ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

106 / 113
第百六話

『クゥゥン』

「同情は要らない。ハティ、スコル」

俺―――兵藤一誠に起きている状況はスコルとハティにさえ同情されるような状況であった。

俺が寝ているベッドはいつの間にか、女子どもに制圧されており、

ゼノヴィアの寝造の悪さからくる蹴りによって床に落ちた状態で目を覚ました。

俺はスコルをまくら代わりにして横になって考えた。

俺の生死が起きたことにより、あいつらの心は一時は絶望と言ってもおかしくない状態にまで堕ちた。

それを経験してか皆、アーシア以上に無意識のうちに触れ合いを欲するようになった。

朝起きたら床をベッドにしていたなんてことはこれまでに十回以上、

俺を膝枕させようとして戦争状態に陥ること何回あったやら……だが、

俺に腕を組んでくることはなくなった。

どうやら、あいつらの中でもやってはいけない一線はちゃんと設けているらしい。

『ワフゥ』

ハティはベッドの状況を見て呆れ気味に息をはいた。

狼にまで呆れられる卷属……ある意味、若手の中では俺たちだけかもな。

ちなみにスコルとハティは枕にされるのが大好きらしく、寝ている最中でも、

背中に頭を乗せても怒りもしない。まあ、小猫とギャスパーが枕にすれば布団にしか見えないがな。

その時、階段付近からこちらへと近づいてくる魔力を感じた。

「入っていいぞ、レイヴェル」

魔力がドアの前に来た時にそう言うとレイヴェルが部屋に入ってきた。

「相変わらず凄いですわ、イッセー様」

「精度抜群の魔力検知器だ。お買い得だぞ」

「ふふ、天井知らずの値段になりそうですわ……凄い状況ですわね」

レイヴェルもベッドの状況を見て驚いていた。

「で、どうしたんだ?」

「はい。魔法使いの方々との契約と吸血鬼の方の来客ですわ」

俺がまだ、現場に到着していない時にギャスパーは俺が死んだという言葉をトリガーとして、

今まで見たことがない状態に移行して英雄派の魔法使いであるゲオルクを一瞬で倒したらしい。

そんなことからリアスはギャスパーの実家であるヴラディ家に話を聞くべく、

まずは吸血鬼との話し合いの提案を出すとこれまでの頭が固い対応から考えれば、

驚くくらいに呆気なく提案を承諾された……と聞いた。

そしてその来客が家に来ると。

「レイヴェル。マネージャーとして頼りにしているぞ」

「はい! ウィザードのマネージャーとして精進いたしますわ!」

「んん……レイヴェル。おはよう、イッセー」

「あぁ。身だしなみ整えてから下に来い。朝飯だ」

「ちゃおー♪」

ドアが開いた瞬間に俺はドアを蹴飛ばして無理やり閉めるが今度は部屋の中に魔法陣が展開されて、

そこから鼻を抑えて涙目になっている黒歌とルフェイが現れた。

「固定させたか」

「んにゃ。気づいていたかにゃ?」

「俺が消したはずだがな」

「ぬふふ。ウィザードチンが気付いていないだけで固定先はいっぱいあるにゃ」

あの一件が終了してからちょくちょくこの二人が俺の家に遊びに来る。

魔法陣をここへ固定したらしいんだが……とにかく、黒歌は小猫を鍛えるためにここへ来ている……まあ、

それが口実であり実際は冷蔵庫の中身を食いに来ている泥棒猫だ。

「ウィザード様が契約をなされると聞いて少しでもお手伝いをと思いまして」

まあ、現職の魔法使いの話を聞けるのはありがたい。

「あぁ、頼むぞ。ルフェイ」

「は、はい!」

「ま、取り敢えず下に」

そこまで言いかけたところで突然、クローゼットがバン! と勢い良く開かれた。

「我、降臨。満を持して」

俺が買って、彼女――――オーフィスにプレゼントした服を纏った状態で、

クローゼットの中から勢いよく出てきた。

……何故、そこにいるんだ。というよりも何故、感知できなかった。

「取り敢えず、全員降りて来い。朝飯だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか、もうこの二人の頭の中覗き込みたいですね」

