ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十話

夏休み……以前までの俺なら一日中アルバイトを入れ、

生活費の足しになるであろう給料袋、もしくは通帳を見ながら月の出費などを計算して、

母さんと一緒に小旅行に出かけていた。

だが、今は違う。悪魔となった俺は母さんとの時間をうまく作れなくなってしまったため、

日々の母さんとの何気ない会話を楽しんでいた……んだが。

「あらあらまあまあ。いつの間にこんなに豪邸になったの?」

母さんとの一泊二日の小さな旅行から帰ってきた俺達を出迎えたのは何故か、

タワーマンション並み……とまではいかないがおそらく五、六階建てだろうか、

それほどの高さがある豪邸に変化していた。

確か、俺の家は父さんと母さんが三十年ほどのローンで購入した一軒家だったはずだが……。

「何の断りもなくリフォームをしてしまって申し訳ありません。

実は私の父が建築関係の仕事をしておりまして、

これからはバリアフリーの時代というスローガンの下、

モデルハウスの一環としてリフォームいたしました」

「あらそうなの? ねえ、イッセー」

「……母さんがよければそれで」

母さんのワクワクしたような表情を見て、この場で部長に小さなお説教をするのはやめにした。

別に部長だって悪気があったわけじゃないだろうし……おそらく、

これから母さんは年老いていく。その過程で足腰が弱くなり、

付きっきりで介護しなければいけないことだって出てくるだろう。

そこら辺を踏まえてのことだと思うんだが……流石にこれはちょっと。

「イッセーさーん!」

上の階から笑みを浮かべたアーシアが俺に向かって手を振ってくる。

ちなみにこの豪邸から木場、朱乃、塔城、

ゼノヴィアの魔力を感じるのは気のせいであると祈りたい。

「イッセー! 早速、探検に行くわよ!」

「はいはい」

俺は興奮している母さんを宥めながら豪邸の中へとはいっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「で? どういうことか説明をしてください」

母さんはいつものママ友達と二泊三日の大型旅行に行っているため留守。

その間に俺は部長に尋問をかけていた。

「いやね。お兄様が下僕のスキンシップを図る目的でこうすればいいんじゃないかって」

「その結果がこれか」

「イッセー君♪」

俺の目の前に正座している部長、右腕に満足そうな表情をしている朱乃が抱きつき、

左腕にはアーシアが、さらにノリにのってか右足のゼノヴィア、

左足にギャスパー、そして俺の首元に肩車の要領で乗っかっている塔城が、

ちなみに木場は優雅にコーヒーを飲んでいる。

「お? 早速ハーレムを形成し始めているなイッセー!」

そして、何故かアザゼルまでもが俺の新自宅に来ていた。

「じ、実は地下が三階もあってね! 一階は映画鑑賞会を開いたり、

トレーニングルームを開ける場所にして、大浴場もあるのよ!?

それに二階はまるまる室内プール! そして地下三階には書庫になっていて私の実家にあった、

古い魔法書とかもたくさん」

「謝罪」

「ごめんなさい。一声かけなかった私が悪かったです」

初めて部長を言い負かした気がした。

「別にいいですよ。母さんを思ってのことでしょうし」

上の階へと上がる際には階段を使ってもいいのだが小型のエレベーターも設置されているし、

階段から行くにしても手すりには窪みがあり、専用の機械を使えば人の力なしで運べる。

さらに、段差はどこにもない。まさにバリアフリー。

「ありがとう……さて、話は変わるけど冥界に里帰りするわよ」

一回、こいつのデコにでも魔力全力の凸ピンでも喰らわせた方がいいのか?

