ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第二十九話

減少させた分だけ増えた魔力で何かを発動した奴のオーラは先ほどとはま逆のものだった。

さっきと比べて……鋭い。

「これが強制的に力を開放し、全てを打ち砕く力。

その名も覇の龍と書いてジャガーノートドライブ」

奴を覆っている鎧は先ほどよりも輝きが増しており放出されている魔力も質も、

量も今の俺とは比べ物にならないくらい上だった。

「礼を言うよ。君の莫大な量の魔力のおかげでここまで完全に解放することが出来た。

俺でもこいつを扱うには大量の魔力を消費して、使えるのはたったの数分程度だ。

だが、君の魔力を使ったことにより、三十分は戦えるほどの量を得た。

感謝するよ。礼と言ってはなんだがこれで……止めを刺そう」

俺の背筋を駆け巡る殺気―――――――臨戦態勢を取ろうとした瞬間、

突然、視界が真っ暗になり、体制が無理やり後ろに持っていかれる感覚を感じた。

「はぁぁぁ!」

そのまま投げられた俺はサーゼクス様とミカエルさまが守護している新校舎の会議室ではなく、

違う棟の校舎の壁をぶち抜き、そのまま壁に投げつけられた。

「ガッ……ァ」

「ま――――――――だ」

「ぁぐぅ!」

奴の声がうっすらと聞こえた瞬間、腹部に経験したことない激痛が走り、

口から大量の血反吐を吐き、ボキボキと何かが折れる嫌な音が聞こえ、

俺は地面にめり込まされた。

痛みを我慢し、目を開けてようやく今の状況を理解した。

ヴァーリは俺の腹部に膝打ちを入れたのかと。

だが、理解したのも束の間、首を掴まれ、そのまま空高く運ばれ、

そこから急降下しながら地面へ俺を叩きつけた。

意識が飛びそうになるが、激痛により再び意識が無理やりこちら側へ持ってこられた。

「よっと」

ゴミを拾って放り投げる感覚で奴は俺を拾い上げて地面にたたきつけた。

「ガッ……うぁぁ」

体に鞭をうち、どうにかして立ち上がろうとするが途中で腕から力が抜け、

地面に倒れ伏すが、胸倉を掴まれ、先ほど行おうとしていた行動を誰かにやらされた。

「ヴァー……」

そこまで言いかけたところでまた、俺は背中から地面にたたきつけられた。

「もうやめて! それ以上したらイッセーが死んじゃう!」

叩きつけたあと俺の胸倉を持ったまま片腕で俺を持ち上げているヴァーリの腕に、

涙を流した部長が駆け寄ってくるが、ヴァーリは振り向きもせずに全身から魔の波動を発し、

部長を吹き飛ばした。

「きゃぁ!」

「部長!」

吹き飛ばされた部長は木場が抱きかかえたことにより、

地面にたたきつけられることはなかった。

「兵藤一誠。君は確かに強い……だがそれは下級悪魔だけのランキングの中ではだ。

この世界には強者ランキングなるものがあってね。

サーゼクス・ルシファーでさえトップ10にも入らない。そのランキングに君を当てはめれば、

君はランキングの下位の方……そうだな。千から千五百といった

位の強さだ。この世界には君なんか一撃で倒せる奴が大量にいる。

人間の言葉でいえば君は井の中の蛙大海を知らず、だ。

浅瀬でピチャピチャ遊んでいる子どもと同じなんだよ」

掴んでいるやつの腕にさらに力が入り、俺の首をさらに強く締め上げる。

まだ……手は……動……く…………………………。

『コネクト、プリーズ』

意識が朦朧とする中、俺は最後の魔力を絞りだし、

空間を繋げたがヴァーリはそれを見て失笑していた。

「何をするかと思えばそんな小さな魔法陣を出してどうする。

この差はどう足掻こうが埋まらない。君はここで俺に負ける」

「……さっさと」

「ん?」

「…………俺を……殺さなかったことを……後悔しろ」

『っっ! ヴァーリ! 避けろ!』

ヴァーリが音声の指示を実行する前に鎧ごと奴の皮膚が切り裂かれ、

俺の視界に大量の血飛沫が舞い、キラキラと光りを発する鎧の塵が綺麗に思えた。

「がっ! ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「まだ……だ!」

よろめきながらも解放された俺は振り上げたアスカロンを両手で握り締め、

今もてる全ての力を腕にこめた振り下ろすと、防ごうと腕を交差させた奴を鎧ごと切り裂き、

先ほどよりも多い血飛沫が舞った。

「あ……ぐぅ……ぁ」

二三歩、ヴァーリが後ろへ下がると同時に大量の血が地面を赤く汚し、

あれだけ圧倒的なオーラを放っていたのが嘘のように弱々しくなり、鎧が消え去った。

『この力はドラゴンスレイヤーのアスカロン!』

「な……ぜ。そんなものを」

「記念……だとよ」

「くそ……驕りゆえの……隙を……討たれ……た……か」

そのまま奴は意識を失い、地面に倒れ伏した。

まだだ……ここで奴を殺す。

俺は足とアスカロンを引きずりながら意識を失い、

動かないでいるヴァーリのもとへとゆっくりと歩いていく。

その間にアルビオンがヴァーリに必死に声をかけているがヴァーリが動き出すことはなかった。

「余裕、驕り、過剰な自信……この三つがそろったら……最悪の結末が起こることを覚えておけ」

ヴァーリの頭のところまで近寄り、アスカロンを振り上げようとした瞬間。

「なっ! ぐぁう!」

突然、目の前に火の粉が集まり、小さな爆発を起こして俺を吹き飛ばした。

やがてその火の粉は集まっていき、徐々にその形を人型へと変えていく。

「ま、まさか」

完成し、姿を現したのは先ほど俺が砕いたはずのフェニックスだった。

「ふぅ。ようやく復活したぜ」

「バカな……あの状態から復活しただと」