副会長のそんな声を聞きながらも、生徒会室で俺と会長がチェスで争っていた。

もともと、登校義務のない俺が学校に来る理由もないんだが暇なのでなんとなく来て、

なんとなく生徒会室に来てみると一年のメンツ達が一足先に生徒会室に集まっていた。

どうやら今日は学年によって終わる時間が違う日らしい。

なので一年のメンツと暇つぶしに将棋とオセロをすると僅か数分で両方同時にケリがついた。

それから一時間ほど経って会長たちがやってきたが一年達が涙目で、

会長に敵をうって下さい! とかいうものだから会長と俺という戦いが実現したわけだった。

「チェックメイトです」

「……流石、会長です」

やはり、俺の頭脳ではまだ会長に止めを刺すことはできないらしい。

ちなみに匙ともスクランブル・フラッグというゲームもしたが圧勝した。

「バーカバーカ! 会長なんかに勝てるわけないだろ! バーカ!」

「水を得た魚だな」

そんな止めの一言を言ってやると涙目の匙の目からホロリと、

一筋の涙が歩をつたって床にピチャッと落ちた。

「元ちゃん。床ふいといてね」

「俺の涙ゴミ!?」

「それ以下ですよ。匙」

「ふぐがいじょうまでえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

中々ノリが良い奴だ……俺達とは違う意味で楽しそうなチームだな。

「ふふ、イッセー君も中々のものでした。ですが、まだまだ年下には負けられません」

流石は十八歳部門での全国一位の頭脳の持ち主。

十七歳の部門での全国一位の頭脳ではまだ、足りないか……だが、いつかは会長の頭脳を打倒する。

「そう言えばイッセー君のところも契約期間ですよね」

「ええ」

「兵藤君なら引く手数多ですね」

副会長の言うとおりに物事が動いてくれればそれはそれで簡単なんだがな。

まあ、恐らく俺に契約を申し出てくる魔法使いは数が限られて……いや、

いない可能性の方が高いかもしれないな。

アザゼル曰く、魔法使いでも何でもない俺がウィザード候補と言われて非常に憤慨しているらしい。

ウィザードの称号は魔法を使役するものであるならば一度は、

あこがれの感情を抱くとされている魔法使いの中では最も誉れ高き称号であり、

最強を意味していると言っても過言ではない。

ただの人間がウィザードの称号を取れば本職の奴らからすればウザイこと極まりないからな。

「会長のところもですよね」

「ええ、私はあまり関与しないようにしています」

なるほど。各々各人の自主性に任せているという訳か。

魔法使いの選別から何から何までも自分でするのか……俺達のところよりも自主性を重んじているな。

たとえそれが成功しても失敗しても人生の経験になる言うことか……まあ、

よほど大きな失敗をするようであるならば会長たちもサポートをすると思うが。

「魔法使いとの契約も評価の一部に入っていますからね」

「そうなんだよな~。ヘンテコな奴と契約したら減点の対象だしな。

おかげで毎日、頭痛と戦いながら選定してるぜ」

「そうか……そろそろ時間か。お邪魔しました、会長。匙。次は五分は持つようにしておけよ」

「ウガー!」

匙は口を大きく開けてまるで獣のように俺に飛びかかろうとするが後ろで、

メガネのふちが二つほどキラーンと光ったことに気付き、

額から冷や汗を流しながら俺に手を振った。

匙。お前に幸あらんことを。

 

 

 

 

 

 

 

