ラブ魂   作:美雪

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あっぶな・・・。
後ちょっとで一年超えるところだった。

銀時「いや、ここまで来るとギリギリアウトだろ」
穂乃果「確かにそうかも?」

そんなぁ!

銀時「まぁ、一年超えなかっただけマシだと、自分で思っとけって」
穂乃果「思うだけなら、タダだもんね!」

うん・・・!
なんか違う気がするけど、そうだよね!

穂乃果「じゃあ早速行きましょう!」

せーの!

銀時・穂乃果「ラブ魂!」


第十五訓 コスプレするなら心まで飾れ

ある日の朝、万事屋に来訪者が来ていた。

桂である。桂は万事屋のインターホンを鳴らした。

 

桂「ごめんください〜い、桂ですけど〜。・・・・・・」

 

しかし出てこないところを見ると、どうやら銀時達は出掛けているらしかった。

 

桂「チッ。留守か。事は一刻を争うというのに・・・」

 

そう呟いた桂の前で不在で誰もいないと思っていた万事屋の扉が開いた。

 

桂「!」

 

定春である。定春が器用にもその犬の手で扉を開けたらしい。

 

一瞬、沈黙したものの、桂は生真面目にも定春にちゃんとした口調で話しかけた。

 

桂「・・・すっ、すみません・・・。銀時くん、もしくは穂乃果さん、いますか?」

定春「・・・・・・」

桂「・・・あの・・・じゃあ、茶菓子だけでも置いていくんで、どうぞ食べてく・・・

 

頭を定春に飲み込まれた。

 

 

 

 

一方その頃。

 

桂が尋ねた銀時と穂乃果は、依頼が入ったので依頼人の家で話を聞いていた。

 

もちろん、万事屋としての依頼なので新八も神楽もいるのは当然なのだが、何故か海未と空、ことりもいた。

 

因みに、穂乃果と神楽、空とことりは庭に出て池を眺めていた。

 

ことり「久しぶりすぎて存在が忘れられるかと思ったよ〜」

穂乃果「最後に出たのって、番外編だしね」

神楽「しかも人数が人数だから、存在が薄れてても何らおかしくないアル」

空「話数としてはそれほどって感じだけど、日付にしたらとんでもないもんね」

ことり「出れてよかった〜」

 

ほのぼのとした四人はとりあえずほっといて話を聞くことにする。

 

「いや、二日三日家を空けることはあったんだがね。一週間ともなると・・・。連絡は一切ないし、友達に聞いても誰も知らないときた」

 

新八の隣では銀時が出されたお茶を虚ろな目で飲もうとしたが、かなりボーとしてるのか、口に入らずに零れ落ちている。

 

新八「ああっ!しっかりしてくださいよ。だからあんま飲むなっていったんスよ」

海未「銀さん、だらしないですよ」

「親の私が言うのもなんだが、キレイな娘だからなにかよからぬことに巻き込まれているのではないかと・・・」

 

そう言って見せてくれた写真に写っている、曰く()()()()()はハム子だった。

 

銀時「そーっスねェ。なんか・・・こう巨大な・・・ハムを作る機械とかに巻き込まれている可能性がありますね

海未「銀さん」

「いや、そーゆうんじゃなくて、なんか事件とかに巻き込まれてんじゃないかと・・・」

銀時「事件?あー、ハム事件とか?」

海未「銀さん!」

新八「オイ、大概にしろよ。せっかく来た仕事パーにするつもりか」

 

なんだか色々投げやりになっているみたいだ。

 

新八「でも、ホントコレ、僕らでいいんですかね?」

海未「こういうのって、普通は警察に連絡するものじゃないですか」

「そんな大事にはできん。我が家は幕府開府以来、徳川家に仕えてきた由緒正しい家柄。娘が夜な夜な遊び歩いているなど知れたら、一族の恥だ。なんとか内密のうちに連れ帰って欲しい」

 

 

 

 

と、言うわけで?

 

「あー?知らねーよ、こんな女」

空「この店によく遊びに来てたって言ってたよ?」

「んな事言われてもよォ、嬢ちゃん達。地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ・・・。名前とかは?」

空「え、な、名前?えっと・・・」

神楽「えーと、ハ・・・ハム子・・・」

「ウソつくんじゃねェ!明らかに、今つけたろ!!そんな投げやりな名前つける親がいるか!!」

ことり「忘れたけどそんな感じだったよねぇ?」

「オイぃぃぃぃ!!ホントに探す気あんのかァ!?」

 

穂乃果と新八と海未は、それを少し離れたところから眺めていた。

銀時はというと、その横で二日酔いと戦っていた。

 

新八「銀さん・・・神楽ちゃんと空ちゃんとことりさんに任せてたら、永遠に仕事終わりませんよ」

銀時「あー、もういいんだよ。どーせ、どっかの男の家にでも転がり込んでんだろ、あのバカ娘・・・アホらしくてやってられるかよ。ハム買って帰りゃ、あのオッさんも誤魔化せるだろ

穂乃果「じゃあ、ハム買って帰ろうか」

新八「誤魔化せるわけねーだろ!」

海未「アナタ達、どれだけハムで引っ張るつもりですかっ!?」

 

そう言う二人に取り合わず、銀時は徐に腰を上げる。

 

銀時「ワリーけど二日酔いで調子ワリーんだよ。適当にやっといて新ちゃん、海未ちゃん」

新八「ちょっ、銀さん!!」

穂乃果「あれ?私は?ねぇ、銀ちゃん!私はっ!?何で海未ちゃんにもよろしく言ったのに私には何も無いのっ!?」

 