「八月の二十日くらいまであっちにいようと思うの。あ、安心して。

イッセーのお母様のお世話はグレモリー家のメイドが責任を持ってするわ」

いや、まあ母さんの心配はそれほどないんですよ。

母さん、夏休みになったら結構、友達とお茶会行くし、

だいたい夏休みは『眠りの楽園よ!』とか言って平気で二日は眠りにつく。

腹は空かないのかと聞けば『私は寝るときはスーパー省エネママになるのよ!』

とか意味が分からんことを言っている。

まあ、もともと寝るのが好きな人だったけど。

「それに付け加えると鍛錬もあるし、非公認ではあるが一戦、

ゲームを加えようと思っている。既にサーゼクスには打診済みだ。

あと下級悪魔の会合があるんだったよな」

「ええ。まあ、昔から続いているならわしのようなものね」

「はぁ~! サーゼクスとの会談はあるわ、悪魔のご意見番とのお茶会みたいなのはあるわ。

総督面倒くせー! イッセー! 俺の代わりとしてお茶会を魔法で盛り上げてくれよ」

「断る。俺の魔法はそんな能力はないし、創造する気もない。

総督として自覚を持てよ、アザゼル」

「だから先生と呼べー!」

こんな感じで冗談を踏まえながらのこれからのスケジュール発表は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅立ちの日、俺が連れてこられたのは最寄りの駅だった。

俺を含めた全員が学園の夏の制服。どうもこの卷属の正装が学園の

制服になりつつあるよう。

「おい、歩きにくいから離せ」

「嫌ですわイッセー君。私は不慣れな貴方のために案内しているのよ?」

別に腕にくっつかなくても案内することはできると思うんだが――――そう言いたい気分を、

グッとこらえて俺は周りからの鋭い視線を一身に受けながらも、

案内についていくとエレベータの前で止まった。

「私と朱乃、イッセー、アーシア、ゼノヴィアで先に行くから、

貴方達はアザゼルと一緒に来て頂戴」

「わかりました」

そう言った後に、扉が閉まり、部長がスカートのポケットから一枚のカードを取り出し、

階数が表示されている下の方にある電子パネルにカードをタッチするとピッという音とともに、

エレベーターが下に向かって動き始めた。

一階と二階しか無かったはずなんだが……これも悪魔の権力とやらか。

一分ほど経つと、エレベーターが止まり、

ドアが開くとそこに広がっていたのはかなり広い空間だった。

もちろん線路もあるし、自販機だってあるし、何番線かを教える電子掲示板もある。

悪魔専用のものらしい。

遅れて木場達が到着し、部長についていくと人間のものとは少しフォルムが異なる。

列車が止まっているホームにたどり着き、列車が発車するまでの間、自由時間となった。

「…………お前ら何をそんなにじゃんけんをしている」

俺が座ると急に朱乃、アーシア、ゼノヴィアがまじめな顔をしてじゃんけんをし出した。

ちなみに部長は慣習らしく一番前の席に座り、

憎たらしいものでも見るかのような視線でこちらを見てくる。

「よし! 私の勝ちだ!」

勝ち誇った様子のゼノヴィアが俺の隣に座り、

ムスっとした様子のアーシアと朱乃が俺の前に座った。

ちなみに木場と塔城、ギャスパーとアザゼルはそれぞれ四人席に座っている。

「あの時パーを出せば」

「うぅ。主がいないことがこんなことに影響を及ぼすなんて」

神がいようがいまいがじゃんけんはそれぞれ、勝つ確率は同じだろうが。

そう思っていると発車の汽笛が鳴り響き、列車のドアが閉まって動き始めた。

「さて。向こうには一時間後くらいにつきますわ。だから、

皆でトランプでもしましょう。持ってきましたのよ」

そう言うと朱乃がポケットからトランプを出し、ポン! と魔力で木の板を出した。

「ポーカーでもやるか」

「うむ。それくらいなら知っている」

そんな感じでポーカーが始められた。

ルールは二回チェンジ、降りることもできるというかけ要素は一切なしのもの。

「ツーペアだ」

「ワンペアです」

「フラッシュですわ」

「…………」

俺がいつまでも手札を出さないことに全員が、俺の方を疑問の視線を送った。

……ハートの五、クローバーのキング、スペードのエース、ダイヤの三、

ハートの二……相も変わらず運勢は最悪なもんだ。

観念して手札を出すと全員、何故か嫌な笑みを浮かべた。

俺は悪魔になって以来、究極なまでに運が悪くなった。

転生する前はま逆に究極なまでに運が良かったんだがな……福引で毎回一等賞をあてたし、

ガラガラ抽選でも十回回せば十個の色つきの玉が出てきた。

だが、今となっては二十回ガラガラ抽選をすれば二十回とも真っ白な弾が出てくる。

「ふふ、このまま続けますわよ」

その後、俺は女のSな部分を垣間見た。




こんにちわ! いや~ウィザードも最終局面に入りましたね!
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