ソードアート・オンライン Endless Spiral 作:お隣の池の中のプラナリさん
零眼ノ劉備を一人で討伐したルアの体力は
限界に達していた。
そうして彼女には、天叢雲の剣が
握られているのであった。
その場でへたれこんだルアは、その傷から
苦しそうに咽を漏らす。
必死に立ち上がろうとはしているが、
肩の傷と疲れから足まで動かない。
「はぁっ..........はぁっ..............」
「大丈夫ですか!?」
先程劉備から逃げていた赤いローブを
身に纏ったサラマンダーメイジが
ルアに話しかける。
「独りで殺るもんじゃないな........ふふっ」
「とりあえず街に戻りますよ!」
メイジの人に肩を貸してもらって古戦場を
後にするルア。
そして2人........4人はステラヨンドの街へ
生還した。
その街の宿で、先程の3人から敬礼された。
「命の恩人様!ありがとうございました!」
「大袈裟。私だって助けてもらったよ。」
「かっこよかったわ~!!」
「素晴らしい腕前でありましたぞ!」
3人は宿から出る。劉備から逃走した際には
怪我を負ってなかったということだ。
「天叢雲の剣........使わないなぁ........。」
ルアは劉備を倒した際に手に入った片手剣、
天叢雲の剣を見て、苦笑いする。
≧≦
それから2時間の間、傷を癒すためにルアは
睡眠をとっていた。マフラーは首に巻いて、
仕込み武器を外してぐっすりと寝ていた。
「んぅ........ふぅ。」モゾゾ........
ルアは目を覚ます。肩はしっかりと動く。
どうやら体力も回復しきっているようだと
わかり、ゆっくりと身支度を済ます。
そして扉を開け、街へ戻った。
≧≦
先程御礼を言われた3人が待ってましたと
いうようにルアを連れていく。
「えっちょっ............」
「御無礼御許しください。本当に!」
サラマンダーメイジの人がある群衆へ
ルアを引き込んだ。
「いたいた!この子です!」
「えっ..................ええ?」
その群衆の中心にはウンディーネの女性と、
茶髪にヘッドフォンを被ったプレイヤーで
無さそうな少女がそこにはいた。
「おおっ!零眼ノ劉備を独りで倒した
勇者ちゃん!では、そのアイテムを見せて!」
「なん............まぁいいけど。」
ルアは天叢雲の剣を取り出す。
そしてヘッドフォンの少女に渡す。
「これが天叢雲の剣です!零眼ノ劉備を
討伐したものに与えられる勇姿!」
そんなこんなを語る度に、おおっ!と
歓声が沸き上がる。
「それじゃっ........お名前をっ♪」
「えっ............ノーコメントで。」
「Oh!?」
ヘッドフォンの彼女が驚く。大衆も驚く。
「私、目立ちたくないんです。その武器が
欲しいならあげますから構わないで..........」
そういってルアは大衆をすり抜けて
羽を展開し、飛び去ってしまった。
「................えぇ―――。」
ヘッドフォンの少女はまるであり得ないと
いうようにその場に立ち尽くしていた。
天叢雲の剣を持って。
いつの間にかその所有者権限もなかった。
ルアは本当に捨てたのだ。その剣を。
「えっ!?勿体ない!」
「俺それ欲しいぜ!要らんならくれ!」
「アルマちゃんの誘いを断るなんて..........」
大衆はその場に呆然としていた。
アルマというヘッドフォンの少女は、
羽を展開し、何処かへ飛び去る。
(傷つけちゃった感じ?ええ!?)
その表情は驚きと申し訳なさを表していた。
≧≦
昔から馴れ合いを苦手としてきたルアに、
あの大衆と少女には堪える存在だ。
ステラヨンドの街はとても利便性に富んで
いるため、プレイヤーがたむろしやすい。
そんなこと、わかったはずなのに..........
「街移動するか................」
ルアはステラヨンドを離れ、新しい街へ
飛ぼうとしていた。
ここはあのガーゴイル等がいる洞窟。
ここは人気がなくて落ち着く。
少なからず寂しさはあれど、じきに慣れる。
そしてその洞窟の入り口............それで
風を感じることができるのだ。
「裁縫スキルでも学ぼうかな............」
そんなぼやを放っていると..........
なにかが這いずるような音がした。
「..............!」
「あ................ぐ..........」
それは黄色の髪に青い瞳を持つ小さい少女。
そして、背にはフライパン。
スイハだ。
しかしその体は傷ついており、
よく入り口までたどり着いたなという程。
そしてルアを見ると共に倒れ込んだ。
「大丈夫!?スイハ!?」
「あっ........あのときの..............」
どうやらスイハにも記憶はあったようで、
その後、無茶したのだということも
わかった。戦闘に向かない
<ティンクルム>が実際戦闘で生き残る
可能性は限りなく低い。
戦闘手段が乏しすぎるのだ。
ルアは自身のもつ回復アイテムを使って、
スイハの体力を回復させ、
安静にさせる。
「ありがとうございます........」
「私の事は気にしなくていい。休め。」
「はい............んっ!」
ルアはスイハの傷の具合を見ながら
その場で待機していた。
意外と優しいのよ。ルアは。
そしてヘッドフォン少女、アルマの謎とは!?
次回に御期待ください!