銀時の言葉に不服だったらしい穂乃果は、そのまま銀時を追いかけて行った。

 

銀時を見送った新八はその場に立ってたのが悪かったのか、肩が人にぶつかった。

 

新八「あ、スンマセン」

 

そこに立っていたのは、眼鏡をかけた見た感じお硬そうな印象を受ける男だった。

 

「・・・小僧、どこに目ェつけて歩いてんだ」

 

そう言ってその男は新八へと手を伸ばした。

それに新八は思わずビクついて、海未はいつでも動けるように身構えた。

 

しかし、その男が手を伸ばしたものは新八ではなく、新八の肩についているゴミだった。

 

「肩にゴミなんぞ乗せてよく恥ずかしげもなく歩けるな。少しは身だしなみに気を配りやがれ」

 

そう一言だけ残して言って、男は去っていった。

 

新八(なんだ、あの人・・・)

海未(・・・どっちみち、誰彼構わずかかってくる人じゃなくて良かった。あの人と戦うことになったら、わたしじゃ勝てるかどうか・・・)

神楽「新八〜、海未〜」

空「見て!」

 

そう言って三人が連れてきたのは、ハム男だった。

 

ことり「もう面倒だから、コレで誤魔化すことにしちゃった☆」

新八「どいつもこいつも仕事をなんだと思ってんだ、チクショー!しちゃった☆じゃねーよ!!」

海未「大体これで誤魔化せるわけないじゃないですか。ハム子じゃなくて、ハム男ですよ!」

神楽「チッ、ハムなんてどれ食っても同じじゃねーか、クソが」

新八「何?反抗期!?」

 

するといきなりハム男が倒れた。

 

新八「!」

神楽・ことり・空「ハム男ォォォォ!!」

新八「オイぃぃ!駄キャラが無駄に行数使ってんじゃねーよ!!」

神楽「ハム男、あんなに飲むからヨ」

 

そう言って神楽がハム男の顔を表にした時、新八と海未とことりは気づいた。

 

新八「!」

海未(この人、酔っ払いじゃない・・・?)

ことり(もしかして、この人・・・麻薬に手を出してるとか?)

「あー、もういいからいいから。あと俺やるから、お客さんはあっちいってて。・・・ったく、しょーがねーな。どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ」

新八「シャブシャブ?」

ことり「シャブってことは、やっぱり・・・」

海未「あの、それって・・・」

神楽「ハイレグアルカ?」

「この辺でなぁ、最近新種の薬が出回ってんの。なんか相当ヤバいヤツらしいから、お客さんたちも気をつけなよ」

 

 

 

 

一方その頃の穂乃果は。

 

穂乃果「もう、銀ちゃんったら」

 

男子トイレの前で待つ勇気は流石になかったので、男子トイレが見える位置の壁に寄りかかっていた。

 

穂乃果「・・・ん?」

 

心の中で銀時への不満を募らせていた穂乃果は、男子トイレに女の人が入っていたのを見た。・・・というかアレは、依頼で頼まれていた依頼人の娘だ。

 

穂乃果「・・・何であの人が男子トイレに?」

 

依頼人の娘が男子トイレに入ったからと言って、歳頃の穂乃果が入っていけるわけじゃない。流石の天然穂乃果も、そんなに図太い神経はしていないのだ。

 

しかし少ししてからぞろぞろとガラの悪い男達が男子トイレに入っていくのを見て、これは只事じゃないと感じた穂乃果は、木刀を片手に覚悟を決め、大きい音を合図に男子トイレへと突入した。

 

銀時「穂乃果っ!?つか、お前・・・ここ、男子トイレだろ!」

穂乃果「今はそんなこと気にしてる場合じゃないでしょっ!?」

銀時「っ!ああ、まぁ、確かに・・・そうだな」

 

穂乃果が入ったトイレの中には天人の男が複数居て、意識を飛ばして気絶をしているハム子がいた。

丁度、天人達を挟んだ穂乃果の向かい側で、銀時も穂乃果同様木刀を構えていた。

 

「なんじゃお前ら」

 

 

 

 

新八「銀さんと穂乃果さん、遅いですね」

ことり「そうだねぇ」

海未「・・・どうも嫌な感じがしてなりませんよね、このお店・・・早く出た方が賢明でしょう」

神楽「私、探してくるヨ」

空「じゃあ、私も!」

 

そう言って立ち上がる神楽と空に、銃が零距離から向けられた。

 

神楽「!」

空「ひぇ!」

 

複数の天人だ。

 

それに対して神楽は表情は動かさなかったが、空は年相応に震え上がった。

大切な妹に銃を向けられた海未は、目で人を殺せるのではないかというくらいの眼光の鋭さで、その天人達を睨んでいた。

 

「てめーらか、コソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは」

新八「なっ・・・なんだアンタら」

「とぼけてんじゃねーよ。最近ずーっと俺たちのこと嗅ぎ回ってたじゃねーか、ん?」

ことり「最近・・・?」

海未(わたし達がここで聞きみを始めたのは、今日のハズなのに・・・、誰かと勘違いをしている?)

