ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第十七話

翌日、放課後になるくらいに教会関係者である二人の女が、

旧校舎のオカルト研究部にやってきた。

一人は青色の髪に緑のメッシュを入れ、布を巻いた大きな剣……力を感じる限り、

白髪神父が持っていたものと同等の強さのものを背中に背負った女―――ゼノヴィアと、

茶髪の髪をして、木場が見ていた写真に乗っていた少女――――イリナ。

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、

正教会側が保管、管理していたエクスカリバーが盗まれました」

彼女は淡々と、現在の状況について語っていく。

「現在判明しているのは聖剣を強奪した主犯格のみ」

「その名前は」

「コカビエル、そしてバルパーガリレイよ」

その二つの名前が出された時、部長は表情を少し硬くした。

どちらの名前に反応したかはさておき、両方ともかなり名が知れている存在とみた。

「コカビエル……。古の戦いから生きて、

しかも聖書にまでその名が書かれている堕天使とはね」

堕天使……天使が欲望……それも卑猥な方の欲望に耐えられずに行動に移った途端に、

白の翼が真っ黒に染まり、頭の上に浮いている天使の輪も消滅し、堕天使に変化する。

「我々の注文はただ一つ。我々と堕天使との戦いに手を出すな」

「私の領地の中で起きていることを無視しろというの?」

その質問をした声はいつものように感じられたが言葉の節々に若干の怒り、

そして呆れが含まれているような気がした。

「ああ、そう言っている。よく言うだろ。余所は余所、家は家。それと同じだ。

例え悪魔の主の領土内で起きた事件でも、我々の最高機密が関係した事件は我々で解決する。

これ以上話しても時間の無駄だ。イリナ、帰ろう」

「ええ…………少し、表で待っていてくれる?」

その一言に青い髪に緑のメッシュを入れた女は何も言わずに首を縦に振り、

部室から出ていった。

女が出ていったのを確認した紫藤イリナはこちらを向き、笑みを浮かべた。

「久しぶりね、イッセー君」

「……そうだな。今更、会いたくもなかったがな」

「まったく、冷たいんだから」

イリナと俺とで二人だけの空間を作り出し、

ほかの部員達が入ってこれないようにして二人だけの懐かしさを共有しながら話をしていく。

その間も木場はひたすらイリナを睨みつけていた。

「私たちは悪魔の助けは借りないつもり……でも、イッセー君は別」

「どういう意味かな」

我慢の限界が来たのか、両手に魔剣を握り締めた木場が最上の睨みをきかせながら、

イリナに喧嘩を売るが、彼女は何ら反応せず、

み向きすらしないでただひたすら俺のことを見続けた。

「俺の助けは快く受け入れると。悪魔の俺の」

「ええ。この世界で私が心の底から、

それこそそのためなら命だってはれるくらいに信じているものが二つある。

一つは我らが主、そしてもう一つは、貴方―――――兵藤一誠。

悪魔か人間かなんて関係ない。私は貴方を信じている」

イリナは表情をうっとりとさせ、俺の両手を軽く握りしめてきた。

「もしも、貴方の力を借りたいときはすぐに連絡するわ……なんたって、

貴方は私の最後の希望だもの」

そう言って、イリナは満面の笑みを浮かべて部室から出ていった。

結局、最後の最後まで睨みつけている木場に関しては目もくれず、

俺ばかりに集中していた。

一つのことに集中し過ぎるのがお前の悪い癖だ……イリナ。

俺は部員達には何も言わず、部室から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、頼むぞ。ガルーダ、クラーケン、ユニコーン」

俺が魔法で作り出した使い魔にそれぞれ、木場の捜索、教会関係者のメッシュ女の監視、

そして同じく今日関係者であるコカビエルとかいう奴の捜索の命を与えて放った。

どのみち悪魔は後々、使い魔を手に入れるんだがもっとも簡単に手に入れる方法がこれ。

魔力で作った存在……攻撃性能は弱いが捜査能力は高い。

「イッセー君の使い魔?」

後ろからお目当ての声が聞こえ、

振り返るとそこには幼き頃と何ら変わりない服装をしたイリナが立っていた。

「ここに来ればお前に会えると思ったが……俺もお前も時は経てど、変わらずってとこか」

今、俺達がいる場所は幼い頃、まだ俺の両親が元気だったころに両家でよく遊んだ公園だった。

最後に会ったのはイリナが引っ越す際の二人だけのお別れ会の時以来か。

イリナは公園の周りを囲うように設置されているベンチに立って、ゆっくりと歩き始めた。

「この街は変わらない。変わったのは私達の状況、体、そして力。

貴方は魔法に目覚め、私は聖剣という力に目覚めた。私は女らしい

体つきに変わり、貴方は男らしい体つきに変わった。私は教会関係者になり、

貴方は悪魔になった……あなたは彼のように教会関係者は嫌い?」

彼……木場のことか。

俺はイリナが歩いている方向と同じ方向に向かってゆっくりと歩き始め、

彼女の問いに対する答えを言う。

「嫌いじゃない。アーシア・アルジェントは元教会関係者だが嫌う気はない。

むしろ仲良くやっている……わかりきった質問をするな」

「確かめたかっただけ。女の子は確かめたがるものなのよ」

イリナはトンと公園を囲うように繋がっているベンチの途中で地面に降り、

俺の隣にやって来て、また歩き始めた。

「彼のことを怒らないであげて」

俺は彼女の言葉に驚いた。

ただでさえ教会関係者が悪魔といるだけで糾弾されるかもしれない状況の中、

仇敵であるはずの悪魔を擁護するような発言を取った。

「彼は……教会が生み出したあってはならない犠牲者の一人……そんな彼が、

私たち――――聖職者を憎むのは致し方がないこと。

私はその憎しみを突っぱねる気はない……だから、

貴方も彼の気持ちを突っぱねずに受け止めてあげて。

いくら私が謝罪しようとも彼の恨みが晴れることはない。彼の憎しみという雲を払えるのは」

そこまで言い、イリナは俺の胸にトンと指を置いた。

「貴方だけ。貴方はいずれ、彼の最後の希望になる」

「…………行くのか」

イリナが考えていることは互いに言葉にして吐き出さなくても、

相手の声、表情、しぐさなんかを見ることで瞬時に分かるようになった。

親友故の能力か、またはそれ以上のものなのか。

「ええ。私は教会から聖剣を奪ったコカビエルを許せない。

だから、私はやつに挑むわ……もしも、私が傷ついた状態で貴方のもとに、

来たなら……その時は貴方にコカビエルを託す。そして、彼の恨みを払ってあげて」

そう言い残してイリナは去っていった。

一人残った俺の髪を強く吹いた風によって乱れ、髪で視界が隠れ、

元に戻したときには既にイリナの姿はどこにもなかった。

「最後の希望……か」




あぁ、神よ。後パソコンはいつまで命が持つのでしょうか。
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