幼女ルーデル戦記   作:com211

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この二次創作は歴史情報の正しさを保証しません。
正しいことが知りたい人は自分で調べてください

先に書いておきますが幼女ルーデル戦記において、
ユダヤ人、またはそれに類似、相当するような民族及び人種は存在しません。

注意:
この番外編は本筋と直接は関係ないので別に読まなくてもいいやつです。
兵站警察、戦時経済警察を追い返すためのネタです

軍事、経済、歴史などのネタに興味がない人は内容すっとばしても大丈夫です。
次回のあらすじだけ読んでもらえれば。



番外2:ナチスの影と、お買い物帝国

1924年2月某日

帝都ベルリン、財務省ビル 第一会議室

 

財務副大臣とライヒスバンク総裁を兼任するヴァルター・フンクは

戦時下におけるインフレ問題に対する提案をするべく、

財務省の官僚とライヒスバンク幹部及び理事会を一斉に招集した

 

全員が集まると、フンクが話し始めた

「諸君。我が国のインフレは長引く戦争で悪化する一途だが、

この度ダキアが降伏したことによってちょっとした対策が可能になった」

 

 

 

官僚と幹部たちはざわついた。戦争が続く限りインフレが続くと思っていた。

 

そもそも戦争におけるインフレというのは当然起こるもので必然のものだ。

特に国家総力戦におけるそれは凄まじい。

 

何せ国力の限界まで物資を消費しまくる上、生産人口がごっそり戦場に持っていかれるため

ただでさえ生産が低下するのに消費だけはやたらと増える。

 

しかも構造が単純故に一目で解決できないものと分かる。

投入される労働力の過剰化もさることながら"物資不足"はどうしようもない。

 

「インフレが避けられぬのならば、帝国ではなく他国が被ってくれればよいのだ」

 

 

ドイツ第二帝国では一次大戦において、このインフレもとい物資不足が致命的な結果を生んだ。

英国の海上封鎖開始以降、まず飼料が輸入であったため家畜の数自体が減少、

馬は軍が輸送のために大量に徴用され農業自体の効率が低下。

輸入率が高かった小麦の供給量が一気に低下。

 

更に政府の思考停止とも思える市場の価格統制を開始。

通貨価値は低下し続けるのに売却可能な価格が固定されてしまったため、

農家の生産意欲が低下して"後のコルホーズじみた"状態に。

価格が安価に統制されることで売却を渋った農家は

価格統制される穀物やジャガイモの生産をしなくなったり、

家畜の飼料に流れるという実に効率の悪い状態に。

 

大戦前、化学肥料と火薬の材料となる窒化物は輸入されていたが

1912年に開発されたハーバー・ボッシュ法によって大気中の窒素からアンモニアを生産できるようになり

ドイツは輸入が止まっても化学肥料と火薬を生産できた。

だが国家総力戦による極端な消費の増大により肥料はほとんど生産できず、ほとんどを火薬生産に回された。

 

各種農業機械も生産設備が軍需に回されて更に農業効率が低下。

 

軍役に就くことが出来る成人男性は尽く戦場に行き、

老人と女子供だけが残された銃後においては工場が人的資源を優先的に供給されたため、

更に農業従事者が減る。当然食糧生産はどんどん低下する。

 

具体的には終戦時の食糧生産量は開戦時の半分にまで低下していた。

特に1916年はじゃがいも生産量が開戦前の5200万トンに対して29万トンとひどい有様。

 

1916年の12月以降、ドイツ国内では餓死者が続出し始める。

これをカブラの冬という。

 

更に食料を輸送するはずの鉄道網が軍需輸送にばかり当てられ、

「食料はあるのに都市まで届かない」という状態が頻発。

 

そこにただでさえ栄養失調で体力が低下していたのに1918年、

スペイン風邪(インフルエンザ)の流行が重なりさらなる追い打ちをかける。

最終的に75万人が餓死したのである。

 

さらにこの間、当然インフレも同時に発生しマルクの価値はどんどん低下していたにも関わらず

政府は穀物及びジャガイモの価格を統制し続けた。

それにより更に統制外作物の生産へ流れていった。

 

その後1917年、農奴制がまだ残っており、

西欧の産業革命以降、"農奴を犠牲にして食料を輸出する”スタイルを貫いてきた帝政ロシアも

食糧不足、国民と政府中枢及び皇帝の間での認識の乖離など、

ドイツ第二帝国と非常によく似た状態に陥っていた帝政ロシアは革命によって崩壊。

 

