそ、いったい何者だ。どうしてその歳で士官学校にいる」
「私の名前はハンス。
まさかだった。
少女は急降下爆撃機を駆って4年間で一個軍団に相当する戦車を破壊し、
圧倒的な戦果から彼専用とも言われる勲章を授けられたという。文字通りの「バケモノ」
それが自分であると主張したのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。
スツーカ大佐、ソ連人民最大の敵、魔王、悪魔…
彼を表現するとき、適当な言葉は自分の中からは見つからない。
800両以上の戦車を破壊し、それを超える数の火砲を焼き払い、
配属三ヶ月で戦艦を沈める。
前世のインターネットではJu87の話が出てきたら彼の名前が必ず上がる。
死後30年以上経過してなお伝説として語り継がれる数々の偉業。
「ルーデル? "スツーカ大佐"のルーデルか?」
「だからそう言ってるだろう。
まあ、疑われようが信じなかろうがどうでもいいんだがね。証明する手段もない」
その通りだ。今現在、彼がルーデルであると証明する手段は存在しない。
「それでターニャ・デグレチャフ。もう一度問うが、君は何者なんだ?」
自分も別に隠すべきこともない。証明する手段もない。事実をそのまま話すことにしよう。
「名乗るべき名前は無い。どうせ後世に知られるようなこともしていない」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なるほどな、"自称"神か…」
「そっちには現れなかったのか?」
「全く出てこなかった。1982年の年末だったか。突然頭痛がして意識が遠のいたと思ったらこの体だった」
おかしい。
神、もとい存在Xの干渉なしにこの世界に記憶を留めたまま現れるなどということがあり得るのだろうか。
干渉があったが存在を明かさなかったか、
或いは逆に存在を明かさずに転生してくる場合が普通?
仮に我々以外の転生者が居たとして、
仮想敵国の政治的に優位な存在だったりした場合、最悪の結果が待っている。
まあ今存在するかどうか分からないものに関して思考しても何の意味もないが。
存在Xはよりにもよって私の目の前にルーデルを送り込んできた。
私がいくらこの世界で策を弄しても、どんな超人的な戦果を叩き出しても戦争には勝てないと。
そういうことを示したいのだろうか。存在Xは。
実際、目の前の人物はそれを経験している。
自分が知る超人的な人物のうち、実在した可能性が最も高く、
功績に疑いが掛かっていない人物は確かにルーデルである。
そのルーデルが目の前で挫折する様を見せつけることで精神を折ろうとでも?
何にせよ、存在X、若しくはそれに類するものの差し金であることは間違いないと考えるべきだろう。いったい何をさせる気なのだ。
「一応聞いておきたいのだが、こっちでの生まれは何処だ? 孤児ではなかったか?」
「いや、殆ど変わらない。両親はあっちと変わらず、家庭環境もほとんど変わらない。
違う点と言えば、両親が若くて2人の姉が妹になってた程度だ。記憶に関して特異なのも自分だけ」
更に分からない。存在Xは何がしたいんだ。
私に会わせることが目的ならば私のように孤児院にでも放り込んで士官学校以外の選択肢を潰せばいい。
あれだけ出撃に拘っていたルーデルだ。
入ればまた飛べると知れば、ほぼ確実に士官学校へ行こうとするだろう。
だがこちらで普通の家庭に生まれただと?