「まあな。俺はフェニックス。不死身だ。切り刻まれ、バラバラにされようとも、

凍りつかされ砕かれても一段階強くなって復活する。まあ、フェニックスの突然変異だ。

ま、その後は魔力空っぽだから戦えねえんだけどな。

ちょうどお前みたいな状態だ。悪いがこいつは持って帰るぜ」

「ちょうどみたいだな!」

そう言いながらフェニックスがヴァーリを担ぎあげた瞬間、

上空から声が聞こえ、顔をあげると金色の雲に乗った存在がふわふわと浮いていた。

「おせえよ、美猴」

「俺っちも忙しいんだよ。ほら、さっさと掴まれ」

背に棒をしょっている男はフェニックスから気を失っているヴァーリを担ぎ、

フェニックスの腕を掴んだまま、金色の雲で徐々に上へと上がっていった。

「じゃあな! 兵藤一誠! この借りは必ず返すぜ」

そう言い放ち、フェニックス達はものすごい速度で夜空の向こうへと消え去った。

心のどこかでようやく戦いが終わったと、ホッとしたのか俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー? イッセー!」

目を開けると涙を流して俺の名を叫び続ける部長の姿と同じような状態のアーシア、

朱乃が周りにいた。

どうやら、戦いが終わった直後に意識を失っていたらしくその間の記憶はない。

だがアーシアの治療のおかげか幾分、体が軽くなった気がする。

「大丈夫なのね!?」

「ああ……ただ」

「ただ!?」

「お前の声がひどく響く。少しトーンを落としてくれ」

もっと重要なことを言われると身構えていたのか、結構どうでもいいことを云われ、

部長は大きなため息をつきながらも俺の頭を撫で始めた。

目線だけを動かして辺りを見てみるが、すでに事後処理に入っているらしく、

それぞれの陣営の護衛達がせっせと修復作業に入っていた。

「おぉ! イッセー君! 無事で良かった」

「本当です」

これ以上首を動かすのはしんどいが……声からするにサーゼクス様とミカエルさまの二人か。

「君にはかなりの負担をかけてしまった。裏切りのフェニックス、カテレアの使い魔、

そして白龍皇。魔王としては不甲斐ないことだ」

「……別に構いません。サーゼクス様は動けないでいる皆を守り続けてくれた……それに、

応えたまでです」

「感謝する」

サーゼクス様からの礼を受けた後、視線を動かして辺りを見渡すと部下と、

一緒に飛び立とうとしているミカエルさまの姿は入った。

「あ、ちょ」

「ミカエルさま! イッセーさんが」

俺の様子から用件を悟ったアーシアがいまにも、

飛び立とうとしていたミカエルさまを呼びとめてくれた。

「どうかしましたか?」

俺は部長と朱乃に支えられながらもどうにかして立ち上がり、

ミカエルさまに対面した。

「先ほど、会談でエクソシストなどの聖なる力の効果や祈りに対する慈悲に関して、

おっしゃっていましたよね?」

「ええ」

「その際に悪魔が祈りを捧げるとダメージを受けるというのも」

「ええ、神が生み出したシステムの影響です」

「それをアーシアとゼノヴィアの二人だけ、はずしてくれないでしょうか」

俺の頼みに周りにいた部員はもちろん、ミカエルさまも驚きを表していた。

「……わかりました。二人ほどならどうにかなるでしょう。

アーシア、ゼノヴィア。神がいない今でも祈りますか?」

「はい。たとえ主がいなくとも私はお祈りを捧げたいです」

「私も主への感謝と……ミカエルさまへの感謝をこめて」

二人の問いにミカエルさまはふっと小さく笑みを浮かべた。

「わかりました。何とかしましょう。兵藤一誠君。

今回は助かりました」

そう言って、ミカエルさまは金色の翼を羽ばたかせて既に

明るくなりかけている天へと部下とともに飛んでいった。

アザゼルが後ろで待っていた軍勢の方を向き、声を張り上げる。

「俺は天使、悪魔との和平を選択する! 不満があるなら抜けても良い!

ただし、次にあった時は容赦なく殺す! 良いな!?」

『この命! アザゼル総督の為に!』

風貌はチャラけていてもカリスマは本物か。

堕天使の軍勢は魔法陣を展開させ、次々と転移していき、

悪魔の軍勢も転移していっていた。

こうして三組織を巻き込んでの戦いは終結し、歴史に残る三種族の和平条約が結ばれ、

三種族は協力体制へと移っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな訳でお前達、オカルト研究部の顧問になったアザゼルだ。

先生か、総督って呼んでも良いぜ」

数日後、一学期の修了式が終わった後、俺達は部室で呆れていた。

どうやら、レアなセイグリッドギアを放ってはおけないらしく自らが指南して、

成長をさせるということでこの役職についたらしい。

「これからお前達をバンバン、鍛えていってやるからそのつもりでいろよ」

こうして、波乱だらけの一学期は幕を閉じた。

 

 

駆王学園、一学期終了。

リアス・グレモリー卷属。

 

王:リアス・グレモリー。

 

女王:姫島朱乃

 

戦車:塔城小猫

 

騎士:木場祐斗、ゼノヴィア。

 

僧侶:ギャスパー・ヴラディ、アーシア・アルジェント

 

兵士:兵藤一誠

 

 

オカルト研究部顧問:アザゼル




最近、マジで小説書くのが楽しいですよ。
まあ、とあるレーベルの新人賞に五回ほど送っているんですが
全部、一次選考落ちなんですよね~。(笑)
一応、今回で一次で落ちたらもう二度と送らないですけど。
それでは!
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