皇帝一族は殺されソヴィエト(評議会)が政府を運営する体制になった。

当然ドイツ第二帝国でもロシアを手本にするように革命が発生した。

もっとも、こちらは帝国政府主導で皇帝の退位を勝手に宣言したものであるが。

 

以上のような一次大戦の失敗を"帝国"も繰り返す可能性があった。

 

だが転生者であり財務大臣のヒャルマル・シャハト、財務副大臣のヴァルター・フンク

更に農政大臣ヘルベルト・バッケがこれを予見し、防ぐべく事前に対処をしていた。

 

ちなみにバイオダイナミック農業は当然ながら検討すらされなかった。

 

「それは一体…」

「簡単だ。占領した国から物資を抽出すればいい」

「しかしそれでは陸戦条約に違反してしまいます!」

「もちろん、それは分かっている。だから形を変えてやればいい。今からそれを説明する」

 

再びざわついた。何を言っているのかよく分からなかったからだ。

言った本人としてはこれをやるのは二度目なのだ。

前やったときにはシステム的には成功した。

 

ナチス党の実態というのは、"一次大戦反省会"という面がある。

 

ナチ党員に限らず、一次大戦の悲惨な有様はドイツ国民の中にある種のトラウマを植え付けた。

食糧不足、鉄道輸送の不備、産業基盤の不足、そしてそれらが生み出すインフレ。

ナチスは国民に対して"一次大戦のような失敗は二度としない"と約束した。

 

そして、ナチス政権は一次大戦の反省を国家運営に反映させた。

まず農業生産力に注目し、少なくとも自国の供給力のみで餓死者が発生しないように集中的に資金を投下した。

結果、50%を割っていた食料自給率は85%まで上昇、

更に鉄道網の強化に加えて、自動車を戦争に活用するためのアウトバーンなどの道路網整備。

国民に仕事と十分な休暇とレジャーを与え、

自動車産業基盤を整え、余暇を楽しむための国民車、KdF-Wagenを開発。

戦時の徴兵対象世帯の給与保証及び遺族年金も、

平時比85%という高水準を確保し、更に追加で軍務給料も出る。

 

ナチス・ドイツは"もし戦争になっても"国民を飢えさせず、満足させることに全力を尽くした。

 

革命が起こるまでと、起きてからを見届けたナチスは、

同じ失敗を繰り返さないことにかけては全力であった。

 

「まず、この"帝国信用銀行(ReichsKreditKassen)"が軍票を発行する」

 

そして、戦中政策の一つとして出てきたのがこの""ドイツ信用銀行(ReichsKreditKassen)"であった。

ドイツ信用銀行RKKは、ドイツの占領国に置かれる。

まず最初にポーランド、次にベルギー、オランダ、フランスの順に置かれ、RKK証券(ReichsKreditKassenCheinene)を発行する。

 

このRKK証券こそ、ナチスドイツの戦時経済の中核である。

 

RKK証券は、表向きはライヒスマルクと等価の紙幣である。

戦地、占領地での給与はRKK証券によってのみ支払われ、現地で使うように命じられる

 

額面からするとライヒスマルクと交換できるというように見せかけられているが、実際は異なる。

 

まず、このRKK証券はドイツ(帝国)国内での流通が禁止である。

何故ならこれをライヒスマルク(以下RM)と交換するとRM自体がインフレを起こすためだ。

 

RKK証券は占領地において、占領地の現地貨幣との交換のみ認められる。

そして、占領地において軍の給与はRKK証券若しくは現地貨幣によってのみ支払われる。

この現地貨幣との交換レートに仕掛けが存在する。

 

例えば、フランス・フランとの交換の場合、

戦前レートを考慮すると15フラン=1RMのはずなのに、

占領政策として20フラン=1RMでの交換を強制される。

 

占領地の住民はRKK証券はRMに相当するとみなしているため、個人は普通に受け取る。

そして、RKK証券は被占領国政府が、ドイツ側が決めたレートで現地の貨幣と交換する義務があるとした。

 

これは実態としては「RMに対する強制的な通貨安」である。

 

この強制通貨安はとある現象を発生させる。

 

それは「現地に配置された占領部隊の個人単位の爆買い」である。

例えば初期のフランスの例で言えば、国全体で25%引きバーゲンセールをしている状態なのだ。

モノだらけの現代ですら、20%キャッシュバックであれだけ群がるのであるからして、

物がそう多くない頃、一次大戦のトラウマが物資の貯蓄を促す。

どのような結果になるかは、言うまでもない。

 

