翌朝、俺は目を覚ました。北上は隣で俺の服の裾を握って寝ていた。まだ寝てたか………。
さて、どうしようかな。少し、寝汗かいたら風呂入りたかったんだけど、裾握る力が強過ぎて離れない。
「………つーか、こいつ寝顔かわいいな」
普段から可愛い顔してるとは思ってたけど、寝顔になるの幼さが表に出てきて可愛さが倍増する。髪下ろしてるし。
「……あ、顔赤くなった」
なんだ?なんか恥ずかしい夢でも見てるのか?
呟くと、なんか肩がビクッとした。まぁ、寝てる時にビクッとなるのは良くあることだ。
「ま、昨日一緒に風呂入ってたし、それが夢に出てきてもおかしくないよね」
アレは俺も少し恥ずかしかったしなぁ……。そんな事を思ってると、俺の裾を掴んでる手が俺の手首の皮膚を摘んだ。そして、ギュウウゥッと力が入った。
「いだだだ!皮膚剥がれる!皮膚剥がれる!」
な、なんの夢見てんだよこいつ!
俺は力づくで腕を引いて、皮膚を剥がされる前に何とか回避した。
「ってぇ〜……。なんか怖い夢でも見てたんかこいつ」
まぁいいか。とにかく、抜け出せた。
さて、風呂入ろう風呂。今日は北上まだ寝てるし、一人で伸び伸びと入れる。俺は浴衣を脱ぎ捨てた。
「っ⁉︎」
「ん?」
なんか急に北上が布団の中に潜ったな。もしかして、空母から爆撃を受ける夢でも見てんのか?だとしたら少し可哀想だな。
俺はパンイチのまましゃがんで、布団の中に手を入れて頭を撫でた。
「大丈夫だ。俺の仲間は誰一人、沈ませやしなーいよ」
なんて、第七班の隊長みたいな事を言って手を抜くと、パンツも脱いでタオルを腰に巻いてベランダの温泉に入った。
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「…………人が起きてるかくらい、確認しなよ」
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風呂から上がって着替え終わった所で、北上がトイレから顔を赤くして出て来た。
「あ、おはよう」
「…………おはよう」
「なんか顔赤くね?どした?」
「………………誰の所為だと思ってんの?(小声)」
「あ?何?」
「何でもない。私、お風呂はいって来る」
「んっ」
と、いうことは脱ぐからこっち見るなって事だろ?
ちゃんと気を利かして、スマホゲームをやりながらさりげなく部屋の出口に向かった。
「飲みもん買って来るわ」
「んー、私コーラ」
「はいよ」
俺は部屋を出て、フロントの自販機で飲み物を買った。
戻って来ると、北上の姿はなかった。まだ風呂に入ってるようなので、コーラとサイダーを布団の上に置いた。
暇なので布団でも畳もうと思ったのだが、布団の上には北上の浴衣だけではなく、パンツとブラジャーも落ちていた。
「……………」
どうしようか。本当なら、畳んでおきたいんだけど、パンツとブラが布団の上に落ちてたら、どう足掻いてもそれらを手にとって移動させなければならない。
だが、ベランダとこの部屋の間はガラス窓なので、北上のパンツとブラを手に取るところを北上に見つかれば、まず提督人生終了コースである。
なら、やっぱ何もしない方が良いか。そう決めて、部屋に備え付けの椅子の上に座って、スマホをいじりながら窓の外を見た。
今更だけど、この窓からの眺めは良い。地平線の彼方まで見えそうな場所だ。何より、ここから海が見えるのがすごい。
「写真撮るか」
窓にスマホを向けた。スマホの画面の左端に、北上が写っていて、こっちをゴミ見る目で見ていた。
「…………あっ」
これじゃ盗撮しようとしてるみたいじゃん………。なんで向こうからこっちが見えると分かっていたのにこっちから向こうを見ることを考えなかった………。
数秒後、土下座する俺の頭を北上は踏んでいた。
「………で?犯行に及んだ経緯は?」
「…………いえ、わざとじゃないんです。あまりにも暇だったので、窓の外の景色を撮ろうと思ったわけです」
「と、いう口実の元、私の裸を撮ろうとしたと?」
「違うから!俺がそんな頭良さそうに見えるか⁉︎」
「……………」
北上はしばらく考えた後、俺の頭から足を退かした。
「………もう、良いよ。分かった」
「悪い」
しかし、なんか北上機嫌悪いな。何かあったのかな。
「で、この後どうする?」
「とりあえず、朝ご飯」
「ああ、それな。その後」
「……んー、私は提督と部屋でまったりしてたいなぁ」
「まったり?」
「ようは、一緒にゴロゴロして、たまに会話して、トランプとかゲームして、一緒に温泉入って、一緒に少し外に出てご飯食べて、また一緒にゴロゴロするの」
「え?お、お風呂もやっぱり一緒に入る?」
「………なんでさりげなく言ったのにリピートしちゃうかな」
「ご、ごめん………」
「提督がどこか行きたいなら、それでも良いけど」
「ふむ………」
確かに、北上はアウトドア派には見えないよなぁ。まぁ、この旅館はトランプやウノだけじゃなく、将棋やオセロの貸し出しもあるらしいし。
「………じゃ、まったりするか」
「うん。ありがと」
「とりあえず、朝飯だな」
「朝ご飯なんだろうね」
「多分、バイキングじゃねぇの?」
「昨日みたいにポテト馬鹿みたいに取るのやめてよね」
「良いだろ、好きなんだから」
「子供といるみたいで恥ずかしいもん」
そんな会話をしながら、部屋を出て朝飯に向かった。