ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第二十話

「おぉ、帰ってきたか。キマイラ」

魔法陣から出てきたのは今は製造自体が禁止されているキマイラ。

それ自体も驚きだけど……どこか、あのキマイラ。ひどく怯えているような……それに、

至る所からどす黒い血液をダラダラ垂らしている……まさか。

『ギャ……ァ』

コカビエルもキマイラの異常なまでの怯えに戸惑いを覚え、

目を細めてキマイラを見た瞬間!

『ギャァァァァ! アァァァァァァァ!』

「どうしたキマイラ!」

突然、キマイラは叫びをあげ、背中から翼を生やして夜空へと飛ぼうとした瞬間!

キマイラの全身に凄まじい数の魔法陣が出現し、体内から体外へと出るように炎が放出され、

断末魔を挙げるキマイラを容赦なく焼き焦がしていく!

「くっ! キマイラ!」

突然のことにコカビエルも驚きを隠せないでいた。

炎によって焼き焦がされているキマイラの下を通って、

こちらへとゆっくりと歩いてくる存在が見えた。

その存在は異常なまでの魔力を有し、赤色の鎧を身に纏った人物―――――兵藤一誠だった。

「き、貴様まさかキマイラを一人で」

コカビエルの話を無視し、彼は魔法陣を自分の目の前と僕達の目の前に出現し、

僕たちの前にある魔法陣から出てきた。

そして、膝をつき、狼狽しているゼノヴィアとアーシアさんのもとへと向かい、

彼女たちの前で屈み、彼女たちの手を軽く握りしめた。

「イッセー……さん」

「話は聞いていた……アーシア、思い出せ。お前の最後の希望は何だ。

目に見えないものがお前の最後の希望だったのか」

アーシアさんにそういうと、今度はゼノヴィアさんの方へと向いた。

「名前は」

「……ゼノ……ヴィア」

「ゼノヴィア。お前の希望は神だった。だがその神はいない……今、

お前が絶望しているなら、俺がお前の最後の希望になる」

「最後の……希望」

「神はいない……でも、俺はいる。お前を絶望させたものを俺が消し去ろう」

そう言い、イッセー君はコカビエルの方へ向き、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様……いったい何者だ」

