俺、比企谷八幡もそんな星脈世代の1人である。といってもそれに気付いたというか知ったのは高校の入学式に遡る。
入学式の日に少し家を早く出たのだがその道中、車に轢かれそうな犬を庇って代わりに俺が車に跳ねられたのだ。そして入院した病院で検査した結果星脈世代ということがわかった。それも珍しい回復系の能力持ちだったらしく親父によって俺の知らぬ間にアルルカント・アカデミーに特待生として転入することになっていたのだ。
そうした理由でアルルカントに来てから一年がたった。
「これで全員分の朝食の準備は終わりか。あとは全員食堂まで引っ張ってくるだけだな」
大きな鍋の前でそう言うのは1年前勝手に編入させられた比企谷八幡であった。
アルルカント・アカデミーでは食堂があるもののあまり利用されてるとは言い難かった。それは研究者という側面を持つアルルカントの学生の生活リズムは常人たちに比べ大きく乱れているために食事時間がバラバラすぎたのだ。そのため各々が自分で携帯食で済ませたり食べなかったりするメンバーもいるほどだ。
実践クラスと呼ばれる者たちは研究者の都合に左右されるために割と自炊派が多かったりする。なので食堂利用率は低いのが現状だ。
そこを改善させたのが八幡である。
「お前ら、飯の時間だぞ!」
研究室に向かい中にいる生徒たちを引っ張って食堂まで連れていく。
「カミラ、エルネスタを頼むぞ」
「ああ、いつもすまないな八幡。ほらエルネスタ、自分で歩け」
「はーい」
寝起きで眠いのかエルネスタはフラフラとしながら食堂に向かう。
全研究室から引っ張ってきて全員で朝食を食べる。
「うんうん、1日の始まりはやっぱりハチくんのご飯だよね」
「1年も続くと逆に朝食を食べないときがあると違和感があるからな」
「そんなもんか?」
「そうだよ!春休みハチくんが帰省してるときみんな無意識に食堂に集まったぐらいなんだよ!」
「事前に作っておいてくれたやつがなかったら何人か空腹で倒れていただろうな」
二人とも話しながらではあるが食事の手は一切止まらない。それは他の生徒たちも同じで一部はお代わりをしているほどだったりする。
専業主婦志望だった八幡はアルルカントで研究クラスの生徒たちの面倒を見ているのであった。
「さすがアルルカントのお母さんだな」
「その2つ名はやめてくれ」
八幡の学内での非公式2つ名はアルルカントのお母さんである。まあ研究クラスのメンバーの世話をしているのだから対して間違ってはいないだろう。
「そういえばヒルダは来てないのか?先程から姿が見えないが……」
「ヒルダなら昨日の夜から外に出てるぞ。なんか外部の研究所で問題が起きたみたいでその後始末に駆り出されたっぽいな」
《大博士》ヒルダ・ジェーン・ローランズ、アルルカント創設以来の屈指の天才なのだがその倫理観は常人から離れており人体実験なども平気で行うマッドサイエンティストだ。とはいえその能力に疑う余地はなく、六花の研究室以外にも世界各地の研究所に専用の研究室が用意されているほどだ。
ちなみにこいつの勝手な検査のせいで俺の能力が回復系ではなく全く別の能力であったということが判明するなど俺としては扱いに困る部分もある。
「そうか……あと今日なんだが放課後に時間をとれるか?」
「なんかあるのか?まああるけど」
「新型の煌式武装のテストだ。星導館と共同開発したのだがフルスペックで動かせるものがいなくてな」
「わかった。放課後お前の研究室に向かうよ」
「助かる」
放課後
カミラの研究室を訪れた八幡は早速新型煌式武装のテストを始めていた。
「うーん、少し動作にタイムラグがあるのが気になるな」
「
「まあそんなものか」
八幡は展開していた256本の煌式遠隔誘導武装を回収する。
「……そもそもそんな数のコントロールは想定してないからな。星導館の序列5位でも6本だぞ」
「星導館の序列5位っていうとあのお姫様か。確かにお姫様とは相性がよさそうだな」
星振力の伝達可能なこいつなら魔術師や魔女の相性はいいだろう。
「それをさらっと使える八幡も相当だぞ」
「まあこれぐらいできないとアルルカント最強は名乗れねーよ」
アルルカント・アカデミー序列1位《
アルルカント最強は再び煌式遠隔誘導武装を振るうのであった。