ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第百十二話

「クルワッハか」

グレンデルが転移の光に包まれながら消えていくのを見ながら俺はそう呟くと、

男はローブを振り払い、俺たちに初めて人間の姿を見せた。

俺たちに見せた姿はその圧倒的な圧力とは正反対の印象を抱かせる好青年の姿をしているが、

先ほどから俺たちにぶつけてきているオーラは凄まじく重い。

「ここから先は通すわけにはいかないんでね……それに現赤龍帝が使う、

ドラゴンズマジックとやらも一度、この目で直に見てみたかったんだ」

「それは光栄だな。最強の邪龍にそこまで言われるとは」

『インフィニティー・プリーズ!』

指にはめている指輪を出現した籠手に埋め込まれている宝玉に翳し、

空間にそんな音声が流れた瞬間に俺達が通ってきた道をたどり、

空間につながる扉を破壊して、俺の真横に光の塊がやってきた。

『ヒー・スイ・フー・ドー・ボー・ザバ・ビュー・ドゴーン!』

「それが報告にあったインフィニティーか」

光の輝きが消えうせると俺の隣にはヴァーリが立っていた。

「随分と魔力を消費したな……奴か」

「あぁ。仲間たちはカオス・ブリゲートの魔法使い集団と交戦中でね。

ここへ来る途中にそいつと交戦したんだ……悪いが極覇龍は使えん」

まあ、この国に奴がいることはすでに予想済みだ。

このクーデターを背後から支援していたのがカオス・ブリゲートなんだからな……だが、

ちょくちょく感じる別の大きな魔力も感じるんだが……どこかヴァーリに似ている。

始めはこいつ自身かとも思ったがどこか違う……まあ、良い。いずれ分かるだろう。

「正直に言うとお前と全力の状態で組み、奴と戦ったとしても勝てる気はしない。

が、今回は勝利よりもこの先にいるであろう奴に用があるんだ」

この先にいる奴……こいつが顔にまで感情を出すほどの奴がこの先にいるのか。

「かかってこい、二天龍よ」

「来い、ドラゴン!」

手にアックスカリバーを出現させ、まずは俺が一番に駆け出し、

クロワッハにカリバーを叩きつけるが奴はそれを表情一つ変えずに防ぐと、

背中からドラゴンの翼を生やし、自らを覆った直後。

俺のスレスレのところを魔力弾が通過し、クロワッハを奥まで押し込んだ。

しかし、クロワッハはケロッとした様子で翼を元に戻した。

「まさか、ここまでの差があるとは」

「ヴァーリ、隙を作れ」

ヴァーリは仕方ないといった表情を浮かべながら宙へと浮かびあがると籠手から、

魔力弾を一発放つとクロワッハによってそれは弾かれるが、

魔力弾が宙で弧を描きながら奴の背後へと回る。

「無駄だ」

それをも奴は回し蹴りの要領で弾いたが十分だ。

『ターンオン・ハイタッチ・シャイニングストライク! キラキラ!』

「えあぁぁぁぁぁ!」

巨大化した斧を全力で奴めがけて横薙ぎに振るうと奴の翼を人間の皮膚ごと抉り取った。

全力のあの一撃にも拘らず、ドラゴンの翼と人の皮膚しかもぎ取れなかったのか。

するとクロワッハは踵を返し、俺たちに背を向けると数歩歩いて近くにあった、

壁にもたれかかった。

「俺が頼まれたのは十数分の時間稼ぎのみ」

完全に奴から戦闘の意欲が消えた……時間がない。

俺はインフィニティーの鎧を、ヴァーリは白龍皇の鎧を解除して、

その先の扉を蹴飛ばして中へ入ると結界の壁で覆われた空間の中に手術台のようなところに、

乗せられ、生気がなくなった顔をしているヴァレリーと満足そうな顔をしたマリウス、

そして同じような顔をしている吸血鬼の男たちがいた。

「遅かったですね。皆さん」

「……まさか、既に」

「ええ、聖杯は僕の中」

直後、マリウスの腕がリアスの滅びの魔力によって消し飛ぶがまるでトカゲのように、

なくなった部分から腕が復活した。

「これが聖杯の力だ! 僕は何物にも負けない力を」

その瞬間、俺達がいる空間の床がまるで何かに侵食されたかのように真っ黒に変色し、

少し先の場所から形容しがたい姿をした五メートルほどの巨大な生物が、

姿を現わし、その周囲からも同じように様々な獣の姿した存在が出現した。

……報告には聞いていたギャスパーの新たな力か。

「な、なんだその姿は!」

「叔父様方。落ち着いて下さい。今の我々は絶対に死なないのです」

「そ、そうだな。我々は次なる」

そこまで言ったところで貴族服に身を包んでいた男がワニの形をした真っ黒な存在に、

丸のみされて、消え去った。

……ワニの中からも奴の魔力は感じない……消えた……のか?