 

 

 

 

ハム子「ちょうだい、アレを早く・・・」

 

用済みとボコられても何かを求める様子のハム子を見て、銀時と穂乃果は言った。

 

銀時「ハム子ォ、悪かったなァ、オイ」

穂乃果「確かに男には引っかかってたみたいだけど、それでも・・・あなた」

銀時「エライのに引っかかってたみてーだな」

 

穂乃果は銀時のその言葉の終わりに、木刀の構えはとかず、辺りをサッと見回した。

 

この数程度と戦力なら行けると踏んで、少しだけ屈む。

穂乃果は銀時の近くに行くために壁を蹴り、たまに相手の頭を踏み台にした。そのスピードは目を見張るものだ。

 

少し瞬きしただけでいつの間にか銀時の隣に居た穂乃果の速さに周りがザワつく。

 

敵側の相手の奴らと違って、銀時は驚かない。現時点で穂乃果の実力を明確に一番知っているのは彼だからだ。

 

銀時は知っていた。男の中でただ一人、所謂(いわゆる)紅一点状態で女一人だった穂乃果は、少しでも遅れを取らないように日々剣術を磨いていた事を。

銀時は知っていた。穂乃果のスピードは中々のもので、彼女の速さについていける奴はそうそう居ない事を。

 

銀時はただひたすら心配をするだけなのは、とうの昔に止めた。勿論、今でも心配は凄くする。物凄く。けれど、心配だけするのはもう止めたのだ。とうの昔に覚悟は出来ていた。穂乃果を誰よりも一番に信頼する覚悟を。

 

だから穂乃果が隣にいる時は、銀時はただ前だけを見据える事にしていた。

 

「・・・陀絡(だらく)さん、なんか妙なのが混ざっちまいましたけど・・・どーします?ちょっと、聞いてますか?」

 

陀絡と呼ばれた男は、その言葉に答えることなく、血で汚れた袖を水で洗うのに夢中だった。

 

陀絡「チクショ、とれねェ。どーしてくれんだ。おろしたてだぞ、この服。汚ぇなァ。ベットリ付いてとれねェよ!!」

「陀絡さんってば、聞いてます?」

 

そう懲りもせすに聞き返す天人の男を陀絡は思いっきり蹴った。

 

陀絡「身だしなみ整えてる時は声かけんじゃねぇー!!」

 

そう怒鳴り散らしてから、その歩を銀時と穂乃果に向ける。

 

陀絡「なんか困ったことがあったら、とりあえず殺っときゃいいんだよ。パパッと殺って帰るぞ。夕方から見てェドラマの再放送があんだ」

銀時・穂乃果「(俺達もだ・私達もだよ)」

 

そう言い二人は木刀を斜め下に構える。

 

陀絡「俺は、元来そんなに人嫌いの激しいタチじゃねェ。だが、これだけは許せんと言うのが三つあってな。・・・一つ目は、仕事の邪魔をする奴。二つ目は、便所に入っても手を洗わん奴。三つ目は、汚らしい天然パーマの奴だ」

 

そう言い切り、一呼吸置いた。

 

陀絡「・・・全部該当してんじゃねェかァァァァァ!!女も一つ該当してやがる!」

 

そう言い己の剣で突きを繰り出してくる陀絡の攻撃を、銀時はジャンプで、穂乃果は横に避ける形で躱した。

 

銀時「そいつァ光栄だ。ついでに俺の嫌いな奴三つも教えてやろーか?」

穂乃果「あ、じゃあついでに私も!」

 

そう言いながら、銀時は後ろにあった壁を蹴り、陀絡の後ろに着地した。そのまま敵を見据える。

穂乃果は、持ち前の速さで相手が気づいた時にはその懐に入り込んでいた。

 

銀時・穂乃果「ひとーつ」

銀時「学園祭準備にはしゃぐ女子!」

穂乃果「私にとって大切な人や、無関係な人を傷つける人達!」

 

言いながらも、それぞれ前の相手を落としていく。

 

銀時・穂乃果「ふたーつ」

銀時「それに便乗して、無理にテンションを上げる愚の骨頂、男子!」

穂乃果「人の気持ちを顧みない発言!」

銀時・穂乃果「みーっつ」

 

最後に銀時は首を思いっきり締めにかかり、穂乃果は足をかけて転ばせて、体重を全部乗せ、勢いをつけて相手の背中に肘を向けてダイブした。流石に体重が男よりも軽い女だとは言え、体重を乗せた攻撃は痛いだろう。

 

銀時「それら全てを包容し、優しく微笑む教師」

穂乃果「仲間を大事にしない人達」

陀絡「てめェ、要するに学園祭が嫌いなだけじゃねーか。女に関しては何だそれ?偽善者か」

 

陀絡の言葉に対して穂乃果は、キョトンとした表情をしてから、実際の年齢よりも幼く見える表情をするいつもの穂乃果からは想像がつかないような少しだけ大人びた笑顔を向けた。

 

穂乃果「偽善者?・・・そうかもね、否定はしないし、出来ないよ。でもね、大事なのは貴方がどう思ってるかじゃなくて、私がどう思ってるか。貴方が偽善者と言うのなら、貴方にとって私の言葉は偽善そのものなんだろうね。でも、私にとってそれは偽善じゃなくて、私が許すことの出来ない、譲れないモノなんだよ」

 

そんな穂乃果の言葉にか、それともその穂乃果の表情に目を合わせられなくなったのか、陀絡はふん、と鼻を鳴らして銀時に目線をやった。

 

陀絡「・・・。男、お前はよほど暗い青春をおくったな・・・」

銀時「てめーほどじゃねェよ。いい歳こいて便所でスーパッパか?」

 

その横で呻いたハム子とその様子をしゃがんで見ていた穂乃果をチラッと見、銀時は言葉を続けた。

 

