ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第二十四話

ギャスパーとの夜通しの鍛錬から一夜明けた翌日の早朝、

朱乃さんから呼び出しを受け、アーシアとゼノヴィア、

塔城に母さんのことを任せて朱乃さんの魔力へとコネクトして、

魔法陣を潜り抜けると目の前に、

巫女服を着た朱乃さん……と頭に光の輪を浮かべた青年が立っていた。

この様子からみるに……天使か。

「ふふ、時間通りですわね」

「ふむ、噂どおり見たことのない魔法を……遅れながら、

私は天使の長をしておりますミカエルと申します」

いくつかのあいさつを交わした後、二人の先導のもとに付いていき、

神社の奥にある本殿へとたどり着き、中へ案内されるとそこには

でかい柱が何本も立っている小さな部屋だった。

その小さな部屋の中央に力強いオーラを放つ剣が突き刺さっていた。

「あれは聖剣」

「ええ。あれはゲオルギウス―――――聖ジョージといえばわかりやすいでしょうか。

彼が持っていたドラゴンスレイヤーであるアスカロンです」

ドラゴンスレイヤー……ドラゴン専門の殺し屋の名称、

およびその武具の名前だったはずだ。だが、何故こんな貴重なものを悪魔の俺に。

「今度の会談にて三大組織は手を結ぶでしょう。

このまま小さな小競り合いが続けばいずれ組織は滅亡する。

アザゼルも私もサーゼクスも、もう争いは望んでいないのです。

ですから和平への証として悪魔側にプレゼントという訳です」

中央に突き刺さっている剣に触れ、

掴んでみると何らダメージはなくずっしりとした重みを感じる聖剣だった。

「問題は収納場所なんですが……」

「問題はない」

『コネクト、プリーズ』

魔法陣を展開し、そこへ剣を放り投げると剣が消失すると同時に魔法陣も消失した。

「誰も手が出せない場所。コネクトで空間と空間を繋げる際に、

出来るその通路にアスカロンを置いた。俺以外に使えなくはなるがな」

「それで構いません。これで三大組織は和平を組み、

少なくとも天界、冥界ともに平和になるでしょう。これからの時代は今、

そして未来を生きる者達のための世界作りを、

していかなければならないと思っています……それでは私はこれで」

そう言った直後、ミカエルさまの全身が淡く輝きだし、

光に包み込まれて俺の目の前から消え去った。

 

 

 

 

 

 

「お茶ですわ」

その後、特に何もやることはないので朱乃さんのお茶を貰うことにし、

今は普段、彼女が住んでいるという和室に案内され、お茶を貰っている。

俺達の間に沈黙が流れ始める。

何か話題がないものかと探してみるが特に思いつかなかった。

「イッセー君は三大組織が和平を結んだら嬉しいですか?」

「…………本心を言えよ。何が言いたい」

「……貴方は私たちオカルト研究部の最後の希望として皆を、

支えると言いました……それが例え怪物でも支えてくれるのですか?」

「…………」

何も言わないでいると、突然朱乃さんが背中から翼を生やし、辺りに翼が舞う。

だが、彼女の背に生えているのは悪魔の翼だけではなく、堕天使の黒色の翼も生えていた。

なるほど。堕天使と人間のハーフでそれに重ねる感じで悪魔に転生したという訳か。

「私は堕天使のグリゴリの幹部の一人、

バラキエルという堕天使と人間のハーフです。

母はこの国のとある神社の娘でした。ある日、傷ついたバラキエルを救い、

その結果、私を身に宿したと聞きます」

彼女は背中に生える黒い翼を握り、忌々しそうに眺めた。

「この羽が嫌で私は悪魔に転生した……なのに生まれたのはおぞましい生き物。

怪物ですわ……あなたはこんな怪物でも私を」

彼女が言い終える前に俺は彼女の頭を俺の胸へと押し付け、抱きしめた。

「イッセー……君?」

今の状況をうまく頭の中で整理することができないでいるらしく、

彼女は戸惑いの色を顔に見せていた。

「怪物か……悪いがそうは思わない。俺はオカルト研究部の奴らを支えると言った。

まあ、お前が支えて欲しくないといえば支えないが……俺はお前の全てを支えよう。

プライド、コンプレックス、全てを受け入れる。

これは俺だけじゃない。部員全員がこういうだろうな」

「イッ……セー君」

彼女は体を震わしながら眼から流れ出てくる涙で俺の胸を濡らしながら、

泣き続けた。

今まで抱き続けた劣等感という膿を吐き出すように。

五分ほど泣き続け、目を真っ赤にしながらも彼女は笑みを浮かべて俺から少し離れた。

「ふふ、やっぱりイッセー君は優しいですわ。

誰かを包み込む大きな存在……最後の希望というのも間違っていませんわね」

そんな大きな存在でもないがな……まあ、

皆を支えられるのなら俺はそれに似合う大きな存在になるだけのこと。

「朱乃と呼んでくれませんか?」

「…………」

「イッセー」

「……朱乃」

直後、満面の笑みを浮かべた朱乃が俺の顔に重なり、唇に柔らかい感触が押し付けられ、

視界にはドアップの朱乃の顔が映し出されており、俺の太もも辺りに彼女の手が置かれた。

「今までは凄いな~っていうくらいの少し気になる人でしたの。

魔法がすごくていつも冷静で、でもその心の中にあるものは情熱。

私もこんなにもチョロイものだとは思っていなかったですわ……それとも、

貴方が私の心を落としたのか」

朱乃がもう一度、俺に顔を近づけてきた瞬間、バン! と力強い音が二人だけの部屋に響き、

その音の方へ向くと紅色のオーラを放っている不機嫌顔の部長が立っていた。

「あら、リアスじゃない」

「うぐぐぐ。アーシアとゼノヴィアはともかくとしてまさか、

朱乃まで落とされるなんて……しかも、キスまで行って……行くわよ、イッセー」

俺の首根っこを掴み、コツコツ! とヒールで地面を刺しているんじゃないかと、

思うくらいの強い歩みをしながら俺と一緒に部屋から出ていった。

境内から抜けたところで部長は俺の首根っこを掴んでいた手を離したが、

何故か今度は俺の腕に抱きついて来て不機嫌そうな顔を浮かべながら歩きだした。

「おい、何をそんなに不機嫌になっている」

「別に不機嫌になんかなってないわよ……計画の再構成が必要ね」

なんか計画の再構成だとか聞こえたような気がしたが、

かかわるとろくな事が起きる気がしないのでそこはスルーしておくことにした。

「……イッセーは私のことはなんて呼ぶの?」

「……どういう意味だ」

「朱乃に頼まれた時、貴方は朱乃って呼んだわよね? 

私も頼んだら……リアスって呼んでくれるの?」

「………………行くぞ。今晩なんだろ、会談」

何も言わず、俺は自宅に向かって歩き始めた。




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