『チョーイイネ! スペシャル、サイコー!』

俺の背後に赤い魔法陣が出現し、そこから炎を纏ったドラゴンの幻影が出現し、

背中に突っ込むと胸からドラゴンの頭部が現れた。

「はっ!」

ドラゴンの頭部から火炎が吐きだされコカビエルに直撃する。

だが、コカビエルは己の眼前に光の壁を出現し、放たれる火炎を完全に防いでいた。

……なるほど。流石は古の戦を生き残り、聖書にまでその名を刻まれた堕天使だ。

「はぁぁ!」

光の壁が砕けると同時に火炎もかき消された。

「貴様の魔法は未知のものだがこの程度では俺は殺せん!」

「安心した。この程度で死んでもらっては意味がないからな。

俺は兵藤一誠……リアス・グレモリーのポーンであり下級悪魔。

お前には新しい魔法の実験台になってもらう」

『ハリケーン・ドラゴン。ビュー! ビュー! ビュービュービュー!』

魔法を発動した瞬間、風を纏った緑色のドラゴンの幻影が現れ、

俺の周りを旋回し、ドラゴンの幻影が消えると俺が纏っていた赤い鎧の色が変わり、

赤色から緑色へと変化した。

「見たことのない魔法だが……所詮、下級悪魔が扱う魔法だ!」

コカビエルは手をかざし、

目の前に大量の光の槍を生み出すとそれを俺に向かって一気にはなってきた。

『チョーイイネ、スペシャル。サイコー!』

魔法陣を展開すると、俺の背後に魔法陣が出現し、そこから大きなドラゴンの

一対の翼の幻影が現れるとこちらに向かってくる大量の光の槍を打ち砕くと、

俺の周囲を旋回しはじめた。

それと同時に辺りに強風が吹き荒れ、砂埃を上げながら幻影が俺の背中にくっつくと、

幻影が一瞬にして一対の翼へと変化した。

「その翼は!」

「さあ、ショータイムだ」

コカビエルと同時に空へと飛びあがり、コカビエルは光の槍を放ってくるが、

俺はそれを翼を駆使して避けると奴に向かって突進し、

奴の顔面へと拳を沈めてそのまま殴り飛ばした。

「ぐっ!」

コカビエルは鼻を押さえながら、翼を羽ばたかせ、

俺から遠ざかろうとするが俺はそれを上回る速度で奴に近づくと、奴の胸倉をつかんだ。

「それで逃げたつもりか?」

奴に蹴りを入れ、距離を取り、互いに平行になりながら飛行を続ける。

『スモール、プリーズ』

「な!? うおっ!」

俺が小さくなり、僅かに開いている窓の隙間から外に出るがコカビエルは目の前に、

迫っている校舎の壁に気づかずにそのままガラスに突っ込んで、

ガラスを割りながら校舎の壁を貫通させて、俺がいる場所へと戻ってきた。

ガラスに突っ込んださいにそこらを切ったらしく、顔や腕から血を流していた。

「ふざけるな……この俺が……聖書にも名を残している俺が下級悪魔などに、

圧倒されるなどあってはならん!」

コカビエルは激高し、ひと際太い、光の槍を生み出し俺に投げつけてくるが俺は、

両方のドラゴンの翼を使ってそれを叩き潰した。

その光景を目の当たりにしたコカビエルの顔は絶望の色が侵食していき、

俺をまるで化け物でも見るかのような目で見てくる。

「なかなかの威力だった。片方の翼だけじゃ無理だった。だが、相手が悪かった。

残念だがこれでフィナーレと行こう」

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

魔法を発動させ、コカビエルの上空に大きな緑色の魔法陣を出現させ、

コカビエルの周りを高速で旋回し、強風で奴を縛り上げた。

「おぉぉぉぉ! この俺がぁぁぁぁぁぁぁ!」

そのまま風に持ち上げられた瞬間、緑色の魔法陣から雷で形作られたドラゴンが放たれ、

コカビエルに直撃しながら奴を地面へと叩き落とし、辺りの地面を砕いた。

その衝撃は周囲の地面に波のように伝わり、校舎の全ての窓という窓を砕き、

周囲を覆っている結界すらも破壊する勢いで学校全域に伝わった。

「ふぅ」

一息つき、地に足をつけると背中に生えていたドラゴンの翼が消え去った。

「イッセーさん!」

地面に降り立った俺の胸にアーシアが飛び込んできた。

「どうした」

「イッセーさんは最後の希望です……でも、私は主を忘れることはできません」

「それでいい。俺は最後の希望であって、お前の全ての希望じゃない」

そう言い、彼女の頭を撫でていると近くに、

ゼノヴィアを含めたオカルト研究部員達がやってきた。

「兵藤一誠……お、お前は私を」

「支えてやる。お前だけじゃない。

アーシアも部長もオカルト研究部員全員を俺が支えてやる」

そういうと、この場にいる全員の表情笑みが浮かべ、そしてその笑みはすぐに消え去った。

全員、俺の背後に視線が集中しており、気になった俺も振り返るとそこには、

ボロボロの姿になりながらも立っているコカビエルの姿があった。

「ハァ……ハァ」

「まだ立つか。しつこいやつだ」

止めの一撃として、もう一度、魔法を発動しようとした瞬間、

夜空を割るようにして地上に向かって真っ白な流星がコカビエルに向かって落下した。

「なんだ」

輝きが消えるとそこにはコカビエルを肩に担いだ白い鎧を身に纏った存在が、

こちらの方を向いて立っていた。

『感じる……やつだ』

何処からともなく声が聞こえてくる。

その声を聞いた瞬間、俺の魔力が一瞬だけ乱れた。

……何なんだ。

「だが、鎧の色が違うが」

『鎧の色など関係ない。奴からあいつの魔力を感じる』

「そうか……ようやく見つけたよ。俺のライバル、またゆっくり会おうじゃないか。

コカビエルとフリードに関してはこちらのミスだ。自分たちのミスは自分で修正する。

アザゼルがよくいう言葉だ。ま、そんなわけで君とは一度、ゆっくりと話したい」

理解しがたい会話をしながら奴は勝手に現れ、

フリードとコカビエルを担いで勝手に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の休日、アーシアに無理やり気味に旧校舎の部室へと連れてこさせられた俺は、

部室に座っている意外な人物に若干驚いていた。

「やあ、アーシア。兵藤一誠」

目の前にいたのはヴァチカンの聖職者であるはずのゼノヴィアだった。

イリナと一緒に向こうへ帰ったと思っていたんだがな……。

「神がいないことを知り、破れかぶれで悪魔に転生した。それに今の私の希望はお前だからな」

そう言い、ゼノヴィアは俺の隣にやって来て急に腕に抱きついてきた。

「これからよろしく頼むぞ。イッセー」

「ず、ずるいです! 私もお願いしますね! イッセーさん!」

ゼノヴィアとは逆の腕に満面の笑みを浮かべたアーシアが抱きついてきた。

「おっほん! 神側が悪魔側にコンタクトを取ったらしいわ。

まことに遺憾ながらそちらと連絡を取りたいってね。近々、

堕天使のボスのアザゼルが会談を開くそうよ。三陣営のね」

淡々と話していく部長の言葉の節々にどこか刺々しい感触を感じた。

「何を不機嫌になっている」

「別に! これが私なのよ!」

アーシアとゼノヴィアは笑みを浮かべながら俺の腕に抱きつき、部長は怒り、

副部長は部長の様子を見て含み笑いを浮かべ、木場と塔城は我関せずといった様子で、

ソファに座っている。

……やはり、よく分からん。




うっす!
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