「あ……ああぁぁぁ!」

目の前の恐怖の状況に額から冷や汗を流し続ける男たちは我先にと出口へと、

向かおうとするが全ての奴らがクロの存在に飲み込まれて、消え去った。

《許さない……よくも……ヴァレリーを傷つけた奴は全部消し去ってやる》

「怒っているようだね。でも無駄だよ、僕は」

直後、地面から大きな口が生み出されてマリウスの左腕をバクン! と一飲みしてしまうが、

マリウスは余裕の表情を絶やさないまま、聖杯を発動した。

「……な、何故だ。何故、腕が復活しない」

が、奴の飲み込まれた左腕が先ほどの用に復活する気配は全く見えず、

マリウスは何度も聖杯を発動させて自らの左腕を復活させようとするが、

一ミリも腕は復活せず、ただ単に奴の魔力が減っていくだけだった。

「あ、あり得ない! 聖杯は完全に僕の」

そこまで言ったところでさらに右足を食われ、尻もちをついてしまい、

もう一度、聖杯を発動させるものの喰われた先からなにも生えてはこなかった。

「兵藤一誠」

「あぁ。お前が考えているのと俺も同じ結論だ……近い、将来。

悪魔の中でも異例の卷属使用制限がかかるだろうな」

それは俺のことではなく、目の前で聖杯をも圧倒している魔物と化したギャスパーだ。

そんなことを考えている最中にも次々と地面から存在が生み出されていき、

恐怖で震えているマリウスを取り囲んでいる。

今の奴に勝てるのは……この世の全てのことを理解している存在だけだ。

《消えろ》

マリウスの断末魔は一瞬にして消え去ると同時に奴の存在も闇が晴れると同じように、

呆気なく消え去った。

《先生。ヴァレリーを》

「あぁ……結論からいえばまたヴァレリーは助かる」

アザゼルの一言にこの場にいる全員が驚いた。

「ここに来るまでに考えていたんだがどうもおかしなことが多くてな。

その理由が今分かった……ヴァレリーの持つセイグリッドギアは二つで一つの亜種だ」

アザゼルはそう言いながらマリウスが消滅し、地面に落ちているセイグリッドギアを拾い、

ヴァレリーへと戻すと彼女に今までなくなっていた魔力が戻っていき、

かなり小さくだが呼吸も始まった。

「ギャスパー……お前は十四番目のロンギヌスかもな」

《君のおかげだ。君がこの子の最後の希望になっていなければ、

僕はセイグリッドギアの一つでしかなかった。君という明かりが僕の希望にもなり、

こうやって復活することができた……僕はこれからも君たちのもとにいたい》

魔物と化したギャスパーだがその傍にリアスが近づいていく。

「いつまでも……貴方は私の卷族よ」

《ありがとう。その言葉が欲しかった》

そう言って、闇は消え去り、元のギャスパーへと戻った。

「…………おかしい」

「どうした、アザゼル」

「ヴァレリーの意識が戻らない。鼓動も呼吸も戻ったのに」

「そりゃ、これがねえからだっちゃ」

まるでいつぞやの白髪神父のような話し方をする声が聞こえ、そっちを向くと、

さっきまで俺が感じていた巨大な魔力の持ち主がいた。

「やっぱりお前が親玉か。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー!」

アザゼルのその一言を聞き、俺を含めたすべての人物が驚きに囚われた。

「うきゃきゃきゃ! はーいそうでーす! ヴァーリきゅん☆のお爺ちゃんで、

前魔王のパパのリゼヴィムたんでーす!」

ふと、ヴァーリの方を向いてみると今までに、見たことがないほどの怒りを顔に露わにしていた。

こいつがさっき言っていたヴァーリが会いたがっていた奴か……。

「ようやく会えたな、リゼヴィム!」

「あらら~。孫にそんな顔で見られたら真っ白な炎が俺のあれから出ちゃうぜ!」

