ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第百十話

邪龍――――クライムフォースドラゴン・グレンデルとルキフグスとの戦いから数日が経ったある日。

俺はオーフィスと何故か対面して座ってじーっと互いを見会っていた。

最初は俺も目を離したんだが目を離せばオーフィスの顔が視界に入ってくるし、

無理やり正面に顔を向けさせられてしまう。

なのでそのままじっと見ていること早三十分。何も起こりやしなかった。

「……イッセー、変わった」

やっと話し出したかと思えばそれか。

「何がどんなふうにだ」

「以前のイッセー、無の魔力。今のイッセー、無茶苦茶の魔力。でも、以前よりも安定している」

……以前は魔力からは何も感じられなかったが今の俺の魔力はいろいろなものが、

入り混じってなおかつ、以前とは違ってかなり安定していると……。

無茶苦茶の中にはもちろんリアスやオカルト研究部の奴らも、

含まれているんだろうが……ドライグと別の俺のも混じっているんだろうな。

「それはお前にとってマイナスなのかプラスなのか、どっちだ」

「わからない。でも変わった」

これ以上話しても意味がないな。

そう思った俺はベッドの側面に背中を預けると静かにオーフィスが俺の膝の上に乗ってきた。

最近、オーフィスは俺達の後ろに引っ付いて俺達がやることなすことをマネしようとしている。

アザゼル曰く、この世界に長くいすぎたせいで本来のオーフィスだったものが変質を起こし、

徐々に変わってきているのだという。

変質する前のオーフィスにも会いたかったが……今以上に変人なんだろうな。

そう思った時、何やら下でアーシアやレイヴェル達の魔力が波打つように揺らいだのを感じた。

何かあったのかと思い、オーフィスを膝から退かそうとしたときに俺の部屋の隅に、

転移用の魔法陣が展開され、そこから天界サイドの人員と会長、副会長が同時に飛んできた。

「何かあったんですか?」

「ええ。大事件のようです」

会長の一言の後にアーシアがおお慌てて部屋に入ってきた。

どうやら本当にやばい事件が起きたことは間違いないようだった。

 

 

 

 

 

 

 