銀時「最もテメーらが好きなのは、シャレにならねェハッパみてーだがなァ。天人が来てから世の中アブねーもんも増えたからよォ」

穂乃果「困るよ〜。若者を誑かしてもらっちゃ」

 

そう言ってハム子を支える銀時と穂乃果に、陀絡も言葉を返す。

 

陀絡「誑かす?勝手に飛びついてきたのは、その豚だぞ。望む通りのモン、用意してやったのにギャーギャー騒がれてこっちも迷惑してんだ」

銀時「そーかい。バカ娘が迷惑かけて、悪かったな。連れ帰って説教すらァ」

 

そう言い捨ててから、トイレのドアを押して出ようとした銀時と穂乃果はその目の前の光景に目を見開いた。

トイレの出口を囲まれていたのだ。

 

銀時「オイオイ、皆で仲良く連れションですか。・・・便器足んねーよ」

「オラァ!面倒かけんじゃねぇ!」

 

突然聞こえてきた声の方を見た銀時と穂乃果の視線の先は、荷物のように脇に抱えられている神楽と空、両サイドから腕を引っ張られて連行されている新八と海未とことりだった。

 

銀時「新八!神楽!海未!空!ことり!」

穂乃果「みんな!・・・何でっ!?」

銀時「オイ!どーしたんだ!?」

 

連行されている様子の五人の元に向かおうとする銀時と穂乃果だが、二人の前にいるヤツらが壁となって行くことが出来ない。

 

銀時「てめーらァァ!!何しやがった!」

穂乃果「みんなを離して!」

陀絡「お前ら、目障りだよ」

銀時・穂乃果「!」

 

その言葉が聞こえてきた瞬間、横から突きの攻撃が二人を交互に襲った。何とか三度程避けれただろうか。しかし、背中が窓のある壁についてしまった。新八達のことで動揺していたのもあるし、二人はそれぞれハム子を支えるために肩を貸している。故に銀時は最後の突き攻撃を避けることが叶わず、肩にくらいハム子と共に窓を破って下の方に落ちた。

 

穂乃果「銀ちゃん!」

 

そう叫び、後ろを向く──つまり、背中を相手に向けるという──ことをしたのがいけなかった。普段はそんな愚かなことはしない穂乃果ではあるが、やはり動揺していたのだ。そんな隙を陀絡が見逃すはずもなく、銀時同様の突き攻撃を穂乃果はお腹にくらい、窓から落ちた。

 

陀絡「チッ。また汚れちまった。ダメだこりゃ、新しいの買おう」

 

 

 

 

穂乃果は歩いていた。どこかも分からない、死体の山が広がっている道を人一人踏ん張って背負いながらも歩いていた。

 

穂乃果「頑張ってね。絶対死なせたりしないから。絶対に助けるから」

 

穂乃果が踏ん張りながらも背負っている相手に向かって声をかけた時、横たわっている骸から声が聞こえた。

 

「捨てちまえよ、そんなもん。どーせそいつは助からねぇ。てめぇーにゃ、誰かを護ることなんざできっこねーんだ。今までだって大切なもん護りきれたことあったか?ねぇだろ。今まで白夜叉達の力を借りずにやって来れたと思ってるのか?イヤ?そんなことは無いよな。お前は白夜叉やかつての仲間達がいないとなんにも出来ねぇもんなぁ?オマケにお前らのやってきたことで残せたものなんざ、死体の山しかねぇだろ。お前は白夜叉達がいなかったから自分の家族を護れなかった。違うか?」

穂乃果「・・・私の昔のことなんて、銀ちゃん達には関係の無いことだよ」

 

いつの間にか背負っていた相手はいなくなっていた。

 

「ああ、確かにそうだな、その通りだ。だがそれでも言えることはあるさ」

穂乃果「言えること?」

「お前は無力だ、お前に護れるものなんてないさ。・・・お前はこれから先も、白夜叉の足枷であり続けるだろう」

穂乃果「──っ!!」

 

 

 

 

最後の一言が聞こえた瞬間、穂乃果は目を見開いて()()()()から飛び起きた。

 

穂乃果「あ、え・・・?」

 

そう、《布団の上》だ。

つまり、さっきの光景は──。

 

穂乃果「夢・・・」

 

夢見が悪いせいで若干顔色の悪い穂乃果は、それでも辺りを見回してここが何処か確認を始めた。

 

穂乃果「・・・?」

 

見たところ、和室であるらしいが来たところのない場所だ。

ますます分からず、首を傾げた穂乃果は、暫くしてここに来る前に何があったのか思い出して、立ち上がろうとしたが、お腹に走る激痛にそのまま布団の上で後ろに倒れて突っ伏してしまった。

 

暫くこの体勢で痛みをやり過ごそうとした穂乃果だったが、その直ぐ後に襖の開く音が聞こえ、そちらに顔を向けた。

 

穂乃果「あれ、銀ちゃん!それにこー君も」

銀時「何、どうかしたのか?」

穂乃果「痛くて」

桂「思いっきり刃が刺さったみたいだから無理もなかろう」

 

桂の言葉に、あ〜それは痛いねと妙な納得をしつつゆっくりとした動作で起き上がる穂乃果。

 

銀時「ところで、魘されてたんだって?」

穂乃果「・・・あ〜、うん。夢見が悪くて」

銀時「奇遇だな、俺もだ」

穂乃果「あはは、ホントだねぇ」

 

こうして何も聞いてくれないというのも、今の穂乃果にとってはありがたい事である。

そんな有り難さを胸に、いつもならチャンスとばかりにさり気なく、銀時に寄りかかるところだが、向こうも怪我人だ。ここは堪えることにする。

 