国家そのものに割引札を立てる。これがRKKの目的であった。

 

そして軍と政府、正確にはナチスの面々はこの爆買いを奨励した。

 

北アフリカの靴、フランスのビロードと絹製品、

ギリシアのリキュール、コーヒー、タバコ、

ロシアのはちみつやベーコン、

ノルウェーの大量の鰊などなど、

多種多様な物品が占領地からドイツ本国に軍事郵便として大量に送られた。

 

ある兵は、本国の家族の食卓や生活のために。

ある兵は、本国で待つ恋人のためのプレゼントを。

ある兵は、帰還した時に交換材料になる酒などの嗜好品を

ドイツ軍は師団単位で定期的に前線、占領地などを移動するため、

大きい市場のある占領地にでとにかく買い漁った。特にフランス。

 

当時の手紙や証言を引用すると

 

"昨日は4キロのココアを購入しました、今度送ります"

"香水、オーデコロン、明るい色の革手袋、ガールフレンド用"

"パリで思いもよらぬお洒落なものを手に入れた、君あての靴と生地を送る"

"銅版画、化粧道具、玉ねぎ、婦人靴、爪切りバサミ"

 

"急ぎバターと大きな石鹸4個も入れて正午の便で出しておく"

"追加のバター1ポンド"

"さらなるバターを求めて遠征"

"君あてに便箋とバターを送る"

 

"ほぼ毎日、郵便屋さんがフランスにいる父からの小包を届けてくれました。

コーヒー、ココア、チーズ、チョコレート、オートバイ用の革手袋まで。

近所の奥様達もこぞって占領地に居る夫にどんどん送金し、いろんなものを送ってもらって、

消費しきれないほど来るので、そういう時は余った分を交換していたのです"

"本国へと休暇で帰還する兵の列車の網棚は、天井まで荷物いっぱいの重い旅行鞄や異常に膨らんで不格好な包などが限界まで載せられていた"

 

こうしてヒトラーいわく「もっともつましい輸送者」になった兵士たちは本国へと様々な物資を持ち帰った。

 

わずか20年前、戦争によって物資や食料が欠乏し、飢餓を経験した人々は、

今度は戦争によって平時よりも満ち足りた生活を送ることが出来た。できてしまったのだ。

ナチスドイツは、こうして国民との約束を果たし、

ドイツは結局最後の半年になるまで食糧不足とは無縁だったのである。

 

そしてこの成果は、20年前の飢えた苦しい戦争を忘れさせるには十分すぎた。

"戦争の悲惨さ"なるものは、たとえ経験した本人たちであったとしても、

こうやって上から塗りつぶしてしまえば容易に忘れられる。

 

現代日本でも言われる"それ"がどれだけ滑稽なもので役に立たないものか。

言うまでもあるまい。

 

 

「しかし、このような事をするためには軍との協力が必要になりますが」

「その点も抜かり無い。参謀本部が機械化部隊の追加を要求してきていてな。

この予算を確約することの交換条件としたい」

「既に来年の予定歳入を超えた額なんですよ!?」

「RKKプランさえ通れば、あとは共和国に勝ってもらうだけで後からどうとでもなる」

 

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「さて、以上だ。後日改めて採決を…」

そう言おうとした矢先、全員が一斉に立ち上がり、全員の拍手を以て決定された。

この"RKKプラン"は帝国の財政及び占領統治の基本方針に組み込まれることになる

 

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帝都ベルリン 参謀本部鉄道課

 

「グレーナー課長。対連邦作戦用の再配置輸送計画に関してルーデルドルフ准将が相談があると…」

「ああ、わかった」

("ルーデンドルフ"め、今度は何を言い出す気だ?)

 

転生者、カール・エドゥアルト・ヴィルヘルム・グレーナー准将。

実戦経験付きの鉄道兵站の(変態的)専門家、重度の鉄道運用オタク。

 

鉄道課に入るなり戦争計画そのものに民需輸送が計上されていないことを指摘。

参謀本部軍令部に民需と軍需を両立した鉄道輸送を前提とした戦争計画を立てるように求め、

最終的に多額の予算で設備を増強しつつ、

路線あたりの輸送量を限界まで高めることで民需軍需を両立可能な戦時輸送計画を作り上げた。

 

参謀本部では"帝国鉄道の独裁者" "スジ引きの魔術師"とも呼ばれ、

輸送計画の都合上、作戦どころか戦争計画全体にも大きな発言権を有していた。

 

