北上が部屋を出て行ってしまい、俺は仕方なく一人で仕事を始めた。
しかし、なんで北上はショックを受けたのだろうか。俺そんな悪い事言ったのかなぁ。まぁ、わからない事考えても仕方ないよな。それより、仕事を終わらせよう。
しばらく、書類を書いたり報告書を書いたりしてると、「クマァ!」とすごい勢いで部屋の扉が開いた。
「っ⁉︎ ………ああ、球磨か。どした?」
「少し話があるクマ」
「なんか飲む?」
「カフェオレクマ!」
「砂糖は?」
「入れるクマ」
俺はコーヒーを淹れて、砂糖とミルクを加えてスプーンでかき混ぜた。
ソファーの前の机にカップを置くと、球磨はソファーに座り、俺はその向かいに座った。
「で、何か用?」
「むっ……このコーヒーは中々……。でも、もう少し甘い方が好きクマ」
「え、結構入れたつもりなんだけど。甘党なの?」
「クマ」
「じゃ、も少し足していいよ」
砂糖の容器を取って来て、球磨の前に置くと、砂糖をダボダボと入れ始めた。おい、それもうコーヒーじゃなくね?
「で、何?」
「うえっぷ!甘いクマ!」
「そりゃそうだろ。コーヒー足すか?」
「クマ」
「ああ、これ無限ループ臭いから、もう砂糖入れんなよ」
コーヒーを足して、ようやく話が進んだ。
「実は、さっき死に掛けた状態の北上が部屋に戻って来たクマ」
「は?なんかあったのか?」
「外傷は見当たらないけど、真っ白になって明日にへたり込んだままピクリとも動かないクマ」
「それ大丈夫なの⁉︎不安になって来た!」
「北上が最後にいた場所はここクマ。だから、提督に会いに来たクマ」
「は?でもここでは何も無かったし……部屋に戻る前にどっか行ったんじゃね?」
「大井からの情報だから確かだクマ」
「それは確かに正確だな……」
あいつの北上情報は本当に正確そうだもんな。そろそろ北上予報とか出来ちゃうんじゃないの?
「それで、一応北上はここで何してたか聞きに来たクマ」
「ここで、と言われても……」
そんな特別な事してねーぞ。まぁ、確かになんかショック受けて出て行ったけど。
「確かここに大井がいて、北上が来たから大井が出て行って、北上がなんか大井と何してたかしつこく聞いて来たから、それに答えたら急にショック受けて出て行った」
「………なんて答えたクマ?」
「えぇー………答えなきゃダメ?」
「答えなきゃ、北上のパンツをこの部屋の見つかりやすいところに隠すクマ」
「わ、分かったよ………。大井に恋愛相談に乗ってもらってたって言ったんだよ」
「それクマ」
「はっ?なんで?」
「事情は分かったクマ。コーヒーご馳走様クマー」
「えっ、ちょっ」
言うだけ言って、球磨は出て行った。
「…………やっぱり俺の所為だったのか」
どうしよう……謝った方が良いかな。や、でも事情が分からないのに謝るのって相手を煽ってることになるよな。
「どうしたもんかね……」
………ま、良いか。下手に謝るより、ここは大井からの情報を待とう。
そう思って、仕事を再開した。なんだか今日は珍しく集中力があるんだよな。今のうちに終わらせてやる……!
と、思ったら突然執務室の扉がぶち壊され、何かが突っ込んで来た。それが業務机に直撃し、爆発。俺は窓の外に投げ出され、木に落下した。
「ゴフッ……な、何が……一体、何が……?」
「………提督」
見上げると、大井が爆発した執務室から俺を睨んでいた。
「提督、少々お話聞かさせ願えますか?」
大井から情報ではなく、魚雷がやって来た。
++++
「と、いうわけなんだけど……ていうか球磨から聞かなかった?」
説明すると、大井は呆れたようにため息をついた。
「聞きました」
「じゃあなんで魚雷撃ったの⁉︎」
「北上さんを泣かせる者は殲滅するのみです」
「怖っ!てか泣いてたの?」
「いえ、涙は確認してません」
「それ俺のこと撃ちたかっただけだろ!」
「はい」
否定しろよ……。せめて言い訳しろよ………。
「まぁ、別に責めはしませんけど………。でも、北上さんがあんなんになってしまい、少しイラッと来たので魚雷飛ばしました」
「………はぁ、どうしたものか」
「もう告白しちゃいましょう。それしかありません」
「なんでだよ!無理無理無理無理!破裂する!」
「それこそなんでですか」
「そもそも、北上は俺のこと好きでもなんでもないからね?いつもからかって来るし、ウブだなんだとバカにして来るし」
「………………」
「この前、出かけた時だって後ろからしがみついて来て、心頭滅却するので頭いっぱいだったし」
「………………」
「少し前にソファーで寝てると、頬をめっちゃ突いて来て起こされたし」
「………………」
「この前なんて」
「もう良いです」
「えっ、ちょっ」
「誰がノロケろって言ったんですか」
「はぁ⁉︎どこがノロケだよ!俺がいじめられてた武勇伝だろうが!」
「とにかく、告白しなさい。良いですね?」
「ええっ⁉︎急に何を………⁉︎」
「本当はもう少しジャブを繰り返させるつもりでしたが、事こうなった以上は仕方ありません。開幕雷撃決めなさい」
「いやそんな無茶な……失敗したらどうすりゃ良いんだよ。死ねば良いのか?」
「失敗なんてしません。保証します」
「え、なんでそんな……」
「保証します」
「わ、分かったよ。告白すれば良いんだろ」
「はい。出来ますね?」
「…………すみません、2日ほど待ってもらえませんか」
「このクソチキン」
「すみません………」
その夜、俺は眠れなかった。