穂乃果「あ、そう言えば、えっと・・・は、ハム子さんは?」

桂「ハム子?・・・それがお前らの助けた女を指すなら、お前らよりも重傷だ。お前らが庇ったおかげで外傷はそうでもないが、身体中が薬に蝕まれている。処置が早かったのは不幸中の幸いだが、果たして回復するかどうか」

銀時「あのクソガキめ」

桂「というか、貴様らはなんであんな所にいたんだ?」

銀時「というか、なんでお前に助けられてんだ?俺らは」

穂乃果「というか、ここ何処なの?」

銀時「というか、この前のこと謝れコノヤロー!」

桂「というか、お前らはコレを知っているか?」

銀時・穂乃果「?」

 

そう言いながら、桂は銀時と穂乃果に透明な袋に入った白い粉状のモノを見せる。

 

桂「最近、巷で出回っている”転生郷”と呼ばれる非合法薬物だ」

穂乃果「てんせいきょう?」

桂「辺境の星にだけ咲く特殊な植物から作られ、嗅ぐだけで強い快楽を得られるが、依存性の強さも他の比ではない。流行に敏感な若者達の間で出回っていたが、皆、例外なく悲惨な末路を辿っている。天人がもたらしたこの悪魔を根絶やしにすべく、我々攘夷党も情報を集めていたんだ。そこに、お前らが降ってきたらしい。俺の仲間が見つけなかったらどうなっていたことか」

穂乃果「そっかぁ。じゃあ、お礼を代わりに伝えといてくれる?ありがとうって」

 

穂乃果の言葉に頷いて返しつつ、一呼吸置いて桂は訪ねた。

 

桂「・・・というか、お前らはなんであんな所にいたんだ?」

銀時・穂乃果「というか、アイツらは一体なんな(んだ・の)?」

桂「宇宙海賊”春雨”。銀河系で最大の規模を誇る犯罪シンジケートだ!奴らの主だった収入源は非合法薬物の売買による利益。その触手が末端とは言え、地球にも及んでいるというわけだ。天人に(おか)された幕府の警察機構など、アテにできん。我らの手でどうにかしようと思っていたのだが、貴様らがそれほど追い詰められる位だ・・・余程強敵らしい。時期尚早かもしれんな」

 

その長々と話している桂を気に止めず、銀時と穂乃果は立ち上がり、窓側に向かう。

 

桂「オイ、聞いているのか?」

銀時「仲間が拉致られた。ほっとくわけにはいかねェ」

穂乃果「助けないとね」

桂「その身体で勝てる相手と?」

 

銀時はその問いに答えることなく、徐に呟くように言った。

 

銀時「”人の一生は、重き荷を負うて遠き道を()くが如し”。昔なァ、徳川田信秀というオッさんが言った言葉でな」

穂乃果「あれっ?そんな名前だっけ!?」

桂「誰だ、そのミックス大名!家康公だ、家康公!」

 

そんなツッコミを気に止めず、話を銀時は進める。

 

銀時「最初に聞いた時は何を辛気くせーことをなんて思ったが、なかなかどーして、年寄りの言うこたァバカにできねーな・・・。荷物ってんじゃねーが、誰でも両手に大事に何か抱えてるもんだ。だが、かついでる時にゃ気づきゃしねー。その重さに気づくのは全部、手元からすべり落ちた時だ。もうこんなもん持たねェと何度思ったかしれねェ。なのに・・・」

穂乃果「”またいつの間にか背負い込んでいる”」

 

銀時の言葉の続く言葉を穂乃果が続ける。その言葉に銀時は穂乃果の方に顔を向けた。

 

穂乃果「私もそうだもん。分かるよ」

銀時「・・・そっか、そうだな」

穂乃果「いっそのこと、捨てちゃえば、或いはそもそも背負わなきゃ楽になれるのかもしれない。何度もそう思ったけど、どうしてもそーゆー気にはなれっこないから」

銀時「そうだな。荷物(あいつら)がいねーと、歩いててもあんま、面白くなくなっちまったからな」

 

そんな銀時と穂乃果の言葉を聞いた桂は、一呼吸置いて銀時と穂乃果に応えた。

 

桂「仕方あるまい。お前らには池田屋での借りがあるからな」

穂乃果「へ?」

桂「ゆくぞ

銀時「あ?」

桂「片腕では荷物など持てまいよ。今から俺がお前の片腕だ、銀時」

 

 

 

 

海未(・・・ここは、どこでしょうか。私は今どうしてるの?・・・そうだ、空は、空は無事なんでしょうか。あの子が無事じゃなかったら、わたしは・・・)

 

意識が朦朧としている最中の海未の近くに、空は勿論、新八と神楽とことりも転がっていた。そこに近寄ってくる人影が二人。陀絡とカエルである。

 

「こ奴らが、ぬし達の周りをかぎ回っていた連中かケロ?」

陀絡「ええ。最近、少々小うるさくなってきたんで、網張ってたら簡単にかかりましてね。大方、天人嫌いの攘夷派の連中でしょう」

「ケロゲーロ」

陀絡「あと二人、妙な侍がいましたが、そっちの方は騒いだ客と一緒に始末しましたよ」

「あまり派手に動くなと言ったケロ。こちらも幕府の連中をおさえこみ、見て見ぬフリをするのにも限界があるケロ」

陀絡「ええ、分かってますよ。自由に商売できるのも、旦那のおかげですからね」

「して、こやつらの始末はどうつけるケロ?」

陀絡「拠点を聞き出して、潰しますよ。これ以上、仕事の邪魔はされたくないのでね」

「首謀者は、恐らくあの桂とかいう男ケロ。奴らは我ら幕府にも牙を剥く狂犬ゆえ、侮るなケロ」

 

そうカエルが言い終わった時、陀絡にかける声が一つ。

 

「陀絡さん、ちょっと」

陀絡「?」

「表に妙な奴らが来ていまして」

陀絡「妙な奴ら?適当に処理しておけ。俺は今忙しいんだ」

 

 

 

 

一方その頃、船の表にいる()()()()と言えば?

