ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

21 / 113
第二十一話

「よっ! 座れ座れ」

魔法陣で転移すると俺――――兵藤一誠の目の前にニコニコ顔の男が近寄って来て、

俺と肩を組むとそのまま無理やり気味にソファに座らされた。

最近、俺はこの男に散々、振りまわされている。

黒髪で悪そうな風貌、そして最近は浴衣にでもハマっているのかこいつのマンションに来るたびに、

浴衣を着ているのを見ている。

それに何故かは知らんが契約の際の代価として非常に高価であろう、

金塊やら宝やらを俺にくれたりする。

まあ、そのおかげで俺に対する部長の評価はこいつに会うたびにウナギ登りで、

給料もマックスの金額に達していることはいるんだが……何故か、

こいつからはレイナーレと同質の魔力を感じる。

「あんたはいったい何なんだ」

「何って日本が好きな外人だけど。I love Japan!」

「確かに今のあんたを見ていると、

そう思いたいんだが……あんたからは魔力を感じる。堕天使のな」

そういうと黙りこくり、

観念したのかうっすらと微笑を浮かべながら背中から合計十二枚の翼を出した。

やはり、こいつは堕天使。

それもレイナーレなんか足元にも及ばないほどの強力な力を感じる。

「いや~。新人悪魔に魔法が超強い奴がいるって聞いていたんだがまさか、

魔力に関しても強いとはな」

「もう一度聞く。あんたは何なんだ」

「俺はアザゼル。堕天使のトップをしている」

堕天使のトップ……まあ、

魔力からして下級はないと思っていたがまさか一種族の頭をしていたとはな。

……でも何故、俺を連日呼ぶ必要がある。

「お前をここ最近、呼び出したのはお前を直接見たかったからだ。

魔力の質、量。魔法も見たかったんだが流石にそれは無理だったがな。

コカビエルを倒したのも頷ける」

アザゼルとかいう男は何やら腕を組んで独り言を言いながら、

うんうんと俺の方を見て頷いていた。

以前、コカビエルと白髪神父を連れ帰った白い鎧を着た奴も、

こいつの名前を言っていた……つまり、あいつも堕天使側の存在という訳か。

「ま、そんなわけだ。お前とは少し話がしたい」

そう言いながらアザゼルは冷蔵庫からビールと、

ジュースを持ってきて小さなテーブルに置いて、俺に対面する形で座った。

「いや、ビックリしたぞ。てっきり魔法を使うもんだから遠い先祖に、

そういう家系があったのかと思えば辿っても辿ってもごく普通の一般人しかいなかった」

一体どうやって俺の家系を調べたかが知らんが正直、昔の母さんと父さん、

そして祖母と祖父を見ていても本当にごく普通の一般人としか思えない。

もしもあれで、どっかの有名な人の家系が混じっていますって知ったらたぶん、

俺は驚きすぎて逆に引く。

「普通、魔法使いってのは遠い先祖に魔法使いがいるもんだ。

だがお前には一切ない……つまり、お前から始まる魔法使いといえる」

「俺から始まる魔法使い……ねえ」

缶ジュースを一口飲みながらそう呟くがアザゼルが言っていることはあまり信じられないが、

一応筋は通っている。

あのドラゴンも言っていたが俺の魔力を生産しているのはあいつだが、

それを魔法として扱うのかは俺自身……つまり、俺が元来持っている才能だけで、

魔法を使役しているということか。

ふと、壁に掛けられている時計を見てみるとそろそろ終業時間が迫っていた。

「お、もうこんな時間か。いつもありがとな。今日の礼はこいつだ」

そう言うとアザゼルはポケットから真っ白な石を取り出した。

「その名もムーンストーン。月光龍(ムーンライトドラゴン)っていう、

ごくたまにしか姿を見せないドラゴンからしかとれない超貴重な石だ。

これが競りに出された日には何人もの資産かが消えるといわれているくらいに貴重な石だ」

そう言うとアザゼルは窓を覆っているカーテンを開け、月の光を部屋に中に入れると、

その光が集まっている部分に石を近づけると今まで真っ暗だった部屋が淡く、

白色に照らし出された。

「月の光を浴びると美しい輝きを放つことから月光龍。やるよ」

「……あぁ。じゃあな」

『テレポート・プリーズ』

俺は自室にゴール地点を設定したテレポートを発動させ、自分の部屋へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信じられないわ」