参謀本部でどのような戦争計画、戦争計画が出来たとしても、

鉄道課が不可能と判定すればすべてやり直しになるのである。

 

グレーナーは前世、参謀本部地理測量課に配属され鉄道課に移り鉄道課長となった後、

戦時食糧庁に出向、その後ルーデンドルフを始めとする参謀本部と対立、ウクライナへ左遷される。

1918年10月、終戦直前に参謀次長を辞任したルーデンドルフの後任となり、終戦処理を行った。

 

その後参謀総長、交通大臣、国防大臣、内務大臣を歴任、

内務大臣としてナチスの突撃隊を禁止した後、

ナチス党の取り込みを図る与党の方針に反対して政界を引退。

その後第二次世界大戦開戦前に死去。

 

ちなみに前世では鉄道課がいたくお気に入りだったらしく、

こちらでは何度も昇進と作戦課長への栄転の話が持ち上がったが、

本人が鉄道課に(変態的とも言える)極端なこだわりがあったためか、

昇進を繰り返し階級が准将だと言うのに未だに鉄道課に残り、

相対的に鉄道課の立場は大きくなり作戦課と同列の立場にまでにしてしまった。

 

更に言えば、戦争が始まれば更に鉄道課の権限は増大する。

何せ国家の輸送のほぼすべてを握ることになるのだ。

鉄道課は国家と国民の生命線をその手に握ることになる。

 

当然ではあるがグレーナーの輸送計画は一次大戦の教訓を多分に盛り込んでおり、

参謀本部で唯一、"国家総力戦""世界大戦"を考慮していた。

だが鉄道をいじれれば本人はそれで良いため、当然他人に言うことなどしていない。

予算の根拠として最悪の状況、世界大戦の話を一度したきりである。

 

下手に作戦計画や戦略などで評価されてしまうと

鉄道課から引き剥がされてしまうかもしれないという恐れから、あえて何も言わないのだ。

 

前世でも苦労した食料事情は気になったものの、

新設された農政省のヘルベルト・バッケ農政大臣が

あまりにも"わかっている"政策を連発し、前世の反省点を全部反映していいたため、

とりあえず放置することにした。

 

当然、仮に世界大戦に発展して前世と同じような状況になればさらなる行動も考慮していたが、

今回は第二帝国と違って国民からは純然たる防衛戦争として認識された。

予算、食料、鉄道の準備が何故か未来人が来たかのように万全である。

これならば、なんとかなるとグレーナーは踏んでいた。

 

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「何、機械化師団だと?」

「財務省がとある条件と引き換えに来年度分の機械化歩兵関連の追加請求予算を確約するらしい。

実際の支払いは先に手形で出せと。」

「その条件とはなんだ」

「軍票の発行を財務省とライヒスバンクが管理することに合意しろと言ってきた」

「軍票を?」

ルーデルドルフから渡された書類には"RKKプラン"と書かれていた

 

「なんでも帝国信用銀行(ReichsKreditKassen)…なるものをダキアに作って、

そこから軍票を発行してダキア政府に支払わせる…らしいが、詳細はまだ良く把握していない。

それに鉄道課宛てにも、占領地からの個人の軍事郵便荷荷物を増やすために追加で毎月3000tの輸送量を確保しろと言ってきた」

「これ以上負担を増やせというのか!」

「奇妙なことに、鉄道予算まで上乗せしてきた」

「何? …わからん。財務省は何を考えている」

「私もさっぱりだ。鉄道課なら何か分かると思ったのだがな」

 

と言いつつ、グレーナーには少なくとも言い出したのが誰なのかは予想がついた

かつて、ライヒスバンクの地下金庫に"ドイツ信用銀行(ReichsKreditKassen)"の証券が紙幣代用として用意されていた。

このドイツ信用銀行の代用紙幣は、戦時において硬貨から金属資源を回収し、

その代用として市場に流通させるための代用紙幣である。

この措置はグレーナーが国防大臣在任中に緊急戦時体制用に財務省に対して提案し、

直ちに実行可能なように紙幣をライヒスバンクに預けていたものである。

 

こちらの"帝国"ではそのようなものが存在するとは聞いていない。

だがそれを思いつきそうなヤツが一人、いや二人。

 

(シャハトめ、何を始める気だ?)