その晩、俺達グレモリー卷属は旧校舎にあるオカルト研究部の部室に集合していた。

今日から魔法使いたちとの契約期間に入るにあたり、

俺たちと契約をしたいと言っている魔法使いたちの書類……履歴書が送られてくるらしい。

そんなことを思っていると部室の床に魔法陣が出現し、そこから空中に映像が投影された。

『これはリアスちゃん。お久しぶりだねぇ』

映像に映った男性は赤と青が入り混じった髪をピチッと決め、眼は右が赤で左が青のオッドアイ。

この方が魔法使いの教会のトップに君臨しているメフィスト・フェレス。

エキストラデーモンのフェレス家の出身であり、あの旧魔王と同世代だとか言われている伝説の悪魔。

その本人を扱っている書物は世界にあふれるほどある。

俺もそれ関係の書物は何冊か見たことがあるが……想像以上に優しそうな声だな。

『これまた綺麗になったね~。リアスちゃん』

「お久しぶりでございます。メフィスと・フェレス様。

この方はエキストラデーモンであらせられるメフィスト・フェレス様よ」

『そうですよ~。僕のことを知りたかったら書物読んでね……ふむ』

映像に映っているメフィスト様と目線が合った。

『君がウィザードか……アザゼルの言うとおりだ』

「アザゼルはなんと」

『いやね。素晴らしい魔法を使って皆の最後の希望だと聞いた。

その通りだ。君の周りにいる子たちはみんな、君に心を預けているのが分かるよ』

映像越しでもそれを分かるということはメフィスト様の力なのか。

それとも俺達の雰囲気で分かるのか……まあ、どっちでもいいか。

『君の魔法も映像で見たよ。どうやら君はドラゴンの力を派生させることによって、

生み出しているね。魔法使いの中には君と同じような状況の子も何人かはいるけど、

誰も手は出さなかった。まあ、魔法使いがセイグリッドギアを使えば白い目で見られるからね。

それを君は手を出し、未知の魔法を生み出したみたいだ。魔法を一切知らなかった、

ただの人である君だからこそできたものだね』

魔法使いは人間のため、中にはドラゴンの魂が封印されたセイグリッドギアを、

身に宿している奴らもいるだろうが……例え手を出していたとしても、

俺の魔法とは違っていただろう。

つまり、俺がウィザードと呼ばれる起因になったドラゴンズマジックなるものは、

俺が魔法使いの中で最初にセイグリッドギアに宿っている存在の力に手を出したがゆえか。

『ただ、皆が皆。君と同じような手法で魔法は生み出せないだろうね。

いや、もしかしたら君だけかもしれない。ドラゴンと人。

本来は敵対するはずの存在が手を組んだ結果のことかもしれないね』

「お、メフィストじゃねえか」

メフィスト様が話し終えた直後に部屋にアザゼルが入って来てそのまま昔話を始めてしまった。

あの勢力がどうだとか、神話体系がどうだとか。

だが結局のところ、互いに忙しいなということでその話は終わった。

『さて、君たちのもとに履歴書を送るよ』

そう言い、メフィスト様が画面に指を向けると部室に魔法陣が展開され、

そこから膨大な量の紙の束が吐き出されていく。

俺達は分担してその紙を回収していき、誰当てなのかを見ながら履歴書を積み上げていく。

その中で一番、山がでかいのはリアス。

あの魔王を輩出した名のある家の中でも名のある家の次期当主とつながりを持っておけば、

グレモリーの権力を一部ながら扱うことができるというのがほとんどの奴らの魂胆だろ。

次はロスヴェイセ。

奴は元ヴァルキリーであるためにそっち側の情報が欲しい奴らが多いだろうな。

次点にアーシア。おもにその回復をあてにしているんだろうが……変な男が寄ってくれば、

俺が払ってやるからな。

次は木場、朱乃、ゼノヴィア、小猫、ギャスパー、そして俺だった。

「アザゼル……俺の紙がないんだが」

『いや~ごめんね。協会の子たちにもよく話しておいたんだけどね』

「前にも言ったとおり、お前は魔法使いに嫌われているのさ。

ポッと出てきた奴にウィザードの称号を横取りされたようなもんだからな」

『それと嫉妬なんかも含まれているだろうね。新たな魔法を生み出すのは一世紀……いや、

何世紀にに出るかでないかなんてことも言われていたりするからね。

それがただの人間で、しかも悪魔だったら仕方がないかもしれないね』

同じ人間でも魔法使いの家系じゃない奴にウィザードの称号を取られるだけじゃなくて、

悪魔に取られるかもしれない……だから俺のところには契約したいという奴が来ない訳か。

「でも、お前のことだ。あてはあるんだろ?」

「あることはあるが……少々難しいだろうな…………」

「どうした? そんな別の方向を見て」

「いや……なんでもない」

今、この街にいくつかの感じたことのない魔力が入ってきたな……準備はしておくか。

新しい魔法の実験台になってもらうぞ。

『あ、そうそう。最近、フェニックスの関係者が襲撃されているようだよ』

「ああ、グリゴリの方でもその情報に関しては探らせている。なんせ、

崩壊状態に陥ったカオス・ブリゲードの中で一番派手に動いているからな。

それとフェニックス関係者が襲われることはまだ、関係は分からんが……イッセー」

「まかせろ。レイヴェルは俺が護ろう。そう言う風にライザーからも言われたからな」

そう言い、俺はレイヴェルの頭を軽く撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石ですね! この結界を破るなんて」

「あぁ、これで奴らも終わりだ」

「……気づかれていますね」

「まさか。あり得ませんよ」

「そんな風に高をくくったおかげでインフィニティーに覚醒させたバカを私は消しましたがね……」

「あいつらと一緒にしないでくれよ。バレているはずがねえ」




お久しぶりです。いや、なかなか更新できませんでした。
とりあえずギャスパーの故郷編で終了です……それでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。