翌日の朝、俺の家に何故かオカルト研究部の奴らが全員来て俺の部屋でまったりとしていた。

なんでもアザゼルが昨晩、俺に行った行為は営業妨害に当たるらしく、

さらに俺に接触してきたことを不満がっている。

特段、噂で聞くような凶悪なオーラは感じなかったし、むしろ穏やかな奴だがな。

「確かにイッセーは魔力も多くて魔法も見たことのないものをいっぱい、

作ってクールでかっこいいけどだからって同性が近寄ったらダメだと思うの!」

「知らん」

俺は部室から持ってきた古い魔法書なるものを読みながらコーヒーを飲み、

部長の言い分を華麗にスルーした。

副部長は部長の言い草にいちいち含み笑いを浮かべ温かい視線を向けている。

「はぁ。私、イッセーがアザゼルに取られたら寂しいわ」

「だから知らん。そもそも取られることはないだろ」

「彼の言うとおりだよ」

この場にはいない第三者の声が聞こえ、驚きながらもそちらのほうを向くが誰もいなかった。

俺が声を聞くまで魔力を感じなかったとは……相当強いやつか。

少々、警戒をしながらも周りを見渡すが第三者は見当たらなかった。

「こっちこっち」

すると、俺の机の引き出しがひとりでに開き、

そこから紅色の髪をした部長によく似た男性と銀髪で、

メイド服を着たグレイフィアさんが出てきた。

……どっかの耳のない狸か。

「お、お兄様!? ていうか何故、そこから!?」

その姿を見た瞬間、部長は慌て、ほかの部員達は一斉にひざまづいた。

「いやな。レヴィアタンからこうすれば受けるといわれてね。

あ、今日はプライベート出来ているからリラックスしていて構わないよ」

レヴィアタン……四代魔王の一人の名か。

そして今俺の目の前にいるのが実質、悪魔の世界である、

冥界の頂点に立っている冥界最強と、

いわれるほどの戦闘力を持つ男――――サーゼクス・ルシファー。

「まずリアスの質問だが今週に授業参観があるからね。

それを見に来たのと三大組織の会議をここで行おうと」

その瞬間、俺は思わず飲んでいたコーヒー噴き出し、

グレイフィアさんとサーゼクス様を見た。

「ああ、語弊があったね。駆王学園で行うつもりで言ったんだ」

あ、焦った。まさか、俺の家で会談を行うのかと思った。

「グレイフィアね。授業参観があることを言ったのは」

そういうと、グレイフィアさんは無表情のまま首を縦に振った。

「私はお嬢様に仕えるメイドであり、サーゼクス様のクイーンでもありますので主に報告と、

お嬢様の卷族の皆さまのスケジュール管理は私がしております」

それを聞くと、部長は嘆息する。

「あ、父上も来ると言っていた」

それを聞いて床に手を付いて軽く絶望しながら、再び大きな嘆息をついた。

どうやら授業参観に家族である兄と父親に来られることは嫌……こいつの表情と、

雰囲気から考えるに嫌というよりもどちらかというと恥ずかしいと言った様子か。

まあ、そういう奴もいる……待て。確か、さっき部長の兄は今週に

授業参観があると言ったな……ま、まさか母さんは授業参観に。

「それと兵藤様のお母様は授業参観にはいかないらしいです。

理由は息子は見に行かなくても優秀だから見る意味がない。らしいです」

俺はそれを聞いて少し安心した。

母さんが俺をそう思ってくれているなら俺も嬉しい。

「お兄様。学園で会談を行うというのは本当なのですか?」

「ああ。聖魔剣、デュランダル、そして未知の魔法を使う者、

コカビエルの来襲と白龍皇の乱入……とても偶然とは思えなくてね」

そう言い、部長の兄は俺のほうをチラッと見ながらもすぐにその視線をはずし、