「リゼヴィム! その聖杯で何をしようとしているんだ!」

「特別に君たちだけに教えちゃうよー! 実はねこの聖杯を使って別の世界へ進撃して、

その世界もついでに貰うんだっちゃ! 今までは机上の空論としてしか言われていなかったけど、

それはこの前のロキとの戦いで鮮明なったっちゃ!」

俺は奴のその一言で全てを理解した。

そうか……二回ほど俺の目の前に声だけだが出現した雪の神……それによって、

別の世界というゼロに近い可能性が八割以上の可能性を持ったのか。

「そして邪魔なのがグレートレッド! こいつを倒すにはただ一つ! 666さ!」

「トライ……ヘキサだとっ!」

「そう! 黙示碌にグレートレッドと書かれている怪物さ!

聖杯を使って生命の断りに潜った結果、忘れられた世界の果てで見つけちまったのさ!

神が何千にも封印を施した状態で!」

……そうか。世界の中で最も早く666という怪物を見つけ出した神は、

誰にも悪用されない様にリゼヴィムが言ったように何千にも及ぶ封印術を施し、

過剰ともいえるほどの封印をした直後の疲労状態のまま、三種族との戦争に参加し、

そのまま疲労から消滅した……こういう結末か。

「セイグリッドギア持ちの奴らは奴に攻撃するなよ」

「どういう意味だ、アザゼル」

「やつは……悪魔の中で唯一の異能であるセイグリッドギアキャンセラーの持ち主だ。

セイグリッドギアでの攻撃はすべて当たる前に無効化され、奴には効かないぞ」

つまり……この中で攻撃をしてまともに奴に通るかもしれないのはリアス、朱乃、

アザゼル、ゼノヴィアのデュランダルしかないのか。

そのままリゼヴィムは宙に浮かばしていた聖杯を空間を歪まして作った空間へと収納した。

己が持つ異能のせいで奴自身も聖杯を直接、自分の手で持つことはできない。

「ならば聖剣で消し去るまでだ!」

ゼノヴィアはエクス・デュランダルを思いっきり振り下ろし、

莫大な聖なるオーラを奴めがけて放つが、リゼヴィムを庇う形でどこからともなく、

もう一人のオーフィスが出現して手を横薙ぎに振るっただけでオーラを掻き消した。

力が分けられても無限の存在か。

するとリゼヴィムは憎たらしい笑みを浮かべながら手を一度だけ、勢い良くたたくと、

空間に小気味の良い音が響き、その直後、俺達がいる空間ごと大きく揺れ始めた。

「何をした!」

アザゼルがそう叫ぶとリゼヴィムはその笑みを崩さずにこういった。

「カーミラ側の吸血鬼、そしてツェペシュ側の聖杯で改造されつくした吸血鬼が、

量産型の邪龍に変身しちゃったじょ。その目で確かめてみるといいっちゃ」

リゼヴィムがそう言うと俺達の足もとに転移用の魔法陣が出現し、

俺達をある建物の屋上へと転移させた。

目の前には所々から火の手が上がっている吸血鬼の王国だった。

「どうやら本当らしいな……ヴァーリは奴に集中しっ放しか……上に問題があるとはいえ、

この国の民には何の罪もない! 確か東門に地下シェルターがあったはずだ」

「ええ! アーシアとゼノヴィア、イリナは小猫とギャスパーを抱えてそっちへ行ってちょうだい!

そこを一時的な避難場所とするわ! 他のメンバーはできるだけツーマンセルで行動して頂戴!」

俺はすぐさまハリケーン・ドラゴンへと鎧を変化させると同時にスペシャルで翼を生やし、

量産型の邪龍が暴れているらしき場所へとすぐさま向かった。

……この国を滅ぼさせるわけにはいかない。




どうもっす。この作品が完結したら遊戯王でもやってみます。それでは!
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