 

「だーかーらー、ウチはそういうの要らねぇんだって」

 

そういう見張りの前には、海賊が着こなしていそうなジャケットを着る二人の男と一人の女がいた。

男のウチ、一人は顔の真ん中に斜めの傷がある、ビシッとセットした銀髪の男で、もう一人は右頬に斜めの傷があり、左眼に眼帯をつけている黒髪の長髪の男、そして女の方は、茶色がかったオレンジ色の髪を後ろの高い位置で纏めた、首筋に髑髏のタトゥーがある出で立ちだ。

 

銀時「つれねぇーな。俺達も海賊になりてぇんだよ。連れてってくれよ、なぁヅラ」

桂「ヅラじゃない。キャプテンカツーラだ」

穂乃果「私達、幼い頃から海賊になることを夢見ていたわんぱく坊主とわんぱく少女でね?失われた秘宝、ワンパークというのを探しているんだよ。ねぇ、ヅラ君?」

桂「ヅラじゃない。キャプテンカツーラだ」

「知らねぇよ。勝手に探せ」

銀時「んなこと言うなよ。俺、手がフックなんだよ。もう海賊かハンガーになるしかねぇんだ」

 

そう言って見せた手は、まさに海賊にあるような手のハンガーだった。

 

「知らねぇよ。何にでもなれるさ、お前なら」

穂乃果「私なんて、見てよ!ほら、手がアサルトライフルなんだよ。これじゃあ海賊としてぶっぱなすか、誰かの銃になるしかないよ!」

「知らねぇよ!?つかなんで銃!?どうしてそうなった!日々そんなモン背負ってるお前なら、なんでも出来るよ!」

 

そう言って見張りは、息切れしながら疲れたように溜め息をついて、後ろを向いて背中を向けた。

 

「とにかく帰れ、ウチはそんな甘いところじゃね────」

 

そう言ってその場を去ろうとした門番に対し、とてつもない速さで、桂と銀時は首に剣と木刀を当て、穂乃果は背中にアサルトライフルを突きつけた。

 

銀時「面接くらい受けさせてくれよ」

穂乃果「それくらいは良いよね?」

桂「ほーら、履歴書もあるぞ」

 

 

 

 

その頃、船の甲板で新八と海未とことりは囲まれていた。

 

薬のせいか、ボーとしている三人に向けて、その中の象の天人がバケツに入れた水をぶっかける。

 

「おーい?起きたか、坊主に嬢ちゃん達」

「おねむの時間はおしまいだよ!」

海未「っ・・・!」

「全く、こんなに若いのに海賊に捕まっちゃうなんて可哀想にね」

新八「あ、そうなんだ・・・。僕、海賊に捕まったんだ」

 

水がかけられても、薬の効力が大きいのか、少しボーとしている新八と海未とことりだが、頭上の方で聞こえた布の音に、ハッと上をみあげる。

 

その先には、陀絡が持つ剣の先っこにぶら下がっている状態の神楽と、一人の見知らぬ女に首袖を掴まれている空がいた。その下は海で、落ちたら手の自由が利かない二人が溺れることは簡単にわかった。

 

新八「神楽ちゃん!空ちゃん!」

海未「空!」

ことり「神楽ちゃん・・・っ!」

 

そんな三人の声を無視して、陀絡は言葉を発した。

 

陀絡「おじさんはねぇ、不潔なやつと仕事の邪魔をするやつが大っ嫌いなんだ。もうここらで邪魔なやつを一掃したい。お前らの巣を教えろ。意地を張るってんなり、コイツら死ぬぞ」

海未「あなたっ・・・!やはり、わたし達を誰かと勘違いしているのですね」

新八「何の話だよ!」

陀絡「惚けんな。てめぇらが攘夷志士だってのは分かってる」

 

その陀絡の言葉に、新八が何か言葉を返す前に、天人の仲間が新八の髪の毛を掴んで揺さぶる。

 

「てめぇらのアジトを教えろって言ってんだよ!桂の野郎はどこにいるんだ!・・・っ!?」

 

新八に対して乱暴なことをする天人に海未とことりが許しておけるはずもなく、新八を掴んでいる手を二人で蹴りあげた。

 

新八「何言ってんだよ、お前ら!僕らは攘夷志士なんかじゃないし、桂さんの場所も知らない!」

海未「なんでそんな勝手な勘違いをっ・・・!」

新八「神楽ちゃんと空ちゃんを離せ!!ここは侍の国だぞ!!お前らなんて出てけ!!!」

陀絡「侍だァ?そんなもん、もうこの国じゃいねぇ・・・」

 

意識が新八達の方に向いた瞬間、神楽は後ろに顔を向けてニカ、と笑った。そして陀絡に蹴りを入れる。

 

神楽「ほァちゃアアア!!」

 

その反動で、神楽は両手を使えない状態で海へと真っ逆さまになった。

 

新八「神楽ちゃん!」

空「神楽ちゃん!もー!はーなーしーてー!」

 