VIPルームに集められた俺達はそこでアザゼルと通信していた。

『今話した通りだ。ツェペシュ、カーミラの両領地の境界線上が一時混乱状態に陥った。

恐らくツェペシュ側でクーデターが起きたんだろうな……その影響か、

木場とリアスと連絡がつかなくなった』

「……そ、そんな」

『今回の一件でツェペシュ側のリーダーが交代したそうだ』

そのアザゼルの一言にVIPルームにいる俺以外の奴らの顔に驚きの色が一瞬だけでた。

確かツェペシュ側のリーダーは吸血鬼の国の王だったはず……その王を、

クーデターを起こすことで無理やり退陣させ、別の王を就かせたのか。

『今回のような事件が起きたのには奴らの性格も原因だな』

「他の生物からの助けなどなくても崇高な自分たちならばできるといった感じか」

『あぁ、大体あってる。こんな非常事態だ。お前たちにもこっちに来てほしい。

ただ、グリゼルダ、ジョーカー、スラッシュドッグの鳶尾とシトリー卷属は町に残ってもらう。

戦力を集中させて一気に片付けるのも良いんだが以前のような襲撃がないとも考えにくい』

「了解した。俺の魔法で行くが」

『ま、行けるだろ。じゃ』

その言葉を最後にアザゼルとつないでいた通信用の魔法陣が消滅して、通信が終了した。

「イッセー君」

後ろから呼ばれ、振り返ってみると会長を挟むようにベンニーア、ルガールが後ろに立っており、

会長は二人の背中を押して俺の近くに寄せた。

「この二人を連れて行ってほしいのです。まだ悪魔になりたてですが貴方達の助けになります」

片方は死神、そしてもう片方はよく分からない存在……いつかはゲームで戦うことになる存在だ。

ここで情報を手にするのも……おそらくこの瞬間しかないだろうな。

「いいですよ。人数は多い方が良い」

とりあえず各々の戦闘の準備が完了するまでの間、短い自由時間となった。

といっても俺に持っていく道具などないので俺は集合場所に決めた場所でジッと待っていた。

『クゥ』

「お前達はここで家を護るんだ」

二匹の頭を撫でながらそう言うと二匹は俺の横にぴったりとくっついて横になった。

こいつらには意思がある。既にこいつらを制限していた俺の魔法は解いてある……というよりかは、

自然に解けたと言った方が良いか。曹操との戦いの際に進化を遂げたという二匹……もう、

俺が縛る必要はなくなった。

こいつらの意思で善悪を判断し、己の憩いの場を、己を護ってくれる者の協力を、

そして己が最も護りたいと思うものをこいつらの意思で戦って護る。

「イッセーさん。皆さんの準備が整いました」

「そうか……レイヴェル。お前は客だ……本当にヤバいと感じた時は、

仲間を捨ててでも冥界に逃げろ。良いな」

「はい……ですがそう感じるまでの間は私の自由ですわ」

……この前の一件以来、こいつも変わった。

「そうだな……じゃ、行ってくる」

「はい!」

レイヴェルの笑顔を見ながら俺は皆が集まっている場所へと向かい、

そこでテレポートを発動させ、アザゼルのもとへと転移が始まり、

魔法陣から目を覆うほどのまばゆい、光が放たれていき、

数秒経つとその輝きが消えていくのを感じて目を開けると広い空間に俺達はいた。

「よう、来たか」

アザゼルの声が聞こえ、そちらのほうを向くとアザゼルが、

そしてその隣にはエルメンヒルダがやや不機嫌そうな顔をしながら立っていた。

「早速で悪いが車で移動するぞ。詳しいことはその車内で話す」

そう言われ、エルメンヒルダの案内のもと、この広い空間から階段を使って上へと登っていくが、

少ししたところで俺達が吐く息が白くなりはじめた。

それはほんの小さなことだったがそれはやがて、体温という面でも顔を現わし、

外へと出た瞬間にあまりの寒さに体を震わしてしまった。

外に出て視界に入ったのは一面に広がる雪によって、美しくコーティングされた街並みだった。

閉鎖的な国とは思えないほどに近代的な建物が建っており、視線を少し上に持っていくと、

小高い丘の上に一城の城が立っていた。

なるほど。江戸時代の日本にもあった城下町か。

城というものは最も高い位置に立てることによってその城の主の権力の高さを示すという説や、

最も高い位置から自らの下に住んでいる民のことを見護るため、

という説もあるがこの国に当てはまるのは前者の説だろう。

「あれが吸血鬼の本拠地か……教会時代には全く尻尾がつかめなかった」

教会の力すら及ばぬほどの鎖国か……凄いな。

俺達はエルメンヒルダが準備したという車に乗り込み、

アザゼルからこの国で起こったあらましを要約して聞かされた。

クーデターが起こったことによりツェペシュのトップがギャスパーの恩人である、

ハーフヴァンパイアのヴァレリーという少女に変わったことなど。

その話を聞きながら俺達は両方の領土を繋げるという唯一の移動手段を使って、

ツェペシュ側の城へと向かった……が、会長から預けてもらった二人が、

どこかへと消え去ってしまった。

車内での会話も何やら互いの一族について話していた二人だが……まあ、いいか。

奴らは渋々ながら消えた二人よりも俺達を通すことを優先させ、城の中へと案内された。

「イッセー! みんな!」

そこでリアス、そして木場との再会した。

どうやらクーデターによる火の粉は二人にはかかっていなかったらしい。

ホッと一安心した俺達はそのまま、王がいるという謁見の場へと通された。

そこには玉座に座る美しい少女、そしてその隣に若い男の吸血鬼、

そしてこの場にはふさわしくないほどの圧力を持つローブに身を包んだ男がいた。

「皆様はじめまして。私が新たな王のヴァレリー・ツェペシュですわ。どうぞよろしく」

ギャスパーは久しぶりに再会した恩人との再会を一瞬だけ喜ぶも、

その変質しすぎた様子に驚きのあまり、動けないでいた。

「$%&%$&’(’&%%」

ヴァレリーは俺たちとの会話の最中、どこか違う方向を見ながら、

俺たちには聞き取れない言語で何もない場所で話していた。

噂には聞いていた……聖杯にとりつかれたものにしか見えない者。

「こんなになるまでこの少女を使っていったい、お前は何をした」

アザゼルは若い吸血鬼の男を睨みつけると男は笑みを浮かべた。

「初めまして。私は暫定政府の宰相であります王位継承・第五位のマリウスでございます。

まあ、簡単にいますとこの一連の行動は我々が起こしました」

よくもまあ俺達を前にここまでペラペラと話せるものだ。

「どうしても聖杯を好きに使うには状況を整えるしかないんですよ」

「その余裕もお前の隣にいる最強のおかげか」

「ええ……お気づきでしたか。紹介しましょう。彼こそ最強の邪龍であるクロウ・クルワッハです!」

その瞬間、俺達の間に衝撃が走った。

目の前に最強の邪龍が立っていれば無理もない……だが、

今の俺では奴は確実に倒せない。オーラを感じるだけで分かった。

「今日はここまでにしましょう。皆さんにお部屋を用意しておりますので」

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