妹である部長の方へと向いた。

「兵藤様。申し訳ありませんが今晩、泊めていただけないでしょうか」

「構いません」

そういうことで俺の家に泊まることが決定した。

その後も母さんとサーゼクス様が楽しく談笑したり、何故か俺達を省いて、

母さんの部屋でグレウフィアさんと一対一で話し合ったりしながらも時間は過ぎていき、

あっという間に就寝時間となってしまった。

「……何か御用ですか?」

扉の前にサーゼクス様の魔力を感じ、

そう言うとニコニコと笑みを浮かべたサーゼクス様が俺の部屋に入って来て、

部屋の床に座り込んだ。

「君には感謝しているよ」

それは悪魔として上位の地位にいるものとしての言葉か、

それとも一人の兄としての言葉なのか……真意は分からないが俺は両方に感じた。

「リアスの婚約から始まり、ライザー君の成長を促したのも君、

リアスの心を救ったのも君、木場君を救ったのも、

信じるものをなくした彼女達を救ったのも君だ」

「それが何かの価値があるとは思いませんが」

「あるさ。現にリアスは……」

そこまで言って急に部長の兄が言葉を詰まらせた。

この先を言うべきか言わないべきかを悩んでいるらしい。

「いや、この先は言わないでおこう。君とはもっと話がしたくてね」

その後も夜が更けるまで、俺は部長の兄と一晩中話し明かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、起きてみると既に部長の兄もグレイフィアさんの姿もなかった。

部長曰く、町の下見に行ったらしい。

そういう俺たちはというと何故か、プールの掃除を任され、

俺まで掃除要因として駆り出され、藻だらけのプールの床をせっせとブラシで擦り、

藻を削り取り、水で綺麗に流してから水をためた。

「みんなお疲れ様。掃除のご褒美としてプールに入っていいわよ」

そんなわけで女子と木場は水着に着替えに行ったが生憎、

俺は水泳と言うものに興味がないので太陽の日が当たらない陰でゆっくりと、

休んでいると俺の肩をトントンと軽く叩かれ、

目を開けてそっちを見ると学校指定のスクール水着を着たアーシアと塔城が立っていた。

「イッセーさん! 似合いますか?」

「ああ、よく似合っているよ」

そういうと、アーシアは嬉しそうに頬を緩めてプールへと入っていった……が、

泳げないのか浮き輪に捕まってプカプカと浮いているだけだった。

ちなみに塔城も同じ。

「イッセー♪」

横からまたもや声が聞こえ、

振り向くとそこには布面積が小さい水着を着た二大おねえさまが立っていた。

……学生の割には若干、露出が激しい気がしなくもしないが。

「どう? 似合ってるかしら?」

そう聞く部長の姿はいつも、お姉さまと言われてキャーキャー言われているような姿ではなく、

年相応の女の子のような気がした。

「似合ってる。その後ろにいる奴もな」

「あらあら、私も褒められてしまいましたわ」

「んん! 朱乃と私じゃ私よね?」

「あら、どちらでしょうね」

隣で火花が散りあっているような気もするが、

俺は放置して陰で魔法書なるものを読んでいると隣にゼノヴィアが座った。

視線は外していないが魔力で分かった。

「お前は泳がないのか」

「まあな。私は無縁のところで育ったせいか、興味が薄くてね。

また今度、アーシアに誘われたら泳ぐさ」

そのまま俺とゼノヴィアは陰で全員が泳ぎつかれて寝るまで座っていた。




おはようございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。