海に向かって落ちていく神楽を見て、隣にいた空まで暴れるも、ずっと何も言わず無表情でいた女は、案外力が強いのか、ビクともしない。

 

神楽「足でまといになるのは御免ヨ。バイバイ」

 

そんな神楽に向かって、一人の男が走って行く。

銀時だ。

 

銀時「待てェェェ!!待て待て待て待て待てぇ!!」

 

銀時は手に装備しているフックに付けている縄で自信を支えながら神楽のところに到達し、神楽を片腕でキャッチした。それと同時に、上から空も降ってくるのが見えた銀時は、神楽に気張れよ、と声をかけてからその上に空を乗せた。

 

いくら軽い空と言っても、これは辛い。いくら頑丈が取り柄な種族と言ってもこれは辛い。辛いであろう。

 

神楽の上に落ちた空が見た光景は、穂乃果が空を摘むように掴んでいた女に回し蹴りを喰らわせているところであった。

 

「・・・危ない。もしあの子が海に落ちたらとか考えなかったの?」

穂乃果「そんな危機的状況にさせた張本人に聞かれたくないんだけど。それに、下には銀ちゃんがいるからね。そんな心配はしてないし、考えもしなかったよ」

銀時「いでで・・・。傷口開いちゃったよ」

 

いきなりの展開についていけない様子の海未と新八とことりの視線の先に、そのやる気の感じられない死んだ魚のような目をして、覇気のない声色の男、坂田銀時がいた。

 

銀時「あのォ、面接会場はここですか?こんにちは、坂田銀時です。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取。特技は目ェ開けたまま寝れることです」

新八「銀さん!」

海未「穂乃果まで・・・!」

陀絡「てめぇら、生きてやがったのか」

 

その時、船の上で爆発音が響いた。

 

「陀絡さん!彩華さん!倉庫で爆発が!!」

「転生郷が!!」

穂乃果「あやか?」

 

穂乃果の反応すべきところはそこなのか、首を傾げながら呟いた。

 

彩華「それ、私よ。須藤(すどう)彩華(あやか)。決して宜しくはしたくないけれど、記憶の片隅にでも留めといてちょうだい」

穂乃果「・・・貴女の近くにいる人、陀絡って名前なのに、貴女は案外普通の名前だね」

彩華「よく言われるわ」

穂乃果「そうなんだ・・・」

 

淡々とした口調と、ピクリとも変わらない表情に、穂乃果は困り果てた。今までに出会ったことの無いタイプだと。

 

桂「俺の用は終わったぞ」

陀絡「!」

桂「あとはお前らの番だ、銀時、穂乃果。好きに暴れるがいい。邪魔する奴は俺が除こう」

陀絡「てめェは・・・桂!!」

桂「違〜〜〜〜う!!俺はキャプテンカツーラだァァァ!!」

 

そう言って桂はその両手に持っていた爆弾を投げた。

 

「桂だァ!やれェェェ!!桂のクビをとれェェ!!」

 

桂が下っ端と繰り広げ、銀時が陀絡と対峙している一方、穂乃果はそのまま、彩華という無表情で何を考えてるか分からない女と対峙をしていた。

 

彩華「・・・それでは聞こうかしら」

穂乃果「聞く?」

彩華「ええ。貴女が見ての通り、私は陀絡と同じ出身の天人よ。けれど、必ずしも天人と地球人が対立しなければいけないということは無いでしょう?」

穂乃果「・・・そうだね、その通りだよ」

彩華「そこで貴女に聞くわ。貴女は・・・私の敵?」

穂乃果「・・・なんで、それをわざわざ聞くのか分からないけど、でも・・・うん。貴女が私にとって大切な人たちを傷つけようとするなら、私は貴女を絶対に止める」

 

その穂乃果の言葉を聞いて、彩華はその雰囲気をがらりと変えた。

ふんわりおっとりした感じの雰囲気はなりを潜め、無表情はそのままながらも、全身から滲み出た鋭い殺気が穂乃果を突き刺した。

 

その様子に穂乃果は、腰へ差していた木刀を出し、構えた。彩華も武器を手に持ち、構える。その武器は──細剣(レイピア)だ。

 

穂乃果「れいぴあ・・・銀魂にそんな武器登場しないよ!?」

彩華「あら、それでも江戸時代にはあったのよ、細剣(レイピア)

穂乃果「そ、そうなの?」

彩華「とは言っても、国内には水口レイピアって言う細剣(レイピア)しかなかったみたいだけど」

 

みなくち、と拙く言葉を紡いだ穂乃果は、首を傾げて彩華の手に持つその武器を指差した。

 

穂乃果「じゃあ、それがその水口レイピアなの?」

彩華「いいえ、これは・・・ラン〇ント〇イトよ」

穂乃果「いやそれ、違うアニメの武器だよね!?」

彩華「そうね・・・。しいって言えば、S〇〇のヒロインの武器かしら」

穂乃果「言っちゃったよ!分かる人には分かっちゃうやつを!」

 

シリアスな戦闘を繰り広げるかと思っていた穂乃果は、恐れ戦いた。最初から最後まで基本的には銀魂と違い真面目な世界観のアニメをネタに使って、怒られないだろうかとか、そもそもシリアスな戦闘の回だと思って読んでいた読者が呆れ果てるどころか、離れていくんじゃないのだろうか、と。

 

彩華「まぁ確かにネタではあるけれど、それでも威力は絶大なのよ」

 

その言葉と同時に出された突きは、確かに威力があるらしく、確かに避けたハズの攻撃で頬に切り傷を作った。

 