 

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用語解説:帝国信用銀行(ReichsKreditKassen)/ドイツ信用銀行(ReichsKreditKassen)

基本的には同じものと捉えて良い。ライヒスバンクから人員を派遣されているため、

軍ではなく財務省もしくは経済省系の組織。

 

帝国信用基金という訳も存在する。

 

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解説:RKK証券/ドイツ信用銀行証券/帝国信用銀行証券

ReichsKreditKassenCheinene

 

RKK証券が史実で誰が考案して用意したのかは不明であるが、

少なくとも開戦前から存在していたのは確実。

 

"硬貨から金属資源回収"という目的で作られたと思われ、ライヒスバンクに保管されていた。

実際には突発的な思いつきでポーランドに設置されたのが始まり。

その後占領国ごとに設置されていく。

開戦まで"ドイツ信用銀行(ReichsKreditKassen)"なる組織は存在しなかったため、

「代用紙幣にそう書いてあるから」という理由でRKKの名前が決まった。

 

ちなみにReichsKreditKassenの「帝国信用銀行」という訳語は「ヒトラーの国民国家」のもので

他には「帝国貸付財務紙幣」という訳をしている書籍があるが、

RKK証券自体と混同しており、証券そのものは"ReichsKreditKassenCheinene"であり誤訳である

 

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用語解説:ドイツ革命

ロシアと同様に階級社会であるドイツ第二帝国は国民の状態を政府上層部や皇帝は把握できておらず、

把握した頃には既に手遅れだった。

18年春の"最後の攻勢"も失敗したため講和を模索し始めた。

食料と経済状況は悪化していたが前線はフランス側に押し込んでいたため、

一般国民は敗北するとは思っていなかったので、国民の間で混乱が広まり革命に至った。

 

この後のごたごたで「ユダヤが悪い」とか「共産主義者が悪い」などの話が発生し、

ナチス誕生の原因ともなる。

 

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用語解説:ライヒスマルク

1924年から1948年まで使われたドイツの通貨、

また、作中における"帝国"の通貨。

 

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用語解説:18年春/最後の攻勢

 

1918年の春、ロシアが戦争から離脱したことで東部戦線に配置した兵力を西部に再配置できるようになり

これによってドイツには西部戦線で数的な優位が生まれた。

当時、前年に参戦したアメリカが200万の兵力を投入するべく準備しており

18年中に勝利できなければ敗北が確実であると認識しており、最後の攻勢であったが

18年春季攻勢は失敗に終わる。

ちなみに目標は恐らくパリ降伏メソッド。

 

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用語解説:パリ降伏メソッド

近現代史でナポレオン以降サレンダーモンキー呼ばわりされフランスが雑魚扱いされる、

ある意味元凶にして伝統。

それは"パリに敵軍が接近もしくは入城すると(まだ交戦を継続できるはずなのに)フランスが降伏する"

というものである。

 

実例は

ナポレオン戦争(1814年)と

百日天下とワーテルローの後(1815年)

普仏戦争(1871年)

第二次世界大戦(1940年)

 

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用語解説:バイオダイナミック農業

ヘルベルト・バッケの前任、リヒャルト・ヴァルター・ダレがハマっていた農業スタイル。

本筋と全く関係ないので気にしなくても良い。分かる人向けワード。

 

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用語解説:KdF-Wagen

フェルディナント・ポルシェ博士の長年の夢の一つ、国民車。

後の「Volks-Wagen Type1」である。

専用の切手台帳に毎週購入できる専用の切手を貼り付け、台帳の切手が全部埋まると

KdF-Wagenが買える。という仕組みがあった。

 

なお国民に車が納車される前に戦争が始まっため、

VolksWagen Type1の6400万台に比べ、KdF-Wagenとして生産された車は非常に少ない

 

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解説:バター

バターの話がやたらと引用されているが、全て同一人物の手紙。

母親と恋人のどっちにもバターを送っており、

他の手紙の引用も見る限り、数ヶ月で結構な量のバターを送っている。

推測で5-10kgほど。なお彼と彼の家族に関しては一切不明。

 

 




休暇は何処だって?ごめんなさいまた今度…

今回の要約
財務大臣と中央銀行総裁、農政大臣、参謀本部鉄道課長がドイツからの転生者だった。
機械化歩兵の追加予算が承認された。
インフレ対策を財務省が握ることになった。軍票を発行する権利を認めた。


今回のネタ本は「ヒトラーの国民国家」です
この手のネタのもっと詳細な中身が読んでみたい人はどうぞ。


そして、我ながらこれは小説じゃないと思う。なんだこれは。
地の文がほとんど解説じゃねえかって言いたい。

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