何故確率を落とすような真似をする。
精神や記憶に操作でもしたのか? まるで目的が分からない。
「家族以外はどうだ? 変化は?」
「家族以外は全部変わっていたな。少なくとも自分の記憶にある人物は居なかった」
存在Xは何かしら大きな手違いでもやらかしてしまったのではなかろうか。
目的が全く見えない。少なくとも私の思考力で予想できる範囲にない。
「そっちはどうなんだ? 自分の"こっちでの"親は何者だった?」
ルーデルが尋ねる。
「1歳になる頃には既に孤児院に居た。それ以前の記憶がないが、聞いたところでは父親は戦死、母親の家庭環境云々で捨てられた"ということ"になっている」
実際は存在Xが何かしらの操作を行った可能性がある。というかほぼ確実にそうだろう。
ルーデルはそれを聴くと5秒ほど考えてから口を開いた。
「我々がここに居ることも神が干渉していると考えているのかね?」
「少なくとも自分の方は魔導適性付きで孤児院に放り込まれた時点で一番マシな選択肢がこれだ。
遅かれ早かれ軍に入らざるを得なかっただろうし、奴が私の人間性を勘違いしていなければ明らかに誘導されている。
そっちこそ、その年でしかも女だというのに。よく親が士官学校入りを許したな」
「普段から魔法で空を飛べないかと考えつつ崖からの飛び降りを繰り返してたからか"空を飛びたい"と言ったら普通に許してくれたよ。理解ある両親に感謝の限りだ」
ご両親は感覚が麻痺していたのだろうか。両親ですら彼―いや彼女を止めることはできなかったのだろう。
何せ上司どころか彼の国の最高指導者ですら、出撃を止めることはできなかったのだから。
実際は単にアカが嫌いなだけでこの世界のアカを粉砕するのを夢見てる可能性もあるが―
――こっちに来てまで急降下に取り憑かれているのか。それとも空に戻りたかったのか。
とりあえず、分かったことが一つ。
ルーデルを止められるものは誰も居ないということだ。
恐らく存在Xでも干渉を周囲に気づかれない方法では不可能だろう。
となるとやはりここで会ったことは偶然か、若しくは存在Xはそれも含めて最初から織り込み済みだったのか。
「何にせよ、同じような立場の人間に出会えてよかった。
改めて、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルだ。私もこっちに来て大分変わったからな。別人だと思って"ハンナ"とでも呼んでくれ」
「こちらこそ。ターニャ・デグレチャフ、ターニャでいい」
少女、いや幼女と言えるかもしれない年齢の2人が士官学校で2度目の握手を交わした。
中身はどちらも"おっさん"だ。いやハンナはおじいちゃんか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌朝。
ハンナは最初の朝食から大量の牛乳を確保してやがった。何処から持ってきた。
「厨房に行って牛乳がいっぱい飲みたいと言ったら余剰分から1Lほど出してもらった」
よくそれで通ったな。やはり見た目を活用したのか? だが厨房で許されても指導教官に許されるとは限らない。
…怒られるのは私もか。こんな下らない理由で連帯責任なんて御免だぞ。
かの有名な軍曹なら同期全員に連帯責任を課すだろう。
それで同期全員からいじめられるのである。
だが―
後日、教官から封筒を渡された。
"ターニャ・デグレチャフ 二号生、及びハンナ・ルーデル 二号生は身体強化のための補助食として1日辺り1Lから2Lの牛乳及びその他随時必要とされる糧食を支給する"
要約するとそういった書類が入っていたのである。
やりやがった。通しやがった。
牛乳をよこせと文書で要求し、見事通ってしまったのである。私も巻き込んで。
しかも"その他随時必要とされる糧食"というおまけまで付けてきた。
士官学校でこれが通るだと? どういう手腕を使った!?
「年相応の女の子の振る舞いを真似てみるのも悪くないぞ」
そこまでして牛乳が欲しかったのか…プライドは無いのだろうか。
あんた実業家として普通に成功してたよなあ? おいおっさん。
「牛乳がなければ戦えないからな」
…この変人と2年は共にするのか。先が思いやられる。
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用語解説:ハンス=ウルリッヒ・ルーデル(Hans-Ulrich Rudel)
第二次大戦中のドイツ空軍(Luftwaffe)の急降下爆撃機パイロット。
「嘘百科事典ことアンサイクロペディアに嘘を書かせなかった人物」とされているが、
細かい所を見ると所々面白さと誇張のために嘘が混じっていたりする。
公式記録では
戦車519両
装甲車・トラック800台以上
戦艦1隻(共同戦果:マラート)
嚮導駆逐艦1隻
上陸用舟艇70以上
航空機 9機
など「大戦を通したスコアで行けば2個機甲師団を殲滅したに等しい」程のスコアを持つ。
アンサイクロペディアは結構出処不明の話も多いが一度は目を通しておくと分かりやすいだろう。
この先非常にアレな文章が続きますが仕様です
なんか小説になってない気もします
追記
指摘されたので「ウルリッヒ」を女性形の「ウルリカ」に変更