彩華「私はアス〇(オリジナル)よりも早くて、重い攻撃だという自信があるわ」

穂乃果「その発言アウトォォォォ!!」

 

その叫びと同時に、穂乃果は木刀で横払いを繰り出した。

 

彩華「っ」

 

穂乃果の横払いをレイピアで上手く受け流した彩華は、距離をとって、穂乃果に剣先を向ける。

 

彩華「まぁ巫山戯るのはこれくらいにしないとね。そろそろ私達もしましょう?シリアスと言うやつを」

穂乃果「・・・最初からしたかったなぁ、シリアス」

 

穂乃果の言葉から一泊置いて、二人は一気に相手に向けて走り出し、お互いの攻撃を繰り出した。

 

お互いがすれ違い、数秒して、彩華が穂乃果に一言告げた。

 

彩華「・・・あら、貴女、中々やるのね」

穂乃果「そう?・・・まぁ、貴女もだと思うけど。かすり傷しか残せなかったみたいだし?」

彩華「そうね。まぁ、まだやってもいいのだけれど、でも向こうは決着が着いたみたいだし、ここまでにしておくわ」

 

彩華の視線の先に穂乃果が目を向ければ、銀時が立ち、陀絡が倒れていた。

 

彩華「・・・私は特に無駄な争いは好きじゃないの。けれど、強い子は好きよ」

 

今まで無表情だったのが、嘘だったかのように、軽く微笑む彩華を見て、逆に無表情になった穂乃果は思った。

 

穂乃果(・・・要は、絵理ちゃんみたいに戦闘狂なんだな)

 

 

 

 

新八「アー、ダメっスね。ホント、フラフラして歩けない」

神楽「日ぃ、浴びすぎてクラクラするヨ。おんぶ!」

銀時「何甘えてんだ、腐れガキども誰が一番疲れてっかわかってんのか!二日酔いのうえに、身体中ボロボロでも頑張ったんだよ銀さん!」

穂乃果「あ、え、ぎ、銀ちゃん!私もおんぶで!」

銀時「穂乃果ちゃん!?」

新八「僕らだって頭がフラフラなんですからね」

 

そう言って頭を押さえる新八に、神楽も同意する。

 

神楽「そうアルヨ。ブラブラアルヨ!」

銀時「付き合ってらんねー。俺、先帰るからな」

 

そう言って本当に歩き出す銀時に、海未と海未に抱っこされた空とことりは黙って着いていくも、穂乃果と新八と神楽はその場で座り込んだまま動かない。

 

そんな三人に、元々気の長くない──寧ろ短いであろう──銀時がキレるのは早く、自ら墓穴を掘った。

 

銀時「いい加減にしろよ、コラァァァ!!上等だ、おんぶでも何でもしてやらぁ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間に嬉しそうな声を出しながら走り寄ってくる穂乃果達を見て、呆れたような声を銀時は出した。

 

銀時「元気爆発じゃねーか、おめーら」

神楽「銀ちゃん、私ラーメン食べたくなってきたヨ」

新八「僕、寿司でいいですよ」

銀時「バカヤロー。誕生日以外にそんなもん食えると思うなよ!!」

穂乃果「ふふっ」

銀時「・・・ったくよ〜。重てーな、チクショッ」

 

海未達はそんな銀時達を見て微笑み、コンテナの上では桂が自身のしていた眼帯をくるくると回しながらその様子を見て、呟いた。

 

桂「フン。今度はせいぜい、しっかり掴んでおくことだな」

 

 

 

 

その後、依頼主の元に銀時達はハム子を連れて赴いた。

 

公子(きみこ)ォ!公子ォ!無事で何よりだァ!」

 

そう言って泣いて喜んでいる依頼主だが、その腕で抱きしめているのは、小麦色のハム子に似てなくもない子ブタである。

 

ハム子「おいコラジジイ。どこ見てんだよ」

銀時「分かるぞぉ、親父。人間誰にだって見たくないことくらいある」

新八「いや、見えてるからこうなってるんじゃ」




じゃあぶっちゃけ眠いので、サクサクとやっちゃおう!

穂乃果「本音がダダ漏れなの、いっそ清々しいくらいだし、案外嫌いじゃないよ、私」
銀時「奇遇だな。俺もだ」

じゃあ、とりあえずゲストは今回もパスで。

設定はこの方!







須藤彩華

綺麗な顔立ちの、巨乳童顔アラサー。常におっとりふんわりした雰囲気で、天然気質。侍の国だった江戸では珍しく、細剣使い。戦闘狂である。常に無表情。

歳━━━━30歳
容姿━━━綺麗な顔だけれど、童顔の為、実際よりも幼く見られる。巨乳。髪型はボブカットで、月をモチーフにしたピン留めで前髪を止めている。
性格━━━おっとりふんわりの天然。無駄な争いには好きじゃないどころか、興味が無い。
一人称━━私

多分、今後も出番はあるけれど、特に明確に決めている訳では無い。気まぐれで生まれた。







これでいいかなぁ。

穂乃果「久しぶりだからねぇ」
銀時「でもいいと思うぞ」

じゃあ、次は銀ちゃんの予告だね!








穂乃果「えっと・・・真選組が、カエルを守るお話です!」







銀時「・・・他に言いようはなかったのか?」

でも、大体伝わりそうじゃない?要点だけ言ってるような?

銀時「・・・まぁ、わかるやつにはわかるか」

ピンと来る人には来るよ。

穂乃果「えっと・・・また次回!気長にお待ちください!」

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