俺は北上にからかわれたい。   作:LinoKa

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第8話 本当にやらかした時に自覚がない奴はダメな奴

 

 

翌日、俺は昨日のデートのことが未だに忘れられずに仕事をしていた。

あの後、昼飯を食って、北上の服とかを買って(大井への口止め料)、帰宅し、今日は北上とモンハンの約束をしておる。まぁ、もちろん仕事が終わってから。その為、北上が執務室に仕事を手伝いに来てくれるから、それを待ちながら仕事をしていた。

すると、ノックの音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

キターーーーーーー‼︎と、言いそうになった声を抑えて、あくまで冷静に返事をした。

入って来たのは、大井だった。

 

「………へっ?」

 

あ、ヤバイ、狩られる、と速攻で勘付いた。。大井はニコニコしたまま手元のボードを持って言った。

 

「では、昨日のデートの採点を致しますね」

「えっ、なにそれ頼んでない」

「昨日の会話の内容を盗聴器、または北上さんからの惚気話から基づいて、採点させていただきました」

「やっぱ付けてたんだ、盗聴器」

「では、発表しますね」

 

大井は手元の紙を読み上げた。

 

「デートの相手を待たせる、減点10」

「うん、まぁそれは少し納得してるよ。減点の量はともかく」

「デートの相手を差し置いて、他の女性と話す、減点20」

「うん、それも減点されるのはわかるけど減点20ってなんだよ」

「ウブ過ぎ、減点20」

「うん、だから減点のペース考えよう」

「ゴチャゴチャうるさい、減点10。ここまでが、昨日提督に言ったところです」

「あ、それ結局引かれたんだ。ていうか、もう半分切っちゃってるし」

「バイクでの移動、加点5」

「おっ、初めて加点されたよ。でもたったの5ですか?アレだけ引いて来た癖に?」

「バイクでの二人のり。減点15」

「待て待て待て。危険なのは分かるけど加点したものを3倍で引くかよ普通」

「ゲームを買った直後に帰宅の進言、減点20」

「あ、やっぱそれダメだったんだ……」

「北上さんとプリクラを撮る、羨ましいので減点80」

「80⁉︎てかマイナス張り切ってますけど⁉︎」

「プリクラでウルトラマンのポーズを二回決める、減点50」

「いや、うん。それは良いや」

「プリクラの途中、北上さんの胸を触る。減点酸素魚雷」

「どういう事だ⁉︎待て待て待て酸素魚雷ってお前何するつもりで……‼︎」

 

その後も、次々に点を減らされていった。

 

「北上さんとデートする時点で、減点867」

「と、とうとう減点5000に………。てか半分以上が私怨だったじゃねぇか……」

「以上です。何か不満な点は?」

「減点だけにってか?」

「減点一億」

「ごめんなさい!」

 

ち、畜生………。何されるんだ、俺………。マイナスに振り切るなんて………。

 

「最後に、北上さんが楽しそうに私に惚気話を語っていたので、加点100です」

「………あ、ありがとうございます」

 

それは少し意外だった。この女、クレイジーサイコレズじゃなかったのか?思わずお礼言っちゃったし。

ていうか、北上のやつ、楽しそうに惚気話してくれたのかぁ………。

 

「ふへへ」

「すこぶるキモいので今の加点は無しに」

「ごめんなさい待って下さい‼︎」

「良いですか、提督。本当なら、減点を一億も超える人なんて、私は酸素魚雷で沈めようと思っていました」

「ほとんど私怨だけどな」

「ですが、アレだけ楽しそうに北上さんが惚気ていたら、私には止めることは出来ません。私は、北上さんの幸せが全てですから」

「………………」

 

意外だ。他の鎮守府の大井は北上の為なら提督に魚雷をダンクシュートして来るらしいのに。

 

「と、いうわけで、提督を北上さんの足元に及ぶくらいまでには届くように、これからしばらくビシバシしごこうと思います」

「えっ………?」

 

それはつまり、協力してくれるってことか?

 

「まじで?」

「はい。言っておきますけど、北上さんのためですからね?提督がどうなろうとどうでも良いですが、北上さんには幸せになってもらいたいんです」

「…………」

 

おいおいまじかこれ。ひょっとして最強の味方を手に入れたんじゃないの?

すると、コンコンとノックの音が響いた。「スーパー北 北上様が来てあげたよー」と、声が聞こえて来た。

 

「では、提督。後ほど」

 

大井は軽く会釈すると、出て行った。………そういえば、俺に協力してなんで北上が幸せになるんだ?

 

 

++++

 

 

「で、提督。大井っちとなんの話ししてたの?」

 

仕事を開始して一時間、北上が喧しい。なんか真面目な顔ですごい聞いて来る。

 

「いや、大した話じゃないって」

「提督、大井っちと仲良いよね。昨日も、待ち合わせ場所で私ほっとかれたし」

「いや、あれはなんか大井が採点始めたからでしょ。てか仕事しようよ、モンハン後でやるんでしょ?」

「………むー」

 

なんでそんな真剣なのかな。怖いんだけど。すると、北上はニヤリと微笑んで、俺の腕にしがみついてきた。

 

「っ⁉︎」

「提督、教えてくれないと、このままずーっと張り付いてよっかなー」

「の、乗らないぞ!そんな脅しには乗らないぞ!」

「ふぅん?あ、顔真っ赤にしてる。慣れないねぇ、提督も」

 

し、仕事が終わらねぇええええええ‼︎このままじゃ、北上とのモンハンタイムが……‼︎

 

「わ、分かったよ……言うよ………」

 

まぁ、嘘を言わなければ何とかなる。俺は目を逸らして、呟くように言った。

 

「れ、恋愛相談、だよ………」

 

バレないよねこれ、大丈夫なんだよねこれ。

おそるおそる、北上の方を見ると、固まっていた。

 

「…………ごめん、聞こえなかったも。もっかい言ってくれる?」

「だから、恋愛相談」

「……………提督、好きな人いるの?」

 

お前だよ、お前。と、思ったが、そんなこと言えるはずもない。俺は目を逸らして、そっぽを向くと、北上は俺の腕から離れて、真っ白になって白目を剥いた。ぽえっと口から魂が出て来そうな顔になった。

え、なんか俺やらかした、かな……。俺が狼狽えてると、俺の10倍くらい狼狽えてる北上はふらりふらりと立ち上がり、執務室の出口に向かった。

 

「き、北上………?」

「帰る」

「えっ?ちょっ、仕事は⁉︎モンハンは⁉︎」

「知らない」

「嘘でしょ⁉︎」

 

北上は出て行ってしまった。

 

 

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